『YOUNG AND FINE LIVE!』(WHEATHER REPORT)
電子楽器が普及し始めた頃、当然ながら各種音楽においてそれを使っていこうという動きがあらわれました。
日本ではYMOが大活躍をしていく時代ですが、ドイツではクラフトワークなんかがいた。
そのころアメリカでは、ウェザー・リポートという元祖フュージョンバンドが出現します。
キーボードのジョー・ザヴィヌルとサックスのウェイン・ショーターが中心になって結成した双頭のバンドです。2人はマイルス・デイビスのバンドで新しいジャズの実験をしていた2人が、独自の境地へと旅立つためにマイルスの元を離れて、自分たちのバンドを作ったのがはじまり。
彼らは次第に南へ南へと航路をとって、トロピカルな南国風サウンドに到達します。そのころ行われたライブ映像がこれ。
YMOやクラフトワークが純粋ポップミュージックだったのに対して、ウェザーリポートはジャズ畑から生まれてきたので、南国的ポップさを備えながら
ライブのときの躍動感はすばらしい。
ライブ・アルバム『8:30』などでもそれは発揮されていましたが、映像がつくとすごい。
DVD曲順。
1,Black Market
2,Svarlet Woman
3,Young and Fine
4,The Pursuit of the Woman with the Feathered Hat
5,A Remark You made
6,River People
7,Thank for the Memory/Dolores
8,A Portrait of Tracy(bass solo)
9,Mr.Gone
10,In a Silent Way
11,Waterfall
12,TeenTown
13,I Got It Bad and That Ain't Good
14,Birdland
15,The Band Introduction
16,Fred and Jack
17,Elegant People
18,Badia/Boogie Woogie Waltz
なんといっても、ジャコのベースソロがやっぱりすごい。映像で見たのははじめてなんだけど、化け物です。
ドラムのアースキンもただ事ではありません。
この2人の超絶技巧リズム隊の上にふわふわ浮遊するようなザヴィヌルのシンセサイザーとひたむきに切り込んでくるショーターのサックス。
そうした、それぞれの個性が一見バラバラな中から一つの「音楽」が生まれてくる。そういうところがジャズのよいところ。初めから一つの方向をバンド全体が向いているわけではなく、それぞれに向きたい方向を向いている個性がうまく結合して、ひとつのまとまりを産み出していく。そういうありかたって、元々何のまとまりもないゲイにも共通する部分あるとおもうんだけどね。
大木裕之が『G8』シリーズという映像作品でやろうとしていることもまさにここにあるわけですね。それぞれの個性を、大木という芸術家の天才的な直感でつむぎ合わせていく。それぞれの個性はそれぞれの方向を向いている中から、ゲイという記号の象徴性、映像表現の方向性を見出そうとする試みです。『G8』は映像によるゲイ的ジャズを目指しているのかもしれませんね。
Posted by tamano_syndicate at 02:42│
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私が、「アリーチェ・シンジケート」「玉野シンジケート」という風にシンジケートをよく使うのは、じつはこのジョー・ザヴィヌルが「ザヴィヌル・シンジケート」なるバンドを作っていたからだったりします。
ジャコは伝説のベーシストですからね。
映像を見たことないので
演奏してるところを見てみたいもんです。
でもジャンルがジャンルだけに
知名度はそれ程ない気がする。
ジミヘンとかは結構万人に知られてるけど。
JAZZとロックじゃ仕方ないのかも。
あおれんさんへ
それでも、「バードランド」や「ブラックマーケット」は聞けば知ってる人たくさんいると思うなあ。ジャコ・パストリアス自体を知っている人はどうかわからないけれどね。一応、電子音楽のはしりだし、ファンクだからクラブ・ミュージックなんかでも応用できそうだけど、そういうのはあるのかどうか?
Kazeです。トラックバックありがとうございます。
ウェザー・リーポートのDVDが出ているのですね、知りませんでした。
さて、「8:30」ですが、僕はレコード2のB面のブラウン・ストリートが好きです。ザビヌルとショーターが紡ぎだすゆったりとした音がいいです。
聴いたことがある
って曲は結構あると思う。
恥ずかしながら
かく言う自分も
3 Views of A Secretとか
Liberty Cityとかは
「Word of Mouth」を買うまでは
タイトルもジャコの曲であることも
知りませんでした。
チック・コリアやパット・メセニーなんかもよく聞くとテレビやなんかでBGMになってること多くて曲は聞いたことある人多いですよね。知名度はともあれ音楽としてはやっぱり高品質!ウェザーはその点、はじめは聴きにくいけどよりジャズよりで不必要におもねらないところがよいです。