2009年11月03日
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【目次】
1.ブラジルで核兵器開発疑惑が急浮上
2.エフライム・ハレヴィ著『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』紹介
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「謀略とは誠なり」(陸軍中野学校のモットー)
■ブラジルで核兵器開発疑惑が急浮上、物理学者が「核兵器の作り方」本出版!?
BRICsの一角として目覚ましい経済成長を遂げ、2016年オリンピック開催が決定したブラジルに核兵器開発疑惑が浮上している。
疑惑を抱かせることになったきっかけは最近ブラジルで出版された1冊の本だった。
FAS(米国科学者連盟)が運営する政府関連の公開・非公開資料についてのブログ「Secrecy News(シークレシー・ニュース)」によると、
物理学者のDalton E.G. Barroso氏が著した『The Physics of Nuclear Explosives” (“A Fisica dos Explosivos Nucleares”) -核爆弾の物理学-』という本に、
核兵器に関する機密情報が記載されいた。
IAEA(国際原子力機関)はブラジルが核兵器開発に関心を抱いている証拠だとして警戒を高めているという。
IAEAは本の回収まで要求しているほか、Barroso氏の著作に関してさらなる情報を求めていると報じられている。
もっとも、シークレシー・ニュースによると、書籍の中で書かれていることは、「既によく知られた物理・数学モデルに基づいたもの」であり、
機密情報ではないとBarroso氏は反論している。
また、ブラジルのネルソン・ジョビン国防相は、「こうした著作物が自由に出版されること自体が、
我が国で非公式な核開発プログラムが進行していないことの表れだ」との見解を示したという。
それでもブラジルに対してIAEAが核兵器開発の疑いをかけているのは、最近の同国の核関連活動の活発化と関連があるのかもしれない。
ブラジルのルラ大統領は2007年7月に、約20年ぶりに核プログラムを再開すると発表した。
原子力潜水艦と原子力発電所の建設を目的とするものだ。
2009年8月には、ジョビン国防相が議会で、ブラジル初となる原子力潜水艦が2021年にも完成する見通しだと報告した。
コアとなる核技術はフランスから提供されるという。
9月には、フランスと共同で行う原子力潜水艦とヘリコプター50機の開発について、
政府が87億ドル(約8000億円)の資金調達をすることがブラジル議会上院で承認された。
また、ルラ大統領は9月に、ベネズエラがロシアから地対空ミサイルなどの兵器を購入する契約を交わしたことに対して米政府が懸念を示している点について、
ベネズエラを擁護する姿勢を示した。
ベネズエラが自国の豊富な資源を保護するために軍事強化をするのは当然だとの理屈だが、ブラジルも同様の理由から軍事拡張が許されるとの含みがあったようだ。
英経済誌『ザ・エコノミスト』によると、ブラジルはNPT(核拡散防止条約)に加盟しているものの、
IAEAによる抜き打ち検査などを可能にした「追加議定書」にはサインしておらず、また国際機関による国内の民間核関連施設への立ち入り検査を拒否しているという。
これが“非公式なチャネル”で核関連物質を入手しているとの思惑につながっているようだ。
<参考サイト>
※シークレシー・ニュース(原文リンク)
http://www.fas.org/blog/secrecy/2009/09/brazil_nuclear.html
※The Physics of Nuclear Explosivesの詳細(ブラジルのオンライン書店ではまだ購入可能?)
http://www.livrariadafisica.com.br/detalhe_produto.aspx?id=31458
※米政府のインテリジェンス機関である国家情報局がまとめたブラジルの核開発関連の資料。
非常に詳細な内容で、シークレシー・ニュースが公式リリース前に入手したものとさている。
http://www.fas.org/nuke/guide/brazil/survey.pdf
http://www.fas.org/nuke/guide/brazil/websites.pdf
※シークレシー・ニュースを運営する「米国科学者連盟」について(大辞泉より)
FAS(Federation of American Scientists)米国科学者連盟。
第二次大戦後の1945年、マンハッタン計画に参加した原子力科学者を中心に米国の核科学者たちが結集して結成された非政府組織(NGO)。
科学者の立場から軍備競争の中止、核兵器の使用禁止などを訴える。事務局はワシントン。
■エフライム・ハレヴィ著『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』のポイント
・諜報機関の責任者は、自国の政治指導者の側近や相談役としてのみならず、
他国の国家元首や国民運動の指導者にも頼られる、優れた密使としても活動しなければならない
・同盟国同士が情報交換するのは、運命共同体であることを示す重要な要素となる
・諜報関係者はつねに、目の前の現在を超えた未来を見すえ、遠いはるかな道の要所に見える中長期的なプロセスに焦点を合わせる
・イスラエルにおいて、人的・物的資源の大半は国防、諜報、保安分野に投入せざるをえなかった
・いかなる決断も、つねに不確実な状況で下されるということである
・諜報の世界では、正しい決断を下す確実な方法などあったためしがない
・諜報の分野では、モサド長官の機動力と権力は見た目よりもはるかに強大である
・「諜報の世界では人的資源こそもっとも貴重な財産である」(モサドの決まり文句)
・あらゆる諜報機関の基本要件、基本信条は、どんなことがあっても「情報源と手段」を保護しなければならないということ
・自分の役割を果たさざるをえない諜報員にとって、組織のトップは岩山のように揺るぎない頼れる存在でなくてはならない
・政府上層部の職務怠慢が、隊員の士気および諜報活動の有効性にあたえるダメージの大きさは計り知れない
・「世の中に実行不可能な任務はなく、目の前の脅威をどうしても制圧できないなどと政府に報告することはけっして許されない」(モサドの基本信条)
・戦略的情報の評価は多数決で決めるようなものではない
・諜報機関に集団責任などというものは存在しないのである
・調査のための調査、分析のための分析はインテリジェンスの世界に存在しない
・調査も分析も国益を保全し増進する工作のために用いなければ意味がない
・インテリジェンス・オフィサーは常に目的のために教養を用いる
・インテリジェンスは時間的制約の中で判断を求められる
・インテリジェンス機関の真価は、同僚と情報提供者をいかに守るかにかかっている
・人間を大切にしないインテリジェンス機関は、本当の成果をあげることができない
※分析メモ
『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』はつい最近までモサド長官を務めていたハレヴィ氏の著書である。
国家の存亡かけて、日々激しい情報戦を繰り広げているモサドの様子がよく分かる。
そう考えるとイスラエルの情報部員や分析官たちの一人一人の責任感は並大抵のものではない。
そのような中で、ハレヴィ氏の「人間の大切さ」を述べていることには納得がいく。
数々の修羅場で経験したハレヴィ氏の言葉には重みがある。
諜報の世界でも、政治やビジネスの世界でも、最後には、人間力がものをいうのであろう。
2009年10月1日
国際インテリジェンス研究所
代表
S
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2009年10月12日
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