2017年05月11日

2017年05月11日

児童向け講談/猫の祠

むかしむかし。
お花という女の子が、おじいさんと暮らしていましたが、
「タマや、おつかいに行くよ」と、猫を連れ、「タマや、せんたくをするよ」と、また猫を連れ、どこへ行くにも何をするにも、タマという猫を側からはなしません。
「ミャーミャー、ゴロゴロ」タマも、うれしそうにお花にまとわりつき、どこまでもついて行きます。夜、眠るときも、お花の布団にもぐりこみ、まったく側をはなれる様子はありません。

「じいさまや」となりに住んでいる、おばあさんがたずねてきた。
「きのう用事があって、夜遅くにお寺へ行ったんじゃ。すると墓場からガサガサ音がしたもんじゃから、おそるおそる、ちょうちんの明かりをてらしてみるとの。なんとそこに、お花坊のタマが、恐ろしい顔で墓石をにらんでおったんじゃ」
「うちのタマが?」
「そうじゃ、わしは腰を抜かしそうになったわ。ところで、さいきんお寺のニワトリがいなくなっておるそうじゃが、そこには、ひもがおどったようなあとが残っておるというぞ」
「ひもがおどったあととな?」
「ああ。お寺の小坊主も、なにものかに追われたそうじゃが、そこにも、ひもがおどったようなあとがあったそうじゃ」
「お寺の小坊主もか?」
「おお。なにものか知らんが、子どもをねらっておるんかの?じいさまのとこのお花坊も、気をつけた方がいいのう」そういうと、おばあさんは帰っていった。
「うーむ。ばあさまの話しでは、墓場でタマが恐ろしい顔をしていたというが、ひもがおどったようなあとは、タマの長いしっぽじゃろうか。もしや、タマは化け猫かも知れん。さては、お花に取りつく気か?」
おじいさんは心配でならない。

 ある時、お花が布団に入ろうとすると、
「フーッ!ギャーオ!」と、タマが恐ろしい顔で、お花の着物のすそを引っ張った。
お花は、あまりに怖くてタマをふり払おうとしますが、タマはうなり声をあげてはなしません。
「おじいさん、助けて!」
さわぎを聞きつけたおじいさんは、タマを見るや「化け猫め!」と、
ナタを振り上げ、タマの首をバッサリ切り落とした。
「ニャッ!」タマの首はポーンと飛んで、布団をはねのけた。
なんと、そこにいたのは、とぐろをまいた大きな毒蛇。
ガッと、タマの首が、毒蛇の頭へとかみつく。
毒蛇はニワトリの羽をはき出しながら、そこらじゅうをのたうちまわる。
しばらくして、毒蛇はパッタリ動かなくなり、タマの首も静かに目を閉じました。
その顔は、満足そうにほほ笑んでいます。
お花はたいそう悲しみ、おじいさんは悪いことをしてしまったと、タマのために小さな祠を建てました。
みんなの町で、もし小さな祠を見つけたら、それはお花を救ったタマの祠かもしれません。
 

(猫の祠という一席)



Web絵本ランキング

にほんブログ村 イラストブログ 絵本制作へ
にほんブログ村


tamesuounokami at 11:43コメント(0)トラックバック(0) |  
プロフィール

しいたどる.

めがね産地で放流される
漂い続け 流れ着いたのは
創作の浜辺
高橋宏幸という
絵本作家に助けられ
ただいま 恩返しのため
絵本の形をした玉手箱を
まったりと製作中

  いつでも里親募集中
記事検索