2011年04月10日

ポルトガル 支援要請の先

ポルトガルが遂に金融支援を要請。

ポルトガル 10年物国債
ポルト0409







随分粘った感もあるが、複数の欧米格付け会社がポルトガルの信用格付けの引き下げを行ったことや、ソクラテス首相が提案した追加緊縮策を議会が否決したことを受け辞任を表明するなどの要因もあっただろう。

ただ、要請への最大の要因は、ポルトガル国債の最大の買い手であった国内銀が国債購入を停止する可能性を示唆したことが引き金なっているようだ。
→6月5日の総選挙を待たずに短期資金確保の道を探るよう求めたそう。

またECBからの調達に過度に依存している国内銀にECB自身がポルトガル国債のエクスポージャーを減らすよう指示したらしい。

最大の買い手が購入しなければ、消化困難に陥るのは明白。
つまりECBがポルトガルに支援を要請させる方向に裏から動かしたともいえる。。


支援額は約800億ユーロ。これはほぼアイルランドと同額の数字となる。


そしてここからどうなるのか。

ギリシャ・アイルランド・ポルトガルが崩れたことでいよいよスペインやイタリアなどの中核への波及に対する防波堤を失うことにもなる。
加えて、標的になりやすいスペインはポルトガルの銀行債権の約3割強を占める。
→ポルトガルの信用不安は直接繋がりやすいという点もある。

逆に、PIMCOのエルリアンは今回のポルトガル救済が債務危機の転換点(パラダイムシフト)になる可能性があると指摘。

欧州の大手銀が増資に成功していること(コメルツ(独)、インテーザ(伊))、今後も資金調達が続けるなら、パラダイムシフトは数週間後に起こる可能性がある。欧州債務危機に対し、持続不可能な「流動性」への取り組みという方法から、より持続可能な「支払い能力」という解決法への移行が加速していくだろう。


【寄稿】ポルトガル救済は欧州危機の転換点−PIMCOエラリアン氏



そしてポルトガル自身の問題。
緊縮財政を採用せざる負えないが、既に行っているギリシャ・アイルランドを見る限り効果は出ていなように思える。また、利回りも高い水準にとどまり続けている。
そして今回の利上げがさらに周辺国の回復を遅らせることになるのだろう。

今回のポルトガルの支援要請に対してマーケットは既に織り込み済みという感じになっているが、どのような方向性に持っていきたいのかは注意深く見ておきたい。

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2011年03月31日

利上げに動くユーロの懸念

ECBの利上げ観測が高まってきている。早ければ4月の会合で引き上げる可能性もある。
ECBは上昇するインフレ率と周辺国のソブリン問題という相反する問題に板挟みとなっており、当然物価安定を第一義とするECBはインフレへの対応を優先するというのは当然のことなのかもしれない。

現在の金利水準についても、輸出好調なドイツや北部工業国のフィンランドなどについては低すぎ、南欧諸国にはさらなる利下げも必要な水準と矛盾を抱える状態であり何かを犠牲にしなければいけないといったことになるのか。

○ECB 主要発言
トリシェ総裁
『ユーロ圏のインフレは加速しており、物価見通しに対するリスクは上向き』

ビーニ・スマギ専務理事
『現在の金利水準はインフレ率よりも低く、デフレのリスクがあるときのみ正当化される』『回復が緩やかで不透明な公算が大きいとしてももはやデフレリスクはない、このことを考慮しなければならない』

シュタルク専務理事
『正常な方向に段階的に進むべき時が来た、EUでは経済成長が続いており高い物価上昇リスクがある』

ゴンザレスパレモ専務理事
『物価安定へのリスクは引き続き上向き、強い警戒姿勢を維持する』
『次回会合での利上げはありえないことではない』

その他各国の中央銀行総裁も同様な発言をしており、インフレ期待を抑えるアナウンスもあるのだろうが一様に物価上昇リスクへの警戒姿勢を強めている。


ただ、利上げ観測の高まりとともに日本の二の舞を演じるのではという懸念もある。つまり時期尚早の利上げである。

00年08月に日銀は景気回復改善とデフレ終息を理由に約10年ぶりの利上げに踏み切り、政策金利を0.25%とした。
しかし、再びデフレとマイナス成長に陥り、わずか半年で再びゼロ金利に戻さざる負えなくなった。

このことについては、
バーナンキも『実績は非常にお粗末な金融政策がほぼ全ての要因』と03年に述べており、中央銀行の信用危機への対応の誤りが原因とも言える。

経済の弱さの構造上の要因を解消しない限り、リセッションに後戻りするリスクがあるため、日本同様に再び利下げを行うような誤りを犯さないようにしてもらいたいところ。


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2011年03月24日

お墨付きを得た日本

前回、震災後の海外からの日本株投資が活発に行われているということに触れたが、実際に日本株にはかなりの資金流入が見られている。
3/18の週の資金流出入状況を見ると、過去最高の12億ドル超の流入が確認された。(03年に記録したこれまでの最高記録のなんと2倍にも達している。)

ちなみに3/16は7億ドルでこれも一日の最高の数字。

今回の震災ショックで日本の優良株の割安度が極めて高かったことが伺える。

そういったことでバフェットやバロンズ誌も推奨の言葉を出しており、震災後の明るい兆しとなってきている。

◎バロンズ『今が買いの好機』
人的被害が甚大なことを踏まえ、今年ほぼ確実に減速するだろう。ただ経済成長の鈍化は一時的なもので、復興が進む来年の成長見通しは明るい。

平均的な日本株は年間利益の13.9倍で取引されている。日本株がここまで割安になったのは金融危機以来のことだ。しかも、現在の日本の株価はわずかながら純資産(資産から無形資産と負債を引いた額)をも下回っている。

95年 阪神・淡路大震災
数週間で株価は25%の下落→数カ月後には回復。
01年 同時多発テロ
米国の株価は11.6%下落→6カ月間では19.4%も上昇している。

と、過去の震災を交え復興に伴う特需によって12年には大きな経済成長を果たすとも述べている。

原発問題とそれに絡む電量供給量の問題、また長期的な構造問題など見通しの立ちにくい問題もあるとしたうえで日本人は確実に被災地を復興させるだろう。経済や株式市場も同様に回復するはずだ。 と締めた。

◎バフェット『非常事態は買う機会を提供する』
「もし私が日本株を保有していたとしても売らない」と語り、一時的な困難な局面は「株を売る時ではなく買い入れる良い機会」であると言っている。
やはりバフェットも一時的な事象に対しては強気なようだ。

良くも悪くも停滞していた日本経済の起爆剤となるのかもしれない。

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2011年03月21日

流動性の山を築く日銀

この1週間の日銀の動きを振り返ってみる。

震災後、14日(月)に開かれた金融政策決定会合は一日短縮で行われた。
そこで包括緩和の強化や決済の安定性の確保、そしてクレジット・スプレッド拡大への予防措置として5兆円の資産買取基金を10兆円に拡大するなどが決定。

そしてこの日一回当たりの最大規模となる7兆円の供給オペを実施、1日の総供給額も15兆円に上った。

その後も連日の供給オペを実施し、5日で約37兆円となった。また週明けには国債の償還日にもあたりさらに積み増され、日銀の当座預金は40兆円になる見込み。
→この数字は過去最大の数字となり、震災前の2倍に相当する。(ちなみにこれまでの過去最大は04/03の36兆円台)

リーマン以上の供給ペースで流動性の山を築いており、資金の流れが詰まることが無いように需要を圧倒する勢いが感じられる。
当然札割れがあるようだが、ニーズも確認できている模様。

このような即座の対応ができたのも、神戸や新潟の経験も生きているようである程度機械的に決定が行われていたようだ。


18日には、政府・日銀による協調介入を実施。

最近の円高の主因とも言われる外銀勢の円クランチ(調達難)に一定の効果が挙げられるよう。震災により突然の円資金繰り困難によって円資産の投げ売り→株価の大幅下落と円高を招いたとも言われる。

日銀によって供給オペという形で円資金を供給したが、これはあくまでもJGBなどの円資産との交換で行われており、元々オペに差し入れる担保を有していない外銀勢にはあまり効果が無かった。

今回の政府の介入によって、円の流動性を市場に放出し海外勢に円資金をいきわたらせることで円資産の投げ売りに歯止めをかけられることでマーケットを落ち着けることも可能かもしれない。

といいつつも、今回の突発的な下げで割安と感じた海外ファンドが日本株を買いあさっているという事実もあり、このような動きも一時的なものだろう。


日銀・政府によって金融面から経済を支えている。



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2011年03月14日

『不屈の日本』

話題になっているウォールストリートジャーナル紙の社説のタイトル。

『経済成長は低迷し政治家の失政が続いているが、間違いなく依然として産業国である』

日本人が母なる大地からの猛威を切り抜けるために、比較的良く準備をできていたことは言及せざるを得ないとし、

年間数百回の地下振動を経験している日本
・最先端の建築工学を駆使できる技術と富
・世界最先端の地震早期警戒システム
を有していることを讃えている。

原発の問題など新たな危機にも直面しているがうまく切り抜けてくれるはず、そしてこの事例を生かしさらなる発展を遂げることがきっとできるでしょう。

自然災害後の経済的影響の研究からも、裕福な国は貧しい国よりも強く、予想よりも早く復興することができるとされている。


Pray For Japan(日本を祈る)
画像投稿サイトには日本を励ます画像が投稿されている↓


(※音に注意)


日本国内はもちろん、世界60カ国以上の国と地域が支援を表明しており一刻も早い復興を祈ります。

ちなみに米軍の被災者救援作戦名は『operation tomodachi』
グッとくる言葉。



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2011年03月06日

3月雇用統計発表を終えて

恒例の米国雇用統計。

非農業部門雇用者数 19.2万人(予想 20万人)
     民間部門 +22.2万人
     政府部門 −3万人

失業率 8.9%(9.1%)


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今月の発表は予想以上に低下した失業率が目立つ、9%台を割り込んだのは約2年ぶりのこと。特に苦戦を強いられていた建設部門の雇用が増加し、民間部門も予想にはとどかないが良好な数字が出ている。

とはいえリセッション前にはいまだほど遠い状況。今後も雇用の拡大ペースをこのまま継続できるかどうかが重要。(10万人以上のペース)

オバマは減税延長の政策効果が出てきたと表明。またQE2による最近の株価上昇も資産効果として出ているようで新車販売台数の増加など消費も回復傾向になってきている。
金融・財政政策がうまく効果を表している内容となっている。

ただ、中東情勢を背景とした原油の上昇など足枷になりうる要因もあるし、QE2や減税などの効果が剥がれてきたときに再び同様の景気支援策を打つことができるのかなどいまだ不安定。
株価もQE2バブルになっているだけなのかもしれない。

今のところは回復傾向は続く。

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米国債保有高の改定と中国

28日に米財務省が国別の米国債保有残高を改定し発表していた。

今回の改定は昨年6月までさかのぼっている。
今回の発表で目を見張る部分は何と言っても中国だろう。既に6月時点で1兆ドル台に入っていたことが分かった。そしてその変化の中身。

直近でも2/15時点で8916億ドルから1兆1600億ドルに2684億ドルの上方修正。
面白いことにほぼ同じ金額分、英国が下方修正している。5413億ドルから2721億ドル。

以前から中国が英国を通じて公表されている以上の米国債を購入している可能性があると言われていたが、今回の改定によってその噂が事実となったことが明らかになっている。
(これまで英国のブローカーディーラー経由での購入は英国としてカウントされていた)


中国の米国債保有はこれまで以上に増加ペースは上がってくるんだろう。
香港も含めて考えればかなりの規模に達している。

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MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES




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2011年03月02日

続・続中東動乱と新たな火種

中東情勢は影響を予測しがたい状況が続いている。
先週木曜にはカダフィ大佐暗殺の噂が流れ、金や原油が売られる場面が出るなど噂レベルでマーケットが振れやすい環境となっている。

CBOEの原油変動指数(COVI)もこのところ上昇が続いており、急変動の可能性は日増しに高まってきているようだ。

そんな中で店頭オプション市場では、一定の結果に基づいて発動される『条件付きヘッジ』が増えており、こういった特注ヘッジで最近では原油の上昇・S&P500の下落に備えるポジションが増えているという。
大方のヘッジ期間は3〜6か月でこれらの取引をしている向きは最長でも今年下期までこの流れは続くとみている。


ということで、中東情勢を

各地でデモが相変わらず続いているが、親米・イスラエル寄りだったムバラク政権が崩壊したことで新たな火種が燻っている。

イラン艦船がエジプトの許可を得てスエズ運河を通過したのだ。
艦船






イラン艦船がスエズ運河を通過するのは実に1979年のイラン・イスラム革命以来初めてだという。
イラン革命で国を追われたバーレビ国王の亡命を受け入れたことやイスラエルと平和条約を結んでいることから長らくエジプト・イランは国交は断絶状態にあった。

エジプト外交の対イラン政策が変わった兆候ではないかとイスラエル・米国は警戒を強めている。



そして世界最大の産油国サウジアラビア。
サウジも他のアラブ諸国同様に人口の半数を占める25歳以下(若年層)の失業率が大きな社会問題となっていることや油田が集中する東部には少数派のイスラム教シーア派が暮らし、スンニ派が実権を握る政府に不満を募らせていることなど他国同様に混乱に陥ることも十分に考えられる。

対策として若者・低所得者層への支援として3兆円に上る緊急支援策を打ち出し、デモ拡大を防ぐ手立てを打っている。
が、バーレーン同様にその手は通じないかもしれない。

既に東部でシーア派が小規模な抗議集会を開いているが影響はほぼ無いと言っていい。ただ、他のアラブ諸国に倣ってサウジでも3月11日に「怒りの日」と銘打ったデモを呼び掛けるページがFBに登場するなど王制を揺るがすような事態も想定できるかもしれない。

最大産油国にも動乱が広がれば、さらに急変動リスクは高まるだろう。






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2011年02月27日

金融支援が近づくポルトガル

ポルトガルの金融支援がいよいよ時間の問題となってきているようだ。

↓ポルトガル10年物国債利回り
ポルトガル0227







現在は7.55%まで上昇。以前の記事でも指摘した国債利回り7%はギリシャ・アイルランドが支援を要請したように国債費の持続可能水準と言われている。
ポルトガルのデッドライン

ここの来て来月に国債の大規模償還を迎えるポルトガルが金融支援に向けて話し合いを始めているという。3/11・24予定のEU首脳協議でもこの懸念は協議される模様。(WSJより)


というのも、来月からの償還スケジュールを見ると↓

3月 38億4000万ユーロ
4月 43億4200万ユーロ
6月 49億3300万ユーロ

の国債償還が予定されている。↓スケジュール

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今年になってポルトガルは国債発行によって47億5000万ユーロ調達しているがこの予定では厳しい状況となるのは明らかだと言える。
首脳会議後に何らかのアクションが起こされると思われる。

ただ既に財政改革計画を提示しているなど金融支援をまとめるのに必要な作業はあらかた終わっているということなので、すんなり要請は受け入れられその点の混乱は少ないとみられる。


↓欧州各国の国債償還予定
kokusaishoukan







今後の注目となるスペインの場合、11年1〜4月に月平均85億ユーロの償還が予定された後、5月には240億ユーロ超の償還があって、上半期の1つの注目。それ以降も8月、10月に240億ユーロ超の大型償還があり断続的に大きな節目を迎えることになる。


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2011年02月26日

ECBが抱える矛盾とCPI

ユーロ圏のインフレ率がECBの定めるインフレーターゲットを超えてきており、インフレ圧力の高まりから行動を迫るような動きが出てくるかもしれない。
1月のユーロ圏CPIは2.4%とECBの目標設定である『2%に近い水準で、2%を下回る』は既に超えている。
(エネルギー・商品相場の上昇、中東情勢など短期的な要因も絡んでいると思われるが
)

ECB CPI






ただこの数値はあくまでもCPIによるものでコアCPI(食品・エネルギーを除く)で見れば依然1.1%となっている。
日米やその他中銀ではコアCPIを重視する傾向にあり、それに倣えば特に警戒すべき水準にはない。

ただ、ECB総裁であるトリシェは『コアインフレ率は必ずしも優れた先行指標ではない』という考え方を持ち、また欧州では『政策担当者がコア・インフレ率のみに目を奪われると、全体の物価上昇圧力を低めに見積もることになりかねない。商品価格の上昇が構造的変化を映したものであるならば、コア・インフレ率だけ見ても意味がない』という方針がある。

当面2%以上を前提による利上げの可能性は排除できないが、この上昇が長期的なものか短期的なものによって異なるため現状はインフレ期待を抑制するといったところだろう。

ECB政策金利↓
ECB政策金利






現在ECBは金利を低水準に置く政策をとっているが、この数値によっていつまでもこの低水準の金利を維持できないのでは無いかとの声が聞こえる。

景気悪化に苦しむ国々には低金利による景気刺激策は必要であり、利上げを行えば一段と厳しい不況に陥ることになる。
ただ、このまま維持となればインフレ容認とも捉えられかねない。

同総裁は物価安定が必要な時には、欧州周辺国の景気低迷を理由に利上げを遅らせることは容認しないという方針を持っている。そもそもECBの第一義は物価の安定ではあるが。
周辺国が苦しい状況でもインフレ抑制を優先する姿勢をはっきり示している。


経済の成長とインフレ抑制との間の微妙なバランス、インフレ・ターゲット政策を置いたことで柔軟な対応が出来ないことや単一金利で多様な経済を安定させるという矛盾を抱え難しい舵取りを迫られるかもしれない。



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