リスク多発時代に損害保険はこう使う!

名南リスクマネジメント 田中秀敏 公式ブログ

リスク多発時代の損害保険 個人賠償保険について

先般、認知症の男性がJRの電車にはねられ死亡し、その事故で男性の親族がJRから多額の損害賠償を求められました。

3月1日の最高裁判決で「家族に監督義務はあるかどうかは生活状況などを総合的に考慮すべきだ」という判断を示し、今回のケースでは監督義務はなかったとして親族の損害賠償は認めない判決を言い渡しました。

しかし、この判決は責任無能力者やその監督義務者にいつでも損害賠償を認めないということではありません。
ことと次第によっては法律上の損害賠償責任を負う可能性があります。

そして、その損害賠償責任に対応する保険が「個人賠償責任保険や生活賠償責任保険(個人賠償保険)」と言われるものですが、この保険に関してもう少し詳しく説明したいと思います。

現状(改正前) 「責任無能力者は被保険者に含まれない」

通常、個人賠償保険の被保険者は次の4人です。

① 記名被保険者(契約者本人の場合が多いです)
② 記名被保険者の配偶者
③ 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
④ 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子

また、個人賠償保険は個人特別約款のなかで「被保険者」に責任無能力者を含みませんと明記しています。
それは「責任無能力者は被保険者になれない。この保険は使えない」ということを意味しています。

ところが、この事故をふまえ「被保険者」に責任無能力者を加えるという動きが保険会社に広がってきました。

改正後 「新規契約および継続契約において、随時約款上被保険者に責任無能力者を追加」

新規契約および継続契約から約款における被保険者に責任無能力者の追加する保険会社が増えています。

「上記①から④のいずれかに該当するものが責任無能力者である場合は、その者の親権者、その他の法定の監督義務者および監督義務者がその責任無能力者に代わって被保険者になる」

つまり、被保険者に責任無能力者が該当すれば、その責任無能力者の親権者や監督義務者等が被保険者としてこの保険が使えるということです。

「この改正が意味すること」

認知症の家族を持つ方にとっては朗報です。
知識人のなかには「認知症賠償保険」なるものを早期に作るべきと訴える方もいます。

認知症による賠償問題に応える方法がひとつ見つかったと言えるのでないでしょうか。
冒頭の事故で例えるなら、監督義務者の妻が契約者となって個人賠償保険に加入します。
さすれば、その妻の配偶者である夫は必然的に被保険者となります。
被保険者になれれば、その夫が起こした事故は監督義務者の妻または長男が夫の代わりに対応できます。

「個人賠償保険の加入方法のアドバイス」

現在、個人賠償保険は単独で加入できません。
一般的には自動車保険、火災保険、傷害保険に特約として加入します。

認知症の方が親族に居れば、自動車保険の特約が良いかと思います。
毎年、更新があるので加入の有無や加入の是非を確認でき、またいつでも追加加入できます。

冒頭の事故で例えるなら、老夫婦二人の生活なので、保険の目的を家財とした火災保険が良いと思います。
その火災保険に個人賠償保険を特約で追加します。契約者を妻で加入すれば、配偶者の夫も被保険者になれます。

なお、保険の種類や改正の状況など、保険会社によって異なる可能性があります。
また、加入等は認知症の方の環境等をふまえ、身近な代理店や保険会社に相談のうえ行なってください。

名南リスクマネジメント 田中 秀敏

リスク多発時代の損害保険

3月1日の最高裁判決が世の中を少し明るくしたように思います。

認知症の91歳の男性が愛知県大府市のJR共和駅で電車にはねられ死亡しました。JR東海は列車遅延等の損害賠償請求をその男性の妻と長男に求めました。

最高裁判所は、「家族に監督義務があるかどうかは生活の状況などを総合的に考慮すべきだ」という初めての判断を示し、今回のケースでは監督義務はなかったとして家族の損害賠償責任を認めない判決を言い渡しました。

確かに、民法では法的な責任を問えない人が他人に損害を与えた場合、監督する立場の人が代わりに損害賠償責任を負うという規定があります。しかし、認知症の人や精神的な障害のある人について、妻や長男だからといって、無条件に監督義務を負うものではないと言うことです。

同居しているかどうかや、日常の関わり度合い、財産管理への関与、介護の実態などをもとに監督義務を負うべきかどうか考慮すべきだと指摘しました。

今回のケースでは、妻は当時85歳で妻自身も介護の必要な状況であったうえに、長男は離れて暮らし、月に3回程度しか実家を訪ねていなかったことなどから、「認知症の男性を監督することはできなかった」として損害賠償責任は認められないと結論づけました。

ただ、今回のケースは監督できなかったのであり、常に認知症は監督できないということではありません。
ケースによっては、総合的に考慮した結果、法定の監督義務者に準ずべき者として法律上の損害賠償責任を負う可能性も当然あります。

そこで、役立つのが損害保険です。日常生活における損害賠償責任保険として「個人賠償保険」があります。
この保険の話でよく話題になるのが「自転車事故」です。ネットで検索すれば、自転車による事故の高額な判例がたくさん出てきます。

自転車に乗った子供がおばあさんと衝突し、おばあさんに大ケガをさせた。その子供の監督義務者の母親に多額の損害賠償が請求されたといった事例がたくさんあります。

そのようなときに使える保険として「個人賠償保険」があります。ただし、その個人賠償保険の被保険者(使える人)は「同居の親族および別居の未婚の子」とまでというが多いのです。つまり、離れて暮らす家族は別居の未婚の子以外は被保険者になれません。

大手損保のなかには、離れて暮らす家族も補償されるように対象を拡大した損保会社もあるようですが、全ての損保会社がそうなった分けではありません。しかしながら、今回のケースで妻がこの保険に加入してたら、使えた可能性が高いと思います。妻や長男は何年も苦しまないで済んだと思います。

「個人賠償保険」はリスク多発時代をカバーする損害保険の一つです。
「個人賠償保険」は日常生活における損害賠償事故に備える保険です。

今後、高齢者だけの世帯がますます増えるなか、離れて暮らす家族の賠償事故への対応が重要になります。
離れた家族も被保険者になれる「個人賠償責任保険」に加入するか、離れた家族を被保険者とする「個人賠償責任保険」に加入することをお勧めします。

なお、保険会社や保険種類によって内容が異なる場合があります。ご加入を検討される場合は保険会社もしくは代理店に相談のうえ対処して下さい。

名南リスクマネジメント 田中 秀敏










軽自動車保険の保険料 車種(型式)で変動 H30年導入?

現在、軽自動車の人気が高いですね。2台所有されている家庭があれば、大概1台は軽自動車のようです。

しかしながら、昔の軽自動車ではありません。車種(型式)によっては普通車並みの価格に、普通車並みの装備です。当然、軽自動車であっても車種(型式)ごとに事故や盗難のリスクが違います。特に軽四輪乗用車は違います。

さて、あまり馴染みがないかもしれませんが、普通・小型乗用車は車種(型式)ごとに車両料率クラスが分かれており、自動車保険の保険料が変わる仕組みを採用しています。

保険会社が出している「自動車保険車両標準価格表」には車種(型式)ごとに車両料率クラスが記載されています。車両料率クラスは車両・対人・対物・傷害に別れ、車種(型式)ごとの事故率(リスク)を反映させています。
車両料率クラスは1から9までの数字でリスクの大きさを表し、1が最もリスクが小さく、順次9まであります。

では、軽自動車の軽四輪乗用車はどうかと言うと、現在その保険料率は車種(型式)に関係なく決められています。「自動車保険車両標準価格表」にも記載はありません。軽四輪乗用車であれば同じ料率を使っています。

しかし、軽四輪乗用車の実態は車種(型式)ごとの事故や盗難にあうリスクが異なり、事故後の修理費も異なります。

普通・小型乗用車には車種(型式)ごとのリスクを保険料に反映させる制度が平成13年に導入されました。
損保業界は軽自動車にも導入するように日本自動車工業会に呼びかけてきました。

結果、損保各社でつくる損害保険料率算出機構と日本自動車工業会などが適用のために調整し続けて、今春にも合意できそうです。

導入時期は平成30年ごろになりそうですが、調整案では軽自動車の料率を5つ程度に分け、車種(型式)によっては保険料に最大2倍程度の差が出るようです。

軽自動車業界は販売に影響が出るとして難色を示していましたが、自動ブレーキ割引の導入を条件に受け入れるようです。

なんだか、普通自動車も軽自動車もいろいろな面で変わらなくなってきたように思います。

名南リスクマネジメント 田中



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