たなまログ

漫画描きの田中雅人のブログです。 漫画に限らすいろんなテーマで発信しています。

カテゴリ: 邦楽

もうとにかく鞘師在籍当時のモー娘。のPV貼ってくだけで十分w






 











鞘師はもちろんだけど、田中れいなのギャル立ち最高カッコいい。
まぁ後の文章は個人的な感慨に過ぎないので無視して構いません。

鞘師在籍当時、モー娘。のフォーメーションダンスかっこいいなと思ったことと、鞘師里保という名前は一致してませんでしたが、ベビメタブレイク後の2ch鞘師コピペで見事重なり、2015年暮れの卒業報道後半分忘れつつ長らく気になっていましたが、あの伝説のグラストンベリーフェスの鞘師参加で驚愕したわけです。

それまでベビメタではYUIMETAL脱退後、いやそのずっと以前から大賀咲希に始まって岡崎百々子、藤平華乃までなんでさくら学院からサポでいいから誰か起用しないのかと煮え切らない思いでいました。
こういう思いはでも音楽とはまったく関係ない、ベビメタの音楽は音楽で優れたキャプションとして確固として屹立していたわけで、例えばダークサイドで参加したRock am Ring 2018など、サポートダンサーの大群衆を前にした緊張感と相まって素晴らしいプロショットを残してくれてましたし。
でも鞘師参加でやっぱり格が違うな、と。
グラストンベリーの3人はモー娘。脱退とYUIMETAL脱退という同じ傷を抱えているなと。
あのステージはその抱えた傷の昇華だから、3人が力を合わせてステージで昇華した姿を披露するからあんなに感動するのですね。
やはり答えはステージにしかない、その証明でもあった。

とにかく鞘師さんベビメタと関わってくれてありがとうございます。
古今スーパーグループ数あれど、事務所を超えたアイドルのスーパーグループはベビメタが人類初です。
また鞘師参加でベビメタがJPOPアイドルとしての欧米輸出が明確になりました。
その文化的宗教的な抵抗感は、初期のベビメタに対する抵抗がメタラーを中心としたものに留まっていたのに比して、その抵抗感と文化的障壁を突破した喜びを一般層にまで広げたことでした。
これは逆に言えば欧米圏に日本固有だった無垢なドルヲタを生み出していくという無謀な挑戦だと思います。
でもそれでいいんです。
その癒やしはまったく無害なものですから。
欧米圏はグローバル経済による貧困化でかつてないほど精神的に荒廃しています。
そうした層に寄り添うのが古来ロックの役割でしたし、その役割を徹底して貫徹するベビメタの姿勢はメタルであります。
インタビュー等を見ると、すぅもあコバの3人の総意がまとまりつつあるのを感じます。
LAフォーラムのファンカムを観ていると、アイドルでいいんだね、カワイくていいんだね、それは音楽的に尖って行くことと矛盾しない、北米ツアーを通じてそれがベビメタの強みであると自覚できた、そんな自信を感じます。

以上です。

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結論から書きます、このBABYMETALのニューアルバム『METAL GALAXY』は傑作です!
まだ4回しか聴いてませんが、これは全人類必聴の傑作アルバムです!
あとは全て蛇足になりますから、読まなくても大丈夫です。

あ、でもちょ、ちょっと待ってください。
傑作と言ってもこれ人類史に刻む傑作か知りませんが、少なくともベビメタ過去最高作では、ていうことは日本音楽史上最高傑作ということでベビメタは日本音楽史上最高のユニットですからね!
いや違うこれ今までベビメタが積み上げてきた作品体系を全てひっくり返して圧縮して塊にして平らになめしたようなアルバム……いや違うな、アミューズの歴史的音楽的資産を資料室の世界中のレコード盤、音源(そんなものがあればですが)と融合して作ったカレイドスコープ……、いやそれも違う、なんですかこのアルバム、いやこれもはやBABYMETALですらない!
まず総論から行きましょう。
ええと、そうこのアルバムの1枚目と2枚目は明確に違う、1枚目はフューチャーメタルの名のもとにプログレッシブで、2枚目はベビメタの軌跡の伝統的踏襲。
違うな、1枚目はJPOP丸出しを隠そうともしない。いやむしろJPOP押し世界戦略重低音ラウドPOPが目白押しで、2枚目はこれまでのベビメタのメタル路線の拡大再生産版世界標準化で、ぁそう、ストーンズやツェッペリンがやったそれ、ベビメタの老舗化、量産化の礎。
10ccもそれやってりゃなーゴドリー&クリームの馬鹿!
いやそれ全部?
逆に1枚目2枚目に共通することは音がいままでと違う、打ち込みちゃう電子楽器の性質上の打ち込みを除けばギターもベースもドラムも生音であり、一発録りの渾然一体であり、ライブ感丸出しの空気感。
だもんだからかつてのような一曲一曲音が分離した人工的な曲構成は一蹴されており、気がついたら全曲終わってた&ループみたいな。
気がついたら最初からまた聴いてて一日中ループみたいな。
いや、このところ一斉に出たヘドバンやPMCやらの雑誌類まったく読んでないですよ。
そういうのは後から読むのが楽しいと思ってますんで、答え合わせみたいにですね、その頃には全部売り切れで読めなくなってるかも知れませんけどね、まぁどうでもいいんです。
大事なのは作品ですアルバムです曲です。
なにを言っても曲がダメなら負け犬の遠吠えになりますから。
でもこの『METAL GALAXY』捨て曲がまったくないヤバイ曲だらけで、一発目の『Future Metal』がメタルの未来のゲートウェイとして控えめで『DA DA DANCE』のユーロビートって俺ユーロビート大嫌いなはずなんだけどベビメタにやらせるとあら不思議、てかこれライブ会場でヤバいんじゃない殺す気? あらタクマツモトさんのギターが遠い遠いだよねユーロビートだもんね、誰もウキウキミッナイに松本ギターフューチャーさせるなんて思わないもんな! 
3曲目のエレガールは知ってるけど前曲と渾然一体、そうこの曲あまり好きではなかったんだけどスタ録だと塊感がものすごく圧が強くて押し切られて好きになってしまう。スタジオ版あってのライブ版、そうその刷り込みがあってまたライブも聴こえ方が違ってくるから不思議で、なんて言うのかなぁ、ストーンズの初期のライブ盤『Get YA YA's Out』なんて原曲知らなきゃ聴いてらんねーだろ? 分からんか、分からんやろな、まーいいんだけど、生まれ変わりました『Elevator Girl』パチパチ!
個人的にはおまじないからブランニューデイ、↑↓←→BBABの流れが訳わからなくて好きです。
そんな難しいことやってるとは思わないんです。
ブランニューデイなんかベビメタにとっては特にR&B節にプログレメタルの合わせ出汁ってだけですから。
うわっウタダ北米進出に足りなかったのはこれか!
↑↓←→BBABってなんだよメタル印パフュームかよ!
いやおまじないだわやっぱ衝撃は、サバトン嫌いとか言ってスイマセンやっぱヨアキム最高だわコバキャラ分かってんなー。
こんな感じだからもうないないば~んあたりで一聴上がりですわ。
もうぐうの音も出ませんですわ。
コバぜったい頭おかしいだろ。
てなわけでフューチャーメタルとはJPOP、ひいてはアイドル文化の欧米進出の礎であることが決定いたしました!
そう、なんだかんだ言ってベビメタはアイドルでもあります!
異論はありますでしょうが、音楽の極北を歩むと共にベビメタは欧米に日本のアイドル文化を輸出することに成功したのも事実であります。
今回のギャラクシーツアーに当たって欧米の多数の雑誌のインタビュアーは異口同音にゆいちゃんどうなった?と2人に訊ねる始末です。
世界のみんながゆいちゃんがどうなったか気になって仕方ない、そんな現象は日本でベビメタが初めてであります。
メタルの復興とJPOPの振興の背中合わせは今に始まったことじゃありませんが、欧米ドルヲタ化計画、世界をYMYにしてしまえ! 恐ろしい男ですコバは。
正直言って僕はメロディックを廃したメタルは大嫌いです。
あんなもんはコワモテ気取ったジャズみたいなもんで、リフ偏重の音楽嫌いの嘘つきです。
こっちはこっちで長年のPOPを馬鹿にしやがってという恨みもあります。
POPを維持するのがどれだけ大変か。
メロディーを量産するのがどれだけの苦役か。
ブライアン・ウィルソンを見てみろ、ポール・マッカートニーを見てみろ、スチュワート&グールドマンを見てみろ、仕事してたのは彼らの方やぞ!
一時期POPの帝王だったメロディーメイカーのジェフ・リンなんか同業にも気味悪がられる始末。
ロン・ウッド加入以降リフに頼ってだらだら似たようなロックを量産するストーンズがどれだけ嫌いか。
(ロン・ウッド加入以降ですよ。それ以前は大好き)
退屈なリフ偏重でジャズと同様没落したロック、貧乏世帯のグランジの炎で焼き尽くされたのを忘れたフリしてバーンとか? あのBuuuurrnnn!!とか?の伝統主義者共のせいで徹底的にダサい存在に貶められてしまったメタル、あとは悪魔に心を売り飛ばして先鋭化するしかなくデビルホーンにすがりジャンルはクラスタで切り刻まれ弱小化し体中タトゥをまとい世間を威嚇する、そんな情けないものに未来などあるものか。
だから分かってる碧眼のメタル自営業の方々はいち早くBABYMETALに注目した、顔客に背を向けてさえ進んでベビメタを擁護した。
JPOPという名のメロディーラインとアレンジの洪水をメタルにもたらしたベビメタに光を見た。
天才ロブ・ハルフォードが自分たちのファンをプリーストマニアと呼ぶようにバンドは自営業のTシャツ屋となって久しい膠着状況のなか、自分たちは変わらなければならないという直感を信じたベビメタのズッ友バンドたちには敬意しか感じない。
いや膠着してるのはメタルだけじゃない、今の世界的な政治の膠着状況に救いはあるのか、それとも終わりを予感して大麻のようなヌルいビートのヒップホップに身を委ねてゆっくり腐って行く若者たちを黙って見ていればいいのか、ベビメタの躍進はそんなおっさん世代の嘆きを救うものでもある。
今や世界の没落は中国の台頭による安物買い経済がもたらしたのは明らかだが、そんな中国を育てたのは当のアメリカで、今になって経済戦争で潰そうと躍起になってるボンクラである。
だが日本はどうだろう、もっと柔軟な姿勢で明治以来のボタンの掛け違いを手探りしていくしかない。
そう各国文化への理解の深さとその敬意は大陸の反対側の英連邦と似たもの同士の連帯感が実はあり、音楽創出の熱量も同じように深く広く、ベビメタ第二のホームとなったのも偶然じゃないのだ寺内タケシの昔から。
実は僕はこのアルバムでは二枚目冒頭の『In The Name of』が重要だと思ってる。
ファーストアルバムで重要なのが『BABYMETAL DEATH』であるのと同様、この強烈なインスト曲がベビメタサウンドの基礎をなすものだからだ。
BDがあるからIine!があんな楽しいのだ。
In The Name ofで始まるから2枚目も傑作揃いになるのは決まったようなもので、その考え抜かれた曲構成でアルバム後半も一時も退屈させることはない。
長くなったので個別のレビューは省くけど、今のとここのアルバムで一番好きなのは『PAPAYA』
こんなライブでアガる曲無いっしょ!
何度か酸欠で倒れそうになったけど、次回ピットで参加したら死ぬよ、こんどこそ間違いなく。
ではまた!

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ベビメタの2019年の活動がようやく明らかになった。
去年の悲劇を乗り越えて、ようやく踏み出す準備が出来たように見える。
それが早いか遅いかはまだ分からないが、素直にこちら(ファン)の心の整理を回願するとこれぐらいは必要だったのかなと思う。
しかし今回発表されたアメリカツアーの内容は強気だった。
全米各地で7万人の動員を見越している。
マイナス要因が重なったベビメタを強気にさせたのはアメリカのプロモーターの評価だったと思われる。

不思議なことに、小神こと藤岡さんが急逝し、ユイメタルが脱退を発表して悲しみに暮れた2018年を境にベビメタの支持層が厚くなったように見える。
ふたりがいなくなったことは悲しいが、悲劇性が誘引する話題性が一般層の興味を牽引したのは否めない。
昔からロックに悲劇はつきもので、バディー・ホリーの飛行機事故に始まり、ストーンズのブライアン・ジョンソンの不審死、ジャニス・ジョプリン、ジミヘン、キース・ムーンのDOPE死、レーナード・スキナードも飛行機事故で、極めつけはジョン・レノンの射殺事件まで、バンドの悲劇は事欠かない。
ピンク・フロイドなどは失われたメンバーの魂の行方を探すようなテーマ性を獲得してバンドの方向性が定まったくらいだ。
悲劇の持つ話題性から新参が大挙参入して人気が確立する側面は否めない。
いや、人気というのは少し的外れかも知れない。
バンドが伝説化するんである。

人の死を話題性として利用して評価が確立するのは不純じゃないか、そういう批判ももちろんあるが、人の死は人生の大きなメルクマールであり、生きる意味の裏返しでもあるわけで、メンバーの死を超えて存続しようともがくバンドにファンは自分の人生を重ねる。
それは不純とは言えまい。
小神さんやユイメタルがベビメタの伝説化したんである。

去年から今年にかけてアップロードされたリアクト動画も、小神さんやユイメタルの話題に誘われて参入したような新規が多いように見える。
これは尾崎豊の不審死の後の尾崎現象を思い出させる。
尾崎豊がデビュー・アルバムを発表した時、最初は誰も真面目に聴いていなかった。
当時、友人たちにこんな新人がいるよとカーステレオのカセットで聴かせると、みんな笑ったものだ。
いや爆笑していたと言った方がいいかも知れない。
今から考えると信じられないが、それぐらい当時の若者の感覚から尾崎豊の詞は遊離していた。
「なにマジになってるんだ(笑)」「卒業って、次は就職? 結婚、出産?」そんな感じだった。
ただ、なにかが新しかったので次のアルバムにも注目していた。ソニーを独立して発表した4thアルバム『街路樹』の出来が散々で、スプリングスティーンっぽいサウンド構築がソニーのプロデューサーの力だったのが分かると、あまり話題にもならなくなった。
しかし尾崎が死ぬと局面が変わり、その葬儀に詰めかけた大勢のファンの様子がワイドショーで取り上げられ興味を引いて一般にも大きく知られるようになった。
尾崎現象が起きたのだ。

いや、みんな誤解してるよ、尾崎は変なヤツだったんだ、今の(当時の)感覚では引くような歌詞ばかりだし、ライブアルバムは聴いてらんないくらい酷いし、そんな深刻なキャラじゃないんだよアニソンみたいなもんだよと言っても、伝説が暴走を始めると、もう古参ファンの手には負えなくなる。
尾崎がマジ化しちゃったんである。

ただ、ロックアーティストがみんな死ねば伝説化するとは限らない。
ニルヴァーナのカート・コバーンなどは、その死は当時確かに衝撃的だったが、自殺というのがいただけなかった。
カートの自殺はむしろ逆効果を生んで、当時のグランジ・ムーブメントそのものの退潮のきっかけになってしまった。
本人の病気とは関わりなく「しょせんガレージバンドの末路は死か」世間一般ではそうネガティブに捉えられてしまったかも知れない。
ジョンレノンの死後、彼のレコードが飛ぶように売れたのと全く逆のことが起きた。
だからバンドの伝説化などとてもコントロールできるものではない。

だがこのように、ベビメタでも小神こと藤岡さんの死が、世界中の往年のロックファンの記憶を強く刺激したとしても不思議じゃない。
今年からのベビメタは、だからユイ小神以前の第一期ベビメタの伝説を否が応でも背負っていく存在になった。
なぜか今年から欧米でベビメタがトップアーティスト扱いされてグラストンベリーにBMTHとタメを張る存在にまで登りつめてしまったのには、その伝説化抜きには語れなくなった。

なぜ藤岡さんは星を見るためとはいえ、酔っぱらって屋根に登ったのか?
なぜユイメタルは絶頂期を目前にしてひっそりと退いたのか?
その答えの出そうにない謎がベビメタのさらなる伝説化の誘引子になり、これからも新たなファンを今後も世界中から惹きつけて行くのは想像に難くない。

もちろんその現象はいい悪いからしたら、以前からのファンにとっては絶対的に悪い。
最悪だ。
去年起こった出来事は最悪である。
昔からのファンにとって伝説化などしないで小神とユイメタルがいてくれた方が絶対にいいに決まっている。
でも起こってしまったことは仕方がない。
本当に本当に残念で仕方がない。

答えが出ないのが分かっていながら、なぜだろうか、どうしたんだろうかと考えてしまう。
仕事をしながら気がついたらそのことを考えている。
気がついたらYouTubeでベビメタのファンカムを漁っていて、涙に暮れるなんてことがしょっちゅうである。
この時はすごかったなぁ、良かったなぁという笑顔がすぐに涙でぐしゃぐしゃになる。
もう帰ってこない、取り返せないという現実の残酷さと時の流れの無情さが、どうしても心の漂着点を探し求める。
なぜなんだろうか?
答えなど出ない。

2016年、ベビメタがウェンブリー・アリーナで公演を行ったころ、次のターゲットである北米攻略でしきりにネットで囁かれたのが「アメリカは怖いよ」であった。
ヨーロッパ以上にロック/メタルの衰退は進んでいるだけじゃない、州ごとの興行はマフィアが仕切っていて、都市ごとのラジオ局回りもしなきゃいけないし、なにより南部発祥のアメリカンなどんぶり精神がベビメタの緻密さ精緻さの逆を行くようだ。
ヨーロッパの成功で満足して、第二の故郷であるロンドンにでも拠点を置いて、のんびり活動していけばいいんじゃないかというファンの親心というか、そういう感じ。
しかしそのウェンブリーあたりを境にして、欧米でテロの恐怖が吹き荒れ出した。
音楽関係だけでも目を覆うような事件が連続した。
ガラパゴスな日本で育ったベビメタにとっては思わぬ向かい風だった。
ロックの世界で日本から矢面に立つのがハイティーンの3人娘というのは普通ならあり得ない。

日本から見た世界は常に衝突の世界だ。
人種がぶつかり合い、宗教が対立し、異なる文化は軋轢を生み、その対立の結果は往々にして極限にまで行ってしまう。
時系列から行ったらこうだ。

2015年11月13日 パリ同時多発テロ事件(バタクラン劇場)

2016年4月2日 ベビメタ、ウェンブリー・アリーナ公演
 
2016年06月13日 フロリダ州オーランドのナイトクラブ銃撃事件

2017年5月22日 アリアナ・グランデ、マンチェスター・アリーナに於ける爆発物事件

2017年10月1日 ラスベガス・ストリップ・カントリーフェス銃乱射事件

2017年12月 「LEGEND - S - 洗礼の儀 -」ユイメタル欠場

2018年1月5日 藤岡幹大没

まず、パリ市内のバタクラン劇場はパフュームやきゃりーぱみゅぱみゅが公演したこともある1500人規模のホールだが、事件当日公演していたのはイーグルオブデスメタルというメタルを揶揄したロックバンドだった。
(一般にはこのEODMがメタルバンドと誤解されたままなのは残念だ。連中はいわゆる気楽なアメリカン・バンドだ)
この事件のみでも多感なハイティーンの女の子たちにとってはものすごい重圧なはずだ。
しかし翌年2017年6月12日未明にフロリダ州オーランドのゲイナイトクラブで銃乱射事件が起こってしまう。
容疑者を含む50人が死亡し、53人が負傷した銃乱射事件としては最悪のもの。
その一週間後の2017年6月20日にはベビメタはカリフォルニアのチュラビスタでユイメタルの誕生日サプライズ。



『動画』SU-さんからYUIちゃんへBDサプライズ+YUIちゃんフリを間違える 

この時、ユイメタルだけでモアメタルの誕生日サプライズが無かったことに違和感を覚えた。
まして後ろを向いて泣いているのはモアメタルである。
また前年のバタクラン劇場についても、ベビメタのテロリズムに対しての反応の無さにも違和感を覚えた。
仮にもロック畑である以上、スタッフレベルでいいから現地でお悔やみ等の発信があってもいいと思ったからだ。
何時になくステージのゆいもあがナーバスに感じたことも、その違和感を助長した。
悪い言葉で言えば邪悪な連中に目をつけられないようにしてる?
いや、それじゃアメリカでバンドを売り出すことと真っ向から矛盾してしまう。

翌年5月には不幸にもユイメタルが大ファンだったアリアナ・グランデのライブで爆弾事件が発生してしまう。
この事件はベビメタがレッチリとUSツアーをした直後の出来事だ。
8歳の少女ファンまで亡くなる、とんでもない事件だった。
当然、ユイメタルとも縁のあるアリアナに対して、Twitterなどを通じてなんらかのお悔やみのメッセージがあると思った。
だがそれは無かった。

当時これは個人的に違和感を通り越して、衝撃だった。
まだ若いユイメタルに反応して欲しいと思ったのではない。
少しでも関わりのあった音楽仲間に起こった悲劇に対して、ベビメタのスタッフ、アミューズはあまりにも薄情すぎやしないかと思ったのだ。
もちろんベビメタが普通のロックバンドと違うのは承知の上でだ。
だがその後、7月の小規模な5大キツネ祭りは通り越して、9月からの巨大キツネ祭りinJAPANの4公演で表情の暗くなったユイメタルを目撃することとなる。
(自分は9月27日のSSAに参加)
このことによって、スタッフが薄情だとかそういう感情は吹っ飛んでしまって、アリアナファン以前にベビメタファンの気持ちを宙ぶらりんにしてでも守るべきことがあったんだという、未成年を絶対に矢面に立たせないという固い意志を感じるようになる。
どう見ても調子のよくなかったユイメタルを見て(当たり前の話だが)いちばん衝撃だったのはユイメタルに決まってるじゃないかと思った。
俺は本当に馬鹿だったなと。

アリアナ・グランデはマンチェスターの爆弾事件で心に深いダメージを負うも、母親に対して気丈にも「再びマンチェスターで公演するまでライブはしない」と宣言する。
なんというプロ根性、ポップの女王ではあるが、その気構えはもはやロックだ。
いやメタルだ。
事件後の不謹慎な発言でバタクランに出禁を食らったイーグルオブデスメタルに爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。

誰が愚かなテロリズムの暴挙の前に毅然として屹立しているか。
それはロックミュージシャンっぽい口先だけの安易なコメンタリーではなく、その時どこでなにをしていたかだ。
アリアナ・グランデはわずか2週間後にふたたびマンチェスターを訪れ追悼ライブを敢行する。
それがプロ歌手とは言え心に傷を負った23歳の女性にとってどれだけ勇気のいることか。
ましてやベビメタをやである。
オーランドの惨事の一週間後に、フロリダから遠く離れてるとは言え同じアメリカのカリフォルニアの野外舞台に、10代の少女が3人、我が身を晒すんである。
恐怖が無かったといえば嘘になる。
この殺伐とした北米大陸で、せめて誕生日おめでとうのプレートを掲げて温かい雰囲気を出そうと気遣う現地ファン達の優しさにも涙しかない。
スタッフの対応に不満を感じた自分の想像力の欠如に恥じ入るしかない。

「真面目にやってりゃいいことあるわよ」と言ったのは欧米アーティストの初サポートしたレディーガガのお言葉。
真面目にやっててもこんなことになる。
ガガの忠告どおりに真面目を通りこした真摯な姿勢で欧米攻略を進めるベビメタには、その勇気には伊達にソニスフィアで生身を晒していないよという気迫も相まって、もはや国内アーティストには追随不可能な領域に達している。
様々な幸運にも助けられたとはいえ、ハードル上げすぎだ。
その幸運が神がかっていると言えば簡単だが、起こるべくして起こった障害を乗り越えて行くストイックな姿勢には崇高さすら感じる。
ユイメタルの今後はまだ予想不可能なままだが、うれしいことに彼女はまだ現世で生きている。
ゆいちゃんはまだ十代のまま生ける伝説となった。
(まだ十代である。最愛ちゃんも)
すでにバンドとして伝説化したベビメタもその伝説に甘えず、さらにハードルを上げて今年の北米ツアーに挑んでいく。
今後も越えられない障害が現れるだろうが、でもきっと伝説がベビメタを助けてくれる。
今後はライブ会場からステージに向かって差し出される手は、そこにいない小神やユイメタルにも向いている。
そのステージと会場のハーモニクスは天界からきっと小神がギターに乗せて運んでくる。
2011年から始まったベビメタの旅はすでに叙事詩、音楽のオデッセイだ。
それを信じて小さな巨人となったベビメタの今後を見守りたい。



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えーとCDJのライブレポをノロノロ書いてたらSSAキツネ祭り過ぎちゃったんです。
だから熱が冷めないうちにこっち先に上げちゃうんです。
スイマセン。

ベビメタのライブとしては去年のドーム1日め以来になるのでほぼ1年ぶりなんである。
もちろんその間5大キツネ祭りのチケットは落選を続け、もうなんとかこのSSAでセーフだったので、べつにその間怠けてた?わけじゃなく、別段飽きていたわけでもなく、いまでもしょっちゅうベビメタ聴いててオンリーワンであるのには変わりがないです。

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(SSA正面のけやきひろばにたむろするキツネたち。午後一なのでまだ少ない)

だからもう、数日前からドキドキで、仕事も上の空で、正直ベビメタのせいで収入落ちてるくらいの熱量(伸びるんじゃないのかよ)
旬は過ぎただの、飽き風だの、戯れ言をつぶやいてる連中を鼻で笑える。
余裕で笑える。
もちろん音楽生活上、他の2~3のアイドルも聴いてみたこともあるが、いいなと思っても(それもかなりいいなと)一ヶ月で飽きる。
いや正確じゃないな、また聴こうというまで行かなくなる。

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(二日目の物販の様子。余裕で黒Tとバッグを買えました)

正直、楽曲やヴォーカルに問題はないんだが、なぜJPOPではこんな問題が起きるのだろう。
いやきゃりーぱみゅぱみゅの初期曲とかデスラビッツとか、デジロックの分野では、例えばラブフォックスのCSS程度に長く聴く強度を持ち合わせていると思う。
だけどバンドサウンドに立脚した楽曲がやっぱ弱いと思う。
ライブだけじゃない、スタジオ録音盤にしても然りだ。
すべての音を音圧高めて詰め込むだけ詰め込んで、空気を感じさせない楽曲が多い。
いやライブじゃないんだから当然だろと言われるかもしれないが、そうじゃない。
西海岸のバンドのアルバムなら茫漠としたアリゾナの砂漠を想起するような空気感のあるバラードが必ず含まれるし、東海岸のバンドならコンクリートに反響したような(摩天楼のおっ立ってる岩盤含め)タイトな音を叩き出してくるし、イギリスのバンドならNYに渡っていようが陽気になりきれない湿度感をじとっと滲ませてくる。
どんなバンドでも曲以前にその空気に包まれたくてアルバムを聴くのかも知れない。
なにを聴く場合でも、その土地の空気とその時代の熱気に包まれたくてアルバムを引っ張り出す。
それはアンサンブルのちょっとした間かもしれないし、イントロに響く遠い雨音かもしれないし、日本にもいる例えばアイナ・ジ・エンドの歌い出す直前のブレスかもしれない。
あぁ、日本でのリアルはもはや女の子の吐息しかないのかもしれない。
でも最後のは意図的でなく、偶然でしょう。
吐息だけじゃ長続きしない。
また逆に、ライブを重ねることによって培われたバンドのケミストリーもいいけど、まぁ中高年がお高いブランデーでも含みながら聴くブルースロックも分かるけど、連中はPOPを馬鹿にしてる限りなぜ神バンドが必死なのかが理解できないんだろう。
あの超絶技巧の神バンドが3人の小娘を崇め奉るのか。
なぜ神バンドの大神さんがスケジュールの都合でギグに参加できなくてTwitterで悔しさを滲ませるのか理解できないだろう。
それはPOPの化け物、努力と才能の天才が目の前にいるからですよ。
すぅ、ゆい、もあという3人の素晴らしく可愛らしいビーストが。
今回もBABYMETALはビーストでした。

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(いよいよ入場開始。ベビメタファンはみんなお行儀いいね!)

実は東京ドームでは運がなく、アリーナ後方だったせいでステージは遠く、スクリーンは高く、音響は定位がバラバラでレポートを書く気力が湧かなかった。
本当に無念だった。
だけど今回は5大キツネ祭りの追加公演みたいなので(それにしては巨大だけど)シンプルな構成が期待され、実際その通りで、出島もないステージを見た瞬間ガッツポーズした。
シート席の真ん中あたり(200レベル)で3人は豆だろうけど、ステージ後方を埋める5枚の巨大スクリーンも大正解だった。

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(よっしゃ~、始まるぞ~!!!)

BMDで始まりギミチョコにサクっとつながる冒頭でソニスフィアを思い出し鳥肌が立った。
なにより位置の関係でステレオ感も維持されててすぅちゃんのヴォーカルも際立ってる!
惜しむらくは位置的にギターの音がよく聴こえなかったことだけど、全体的には満足できる席だったと思う。
上手側なので大村さんがよく見えて藤岡さんが印象に残らないなど、ライブに良くある運不運を差し引いても、過去最高のライブだった。
え~とこれでベビメタをライブで見たのは何回目だ? 5回目ですね。一番良かった。
一番良かったのは席のせいなのか、いやベビメタ自体がドーム以降、いったんリセットして一年間著名バンドの前座をこなして来た成果に違いない。
青山さんのドラムの物凄さは相変わらずだけど、以前より重く、粘るような湿度を感じたのは気のせいか?
GJのゆいもあちゃんのコーラスにしてもより艶っぽく、前へ出るようになっているのはヘッドセットマイクの技術的弱点を克服したのか、いや北米前座ツアーの武者修行で経験と成長でふたりのアンサンブルがますます高まった結果だろう。
ゆいもあちゃんのコーラスは本当に不思議だ。
最愛の鼻にかかった声質と由結の金属的な声質が合わさると、ふたりの声とはまた別の天然エフェクトがかかったような滑らかな声になる。
しかも、そのコーラスがどんな時でも一糸乱れずだからなおさらだ。
以前からすぅちゃんを含めた3人は、そのエネルギッシュなダンスを含め無駄な自己主張や技巧自慢ではなく、常に基本を忘れず自分の役割に忠実であろうとする。
そのキャリアの最初期に歌の先生に楽器になれと教えられた、それを未だに大事に思ってるのが伝わってくる。
自らの身体が楽器だという確信があればこそ、神バンドのみんなの出す音に恐れを抱きながらも気後れすることもなく、一歩も下がることなく技術を高め続けることが出来た。
なんども言うようだが、楽器隊と3人が対等であることから挑発もアンサンブルも可能になるんだ。
どっちがどっちを見下してもこんなケミストリーは生まれない。
グルーブは生まれない。
これは奇跡に近いバンドなんだ。
なぜそれを分からず馬鹿にするやつがいるんだ?
日本のプレスなんてなにも分かっちゃいない。
くどいようだが、北米前座ツアーなんて日本人の感受性の鋭い少女たちにとっては命がけだったんだぞ。
アメリカは日本人にとっては男女そろって野獣のような体臭に満ちた毛むくじゃら共がたむろする恐ろしいところなんだぞ。
ピンク・フロイドのドラマーのニック・メイスンなんて怖くて飛行機のタラップから降りられなかったんだぞ(涙笑)
彼女らはその熱情と真摯さによってだけ生きて帰ってきたんだぞ。
もうこの文章、泣きながら書いている。

しかし次の曲、すぅちゃんのヴォーカルに危なげのなくなったメギツネのブレイクダウンはどうだろう。
腹に響くバスドラとローダウンしたリズムがたまらない。
ABCエリアに出来た5つのピットでみんながぐるぐる回っている。
おまえら原始人か、過酷な前座修行の旅から帰った3人を出迎える歓喜の踊りだ。
うらやましい。
うらやましいが、すぐステージに目が行く。
もう涙目でスクリーンの映像がぼやける。

そのスクリーンが稲妻に切り裂かれ、聴いたことのないイントロが耳を突く。
すわ新曲かと思ったら神バンドの新曲だった。
懐かしい感じのズンタタッタリズムに乗って藤岡さんの艶っぽいギターが響く。
ハーモニクスというらしいが、その名は始めて聞いた。
BOHさんのベースもリズムに合わせて叩きつけるような奏法に変わってる。
その後のYABA!へのつなぎが素晴らしかった。
なんて楽しいんだ!
スタンドのみんなも飛び跳ねている。
泣いてなんかいられない。
すぅちゃんのランララララ~の導入に導かれてSSAの会場が爆発した。
見下ろすアリーナのみんなも踊り狂ってる。
ここからほんとうの祭りが始まった。
始まる前は、なにがキツネ祭りなのかなと思ってたが、ほんとうに巨大キツネ祭りだった。
4曲目神バンド新曲に続くYAVA!の次はなんと、紅月だった。

イントロでそれがわかると会場は一瞬静まり返り、どよめきのような音に重なるようにすぅちゃんのアカペラが響き渡った。
紅月だ! たぶん前日やったアモーレの代わりが今日の紅月だ!
すぅちゃんの「アカツキだー!!!」の声とともに大歓声が湧き上がった!
また、涙が出そうになる。
だが……その後の記憶がない(笑)

ベビメタのライブに来ていつも不思議に思うのは、ライブ中のことをあまり憶えていないことだ。
いつもオープニングのBABYMETAL DEATHの中盤くらいから記憶が怪しくなる。
次の、2曲目が始まったことくらいまでは、ああしょっぱなはこの曲だということで憶えてる。
だが、その後の曲順が怪しくなる。
いつもそれが悔しくてならない。
楽しかったんだからいーじゃねーか、そう言われるかもしれないが、人間歳取ると欲深になる。
はたで見てたらバカバカしい、姑息な知恵を働かせるようになる。
無いあたまで考えるに、これまで参加したライブは全てピットだったことで、ステージに注目すること以外に仕事が多すぎるんじゃまいか。
たとえば常にものすごい圧縮に耐えること、その圧縮を受け流しつつ貧欲にひたすら前へ出ようとすること、自分よりノッポさんの背後から逃れようとすること、後ろから肘打ちを食らうこと、林立する腕の隙間からステージを見ようとつま先立ちになること、周りの人の汗や体臭に惑わされることetc…。
自分も同じ迷惑を周りにかけてるんだから勝手な話だが、そのピットの情報量が鳥頭のステージの情報を圧迫して、記憶に残るほど実際はライブを聴いてないんじゃないかと思った。
その点、今回はシート席だったからシメシメだ。
OPから最後まで全てのベビメタのライブを記憶し、楽しい思い出としてずっと残せるぞ。
そう思ってたんだが、けっきょくはいつもと同じでほとんど記憶が飛んでいた。
いったいなぜだ。

だから紅月の次の曲は人のブログのセトリを見ながら思い出すことに。
次、GJ!じゃねーか、前回書いたじゃねーかw

その次は心臓の鼓動……シンコペ、これは憶えてる!
順当!
だが心臓の鼓動以降、あまり記憶にない。
すごく良かった満足感だけは憶えてるのに、なぜだ。

そこら辺までは何曲やったか数えていて、隣りにいた弟に「これで~曲目な」とか確認してた。
これも7曲目を境に後半戦だと覚悟するためだ。
自分でも書いてて情けなくなるくらい貧乏臭くベビメタライブを体感しようとしていた。
だが次のメタ太郎でそれも忘れた。

冒頭のドラムスからみんなが「メタ!」の声を上げた。
ゆいもあちゃんのコーラスに続けてオイ!オイ!の鬨(とき)の声。
なんだろう、すぅちゃんがニコニコしてとても嬉しそうだ。
ブレイクダウンのオ~オ~オ~のコール&レスポンスで会場が一体になり、一年半前のウェンブリーの時とは違う印象になっている!
すぅちゃんが「もっと!」と日本語で叫ぶ。
ファンも少しキーが高いのに必死で喉を枯らして叫ぶ。
なんて幸福な瞬間なのだろう。

去年のウェンブリーの時はZEP東京のライブビューイングを観に行ってたんだが、なんだか終始ハウリングのような音がして聴きにくかったし、実際アルバム『METAL RESISTANCE』も出た翌日で新曲のメタ太郎もよく知らない曲だった。
そのせいかどうもピンとこない曲だったんだが、この日初めていい曲だと思った。
いやこれ
コール&レスポンスの名曲でしょ!

このようにベビメタの曲は遅効性の曲も多いので油断できない。
いい曲じゃないからピンとこない=出来の良くない曲なのではなく、音楽的知識の蓄積が足りないから入って来ないだけなのだ。
若い頃聴いてよく分からなかったロックの名盤が、年を経て聴くと超傑作に変貌することがままあるように、ベビメタでも同じことが時々起きる。
これはコバがロック・メタルコードに忠実に音作りしてるお陰で生まれたベビメタの価値だ。
持ち歌はバンドの財産だ。
けっして使い捨てされることはない。
例えば
From Dusk Till Dawnが最初印象が曖昧だったのも、あまりメタルを聴いてこなかったので音楽的教養不足からピンとこないだけだったのだと今にして思う。

だからベビメタのアルバムはメタル・エンサイクロペディアみたいなもので、まったく油断できない。
ロス公演のFrom Dusk Till Dawnみたいにライブで化けるのだから始末に負えない。
これはコバメタルの音楽的教養の深さと、すぅちゃんの途方もない底力に恐れ入るしかないんだと思う。
そこに手ぐすね引いて待ってた業界のメタル好きとアイドル好きが寄ってたかって曲を作ってるのだからベビメタは無敵。
かといってバイキングメタルまで手が回りませんけど、少なくとも泣きながらオ~オ~と唸るんなら Road Of Resistenceよりメタ太郎のほうが楽しい!

もちろんベビメタの英国~北米前座修行を経て変貌していた曲はメタ太郎だけじゃない。
次のイジメダメゼッタイのイントロのすぅちゃんのナレーションの英語が進化している!
ファンがABCピットに恒例の大きなサークルを作って待ち受けるなか、すぅちゃんの合図でスピード・メタルの名曲の始まりだ。

イジメダメゼッタイは大好きだ。
この曲くらい青山神のドラムスのスタミナとパワーを思い知らされる曲はない。
ベビメタのバックに初めて神バンドがついた時、最愛ちゃんがバンドの生音にびっくりして唖然としてしまい振り付けを忘れてしまったというファンなら有名な話があるけど、初めてじゃなくても唖然とするのが青山さんのドラムスだ。
だけど何度か聴いてるこのイジメダメにしても、去年までとはどこか印象が変わっている。
もちろん良い方に。
初めてベビメタのライブを生で聴いたのは一昨年の幕張の天下一メタル武道会だったが、その時は音響は良かったにもかかわらず神バンドの音は楽曲の再現性の高さに感心するばかりで、良い意味での生音のオケという印象だった。
ほんとに上手いなぁと。
だけど今のベビメタはどうだろう。
ひとりひとりの個別のテクニックがぶつかり合うかつてのベビメタと違い、バンドとして一体化した音になっ来ている。
もちろんすぅ、ゆい、もあのアンサンブルもだ。

これは前座ツアーで音響班がレッチリ、メタリカ、ガンズ、コーン、フーファイターズのライブの音響空間構成から学んだ成果なんじゃないだろうか。
常に全力でグルーブを生み出すまでには至らなかったベビメタが、前座修業を通じてサウンドの抑揚を持ち帰ってきたんじゃないか。
学んで成長しているのはすぅゆいもあの3人だけじゃなかった。
神バンドもスタッフもみんな学んで成長していたんだ!
なぜそれに気が付かなかったんだろう。

これは単なる妄想じゃない。
例えばソニスフィアのイジメダメのオフィシャルPVの音響と、ネプワース現地放送のイジメダメのミックスの違いを聴き比べてみればすぐ分かる。


BABYMETAL - Ijime,Dame,Zettai - Live at Sonisphere 2014,UK (OFFICIAL)




BABYMETAL - Ijime Dame Zettai 再アップ

圧倒的に現地ミックスのイジメダメの方が良いのだ。
神バンドにしてもそうだ。
ただ上手いだけじゃなく、各メンバーの突出しないリレーションシップに磨きがかかってる。
ファンの渾身のオイ!オイ!も拍車をかけて、これまでより更にエクストリーム感を増したイジメダメに、すぅちゃんの自由を得たような伸びやかなヴォーカルがダメ押ししてくる。

どうしたんだろう、すぅちゃんの声がなんかソニスフィアの時くらいに若返ってる!
いやちがう、去年のウェンブリー~東京ドームの頃は少し固くなってたすぅちゃんの喉が、ずっと楽そうだし天真爛漫に自由に歌ってる気がする!
これは前座修行ですぅキャパが上がった!
マジでこんな奥行きを増した青山神のドラムスとすぅちゃんの戻ってきた自由闊達なヴォーカルに涙しないファンはいないぞ。
藤岡さんも大神ちゃんもBOHさんも生き生きしてる!
そうだ、こんなイジメダメが聴きたかったんだ。
だから、その日初めてほんとうのイジメダメを聴いた気がする。
しかし、求めてたのはこの音だったんだ、そう思った時にはイジメダメは終わってた。

いつもこうだ、ベビメタのライブは。
情報量が多すぎるんだ!
イジメダメ単曲だって何年たっても飽きないし、なにか発見するたびに一日何回も聴いたりするし、こんな風にいつまでだって語れるし、あぁ、そうか!
分かったぞ。
これはこの文を書いてるいま分かった。
ベビメタのステージのプレイ自体が情報量が多すぎて、思うことも多すぎてライブ中に脳内キャパを軽く超えるんだ。
だからあまりライブ中のことを憶えてないんだ。
そうか、一回じゃ足りないんだ!
だからファンは連日見に行こうとしちゃうんだね!
そんなアーティスト他にいるか?
ライブはチケット代も高いし、ふつう一回見たら満足するだろう。
いいもの見たって満足して家路につくだろう。
だけどベビメタファンは満足できず二次会やアフターパーティーでベビメタ足りないを埋めようともがくんだ。
ベビメタロスとは単位時間についての情報過多、インフレーションのストレスからくる消化(昇華)不良だ!

なんて犬の餌にもならない馬鹿なことを考えてるうちに次の曲、KARATEが始まる。
この楽曲の衝撃は主に初めて聴いたCDJのレポに譲る(ヲイ)
だってその次ヘドバンギャー!!!やったんですもの。

ヘドバンギャーがこんなお得感ある曲だと思わなかった。
しかもなんだかむちゃくちゃ楽しい!
斜め下の白人さんも気が違ったように横ヘドバンしてる。
するだろこれは!
しかし、しばらくライブのレア曲だったのはなぜだろう。
なぜ復活したのか。
来年アメリカ攻略でベビメタがPOP回帰する前兆だろうか?
そんなことどうでもいいけど、とにかく楽しい!
低音基調のすぅちゃんのヴォーカルにかぶさって、ゆいもあちゃんの声もどんどん前へ出てくる。
そんでここでなんとイナズマロックフェス以来(確か)のスモークガンの登場!
ゆいちゃんが銃をスタッフに返した後に、上手客に小さく手を振ってるのが見えた。
誰だか知らないけどあんた幸せだよ、うらやましいね。

楽しい、楽しいうちにあっという間に時間は過ぎ、すでに述べたようにこの後のRoad of ResistanceとTHE ONEをほとんど憶えていない。
3人がいつものように旗持って出て来たはずなんだけどなぁ。
ファンカムで見直してて思い出した、こっちはスタンド席真ん中より後ろなのに、ステージ前の火柱の輻射熱を感じて驚いたんだった。
ん?
THE ONEの3人の衣装が黒から銀色に早変わりしたように見えたことも憶えてる。
この曲大好きなんだけど、憶えていない。
なんてこった、次はしっかり集中して聴かなくちゃ。
その次はいつになるんだろう、そう思うと寂しくなった。
みんな寂しいから文句を言う。
忘れたくないから文句を言う。
アイドルを使い捨てにしないで欲しい。
いい曲を使い捨てにしないで欲しい。
だから一度ファンになったら一生ついていく。
そうだ、その後すぐ紙芝居が始まり、なんか言ってて終わった。
あっけなく終わった。
でも、満足感でいっぱいだった。
ありがとうBABYMETAL。

外へ出ると雨が振っていた。
やっぱり雨女のすぅちゃんだった。

またいつかね。

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今回は日本のロック・レジェンド、少年ナイフです。

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 少年ナイフの国内状況はここ20年間、一向に好転しないで来た。
 失われた10年が20年になって久しいが、日本の経済状況と似ていないでも無い。そのナイフがおそらくメンバーチェンジ後の最高域に達しようとしている今でさえ、状況は改善の兆しさえ見せないのだ。
 今年出たアルバム『Pop Tune』はもちろんナイフファンどころか全ロックファン必聴の最高傑作だ。
 それは初期の『Pritty Little Baka Guy』に匹敵するポップな内容で、過渡期の傑作『Rock Animals』からの三段進化の到達点だろう。音響的にはマーティー・フリードマンさんが言うように『Let's Knife』に近い中音域に絞った不思議なアナログ感があると思う。トランジスタラジオから聴こえる曲に励まされるような、遠くて近い親戚みたいな親近感というか、そんな温もりと一緒に、引き出しのノートに下から忘れていた一万円が出てきたようなお得感もある。そんなポップの魔法感覚を少ないボキャブラリーでどう表現していいかわからない。

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 ナイフが現在のメンバーに固まってからの成長ぶりは著しいものがあった。前々作の『Free Time』にその兆しが見え、旧メンバー中谷美智枝さんのサイケな曲もライブで出来るようになり、前作『Osaka Ramones』で全世界のラモーンズファンを感涙のドツボへ叩き込んでいたので、それだけでも幸せだったのだが、今年になってこんな傑作が届けられるなんて、20年以上ファンをやってきて良かったと心の底から思う。その楽しげなステージから良質なフィードバックがあったのかも知れない。若手ふたりの広がるようなコーラスワークも堂に入っている。山野敦子さんの手による新しいステージ衣装もその原点回帰と新しい出発を物語っている。
 リツコさんの唄う『Sunshine』というこの曲なども聴いていて思わず涙が滲んでしまう。'60年代のアメリカン・フォーク・ロックそのものの温かいテイスト、エミさんが穏やかに叩きこむプロコルハルムばりのドラミングに何度も相槌を打ってしまう。音楽のメッセージそのものだ。そもそも音楽に政治的メッセージを乗せるなどという芸当が出来るのはポール・ウェラー師匠くらいなのだ。ポール師匠は「今回のサッチャーの税制改革は貧乏人を殺すぜ」などという各論に刻んだメッセージを乗せて外すという芸当をこなしていたからダサくならずに済んだわけで、『War is Over』とか言っちゃ駄目なのだ(すぐどっかで始まっちゃうから) おそらくThe Jamファンでもある山野師匠はそこら辺の匙加減も学んでいるのだ。



 話が横道に逸れたが(そうでもないんだが)その種のロックの反逆精神とかメッセージ性とかで誤誘導させてアーティストを上げて叩く音楽プレスの鼻っ柱を潰したのも少年ナイフの山野直子師匠だ。
 15年ほど前のインタビュー記事で「少年ナイフにはロック的なメッセージ性がありませんね」とか嫌味を言ったあげく「日本では男女差別があると聞きますが」と現地プレスに振られ「我が家では母がボスですが」とかわしたのだ。
 日本が欧米基準で男女差別が多いのは規定の事実として、お国の事情もあるのよ、引いて支配するという知恵もあるの、と言外のアピールをしたわけであり、なおかつ馬の骨のようなプレスに義理を売ってむざむざ自国を売る愚かな真似もしないとういう芸当をこなしていた。
 そもそもそんな社会的ストレスから開放されるために音楽はあるのであって、社会にストレスが無くなってしまったら商売上がったりともいえる。人間ふたり出会えばストレスが生じるわけだし、そのストレスを糧としてなにかしようと思うのが人間なのだという、当たり前の部分から壊れてしまっているのがマスコミというものなんだろうね。

 個人的にはアルバム最終曲を帰国していた敦子さんも交えて演奏したこのインストア・ライブで感激してしまいました。山のアッちゃんは永遠です。




 少年ナイフは日本が誇る最強のパンクポップバンドだ。にも関わらず、JPOPのボイトレ歌唱法やコード進行しか知らない若者から、ジョン・レノンを無断で見当はずれな神輿に担ぐ団塊世代までが無視を続けている。奴らの価値基準は「それらしいクォリティ」であり、「スピリッツ」ではない。
 ただ、そんな状況も20年という荒波を経てくると、いまさらどうでもいいというか、枯淡の境地に達するのであって、むしろその状況を楽しむべきなのだろう。
 考えてみれば「それらしいクォリティ」というのは一定の水準を意味する「職人技」に繋がるんであり、天然資源の少ない日本のモノ造りの基本でもあるから生きていくためには必要なものだ。それにロック好きにもいろいろいるわけで、パンクを受け付けないロックファンは実は多い。もともとそっちのが多数派なのだ。
 でも産業ロック(by高橋幸宏)の品質維持に疲れる時は誰だってあるだろう。そういう時に魂を休めるというか、いや、むしろレイドに外すというか、そういう態度こそロックだろう。何度も死んでいるロックだからこそ不死鳥のように蘇る瞬間を目にすることが出来るのだ。死んじゃ駄目なのだ。これが大阪の西成区出身の直子師匠の教えである。

 例えばこの、ヤフー知恵袋で解決済みの質問なども、楽しく読めるだろう。

少年ナイフって何者なんですか?

 それだけではなく、下の方のリンクにある質問などにも寄り道できるだけの余裕も生まれているだろう。

TOKIOはニルヴァーナを超えた!! 皆さんTOKIOはバンドとしてニルヴァーナを超え...

 死人に口なしというか、「いやジョンのイマジンってのは……」とか「いや尾崎豊がデビューした時は……」とか、そういう抵抗はすでに放棄すべきなのだ。むしろ「そうそう」と相槌を打って状況を混乱させた方がロックだ。放っといても連中は科学の発達で霊界から告訴できるようになってから泣くはずだ。
 確かにある意味TOKIOはニルヴァーナを超えている部分もある。ニルヴァーナに年長ジャニーズ城島の味わいを表現しろと言っても無理な話だからだ。そういう意味では確かに超えている。かつてジャニーズには男闘呼組というロックなユニットもあったし。それはいずれムーディー・ブルースの回に取り上げることになると思う(なんでだよ)
 

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