January 26, 2018
浦島が見た NYvs東京(2)
NYの浦島太郎が驚いた東京での話はまだまだ続く。違うーということはいいことだ。新しい発見であり、自分や自分の街の状況を別の角度から見直すこともできる。「当たり前」が実に新鮮に思えてくるから嬉しい。
日本人はこんなも綺麗で清潔なストリートを当然と思わず、ありがたいと思えれば新たな境地に届く。
日本の電車の中は、多くのアメリカ人のリビングルームより清潔だ。恐ろしいことだ。NYの「綺麗」と日本の「綺麗」は少年野球と大リーグのベースボールくらいのレベルの違いがある。
これは日本人ひとりひとりが、どれだけルールを守って、いや誰も見てなくても個人の倫理観だけでゴミを出さないということを徹底しているからに他ならない。すごすぎる。世界に誇る日本の美徳だ。
信号無視(Jウォーク)だってそうだ。誰も見ていないのに渡らない日本人。NYではNYPD(NY市警)が見ている前でも堂々とみんなやっている。というかNY市警もやっている。いや皆ルール違反とさえ思っていないのだ。
さてそんな日本でどうしても行きたいところがあった。それは、こちらモスバーガー。おそらく25年ぶりくらいになるだろうか。残念だがアメリカにはないのだ。
あのジューシーで手がベトベトになるほどソースがかかっているテリヤキチキンバーガーを夢にまで見たものだ。新宿駅の近くでiPhoneで探し出し、半分涙目になりながらモスバーガーを訪ねた。
レジで注文するとき、メニューを見なくてもオーダーは決まっていた。払おうとクレジットカードを出そうとすると、店員さんは「すみません、現金でお願いします」
「あ、そうなんですか」と答えた次の瞬間、なぜかこんな言葉が口から出てしまっていた。別に言おうと思っていったわけではなかった。自分でもよくわからないー。
22年ものニューヨーク生活で、見ず知らずの店員さんとも会話をしなければいけない(できれば短く、テンポよく)っていう感覚が身についていたからだろう。自分でもびっくりしたが、無意識で出たコメントが、気付いたら結構なアメリカンジョークになっていた。
店員さんは20代のバイトのお兄さんだったが、一瞬びっくりして(おそらく客が余計なことを話しかけてくるなんて予想していなかったのだろう)、「あー、ビットコインはダメです」って言われたが、2、3秒してニヤって笑ってくれた。嬉しかった。
日本人はルールを厳格に守り、道徳心に満ちた人たちで仕事場に立ったら笑顔なんてなかなか見せないのかなって思っていたが、彼の笑顔には救われた。
英語でやればスムーズに流れるジョークの会話でも、日本語でやれば、一歩間違えば血を見そうな展開もありえそうな気がする。よかったよかった。やっぱり人間同士なんだから、日本、アメリカと文化が違っても分かり合えるんだと、ほっとした。
そういえばアメリカのお土産にニューヨークから買ってきたものがあった。TBS時代の先輩と、親しく長年付き合ってきた後輩と食事したのだが彼らも喜んでくれた。
もちろん、このお土産はアメリカンジョークバリバリなので、わかってもらえるか、ちょっと不安もあったが、心配することはなかった。ちょっとお酒が入っていたこともあったのだろう。トランプの、Make America Great Againのキャップ。日本にはないので喜んでもらえた。
鳥の専門店で3人でトランプキャップをかぶりながら昔話を肴に語り合った後、近くの書店の中にあるカフェで酔い冷ましにコーヒーを飲みに行った。3人で相変わらず、キャップをかぶっていると、後ろから、うら若き20代の女性が突然、声をかけてきた。
自分はNYに住んでいて、2日前にそこにいたと言うと、また、満面の微笑みで返してくれた。元気で、人見知りしない、とても明るい女性だった。
なるほど、初めての人間でもこうやって話しかけてくれる若い世代が日本にもいるんだ。東京の電車で、皆が一斉にジッと黙って、超静粛にしている光景を目の当たりにして、なんとも言えない怖ささえ感じたけれど、この日は安堵感が心に広がり、気持ちが楽になった。
モスバーガーのバイトのお兄さんと、書店のカフェのトランプファンの若い女性に感謝を捧げたい。
次回に続くー
日本人はこんなも綺麗で清潔なストリートを当然と思わず、ありがたいと思えれば新たな境地に届く。
日本の電車の中は、多くのアメリカ人のリビングルームより清潔だ。恐ろしいことだ。NYの「綺麗」と日本の「綺麗」は少年野球と大リーグのベースボールくらいのレベルの違いがある。
これは日本人ひとりひとりが、どれだけルールを守って、いや誰も見てなくても個人の倫理観だけでゴミを出さないということを徹底しているからに他ならない。すごすぎる。世界に誇る日本の美徳だ。
信号無視(Jウォーク)だってそうだ。誰も見ていないのに渡らない日本人。NYではNYPD(NY市警)が見ている前でも堂々とみんなやっている。というかNY市警もやっている。いや皆ルール違反とさえ思っていないのだ。
さてそんな日本でどうしても行きたいところがあった。それは、こちらモスバーガー。おそらく25年ぶりくらいになるだろうか。残念だがアメリカにはないのだ。
あのジューシーで手がベトベトになるほどソースがかかっているテリヤキチキンバーガーを夢にまで見たものだ。新宿駅の近くでiPhoneで探し出し、半分涙目になりながらモスバーガーを訪ねた。
レジで注文するとき、メニューを見なくてもオーダーは決まっていた。払おうとクレジットカードを出そうとすると、店員さんは「すみません、現金でお願いします」
「あ、そうなんですか」と答えた次の瞬間、なぜかこんな言葉が口から出てしまっていた。別に言おうと思っていったわけではなかった。自分でもよくわからないー。
ビットコインはOKですか?日本について以来、ビットコイン、ビットコインの連発でTVニュースや週刊誌が報道しまくっていた。NYの10倍くらいはやっていたろう。それに晒されているうちに、潜在意識の中に刷り込まれてしまったのかもしれない。
22年ものニューヨーク生活で、見ず知らずの店員さんとも会話をしなければいけない(できれば短く、テンポよく)っていう感覚が身についていたからだろう。自分でもびっくりしたが、無意識で出たコメントが、気付いたら結構なアメリカンジョークになっていた。
店員さんは20代のバイトのお兄さんだったが、一瞬びっくりして(おそらく客が余計なことを話しかけてくるなんて予想していなかったのだろう)、「あー、ビットコインはダメです」って言われたが、2、3秒してニヤって笑ってくれた。嬉しかった。
日本人はルールを厳格に守り、道徳心に満ちた人たちで仕事場に立ったら笑顔なんてなかなか見せないのかなって思っていたが、彼の笑顔には救われた。
英語でやればスムーズに流れるジョークの会話でも、日本語でやれば、一歩間違えば血を見そうな展開もありえそうな気がする。よかったよかった。やっぱり人間同士なんだから、日本、アメリカと文化が違っても分かり合えるんだと、ほっとした。
そういえばアメリカのお土産にニューヨークから買ってきたものがあった。TBS時代の先輩と、親しく長年付き合ってきた後輩と食事したのだが彼らも喜んでくれた。
もちろん、このお土産はアメリカンジョークバリバリなので、わかってもらえるか、ちょっと不安もあったが、心配することはなかった。ちょっとお酒が入っていたこともあったのだろう。トランプの、Make America Great Againのキャップ。日本にはないので喜んでもらえた。
鳥の専門店で3人でトランプキャップをかぶりながら昔話を肴に語り合った後、近くの書店の中にあるカフェで酔い冷ましにコーヒーを飲みに行った。3人で相変わらず、キャップをかぶっていると、後ろから、うら若き20代の女性が突然、声をかけてきた。
あ、カープファンなんですか???3人で大笑い。そうだよな。後ろから見たら、広島ファンに見えるだろうな。
違う、違う、トランプ大統領のキャップだよと後輩が言うと、その女の子は、
あ、そうなんですか! 私もトランプファンなんです、見てくださいこれ!!!といって携帯を取り出した。大事そうに見せてくれたのは、ニューヨークのトランプタワー前で撮った自撮りの写真だった。
自分はNYに住んでいて、2日前にそこにいたと言うと、また、満面の微笑みで返してくれた。元気で、人見知りしない、とても明るい女性だった。
なるほど、初めての人間でもこうやって話しかけてくれる若い世代が日本にもいるんだ。東京の電車で、皆が一斉にジッと黙って、超静粛にしている光景を目の当たりにして、なんとも言えない怖ささえ感じたけれど、この日は安堵感が心に広がり、気持ちが楽になった。
モスバーガーのバイトのお兄さんと、書店のカフェのトランプファンの若い女性に感謝を捧げたい。
次回に続くー