2008年09月

2008年09月29日

赤字と資金繰 4 (谷口薫)

在庫が原因の場合

在庫というのはお金を支払って仕入れた、あるいは製作した商品たちです。

この在庫が販売され、代金回収されたときに、はじめてひとつの取引が終了した
ことになります。

つまり、商売は次のようなサイクルで回っています。

お金 →(仕入) → 商品 → (売上) → 売掛金 → お金

お金からスタートして、最後にお金で終わる。このサイクルが早いほど資金繰り
は楽なのです。

逆にこの在庫である期間が長く、また金額が大きければ大きいほど、次にお金に
なるまでに時間がかかることになります。

お金になるまでは時間がかかるということは、資金繰りに影響を与えるということ
です。

この間を補う自己資金があるか、借入で資金調達する必要が生じます。

在庫が多いとこのような資金繰り上の問題が生じます。


しかし、そうかと言って、在庫を少なくすればいいという単純なものでもありま
せん。

特に、中小零細はお客との接点で競争相手に負けないために、いつでも対応可能な
在庫量が必要です。

経営戦略上は「在庫は多く持つ。」という戦略も正解です。

資金繰り重視で在庫を少なくするか、それとも、戦略的に在庫を多く持つか、これ
は結局、社長が決めることになります。


taniguchi_colum at 12:10コメント(0)トラックバック(0)経営関係谷口薫 

2008年09月21日

赤字と資金繰り 3 (谷口薫)

今回は絶対必用利益が出ているのに、それでも資金繰りが苦しい場合です。


これにはいくつかの理由があります。


そのうち、今回はその代表?である

「売掛金の回収と買掛金の支払いの期間のズレ」


例えば、商品を仕入れてから、支払までが2か月であるのに、一方、売上から回収
までの期間が4か月という会社があるとします。

仮に、今日仕入た商品がすぐに売れたとしても、支払いは2か月後に来ますが、
入金は4か月後ということになります。

商品を売れたお金で支払いをしたいのですが、入金の方が2か月後なので無理です。

仕方なく、仕入れ代金を立替払いすることになります。

この資金は自己資金か借入資金になります。

支払と入金の期間の差が長いほど、またボリュームが大きいほど資金は不足する
ことになります。

対策として、単純に、売上の回収期間を短く、また支払期間を長くすればいいの
でしょうが、しかしいずれも相手のあることです。

そんな簡単にはいきません。

自社の商品に強みがあれば、多少強引な交渉も可能かもしれませんが、どこにでも
あるような商品で、競争相手が多い場合は、思い通りにいかないものです。

結局、強い商品をつくる。強い業界・客層をつくるなど、戦略の問題に深く結びつ
いているものなのです。

それはともかく、自社の回収期間と支払期間のズレを認識しておく必要があります。

そのような資金構造であることを知っておかないといけません。

そして、そのズレで生じる資金を確保する手段を持っておく必要があります。



taniguchi_colum at 15:33コメント(0)トラックバック(0)谷口薫経営関係 

2008年09月07日

赤字と資金繰り:2 (谷口薫)

黒字なのに資金繰りが苦しいのは何故?


まず最初に単に黒字と言っても色々な黒字があります。

これを資金繰りと関連ずけて大きく2つに分類してみます。


<その1>

黒字ではあるが、必要な黒字額を稼ぎ出せていないので資金繰りが苦しい場合。

簡易な判定ですが、一期間の税引き後利益が、その期の借入返済額合計と減価償
却費の合計を下回るようだと必要な資金が不足していることになります。

税引後利益+減価償却費 < 1期間の借入返済額合計

こういう状態です。(少し専門的になりますがおつきあいください)

実は、この借入返済額と同様の負担があるものとして、定期預金、定期積立、
保険積立金等の金額があります。

これを加えると

税引後利益+減価償却費 < 借入返済額+定期積立+保険積立金等・・・

これも手元に残る資金は不足します。

この状態を私は、絶対必要利益が足りないと呼んでいます。

ただ単に黒字だからOKなのではありません。

損益計算書に載らない支出は、税引後利益から出ているのです。その支出額の
税引後利益は達成しないといけないのですね。


次回は絶対必要利益は確保しているのに資金繰りが苦しい場合です。

taniguchi_colum at 22:00コメント(0)トラックバック(0)谷口薫経営関係 

2008年09月06日

赤字と資金繰り(谷口薫)

赤字と資金繰りについて

よく「資金繰りが良くない」「資金繰りが苦しい」と言う声をお聞きしますが、
まず最初に理解しておいていただきたいことがあります。

それは、赤字で資金が不足することと、資金繰りが苦しいことは、原因を異にする
全く別問題だということです。

赤字であれば、当然必要な資金を稼ぎ出せていないのですから、資金不足で苦しい
のは当たり前のことです。

そしてこのケースのような状態を表現するのには「資金繰りが苦しい」という言葉
は妥当でないと思います。

それは「経営のやり方自体に問題があるのです。」 

特に、2期以上続くようであれば、経営上構造的な問題を抱えています。

一方の「資金繰りが苦しい」とは、黒字ではあるが、資金が不足することを言います。

これは資金の調達と運用のアンバランスや不良在庫、過剰在庫が原因であります。

資金が足りないと思われたら、

まず、自社はどちらのケースに該当するのか確認してください。

どちらに該当するかで、対策がまったく違ったものとなります。


taniguchi_colum at 22:00コメント(0)トラックバック(0)谷口薫経営関係 

2008年09月05日

電子申告のメリット (谷口薫)

私の事務所でも皆様のご協力のおかげで電子申告率がほぼ100%になりました。

1年ほど前「これからは、e‐Taxで申告させていただきたいのですが・・・」と
お願いしたところ

「よくわからないけど、先生に任すわ・・・」

そう言って殆どの方にご快諾いただき、全面的におまかせいただきましたこと
心よりお礼申し上げます。


さて、その電子申告ですが、お客様にとってメリットはどこにあるのでしょうか?

「税務署にだけメリットがあるシステムでは?」そんな声をお聞きしたこともあ
ります。


私も考えてみました。その結果出てきた答えのひとつが次のものです。

私たち税理士事務所も、印刷作業や税務署への提出が必要ない分、時間が生まれる
メリットを享受しております。

要はこの時間をどう捉えるかです。

業務が合理化されて楽になった。時短だ。明日への鋭気を養える。それはそれで
いいことかもしれません。

しかし、もう一歩考えを進め、この時間を「研修」や「学習」、または付加価値が
生じる新「サービス」に充てることが必要だと思うに至りました。

知識の幅が拡がり、深みを増すことで、お客様の経営に生かすことができる。

これこそがお客様が享受できる最大限の利益ではないでしょうか?

この電子申告をはじめとする、業務合理化により、多くの研修に参加する時間が
生じました。

特に、おかげ様で、私は今年から毎月1回、2日間の中央大学クレセントアカデミー
なる租税法務研修に参加する余裕と決心が生まれました。

ここで、今まで以上に幅広く、法律を学び、判例で税法の理解を深める勉強をさ
せていただきます。

このことは、必ず皆様のお役にたてることになると考えています。

ご期待ください。


taniguchi_colum at 08:35コメント(0)トラックバック(0)谷口薫税金関係 
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