【2014年5月追記】
靴の形について新しい発見がありましたので「靴の観察」カテゴリを作りました。
こちらです



先日の記事の訂正です。

紳士靴を例にとって考えていますが婦人靴についても同じような原理が成り立つと思います。足の裏の荷重配分のバランスと脚部の筋肉の機能の連携で靴の形やラインが決まってくるわけです

古い靴を調整しながら実験を行っていましたが骨盤が痛くなるので新しいのを買うことにしました。悩んでいるよりも効率よく疑問点を解消できれば経済効果も靴の価格以上になるはずですし
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つま先が内側に曲がっているのを研究しているのですがそういうのはもう売っていませんでした。今回ご縁があったのはこちらの靴「ARISTIDE」です。

先日の記事では内向きのラインからさらに中底のラインで外アーチを絞ることにより運動性能を高める効果があるという発見をしたことを書いています。

ところがこの新しい靴はそのような形にはなっていませんが同等の運動性能を発揮します。ということは何か別の理由があるはずです。

先日骨盤の痛みと靴のゆがみの関係を調べるために同時期に履いていた靴を比べてみました。その時タニノ・クリスチーとクロケット&ジョーンズに同じ症状があらわれていることに気付いたのです。ちなみにジョンロブは別の症状で意外に日本の靴と共通点がありました。
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履いた感じに共通点があるように外見も似ているかなと比べてみますとそうでもないです。

チャッカ―ブーツがクロケット&ジョーンズでストレートチップがタニノ・クリスチーです。

ジョンロブについては私のは当然既成靴の方です。実質的にはエルメスモデルです。イギリスの靴ではなくフランスの靴とみなさないと正確なフィッティングはできません。ですから別のバランスなのは理解できます

クロケット&ジョーンズはいろいろな木型がありますが私のはショップのスタッフさんによると正統的英国調だそうです。変形してしまって見る影もありませんがそしてそれを履き崩したものがタニノ・クリスチーの崩れ方と共通点があるのはう~ん…

ふと思い出したのは今回靴を買いに行ったイタリヤーノの店長さんのお話
タニノ・クリスチーにまつわるエピソードで実はチャールズ皇太子がタニノ・クリスチーの愛好家だという意外な事実。イギリス紳士の靴は歳を取ってくると厳しいためギブアップでイタリア靴を履く人も多いそうです。

現実問題としてイタリア人だけを相手にタニノクリスチーのような高級品を商っても経営は成り立たないといった経済状況だそうです。お客さんのほとんどは外国から買いに来る人だとのこと。

ということはブリティッシュスタイルタニノ・クリスチーがあってもおかしくないわけで私が履いて悩んでいたのはそういうモデルかもしれません。

148224_b-2イギリス紳士の靴の特徴としてソールの小指の方が上がっていることが挙げられます。私の靴も元はそうでしたが変形してしまいました。よい資料画像がなくてすいませんが何とか見つけたのがこれです。

クロケット&ジョーンズの靴を後ろから見たところです。ソールが内側に傾いています。タンの作りも同様です。

P8210016-2一方こちらはタニノ・クリスチーです。同じカメラアングルで撮るのが難しくてちょっとわかりにくいカンジもしますがどちらかというと外側に傾いています。

タニノ・クリスチーの設計の基本的事項ですがイギリス式とは全く逆です。これを何らかの方法で処理して同じバランスを実現するのでしょう。

item1u-2イギリス紳士の靴の特徴としてよく言われるのが『インサイドストレート・アウトサイドカーブの内振りライン』です。

これはクロケット&ジョーンズです。でもインサイドのストレート具合はそれほどでもありませんかね。



900bur6こちらはエドワードグリーンでこれこそ完全な内振りラインといった趣でよりわかりやすいでしょう。

このような形にするのは親指側の接地性を確保して土踏まずのアーチをしっかり支える為ということをどこかで読みました。うろ覚えなので確認したいのですが見つかりません。いずれにせよ理論的にも感覚的にもよくわかりません

どちらかというとタニノ・クリスチー式に小指側を低くして外側のアーチを活かす方がわかりやすいと思うのですが

きっとイギリス紳士系の人でもそう思う御仁は多いはずです。でも長年の習慣でイギリス的なバランスの足になっているでしょうから不具合も出ますね。立場上靴の履きこなしにミスは許されないというような方もいらっしゃるのでその矛盾する要素を兼ね備えた木型を開発してブリティシュスタイルタニノ・クリスチーが必要になったのでしょう。すごい妄想になってきたなあ

このことを思いついたのは歪んだ靴を修正しながら研究をしていたある日の事でした。本編の研究所ブログの記事でタニノクリスチーの設計方法の基本理念は後脛骨筋と腓骨筋類の機能のバランスにありそうだとしました。その原理に基づいて靴の調整を進めました。すると運動性能には問題はなかったものの土踏まずのバランスが崩れてしまい寝るときに足が攣ってひじょうに痛い思いをしました。

革に腰がなくなっているうえに度重なる改造で靴がねじれてしまったのが原因と分かりました。そこでひねりながら底を削って無理のない形に直していきました。靴の形を変えるのは大変なことと思っていましたがねじるといろいろな形になるのだなあと気付きました。

そういった現象によって何らかの意図をもった高度な曲面作りがなされているのではないだろうかここから先は文章では難しいので写真で説明します。
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この何とも不可解な中心線を持つタニノ・クリスチーの靴は何を考えているのでしょう。

名前は「DAVIOSO」2003年モデルでイタリアのサイトには出ていません。どうやって足を収めればよいのやら足もつるわけですよ。

ひねりながら直していると


P8210005P8210005のコピーあ~あもうぐにゃぐにゃでだめだなあ

あれ

なんかいいカンジよ

シルエットで考えればこういう靴見たことあります


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ひねったらイギリス紳士の靴のライン取りになりました。右の方がより似ているかな…

こういう形の靴は小指が浮いた感じになるので履いていると足の形もそうなって来ますね。

そういう方はタニノクリスチーの靴を履いても一番のポイントである後脛骨筋の機能が活かせません かといって生活習慣を変えるのは大変だし

そこでこの形をベースに小指側をひねり下げて外側のアーチの接地性を高めるとよいわけです。さっきの逆の手順ですね。その結果として…
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このような形の靴になりました

イギリス紳士的な足の内側への荷重の習慣を残したままイタリアルネッサンス的人間解放路線で無理なく快適にそれでいてオッシャレ~なたたずまいになりますよ

というようなことを想像してみたけれどどんなもんでしょう。


8月31日追記
P8300002-2こちらの記事のようにこの靴の修正を行ったところこのような形になりました。

つま先のずれ具合が少なくなりました 形を正確に把握できていなかったのは足のアーチを維持する筋肉の機能についての理解が不十分なためです。そういった点で問題のある記事ですが一つのステップとして考えて下さい


つづく


【2014年5月9日追記】
靴を解体して観察したらおもしろいことがわかりました。
こちらです