あきらめたと言いつつ本当はもうちょっとうまく行くと目論んでいたので今回の結果にはがっかりしています。

原因を考えると作業を行う時の服装に問題があったかもしれません。以前自分なりにフィッティングの方法を考えて注文して失敗したものを作業服にしています。
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お尻の横が裂けたのでパッチワークで再生。

これはジョンロブの靴に合わせて誂えた礼服ですがパターンに無理があったので生地に負担がかかっていたのでした。
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股のラインが変なので角度をつけないとフィットしませんがだんだんと傾斜がゆるくなってきて不安定です。前後のバランスだけでなく腰の部分のひねり具合も加減すると程よく止まるようになります。

ちょっと違和感もありましたが暖かいので屋外の作業にはよいです。あと筋力のバランスを整えるストレッチ的な効果がありそうにも感じたので。

しかしこの服を注文した時の靴の履き方に間違いがあって異常なバランスになっているのでその悪影響があると考えた方が普通でしょう。上着を見ると変なのがよく分かります。
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ベストもありますが全く合わなくなったので修理を頼んだら修正不可能とのことでした。分解して自分なりに継ぎを当てて作り直すとこのようになりました。
(横から)
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極端な前下がりになっています。

異常ではあるもののこれは先日観察した現在の実験材料の服と同じ傾向があります。そういった点では作業服として着用したくなるのも自然なことかもしれません。

ということは服の作り方のミスというよりは靴への解釈の間違いであったという方が当たっているかも知れません。何が問題だったのかと古い靴を取り出して比較してみました。
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ちょっと前にも同じようなことをしましたがその時は主に前傾のバランスについて検討しました。しかし何の解決にもなりませんでした。

前後のバランスが横方向の傾きに連動するということは分かってきたので横向きの要素に注目しました。そういった観点で靴を改造することも多くありましたので作業の跡が残っている物が多いです。そして気付いたことは中底の中心を通るカーブの曲がり具合で分類できることです。
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左はイギリス的な靴。右はフランス的な靴。日本の靴は資料がないのですがもっとカーブがゆるいです。
【1月15日追記】着眼点はよさそうですがカーブの曲がり具合ではなく曲る場所というか前後の比率というか…もう少し研究が必要です。

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フランス的な靴のかかとの内側を切り取って中心線を外側に押し出すと日本の靴と同じような形になります。
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先ほどの礼服に合わせたジョンロブの靴に対しても同様の加工が施してありました。
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しかし重心位置によっては逆の効果が出ることもあるようで微妙な調整が必要であり実用的ではありません。これが様々な問題を生んでいるようです。

なぜこのような形の違いがあるかと履き比べてみました。すると足の前後の荷重配分が横方向のカーブの違いとなって表れて来ることが分かりました。
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以前どこかに書いたことがあったけどどこだか忘れました。外のアーチと内のアーチとでは骨の数や長さなどいろいろな点で構造が違うので足のアーチの変化が違った形で起こり横向きの動きも伴って発生しますということでした。

このため靴の中底の中心のカーブの曲がり具合が前後のバランスに連動しているのです。かかとと前底の高さの割合でバランスを取ることだけを行っても足は反応しません。逆に前後のバランスを変えたくなくても中底のカーブが変わってしまうと前傾角が変化してしまいます。靴は縦方向には曲がりやすいが横には変化しにくいので。

こういった生理的な反射運動を無視した改造を行っていたためおかしなことになったわけでした。

古い靴の分析でほこりを吸い込みくしゃみが止まらなくなったのでリフレッシュを兼ねて再度歩行テストを行いました。

右足の薬指が痛いです。前が全体的にきついので中敷き調整革を取り除きました。
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タニノ・クリスチは高さがないのでこれだけで全然変わります。中を観察してみるとかなり当たっています。
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あとそうだ…私の場合は国籍別のモデルの違いというより筋力のバランスに問題があって改造が必要になっているという要素の方が強いです。横方向への体重移動がうまく行かないので靴に横向きの運動性能を織り込んで行こうという発想です。
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ここを沈ませたのもそのためです。

ということは相対的な見方をするとかかとの内側が上がったととらえることもできます。こうだったものが…
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こうなったと。
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そうしますと中底の中心のカーブがゆるくなるのでそれに連動して前傾バランスが強くなります。アーチの起伏を調整したいところですが靴の形が安定しないため難しいです。

中底だけでなく甲革にも変化があるわけですね。中底の内側への張り出しがキャンセルされますが…
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甲革には高さがあるのでより大きな移動が起こってしまい甲革の向きと中底の向きが合わなくなります。
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これを修正するためにはつま先の方も外側へ押し出す必要があります。
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靴全体をねじることによってつじつまが合う形が見つかります。
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この場合は前底の内側がせり上がる必要があります。この形になるように力をかけているので非常に疲れます。

先日中底のクッション材を調整した効果で本底の起伏にも変化が出ています。
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大袈裟に描くとこんな風にうねりが出ています。窪んでいる部分は足の指の付け根の圧力がかかりにくいところなので手を入れて指で押して圧しだすようにすると履きやすくなります。

右足の調整をしてバランスが変わったため左足の感触も変わって来ました。足の外側の接地感がよくなくて膝の動きも不自然になりちょっと痛いです。
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カメラではうまくとらえられませんが底の曲面の丸め具合がちゃんとできていません。足が疲れてしまってどの程度の加工が必要か判断できません。

また本日は服の影響について考えたくなかったので本来のペアとなる礼服とのバランスは見ていません。したがってより精密な調整は保留としました。

ある程度改善したものの右足の親指の付け根が沈み過ぎて指が反りすぎてしまい上の筋のところが痛いです。たびたび試みて来ましたがこれは直しようがないので何か対策はないか考えたところこの部分に力を入れ過ぎる悪い癖をやめればよいことが分かりました。動作を矯正するための練習用の靴と考えれば利用価値があると思いました。

履いているうちに良い形に安定してくれればよいのですがちょっと無理そうです。本底の材料が革でないとうまく行かないかも知れません。


【2014年5月追記】
靴の形について新しい発見がありましたので「靴の観察」カテゴリを作りました。
こちらです