2009年04月
今日は、ナミアゲハ・クロアゲハ・ナガサキアゲハ・アオスジアゲハ・ツマキチョウ・スジグロチョウ・コミスジと見てきましたが、写メできたのはこれだけ。地面に落ちていた白黒模様のゴミに執着して、幾度も飛び立ってはまたとまっていました。
ダイミョウセセリはヤマノイモを食草にして育つので、このあたりにもまだ生き残っています。葉の縁を噛み破って、折り曲げて糸で綴り、その中に頭の黒いうすみどり色の幼虫が隠れています。
「蝶」と「蛾」の区別を言う時に、翅を背中で表あわせにして止まるのがチョウ、表を見せて広げて止まるのがガなどといいます。例外として、ガではイカリモンガ、チョウではこのダイミョウセセリが挙げられたりします。たしかにベタっと翅を広げてとまりますが、他にも「例外」が沢山あって、あてになどなりません。
そもそも、チョウとガを区別しようと言うのが大間違いなのです。ガのほんの一部に、主に昼間活動をするグループがいくつかあって、その内のたった二つのグループを「チョウ」と呼んでいるにすぎないのですから。
二つのグループとは、アゲハチョウ上科とセセリチョウ上科で、ダイミョウセセリは勿論後者に属します。上科というのは科よりももっと大きな差異を束ねた単位ですから、この両者の隔たりは相当大きなものがあります。
セセリチョウ科以外のチョウは前者に入りますので、熱狂的なチョウキチは「セセリなんかチョウじゃねえ」などと、過激なことを口走りますが、あながち的外れという訳ではないのですね。
なお、アゲハチョウ上科・セセリチョウ上科のほかに、シャクガモドキ上科というものが中南米にいて、最近ではこれもチョウに分類されるようになっています。夜行性で、シャクガに見かけが似ていますが、体の構造や幼虫の習性などからアゲハチョウ上科に近いとされています。
日本でははじめのうちはひそかに「ガチョウ」と呼ばれていたのですが、大先生方がそれはないだろうと言い出して、シャクガモドキに落ち着いたと聞いています。ガチョウでもよかったのに…
今年初めて出会ったダイミョウセセリ、今後もしぶとく生き続けてもらいたいものです。
花粉を昆虫に運ばせる植物ばかりではありません。サザンカやツバキの様な鳥媒花や、ある種のサボテンの様なコウモリ媒花もあります。
動物を使わない手段には、風と水流があります。風媒花には、代表的なものに、悪名高いスギがありますが、針葉樹仲間のマツも、花粉を風に運ばせます。
マツの花粉は、色の薄い抹茶の様で、塔の様な新芽の付け根の方につく雄花から、大量に飛び出します。ただし花粉症を引き起こすことはないそうです。
雌花は新芽の先端につく、紅いマツボックリのミニチュアの様なのがそうです。雄花の下の方、新芽の付け根に、前年の雌花が育ったマツボックリがつきます。大切に手入れされている庭木のマツでは、緑摘みと言って、新芽を根こそぎ折り取ってしまうので、花も実もつけることはありません。
花は人を楽しませるためだけに美しく咲くのではありません。
色とりどりの花びらは、花粉や蜜のありかを、昆虫たちに教えるためにあるのです。
花を咲かせる植物は、昆虫を利用して、おしべからめしべへと花粉を運ばせます。昆虫ならなんでもいいという訳ではなく、チョウ専門、ハチ御用達、甲虫向きと、花粉を運ばせる昆虫によって、さまざまな形の花があります。
花と昆虫の興味深い関係を、何十年も追い続けてきた著者・田中肇さんが書かれた本書は、美しい花たちがそなえている、昆虫をおびきよせ、だまし、強制して花粉を運ばせる機能を、きれいな写真で見せてくれます。
花の色ごとに分けて、142種の花について、たいへんわかりやすくそれぞれの機能を解説してあり、ルーペと本書をたずさえて、すぐにでも野に出たくなること、請け合いです。
文一総合出版 1200円+税
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