谷口高司:タマシギ♂のいきいき日記

鳥と自然と善福寺池…僕だっていろいろ考えているんだぃとこっそり思ってる絵描きの日記

2010年07月

マイマイガ

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サワラの幹に産卵中のマイマイガ♀を見つけました。卵塊にお腹の毛を厚くかぶせて、カモフラージュしています。


北半球のどこにでもいる大型のドクガで、時折、大発生して問題をおこします。♂は少し小さくて、林の中をクルクル飛び回る様子から、「舞い舞い蛾」と呼ばれるようになったといわれます。7・8月に成虫が現れ、ご覧のように大量の卵を残します。卵はそのまま越冬して、翌春孵化し、あらゆる種類の樹木の葉を食い荒らして育ちます。


幼虫は細長い毛虫で、背中に青と赤の点がずらっと並んでいて、そこだけ見るとなかなかきれいです。黄色っぽい顔?に黒い線がハの字に入っていて、困った様な顔に見えます。小さいうちは、長い糸を引いてぶらさがり、風に乗って他の木へ乗り移ったりします。その性質から、ブランコ毛虫と呼ばれます。さわるとチクチクしますが、ドクガのようにかぶれたことはありません。


その昔、カイコの品種改良を目論んだ学者が、もともと分布していなかった北アメリカに持ち込み、それが自然界に逃げ出して、今でも大害虫になっています。英語では「ジプシーモス」と呼ばれ、こちらも差別的だと、問題になったことがあるようです。

オオミズアオの幼虫、美味しそう

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今日は昆虫ばかり探していたもので、自然に小さいものに目が向く「ムシの目」状態になっています。こういう時は鳥の姿は目に入りにくいのですが、昆虫の姿はむこうから飛び込んで来てくれます。


歩きながら、植え込みのシャクナゲにスーっと視線が向かい、オオミズアオの終齢幼虫を捉えました。まあ、これぐらいの大きさになると、「ムシの目」でなくてもよさそうなものですが、緑のなかの緑色の幼虫を見つけるのですから、やはり「ムシの目」のおかげです。



オオミズアオは、嫌われものの蛾の中では、例外的に女性にも人気のある種類です。美しい水色の大きな翅が、人気の素ですが、どうも蛾ではなくてチョウだと思われている場合があるようです。蛾がこんなにキレイなはずがないという先入観があるのでしょうか。



オオミズアオ幼虫は、いろんな樹木の葉を食べる多食性ですから、サクラやクリでよく見つかりますが、厚くて固そうなシャクナゲを食べているのは初めて見ました。じつに美味しそうに食べます。気持ちがよいほどの食欲です。幼虫自体もジェリーみたいで美味しそうに見えますから、鳥に見つけられないか心配になりました。

飛べないカルガモ

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下池に浮いているカルガモですが、どこか変です。なにがヘンなのかというと、翼の風切羽が全くないのです。体の後ろの方に見えるはずの、三列風切の白もありません。さがすと、同じ様なのが何羽もいます。どの子も、別に気にするでもなく、平気で泳ぎまわっています。


実は、カモの仲間は、夏のあいだに翼の羽がいっぺんに抜け変わります。他の鳥では、飛翔能力が落ちないように、風切羽は左右対称の位置で順番に数枚ずつ抜け変わります。今、空を見上げるとオンボロのカラスがたくさん飛んでいますので、抜け変わりの状態がよく観察できるはずです。普通は繁殖期がおわると換羽が始まります。その期間は多少飛翔能力が落ちますから、天敵の多い小鳥たちは目立つ所へは出てこなくなります。だから真夏は、小鳥の探鳥が難しくなるのです。


カモたちは、新しい風切羽が生えそろうまで、安全な水の上を離れません。ヨーロッパのツクシガモのように、種類によっては、換羽のために一時安全な場所へ渡りをするそうです。


池のカルガモたちも、せっせと餌を食べて、飛べるようになるのを待つのでしょう。

クロアゲハ

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温暖化のせいで、昆虫の世界にも大きな変化があらわれています。チョウで目立つのは、暖地性のツマグロヒョウモンとナガサキアゲハの台頭でしょう。


おかげで、同じ植物を食べて育つ在来種が減りつつあります。ミカン科の葉を食うクロアゲハは、ナガサキの攻勢を受けて、ずいぶん数が減ってしまいました。今では黒いアゲハのほとんどが、大きくて後翅に尾状突起がないナガサキです。


アベリアの花に黒いアゲハがいると思ったら、尾状突起のあるクロアゲハでした。左後翅が大きく破損して、尾状突起が無くなっています。小鳥に捕まりかけて、千切れたのでしょうか。
尾状突起の役割は、捕食者である鳥の注意をここに引き付けて、致命的な損傷から逃れるためだそうですから、この子の尾状突起は、立派に役目を果たしたと言えましょう。

上池

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暑いせいか、ボートもほとんど浮かんでいない上池です。北畔の広場では、今夜は盆踊りが行われます。ベンチで涼む幼馴染のナオちゃんにばったり会って、しばらく近況報告会でした。

スズメの砂浴び跡

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意外にも公園内では普段はスズメが見られません。探鳥会でも、なかなか見つけられず、不思議がられています。


でも今の時期は、巣立ったヒナが親に連れられて、公園内にたくさん入ってきています。小鳥はスズメとムクドリしかいないのではないかと思うほどです。


そんなスズメが、クヌギ林の地面で砂浴びをしていました。砂と言うより乾いた土埃の溜まったところに腹ばいになって、バタバタすると、パウダー状の土が羽毛の隅々に入って、さっぱりするようです。


スズメが飛び立ってから、そこへ行ってみたら、可愛らしいくぼみが残っていました。

ヤモリ

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しばらくぶりに善福寺公園へ。


真夏の今ごろは、鳥の姿は少なく、いきおい虫や植物に目が行きます。上池北畔の大きなセンダンの幹が、かなり傷んでいるのが気になっていたので、根元から上に広がっている洞を覗いてみました。腐りが入ってかなり上の方まで空洞です。公園では訪問客にケガをさせないように、倒れる恐れのある木は、さっさと切り倒してしまうので、このセンダンも心配です。


上の方を見上げてみたら、ヤモリが隠れていました。建物の中ではよく姿を見ますが、自然状態ではなかなか見つけることはできません。こんなところに住んでいるのですね。

タマゴ式教室・スズメの親子

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スズメは一番身近な鳥なのに、なかなか教室では取り上げにくい鳥です。模様が複雑で、短時間で描き上げるには、ちょっと難しいところがあるためです。


今回は、あえて挑戦して頂きました。巣立ちヒナの正面向きをおまけに描いていただきましたが、ヒナだけでもよかった、という声も聞こえてきたような…

ハラビロカマキリの幼虫

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歩道の真ん中に小さな緑色の物が見えました。おしりをクルっとまくったハラビロカマキリの幼虫です。踏まれるとかわいそうなので、捕まえて脇の植え込みに避難させてやろうとしたら、その動きの素早いこと。ほとんどゴキブリ並みで、捕まえるまでけっこう大変でした。歩道を通った人になんと思われたことでしょうか。



草むらで生活する他のカマキリと違い、ハラビロカマキリは、樹上で生活する種類なので、他のカマキリより風の影響を受けやすいため、す早い動きが必要なのでしょうか。

布描きえのぐ・日本の伝統色

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図鑑仕事の合間に、トートバッグやTシャツに、布描きえのぐで鳥の絵を描いています。イベント会場では、一点物として人気があるので、つい張り切りすぎて、時間をかけすぎてしまった!ということがよくあります。


今回、スタンダード色に加えて、日本の伝統色というのを買って来ました。12色のセットですが、それぞれの色に古風な名前がついています。じっと眺めているうちに、あることに気が付きました。12色のうち、黒と瑠璃色をのぞいた10色が、動植物由来の名前なのです。


鳥は鶯色だけで、あと海老色が動物です。のこり8色は、木賊(トクサ)・浅葱(ネギ)・茜(アカネ)・柿色(カキ)・山吹(ヤマブキ)・金茶(チャ)・江戸紫・京紫(ムラサキ)で、植物名です。


ヤマブキやカキの様に花や実の色をそのまま色名にしたのもあれば、ムラサキの様に染料の原料植物の名を色名にしたのもあります。良い名前だなあ、と思うと、早く使ってみたくなりますが、さて、何の鳥にしたらよいものやら…


気になるのは鶯色です。いつもウグイスの仲間を描く時は、色に悩まされるのです。ちょっとパレットに出して塗ってみると、暗めのオリーブ色で、ウグイス餅に使われている明るい緑色よりは実際のウグイスに近い感じでした。ウグイスよりは、ムシクイのどれかに近い色です。


鳥の名前のついた色は、他にも色々あります。身近にたくさんいて、鳶色、鶸色、朱鷺色など、「あの鳥の色」といえば、誰でもわかる状態だったのでしょう。メディアが発達した現在では、絶滅危惧種として登場する機会の多いトキの色が広く知られて、かえって今でも普通に見られるヒワの色が、世間では何だか分からなくなっているのは、皮肉なことです。


ちなみに、鶸色(ヒワいろ)はわずかに緑色味を帯びた黄色のことです。マヒワの羽色が元になったのでしょうか。


鳶色(トビいろ)は、赤味のあるこげ茶色と言ったところでしょうか。若いころ覚えたロシア民謡の一節に「鳶色の瞳 忘られぬ君…」というのがあって、この色には憧れを抱いたものでしたが、鶯色と同様、実際のトビの羽色とは少し違うようです。
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