DSC_0148戦国時代の英傑、黒田長政公の直系の子孫でいらした、黒田長礼先生が著された「鳥類原色大図説」は、戦前の日本を代表するすばらしい鳥類図鑑のひとつです。昭和8年の刊行ですから、入手するのも難しく幻の図鑑ともいわれています。中の図版は、名手小林重三先生の手になるもので、野鳥図鑑画家を名乗る私にとっては、神の仕業としか思えないような素晴らしい絵ばかりです。
昭和55年に講談社から復刻新版が出されて、そちらの方は手元にあったのですが、やはり大元の版に比べるとどうしても見劣りがしてしまいます。いつかオリジナルを手にしたいものと、夢見ておりました。
2013年に奥方と共著で書いた本でお世話になった編集者の方から、ちょっと見てもらいたいものがあるので…とご相談をいただき、昨日出向いた先までお持ち下さったのが、この三冊でした。
彼女の御祖父様の蔵書のうち、秘密の場所に隠してあった数冊の書籍の一部で、鳥のことならと、谷口を思い出してくださったのだそうです。不要なら何処か然るべき所に寄付して下さい、とおっしゃいましたが、僕が生きている間は手元に預からせて頂くようにお願いいたしました。
憧れの図鑑はずっしりと重く、帰り道は途中から奥方に持ってもらいました。計ったら6キロオーバーでした。
これからの図鑑画家人生がどのくらい残っているか分かりませんが、この「黒田図鑑」が大きなエネルギー源になることは確かです。本当にありがとうございました。