2013年03月28日

缶入り固形燃料の詰め替え考察

   もっとも手軽なストーブとして、あるいは防災用品として、まず筆頭に上がるのが缶入り固形燃料です。この缶入り固形燃料は使い捨てが前提で作られています。燃料が無くなるまでは再栓してアルコール分が揮発しない様に作ってありますが、燃料を使い切ったら空き缶は捨てるのが前提です。ところがどうした訳か、自分はその空き缶に燃料を詰め直して再利用するのが好きです。そういうのが好きなのは自分だけかと思っていたら、昔の日本陸軍で採用されていた携帯燃料も、初期のタイプでは詰め替え用の燃料があったとかで、同じ様な事を考える人はいるもんだと思ったりしました。
   本来使い捨ての空き缶を再利用したい理由は、ベトナム戦争時のレーションヒーターみたいに新規には売ってない物で、再充填して使うより他ない場合もありますが、大体は「まだまだ使えるんだから捨てるの勿体ない」的な発想です。となれば、出来る限り安く「中身だけ」手に入れば良いのですが、これが実は意外に難しい。詰め替え用の燃料としては、宴会用固形燃料を使う事が多いのですが、業務用の物ならかなり割安ですが、100均などに売ってる3つで100円とかだとかなり割高になります。
   そんな折り、焚き火の着火剤を使ったゲルネンオフが催され、煮炊き用の燃料としてジェルタイプの着火剤が活用できる事が判りました。そこでこれらを缶入り固形燃料の空き缶の詰め替え燃料として活用できるか、試してみました。


■ゲルネン
   先日のゲルネンオフで使用した、1パック25g、8パックで298円のゲルネンです。基本的にはパックに火を着けて使用するものですが(説明書きには中身を出すなと書いてある)、それを缶にいれて使います。缶はベトナム戦争時の米軍のレーションヒーターの空き缶を使いました。この缶には50gの燃料が入ります。
   問題なのは、このゲルネンは燃焼ガスが凶悪で、室内で燃やすと、ネコもクシャミするくらいの臭気と、うっかり気が付くのが遅れれば頭痛を催す有害ガスが発生します。そこで使用は屋外オンリーという事でベランダでテストしました。キャンティーンカップスタンドにレーションヒーターをセットし、その上に飯盒を置いて2合の飯を炊く事にしました。
   使用に当たっては、ごくごく当たり前に火が着き燃えました。ところが、レーションヒーターの缶は火口が小さく、その分火力もお湯を温めるのが精一杯の火力で、結局半煮え飯しか出来ませんでした。これは燃料が悪い訳ではなく、そもそも缶が小さいからそうなっただけの様です。ダイレクトにゲルネンだけで炊けば、2パックできっちり炊きあがります。逆にレーションヒーターは、のんびりゆっくり燃えて、飯盒の中の水分が無くなっても、缶にはまだ半分くらい燃料が残っている感じでした。
   燃え方は、缶入り固形燃料と同じ様な感じで、時々プチプチと爆ぜる音がしましたが、大した事はありませんでした。最後、燃え滓はカピカピに乾いたものが少し缶に残るという感じで、マイナスドライバーでこそげ落とせば、缶の中はキレイになりました。

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米軍のレーションヒーティングの缶
その名の通り、レーションを温めるための固形燃料です
今は使われていません

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由緒正しいキャンティーンカップスタンドの使い方
ただし、ご飯を炊くには火力不足でした

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燃え滓の状態
量もそんなに多くなく、カリカリとこそげ落とす事が出来ます


■キャプテンスタッグ・ファイヤーマックス
   ゲルネンは火力的には問題ないのですが、やはり燃焼ガスが凶悪で屋外でしか使えないというところに問題があると感じました。そこでその他のチューブ入りの着火剤も試してみる事にしました。この種の着火剤もいくつかのメーカーから様々出ていますが、その中からキャプテンスタッグのファイヤーマックスを選びました。というのは、近所のビバホームで240gで398円で売っていたからです。ホームズにはニチネンのが498円でした。ちなみにそのホームズでニチネンの250gの缶入り固形燃料が398円で売っています。さすがに498円も出すんだったら、新しく缶入りのを買った方が良さそうなものです。つまり、ビバホームで売っていたファイヤーマックスが辛うじて買って損しない感のある燃料だった訳です。ちなみに余所のホームセンターで、キャプテンスタッグのファイヤーブリッツという、容器だけが違うけど中身は同じっぽい着火剤は750円で売っていました。

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どちらも398円
まぁ、スプーンとか使わず「ブチュー」と入れれる手間の無さが
唯一のメリットかも。。


   このファイヤーマックスがゲルネンよりも優れてると感じたのは、無臭をうたっている事でした。つまり、燃やしても有害なガスを出さないという事です。試しにアルミホイルの上に少し出して燃やしてみたところ、ほんのちょっと糊っぽい臭いはしましたが、ゲルネンの時みたいに頭が痛くなるという事はなく、安全に使う事が出来ました。また燃やしても燃料が溶けて流れるといった事はなく、燃え滓もカピカピになったのが少し残る程度でした。これはイケそうだと感じました。

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この着火剤は、燃えてる事がはっきり判る様に
オレンジ色の炎が出る様に工夫されています

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ブチューっと全部入れました
240gですから250gの缶には丁度入ります


   これ以上半煮え飯を食いたくなかったので、この実験ではニチネンのトップ缶250gを使ったのですが、まずは普通に使えました。最初の2回は普通のコケネンと変わりません。ところが、熱でジェルが溶けるのか、段々液状化が始まり、次に使う時に一旦溶けたマーガリンがまた固まった様な状態になって来ました。触ると少しオシッコの臭いがします。
   後半からは燃やすと中で沸騰するみたいにグラグラになりました。そして液体がドンドン黒くなっていき、最後には黒い油煙を出す様になりました。こうなるともはや室内では使う事が出来ず、ベランダで燃やして処分する他ありませんでした。
   いわゆるメタノール系の燃料では、煙が出たり煤が出たりというのはあまりないのですが、ファイヤーマックスの場合、オレンジ色の炎を出すために何かしらの物質が混ざっている可能性が大です。最初の内はアルコール分だけが燃えるのであまり影響ありませんが、使っているウチにその物質だけが残っていって、最後にはその物質が燃える事で油煙や煤を出すのかもしれません。

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最初の内は普通に使えます
火力もコケネンと変わりません

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使っているウチに液状化が進み、冷えるとこんな感じになります
また徐々に臭いがきつくなってきます

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最後の方は油煙が出る様になりました
プラスチックを燃やした時の臭いもします


   当初、イイ感じに感じたファイヤーマックスですが、後半、アルコール系の燃料とは思えぬ油煙とプラスチック燃焼臭にかなり凹んでしまいました。さらには燃え滓がいかにもプラスチック燃やしました的な燃え滓で、缶も煤で大分汚れてしまいました。もともと1年使い回した缶で、捨てるつもりで実験に投入した物ですから惜しくはないですが、これが大事に使い回したい物だったら、台無しになってしまいます。
   欲を言えば、ゲルネン程度の値段と燃え方、燃え滓で、ファイヤーマックスみたいに無臭無害のがあれば良いのですが、なかなか上手く行かないものです。

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完全に燃え尽くした後の状態
プラスチックを燃した時の状態に似ています

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底に溜まっていた分は取れましたが
煤けた部分はキレイになりませんでした


■燃料アルコールを入れてみた
   缶を捨てる前に、燃料アルコールを入れてみました。燃料アルコールですから、普通に使えますが、コケネンに比べると若干風に弱いところがあります。また、トランギアスウェーデン軍アルストの様に加圧式ではないので、それこそメラメラ燃えるだけで、ああいったアルスト的な火力は望めません。
   缶がそれほど傷んでいないウチは再栓しても、中からアルコールが漏れるという事はあまりませんが、古いと蓋も多少バカになっているので、アルコールが滲み出てきたりします。バックパックの中でそうなったら目も当てられませんね。
   そこで、中にティッシュを入れてみました。これなら転かしてもアルコールがドドーっと流れ出る事は少ないです。アルコールが多めに残っている間は普通に使えます。ところがアルコール分が無くってくるとティッシュが燃え出します。すると盛大に煙りを出しますし、ティッシュを燃やした臭いが充満してしまいます。

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燃料アルコールを入れて燃やしたところ
まぁ普通に使えます

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触媒にティッシュを入れたところ
炎がオレンジ色になっています

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アルコールが燃え切ったところ
ティッシュが燃えて盛大に煙りを出しています
燃え残ったティッシュが缶にこびりついてエラい事に


■結論
   この様な感じで色々試した訳ですが、火力的には問題ないものの、臭いとか燃え跡など、運用面で色々問題を感じました。費用面で採算を感じるのは、せいぜいゲルネン程度で、あとは新規にコケネンを買った方が良い様に感じました。特にホームズではニチネンの600gのトップ缶が598円ですので、これを使った方がなんぼ経済的か、という事です。
   それにも増して感じたのは、燃料アルコールがコケネンに比べて安価である事。カセットガスやレギュラーガソリンと比べたら高いですが、250gのトップ缶が398円に対して、燃料アルコールは500mlで291円です。無論液体ですので、固形に比べたら缶に入れて持ち運んだりといった面で不利がありますが、安さには敵わないと感じました。
   また、加圧式のアルストが如何に優秀であるかも感じました。米軍のレーションヒーターとトランギアTR-B25は火口の大きさとしてはほぼ同じですが(だからTR-B25はキャンティーンカップスタンドで使える)、TR-B25の方はしっかり飯を炊いたりオージービーフを焼いたりする火力を持っているのです。値段は確かに2000〜2300円しますが、コケネンを4〜5回買う事を思えば十分買える値段です。今後先々キャンプしないよ、という人ならコケネン勧めますが、先々も使う予定があるなら、アルストを勧めます。

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598円で250g缶2個を充填可能w 1個当たり299円

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初期投資としてはコケネンより確かにお金掛かりますが
十分に元を取れるだけの性能と耐久性を持ってます



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tanisi_corp at 21:00コメント(0)野営雑文 

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