探花

題詠ブログをやりたいがために。短歌、俳句、川柳

西中眞二郎さん 十首

まことに僭越ながら

ことさらに奇をてらわない、堂々とした楷書のような歌の数々です。文語詠とはいえ、内容は平易で、ほとんど意味不明なところもありません。主題をやたらと難しく考える必要はないのだ、ということを教えられました。とはいえ、同じような歌が詠めるかというととても及ばないことはいうまでもありません。またところどころにおかしみの漂う歌があり「なんだよ~」とつぶやいているさまを思い浮かべました。

・参道
に小さき篝火燃えていて神楽見に行く夜の寒からず

・絹の道を描きし画伯も既に亡く駱駝の上に夕月掛かる

・「でたらめ」はいかがわしいが「ランダム」と呼べばいささかもっともらしき

・作業場の落ち葉掃きいる男あり秋深まりし夕べの散歩

・冬至近き日のはや落ちし公園に子ら遊びおり高き声して

・来たのかと思えば回送電車にてホームの椅子に坐り直しぬ
(「秋葉原メイド喫茶の女の子我を無視してチラシを配る」とどちらをとるか迷いました)

・人多き「励ます会」の片隅で所在なきままビール飲みおり

 ・
霧深く杉の木立に雨降れば根本大塔の朱のおぼろなる

・総(ふさ)飾り付けた帽子の一年生混みし電車で踏ん張りており

・意味もなく我を張る友の一人あり古希過ぎてよりの同期の集い
 

夏実麦太朗さん 十首

まことに僭越ながら

全体として柔らかな言葉遣いで、巧いのですが巧いぞ、という威圧感がないところが美点だと思います。ユーモアを感じる歌も多く、そのユーモアも爆笑させられるというよりは、くすっと笑わさせられる類のものです。自然な語り口がたいへん勉強になりました。

005:姿 闇に立つ観音菩薩立像に姿勢の悪い何体かあり

狐か狸が化けているんではないかという想像をかきたてられます。細かい視点が魅力的です。

020:幻 
幻のねぎラーメンは確実に一日十食あるということ

それは幻と言っていいんでしょうか(笑)

023:蜂 うつろなるアルミサッシの溝のなか蜂のなきがら鮮やかにある

映像的に美しいです。私はこういうものを詠もうと思っても詠めません。しかしもし詠めたとしたらのちの「虚」か「溝」で使っておけばよかったと後悔したかもしれません(笑)

032:町 市は町をのみこんでゆき何ひとつ昨日と変わることのない空

町から市になったからといって都会になったというわけじゃなし、という住民の声が聞こえてきそうです。

042:至 働きのわるいはたらき蟻たちは夏至のかげりをよろこんでいる

三割ぐらいはそういうのがいるようです。夏至はわりと簡単に思いつきそうですが、このようになめらかにつなげてユーモアを漂わせている点が魅力的です。

054:丼 うな重やうな丼が好きなだけだろううなぎが好きと言ってるひとは

私もうなぎそのものには触れたことがありません

067:励 励ましの言葉をかけているときの後ろめたさを憎みにくまず

悪気があるわけじゃないんです、ただ何と言っていいか分からないだけです。

073:自然 つれづれの自然界には正座してしびれをきらす馬がいるかも

確かにいるかもしれません、しかし見たことがありません。同様におならをする猫も見たことがありません。

087:閉 ひもすがら開く閉じるをくり返す高速道路入口の棒

これは滑稽なのか、それともさびしい光景なのか。いろいろ想像させられます。

096:取 おさかなを取りそこなったあざらしの心配をするがすぐに忘れる

私の場合は心配をしたことにすら気づかないかもしれません。

なお、説明がつけられないが好きな歌として

019:層 
大空がいろんな色に変わるから高層ビルは群れになりたい

069:箸 売れ残る箸の螺鈿のきらびやか刹那の恋の行方は知れず
 

完走報告(おおみはじめ)

ただいま完走したことをご報告申しあげます。初参加ということで、内容はともかく完走だけを目標としてまいりました。とはいえ、あまりにも拙い歌の数々で、このような言い訳すらむなしく思えます。ペースを落としても十分に余裕があることが明らかになってなお勢いはとまらず、その分歌のクオリティは下がる。かといって熟考すればよい歌が生まれるのか、そういったジレンマにも直面しながらの日々でしたが、よい経験をさせていただきました。このような場を提供してくださっている五十嵐きよみ様に改めて御礼申し上げます。また、拙い歌の中にも見るべきものがあると考えてくださっている方がおられることを知って励みとさせていただきました。次回はより人に見られて恥ずかしくない歌をめざしていきたいと思っています。

なお百一番目の歌として

ハイドンのひそみにならい題詠を終えた最初の歌「時計」とす

※交響曲101番「時計」

100:完(おおみはじめ)

百首詠むことを完うしたことを誇れるほどの歌を詠みたし

099:惑(おおみはじめ)

ホルストの惑星全部聴いている人はあんまり見たことがない

098:味(おおみはじめ)

味噌汁の味の薄さに耐えかねて醤油と味の素を加える

097:毎(おおみはじめ)

毎日という目標を掲げては後悔しきり分割払い

096:取(おおみはじめ)

取り巻きと話す笑顔の明るさに宴会場の出口を探す

095:遠慮(おおみはじめ)

遠慮なく相談せよと言いながらつねに上から目線の言葉

094:裂(おおみはじめ)

縦に裂く袋のポテトチップスが男の部屋に置き去りにされ
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