丹沢 大滝登り&大滝見物NO1 世附大滝の登攀
世附大滝地図




世附大滝周辺図










 丹沢の沢の過去の記録をいろいろ調べたことがある。世附大滝も過去に登られていた。詳しい資料は手元にないが、東京雲稜会の南博人(谷川岳対立岩初登攀)氏ら3人が登ったとのこと。10時間あまりを要した。ハーケンのみで登った、と自分のメモ帳には書いてある。
 今回はこの登攀のためにハーケン12本、ボルト8個を用意した。
1回目
 あまり悲壮感をもたずにのんびりやるつもりで東京を立った。途中の渋滞などで浅瀬には9時過ぎとなる。そこから林道を辿って11時と大幅に遅くなって到着した。
 さっそく大滝の偵察。ツルツルの岩壁で、ボルトも打たずにハーケンのみでよくこんな所登ったな、と先人達の登攀に畏敬の念を抱く。
 滝はすさまじい水量の水を落としていて近寄ると水しぶきであっという間に水浸しになる。なのでかなり戻った川原にて支度する。リュック等はここにデポしておく。大釜の左の岩場沿いに進んでいきテラス上に上がる。
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大滝の水飛沫が凄いためかなり手前で支度し、荷物をデポした

























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今回、大滝を登攀したルート。上の途中は壁に隠れて見えない





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下から数m登った大テラス。ここからビレーして登攀開始した





















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ハーケンを打つが確実に効いている感覚がない。数本打つうちに水飛沫でずぶ濡れに。たまらず雨具を着て再開



















 大滝の水の落下水圧で周囲は霧のように水滴が待っていて雨具を着ていてもビショビショだ。
 大テラスから、滑る岩場を慎重に登っていくとリッジ下に過去の残置ハーケンがあった。
 掴むとパラパラと鉄屑が落ちて壊れそうになる。あわてて手を離すし、そこにハーケンを打ち込む。そこから1m右に進むとリッジとなった。雲稜会のルートは右斜め上を登ったのかもしれない。しかしその痕跡はまったくないし、登れそうな気にもならない。
 このままリッジを直上することにする。水飛沫が凄くて何度か交代し途中でハーケンを3本打ったがどれもなかなか入らず、リス探しに大幅に時間を食う。
 数m上は岩が固まったような状態で細かいリスすらなくなる。無理してハーケンを打ち込むが、あっけなく跳ね返されて下に落ちた。
 ここからはジャンピングを使いボルトを打つことにする。ボルトを実践で打つのはほぼ初めてなので、穴の深さに不安が残る。1cm穴をあけ、ボルトを打ち込む。ここで交代のため下と交代しようとボルトにスリングをかけて体重をかけたらボルトはスポッと抜けて、そのまま転落した。上のハーケンに付けたカラビナでザイルが止まった、しかしそこから振り子のように岩壁に激突したあと安全ベルトにショックが来た
 脇腹にショックがかかりしばらく息ができず。とりあえず下のA氏と交代する
抜けたボルト穴をさらにジャンピングで深く穴をあけてボルトを埋め込む。
再び荷重したらまた抜けてしまいA氏も3mほど落下。
 そのあとは再度穴を完璧にあけてボルトを打った。
 下山時間も迫った来たのでここで終了して下山することにした。
2回目
 帰宅して数日後も脇腹が痛むので医者に行ったところロッ骨にヒビが入っているとのこと。長い山登り人生で初めて骨折の経験だった。20日ほど安静に生活した。
 ヒビも完治したので再び大滝を登りに行くことにした。
 今回は前回を反省して5時前に東京を出発した。浅瀬に車を止めて9時過ぎには大滝下に到着した。今日は前回と違って晴天だし風もない。なので水しぶきをあまり被らないだけ楽だ。
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2回目は最初から雨具で完全防水し、ルートも一番上のボルトからなので楽だ




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上のテラスに上がるのにホールドがなくて、無理矢理ハーケンを打ち、それをホールドにしてテラスに上がった


















 大釜から3m登り大テラスへ。ここでビレーしてトップで登る。3m上のボルトは前回正しく打ち直したので今回は問題ない。そこからさらに登りアブミに乗ってジャンピングを打つ。雨具の上ら水しぶきがかかりキツイ作業となる。ボルトを埋め込みA氏と交代
 あと2mあまりで上のテラス状に出られそうだ。A氏はジャンピングを打ち、さらに新しいボルトを埋め込んでアブミに乗るが、まだ上にあがるのにホールドがないようだ。ここで浅いリスにハーケンを打つが曲がってしまう。スリングをタイオフしてそれをホールドにして上に出た。
 上のテラスは外傾していて安定していなようだ。そのまま少し登ってボルトを打ち、その先でピッチを切りコールがかかった。
 リッジを登り最上段のボルトからタイオフのハーケンにバランス程度に手をかけて上のテラスに出た。ここは外傾していて、リスもないためビレーは取れない。
 ここから1m登ると上がハングした状態となる下はスッパリと切れ落ちていて滝の水流がゴーゴー轟いていて凄い。ここから3mほど右上していくと3人くらい座れるテラスでA氏がビレーしていた。ここまでが1ピッチだろう。
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上からのザイル合図で登りだす。眼下は大滝の水飛沫と濁流のような水量と轟音で、別の世界に入り込んだ感覚になる






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ハング下をトラバースして、上のA氏の間近に上がる








 トップを交代して自分が登りだす。テラスから一旦1m降りてから、左の岩壁際沿いにトラバース開始。見た目ほど悪くない。 黒っぽいスラブの箇所は滑る。ランニングビレーは木の枝にしていく。10mほど登ると木がありそこでビレー。その上は緩やかとなり滝上に出た。
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左壁沿いをトラバースして登る。上から見たA氏。滝は相変わらずの凄い水量と轟音






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上の安定した場所でビレー。A氏が登りだす




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滝上は静かな沢音となり
平和な風景が広がっていた

 





いままでの轟音と打って変わってしずかな沢の流れる音が聞こえた。
なんだか正気に返ったような静かさ。
あとは林道に上がりデボ地点で大休止。
お茶も飲んで今回の登攀を思い返したりした。
2回目は途中までのルート工作などで短時間で登ることができた
登攀時間2時間30分

次回の大滝登り&大滝見物は
丹沢山塊 最強最悪な大滝 西沢本棚沢70mの登攀 の予定