梅雨時らしく、湿度が高くて不快ですねぇでも、サラリーマンおじさん、満員電車も仕事も頑張ってますさて、今日はちょっと前に読み終えた一冊をご紹介します。本ブログの「本カテゴリー・501作目」です。

地元の市立図書館で「新刊」のところにあったので、迷わず手をのばしてしまいました。

さて、作品の内容に入る前に「なぜ、まだ”重松清”を継続して読むのか」について考えてみました。何故なら・・・直木賞作家であり、非常に有名な作家さんの新刊だから「それって全然ヘンじゃないじゃん?」って思われるかも知れませんが、僕のまわりの「本好きな人」は、おおむね「シゲマツ作品は数冊で卒業していく」からです。何年か前、小学生時代の娘から「お父さん、まだシゲマツさん読んでるの?」と半ば呆れられたことがありました。家族では、先天的な本好きの妻からも呆れられています。そして今回はこう言われました。「後天的な本好きはシゲマツさんにハマるのかも」と。そういう観点で、本作・・・すなわち(誤解を恐れず言えば)「まったくもって全作は同じ傾向にあるシゲマツ作品は”童話”である」と感じました。そう、童話なら「好んで読み続ける人」「何作品かを読めば卒業していく人」に分かれますよね。この表現が正しいか、は分かりませんが、個人的にはしっくりきました。

さて本作・・・Amazonによる商品紹介を引用させていただきます。昭和の子どもたちの人生はやり直せる。新たなるメッセージが溢れる最新長編。元子役の映画監督・小松亘(ワタル)氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマのロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る。その代表者は初恋の相手、成瀬由美子(ナルチョ)だった。少年ドラマ、ガリ版、片思い―― あの頃を信じる思いが奇跡を起こす。もうこれだけで「シゲマツワールド全開」って感じですよね(笑)。

印象的だった箇所です。
主人公の一人、沖田杏奈の祖父・徹夫は50代後半で妻(紹子さん)に先立たれ、70代で一人暮らしです。そんな徹夫さんは、毎朝ご飯を炊いて朝食を食べていることに対し、息子・直樹さんに「パンにした方が楽じゃない」と言われるシーン。「70才を過ぎてまで好きでないものが食えるか」と言います。直樹さんに「いや、でもご飯を毎朝いちいち炊くのは大変じゃない?」と言われると「よけいなお世話だ」と言い、(中略)「おまえ、母さんの仏壇に、ゆうべの残りの飯を供えるつもりなのか?」う~ん、超シゲマツさんらしい良いシーンだと思いました。そのずっと後に出てくる徹夫さんが紹子さんに行ったプロポーズの言葉が、これに繋がります。俺、金持ちにはなれないけど、もしもおまえが学校の先生を辞めることになっても、絶対に仕事を頑張って、毎朝、炊き立てのほっかほかの白い飯、食わせてやるから・・・今の時代では「食わせてやる」等に対し、一部では反論を呼びそうな言葉ではありますが「シゲマツワールド」内では超スタンダードな「良い言葉」ですね。

最終シーン。
本作品は1973年、たんぽぽ団地が一番栄えていた時代から、取り壊しが決まった現在に至るまでの様々な時代をタイムスリップできる、SF的なファンタジーに仕上がっています。(前略)なぜか急に咳き込んだ小松亘カントクは、大いに盛り上がる中庭をあらためて見渡し、満足そうにうなずいた。そして、手に持っていたメガホンを口にあてて、ひと声、高らかに吠えた。「カ-----ット!」・・・エンドマークは、もちろん<The End>ではなく、<Good-Bye>になるはずだ。ふむふむ、数多く読んだシゲマツ作品の中では「まあ、こんなもんか」と冷静に思ってしまう自分がいる反面。まだまだ「シゲマツ作品」を卒業できない自分を知る作品でもありました。

単身おじさん評価:★★★★☆(おもしろい・読んで良かった)

重松清「たんぽぽ団地」