鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
著者:上橋 菜穂子
KADOKAWA/角川書店(2014-09-24)
販売元:Amazon.co.jp

鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐
著者:上橋 菜穂子
KADOKAWA/角川書店(2014-09-24)
販売元:Amazon.co.jp


襲いかかる黒い生き物。
短期間で死に至らしめる疫病。
生き残った者と、生かそうとする者。

あいかわらず分かりやすい言葉で、深くて衝撃的な物語を描き出す作者ですねぇ。
分かってはいるものの、ストレートに心に響くので、読み始めるのに勇気が必要だったりします。

2人の主人公、ヴァンとホッサルは、相反しているように見えても「生」に執着するところは一緒かもしれない。
おそらく日本人よりも切実に。
そんな気がする。

オタワルの技術はいわば西洋医学であり、祭司医の技術は東洋医学なんでしょうね。
どちらも良い部分と危険な部分があるのを、現代日本に生きる私は知っているから、手を取り合えない二つの世界に非常にもどかしさを感じました。
医術の知識、治療の話はとても面白かったです。

ヴァンの養い子であるユナちゃんは、とっても可愛いなぁ。
ストーリーが進むごとに少しづつ成長していってる表現に、思わず頬が緩みますよ。
ラストシーンは、ユナちゃんを心から応援したくなりました。

ユナはきっとヴァンを見つける。
そして、みんなでまた幸せに暮らせると信じてる。
ヴァンの夢は、きっと叶う。