高年齢雇用安定法が改正されました。
改正の内容を一言で言えば、『従業員が希望すれば、65歳まで雇用すること』です。

今までも、65歳までの雇用確保措置として、次の3つが義務付けられていました。

(1)定年の定めの廃止
(2)定年の引上げ(65歳以上)
(3)継続雇用制度の導入

平成24年6月1日現在の企業(31人以上規模)における調査では、定年の廃止や定年の引上げ措置を講じたところは少なく、82.5%が継続雇用制度を導入しています。
継続雇用制度とは、定年後に、希望者全員を再雇用、あるいは、労使協定により基準を定めている場合は、その基準を満たしたものだけを再雇用する制度です。

しかし、平成25年4月から、厚生年金の受給開始年齢が引上げられ、現在の高年齢者雇用制度のままでは、基準を満たさないため雇用が継続されず、また、年金も支給されないため無収入となる者が生じる可能性があります。
そこで、今回の改正で、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止」され、希望者全員を継続雇用制度の対象とすることになりました。

とはいうものの、この改正には対象者を除外できる2つのポイントがあります。

(1)心身の故障のために業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合は、継続雇用しないことができる。
(2)平成25年4月1日の施行までに、継続雇用制度の対象者を限定できる基準を設けている場合は、厚生年金の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、基準を引き続き利用できる(12年間の経過措置)。

もし、継続雇用制度を導入しており、労使協定による基準を満たした者を再雇用する場合は、早急に「労使協定による基準」を締結する必要があります。