みなさま、すっかりご無沙汰して申し訳ありません。 
 さて、年末のブログでお知らせしましたが、この度HPをリニュアルし、ブログもサイト内に引っ越しました。
 新しい記事もアップしましたので、よろしかったらご覧になってください。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

                          心理面接室TAO  藤坂圭子
                          HP:  https://tao-okayama.com

 おかげさまで、心理面接室TAOは今年の11月で10年目に突入しました。
 これまで300人以上のクライエントさんにお越しいただき、期間の長短はありますが、それぞれの方の大切な人生にかかわらせていただきました。私が想像もできなかったような世界を生き延びていらっしゃっる方、目を見張るような素敵な感性を持っていらっしゃる方、貪欲に自分らしさを追求なさっている方などと毎日しみじみとお話を交わし、素敵な時間を過ごさせていただいています。
 
 そんな中で、生きづらさの要因として、主に次の二つのことが挙げられるのではと思うようになりました。

 まずは、自分を肯定できないということ。今までも何回か書きましたが、幸せ感を得られるかどうかは、ひとえに自分を許せるかどうかにかかっている気がします。そして、自分を許せるかどうかは、人から許される体験があったかに左右されます。ここにいらっしゃる方々は、残念ながらその体験が希薄です。TAOでできるだけ温かな人間関係を味わって、自尊心を取り戻していただきたいです。こんな自分だけれど、精一杯生きてきたし、今もそうだと。何をなしたかとか、一般的なレールに乗っているかなどとは関係ありません。

 また、苦しみの渦中にある方は、何がどうなっているか全く分からず、多くの場合自分を責めていらっしゃいます。もちろんその感情も尊重しますが、加えて、論理的に考えること、俯瞰的な視座を持つことも必要です。
 自分がどういう文化風土の中にいるのか、それは自分の傾向と合っているのかどうか、冷静に考えてみることです。しょせん自分にはコントールできない事態だってあります。いろんな人がいて、全ての人に寛容でいるのは無理です。
 日本では、自分を大切にすることをあまり教えられません。人の気持ちを考えましょう、迷惑を掛けないようにしましょう、みんな仲良く、友だちは多い方がいい…。それはキレイごとです。
 まず自分に立ち返って、今自分がいる社会の中で、一番楽で適切な振舞い方はどうなのか。現実的な話もたくさんお伺いしながら、ご一緒に探っています。「自分軸」ができれば、不安や恐怖感は軽減されてきます。

 こうして、「私」の人生を生きるための取り組みを地道に続けていると、変化は突然思いがけないところから起こったりします。信頼できる人との出会い、新しい場へのいざない、いい転職の話や財産が転がり込んだり。身近な人の死によってハッと目覚めた方もいらっしゃいました。
 クライエントさんも私も、キツネにつままれたような気分になります。
 「念ずれば通ず」「求めよ、さらば得られん」「天は自ら助くる者を助く」です。
 私の師の富士見ユキオ氏は、「自分が治したと思ったことは一度もない。タオが治したんだ」と言われましたが、本当に身に沁みて感じます。

 さて2025年、どんなクライエントさんにお会いできるか楽しみです。この難しい世をともに生き抜く同志として、お付き合いできたらと思います。
 また、年明けしばらくして、HPをリニューアルする予定です。このブログもサイト内で書ける形になります。よろしければまた読んでください。

 2025年がみなさまにとって良い年になりますように。また、力及びませんが、世界の平和を心より祈念いたします。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

                          心理面接室TAO  藤坂圭子
                          HP:  https://tao-okayama.com

 去る11月8日金曜日、私は還暦にして初の、骨折というものをしてしまいました。
 スクールカウンセラーとして勤務している小学校で、子どもと遊んでいて転んだのです。私の浅はかさが招いたことで、いくら関係づくりとは言え、場と歳をわきまえず走ったのは、本当にいけませんでした。

 ひねったくらいだろうと思っていたのですが、あまりに痛いのでレントゲンを撮ると、何と右手首の骨折ということ。医師からは、1ヶ月半ほどギプス固定でも治るが、手術をした方が回復は早いし予後もいいと言われました。たくさんご予約いただいているのにどうしようとクラクラしましたが、やはり医師から、こういうときが仕方がないんだよとたしなめられ、思い切って手術をすることにしました。これも、人生初です。

 それから大病院を紹介され、手術も病室もかなり埋まっているところを無理にねじ込んでもらい、結局、月曜に入院、火曜に手術、退院は早めてもらい水曜に、その日の午後から面接という強行突破の1週間となりました。
 手術は右手首内側に固定のためのプレートを入れるものでした。術後はギプスなしの包帯だけで、日に日に右手が使えるようなります。痛みも腫れもかなり収まりました。あとは、リハビリと日にち薬です。多分年内には不自由はなくなっています。医学の進歩と、人間の回復力はすごいです。

 ありがたいことに命に別条があったわけではなく、後遺症も心配なく、たいした怪我ではなかったのですが、何だか不思議な体験でもありました。
 骨折後数日は利き手が全く使えず、全身が思い通りにならなずギクシャクし、日常も吹っ飛び、急に別世界の人になりました。
 手術は局所麻酔でしたが、睡眠剤を処方してもらったので、疲れもあってか始まる前から爆睡し、気が付いたら終わっていました。はて、私はどこにいたんだろう? 
 麻酔が解けるまでの腕はだらんだらんで、全く自分の物でなくなってしまったような淋しさがありました。
 何だか黄泉の国に行って帰って来たような感じです。
 
 考えてみれば、人生は瞬間瞬間、喪失や離合の連続です。そして、いずれは本当にあちらに行くのです。
 「生死一如」。「生」も「死」も大差ないのではと思うと、何だか謙虚な気持ちになりました。何かを喪失した感じと、いや喪失せねばならないという思いも強くしました。
 
 最近、ご自身や周囲の方の怪我などの報告を複数受け、なんでこんなことが起こるのだろう? 何のコンステレーションなんだろう?と、一緒に首をかしげていたところでした。何だかキツネにつままれたようです。
 恐らく、その方たちも私も、C.G.ユングの言う「死と再生」のプロセスにあるのでしょう。新しい自分になるためには、古い自分を捨てなければなりません。そのためには、何かが「折れる」、「くっつく」といったようなことが、象徴的に起こることがあります。  
 入院中に読んだ、今年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏の「すべての、白いものたちの」も、「生」と「死」を行き来する、透明感にあふれた作品で、ピッタリでした。

 おかげさまで、この11月、TAOを開室して10年目に入りました。
 その間、昨年の父死去の際以外にご予約をキャンセルさせていただいたことはなかったですが、この度は骨折後の三日間ほど、キャンセルをお願いせざるを得ませんでした。申し訳ないことですが、甘えさせていただきました。
 ただ、代わりがいない仕事なので、ちょっと無理をしてしまったかもと思います。
 今度何かがあったら、もうちょっと甘えさせていただくかもしれません。トシもトシですし…。
 それに、いい加減バタバタ動くのを控えて、もうちょっと大人らしくならなければ。何事にも限界があります。

 生きているといろんなことが起こります。そんなこんなをクライエントさんと共有しつつ、これからも、TAOに委ね、大船に乗ったつもりで歩んでいけたらと思います。

                          心理面接室TAO  藤坂圭子
                          HP:  https://tao-okayama.com   

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