先週金曜日の、イギリスEU離脱のニュースはショックでした。イギリスに限らず、世界中が排他主義の分断の危機にあり、とても憂慮しています。
イギリスはユーロを採用していなかったので、話は少しズレますが、私はユーロが導入された2002年1月1日の夜に、フランス人の知人を訪ねてパリに入りました。翌2日から、初めてのパリをあちこち回りました。日本で両替したピンピンのユーロを持って。
大変な混雑でした。町のスーパーもパン屋も駅のキオスクも、ルーブル美術館もベルサイユ宮殿も長蛇の列です。現地の方がフランで支払い、そのお釣りを電卓で計算してユーロで返金するので手間がかかっていたのです。でも、誰一人不満を漏らす気配はなく、むしろとてもうれしそうな雰囲気でした。私の知人も、「ヨーロッパが一つになる!」と大喜びでした。日本人観光客の私にとっての「ユーロ」は、単なる外貨の一つにすぎませんでしたが、現地の方々には特別なものとして歓迎されていました。
その前年はウイーンにいたのですが、広場にはヨーロッパ各国の国旗が立ち、ホテルにはユーロコインを象ったチョコレートが置かれ、既に「ユーロ導入まであと1年!」という高揚感に沸き立っていました。
その後数年のうちに、中央ヨーロッパなどの、心は豊かだけれど、大国に比べて明らかに経済格差のある国々を訪れたとき、「この国もあと〇年後、ユーロになる」とうれしそうに語るのを聞いても、大丈夫なのかなあという懸念を抱いたのも事実ですが、まさか、ユーロが、EUがこんな風になるとは、本当に残念です。
ところで、当面接室の「TAO(タオ)」は中国古代思想家の老子の理念から命名しています。「タオイズム」の原点は、対立しあうものの合一です。世界も個人の内面も、さまざまに対立する陰陽両面からなっています。光と影、火と水、善と悪、清と濁、愛と憎しみ、喜びと怒り、変化と安定、強さと弱さ、安心と不安、女性性と男性性…etc.
そのどちらか一方を排斥するのでなく、両面を受け入れ統合してホリスティック(包括的)に全体性を生きることが、ゆったりとした心の平安をもたらし、その人本来の充実した人生を可能にするという考え方です。
一方だけに固執した一面的な生き方(行き過ぎた正義感、道徳主義、ポジティブ志向、民族主義、極端な男らしさ、女らしさ…)は、一見格好良くても、どこかでバでランスを崩し、いずれ病気や事故、その他さまざまな困難を招きかねません。
今世界中で起こっている分断は、個人内の分断まで助長しかねないような気がして怖いです。または、逆の現象が起こっているのかもしれません。
ちなみに、whole(全体の)、holistic(全体的)、health(健康)、holy(神聖な)は、みな語源は同じだそうです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
イギリスはユーロを採用していなかったので、話は少しズレますが、私はユーロが導入された2002年1月1日の夜に、フランス人の知人を訪ねてパリに入りました。翌2日から、初めてのパリをあちこち回りました。日本で両替したピンピンのユーロを持って。
大変な混雑でした。町のスーパーもパン屋も駅のキオスクも、ルーブル美術館もベルサイユ宮殿も長蛇の列です。現地の方がフランで支払い、そのお釣りを電卓で計算してユーロで返金するので手間がかかっていたのです。でも、誰一人不満を漏らす気配はなく、むしろとてもうれしそうな雰囲気でした。私の知人も、「ヨーロッパが一つになる!」と大喜びでした。日本人観光客の私にとっての「ユーロ」は、単なる外貨の一つにすぎませんでしたが、現地の方々には特別なものとして歓迎されていました。
その前年はウイーンにいたのですが、広場にはヨーロッパ各国の国旗が立ち、ホテルにはユーロコインを象ったチョコレートが置かれ、既に「ユーロ導入まであと1年!」という高揚感に沸き立っていました。
その後数年のうちに、中央ヨーロッパなどの、心は豊かだけれど、大国に比べて明らかに経済格差のある国々を訪れたとき、「この国もあと〇年後、ユーロになる」とうれしそうに語るのを聞いても、大丈夫なのかなあという懸念を抱いたのも事実ですが、まさか、ユーロが、EUがこんな風になるとは、本当に残念です。
ところで、当面接室の「TAO(タオ)」は中国古代思想家の老子の理念から命名しています。「タオイズム」の原点は、対立しあうものの合一です。世界も個人の内面も、さまざまに対立する陰陽両面からなっています。光と影、火と水、善と悪、清と濁、愛と憎しみ、喜びと怒り、変化と安定、強さと弱さ、安心と不安、女性性と男性性…etc.
そのどちらか一方を排斥するのでなく、両面を受け入れ統合してホリスティック(包括的)に全体性を生きることが、ゆったりとした心の平安をもたらし、その人本来の充実した人生を可能にするという考え方です。
一方だけに固執した一面的な生き方(行き過ぎた正義感、道徳主義、ポジティブ志向、民族主義、極端な男らしさ、女らしさ…)は、一見格好良くても、どこかでバでランスを崩し、いずれ病気や事故、その他さまざまな困難を招きかねません。
今世界中で起こっている分断は、個人内の分断まで助長しかねないような気がして怖いです。または、逆の現象が起こっているのかもしれません。
ちなみに、whole(全体の)、holistic(全体的)、health(健康)、holy(神聖な)は、みな語源は同じだそうです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com