昔々、ひどい干ばつで困っていた村がありました。
そこで、村人は相談して評判の「雨降らし男」を招くことにしました。
「雨降らし男」はやってきて、小屋を作ってそこに3日間籠りました。
3日目に村人の願い通り、雨が降ってきました。
村人は喜んで、「一体何をして雨を降らせたんだ?」と聞きました。「雨降らし男」は「私は何もしていない。自分を調えて、タオ(道・天の秩序)に従っていただけだ」と答えました。
まさに、老子の説いた「無為自然」ー「タオ」に従う生き方こそが真の調和を生む、ということを教えられます。内面が調うと、外面も調うのです。
また、これはユングが、「共時性(シンクロニシティ)」を説明するのに、好んで引用した逸話だそうです。「共時性」は「意味のある偶然の一致」と言われますが、実はまんざら「偶然」でもないのかもしれません。
私が勉強している「プロセスワーク」の創始者のアーノルド・ミンデルは元量子物理学者でした。最新の量子物理学では、意志も一種の波動だととらえるのだそうです。だから、私たちの「思い」は、心の中だけにとどめて表明しなくても、外界に影響を与えることが可能だと言うのです。
そうすると、例えば「祈る」という精神活動も、決して単なる気休めなどではなく、大いなる実践活動だと言えます。
クライエントさんの中には、カウンセリングを始めて間もなく、大きく変化する方がいらっしゃいます。カウンセリング自体の効果だけではなく、日常の中で何かしら意味のある出来事がクライエントさんにもたらされるのです。きっと、「カウンセリングを受けたい。自分を変えたい」と思う、その心の動きそのものが、外界をも動かしているのだと思います。
もちろん、もっと時間を要する方もいらっしゃいますが、その時その時を「タオ」に従って誠実に歩んでいくと、いずれ変化の時が訪れるものです。
無駄な動きを止め、力を抜いて自分自身をよく見つめ、ありのままの自分を受け容れて、流れに任せることです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
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