今、「働き方改革」が叫ばれています。法整備が検討され、労基の監督が厳しくなり、テレワーク等の新たな勤務形態も工夫され、長時間労働は少しずつ是正の方向に向かっていると思います。
しかし、それで私たち日本人の生活や心は、本当に豊かになっていくでしょうか?
そもそも、どうして日本人はこれまでこんな過酷な長時間労働をいとわなかったのでしょう。
私の欧米人の友人は、日本人の働きぶりをよく「クレイジーだ!」と言います。県庁の明かりが夜遅くまで煌々と照っているのを見ても、決して「残業」をしているとは信じません。
日本人にとって時間外労働は当たり前。定時にさっさと退社すると白い目で見られます。人と足並みをそろえて残業していないと、評価や帰属感が得られないのではという不安に駆られます。
日本は「グレートマザー」の強い母性社会です。周囲を巻き込み一体感を重んじ、基本的に個人の自由や自立を好みません。日本人にとって一番大切なのは「空気」、一番怖いのも「空気」です。「みんなが残るなら残る」「みんながノーと言わないなら言わない」。
そんなふうにして会社に身を捧げていると、家庭生活がおろそかになり、家族に疎まれ、「亭主元気で留守がいい」となります。家にいるより会社にいる方がマシで、ますます長時間労働が常態化していきました。
でも、「終身雇用・年功序列」制度に守られているので、まあこんなものかと思うしかありません。
こうして、戦後日本は奇跡的な復活を遂げ、世界第2の経済大国にまで成長しました(今は落ちましたが)。私たち現役世代はその恩恵に浴しているのですから、感謝しなければなりません。
でも、現在、その世代の方々の老後はというとどうでしょう。子や孫の心配は絶えず、認知症、老老介護、孤独死は急増で、「下級老人」という言葉さえ生まれる時代になってしまいました。本当に残念です。
戦後は「第2の軍国主義」とも言える時代だったと思います。暗黙の裡に「滅私奉公」が求められ、「出る杭は打たれる」とか「長い物には巻かれろ」というような風潮の中で、「自分」を作る余裕はなかったでしょう。意見を主張し、家庭を大切にし、人生を楽しむということができなかったばかりでなく、次世代がうまく育たず、社会全体が非常に不安定になっています。
「働き方改革」に甘えてもいられません。働く世代が「空気」に流されない確固とした「自分」を作っていかないと、この連鎖は止められないのではないでしょうか。
ネガティブな「グレートマザー」(女性や母親だけの問題ではありません)から心理的に自立し、自分自身を大切に生きることにもっと価値を置くべきです。そうしてこそ、他者を尊重でき、次世代を強く育むこともできると思います。
個人と社会の幸せのための「働き方改革」ですから、「生き方改革」も伴わないと、この空転状態がさらにこじれることになりそうで怖いです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
しかし、それで私たち日本人の生活や心は、本当に豊かになっていくでしょうか?
そもそも、どうして日本人はこれまでこんな過酷な長時間労働をいとわなかったのでしょう。
私の欧米人の友人は、日本人の働きぶりをよく「クレイジーだ!」と言います。県庁の明かりが夜遅くまで煌々と照っているのを見ても、決して「残業」をしているとは信じません。
日本人にとって時間外労働は当たり前。定時にさっさと退社すると白い目で見られます。人と足並みをそろえて残業していないと、評価や帰属感が得られないのではという不安に駆られます。
日本は「グレートマザー」の強い母性社会です。周囲を巻き込み一体感を重んじ、基本的に個人の自由や自立を好みません。日本人にとって一番大切なのは「空気」、一番怖いのも「空気」です。「みんなが残るなら残る」「みんながノーと言わないなら言わない」。
そんなふうにして会社に身を捧げていると、家庭生活がおろそかになり、家族に疎まれ、「亭主元気で留守がいい」となります。家にいるより会社にいる方がマシで、ますます長時間労働が常態化していきました。
でも、「終身雇用・年功序列」制度に守られているので、まあこんなものかと思うしかありません。
こうして、戦後日本は奇跡的な復活を遂げ、世界第2の経済大国にまで成長しました(今は落ちましたが)。私たち現役世代はその恩恵に浴しているのですから、感謝しなければなりません。
でも、現在、その世代の方々の老後はというとどうでしょう。子や孫の心配は絶えず、認知症、老老介護、孤独死は急増で、「下級老人」という言葉さえ生まれる時代になってしまいました。本当に残念です。
戦後は「第2の軍国主義」とも言える時代だったと思います。暗黙の裡に「滅私奉公」が求められ、「出る杭は打たれる」とか「長い物には巻かれろ」というような風潮の中で、「自分」を作る余裕はなかったでしょう。意見を主張し、家庭を大切にし、人生を楽しむということができなかったばかりでなく、次世代がうまく育たず、社会全体が非常に不安定になっています。
「働き方改革」に甘えてもいられません。働く世代が「空気」に流されない確固とした「自分」を作っていかないと、この連鎖は止められないのではないでしょうか。
ネガティブな「グレートマザー」(女性や母親だけの問題ではありません)から心理的に自立し、自分自身を大切に生きることにもっと価値を置くべきです。そうしてこそ、他者を尊重でき、次世代を強く育むこともできると思います。
個人と社会の幸せのための「働き方改革」ですから、「生き方改革」も伴わないと、この空転状態がさらにこじれることになりそうで怖いです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com