あの日の東京は本当に寒かった。私はウールの柔らかい生地のワイドパンツにスウェードの靴という出で立ちで、左手にキャリーケース、右肩にバッグを抱え、エッチラオッチラ階段を下りていたのですが、あと10段ほどのところで、んっ!? 多分、パンツの裾に靴が引っ掛かったのです。
しかし、もともと運動神経はまあまあだった私は、何とか着地できる!と信じてバランスを取ろうとしたのですが、気がついたら荷物を遠くに放り出し、何と顔面から激突です。
ああいうときは何が起こったのか分からないまま、強がって立とうとするんですね。で、すぐ立てた! それに歩ける! けど、きっと顔は大変なことになっているに違いない。顔をさすって手のひらを眺めてみたのですが、どうやら出血はしていないらしい。やれやれ。そして、脚の痛みに耐えながら、次のホームへと急いだのでした。
私がこんなだから、みなさんさっさと通り過ぎていかれるのですが、一人女性の方が「大丈夫ですか?」と声を掛けてくださいました。嬉しかったです。
それにしても、公衆の面前であんなにド派手に転んだのは初めて。でも東京でよかった。「旅の恥はかき捨て」? 無事に地下鉄に乗れた後、一体どんな図だったんだろうと想像すると、我ながらおかしくて笑えてくるのでした。その後乗り換えて、予定していた羽田行の急行にギリギリ間に合いました。
女性のみなさま、ワイドパンツはやっぱり要注意です! それ以上に要注意なのは、トシをわきまえずに自分の力を過信することです。
でも考えてみたら、冷静になって手で階段にしがみつこうとしていたら、私はフルートが吹けなくなってたかもしれません。25日の日曜日は、去年大失敗をしたフルートフェスティバルでした(去年のブログ「ああ、大失敗…!」)。あちこち打っていたのでずいぶん不自由しましたが、フルートには支障がありませんでした。今年は大きなミスなく、楽しく終えることができました。
顔に傷もなく、荷物も服も無事で、何だか奇跡のように思えます。まだ痛さは残っていますが、毎朝のウオーキングも再開できています。桜が日に日に見事です。ありがたい気持ちでいっぱいです。
1ヶ月ほど前、2度目のひどい五十肩で、お茶碗も持てないほどの痛みを味わいました。でも、フルート仲間の整形外科医の勧めで、注射1本でウソのように楽になりました。かと思いきや、その後は風邪が長引き、そして珍しく胃腸炎にもなったり。そして、この事故!
生きているといろんなことがあるもんです。それに、季節の変わり目や寄るトシナミには勝てません。
分をわきまえつつ、丁寧な心持ちで新年度を迎えたいと思う今日この頃です。
心理面接室TAO 藤坂圭子
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