2018年05月

 先週の日曜日、「ユング心理学セミナーⅩ」を終え、一昨年秋から行ってきたこのシリーズは、10回で一応完結となりました。最後は、心の中の様々な対立物の統合がうかがえる、ユング自身の美しいマンダラをみんなで味わいました。

 ユングの世界はとても深遠で、簡単にお伝えできるものではありませんが、やはりユングの原著に触れていただきたく、代表的な著作を部分的にですが毎回一緒に読んでいきました。頭を抱えながら。
 ユングの著作を評して、こんな文章に出会いました。
 「読み進むうちに、説明不能なものを別の説明不能なもので説明され続けているような、目眩にも似た感覚を覚えるが、注目したいのは、その不可解さ、不可知性にこそ心の永遠で超越的ともいうべき癒しと救いの源を見るユングの肯定的な眼差しである」(「心理学対決!フロイトvsユング」)。
 言い得て妙!!

 複雑な現代社会を生き延びるため、私たちは知らず知らずのうちに、自分の大切な一部分を置き去りにしたり、封印したりしていて、どこか虚しさや不全感を拭えません。特に中年期以降、定年退職や老後のことがチラチラするようになると、無性に不安になったりします。
 そんな時、ユングの世界観は大きなヒントを与えてくれます。やむを得ず切り離してきてしまった、いろんな感情や願望や自然とのつながりを取り戻し、トータルな自分として心豊かに生きていこうという知恵です。それには苦しみも伴いますが、眠っていた本来の「自己」を取り戻したときの解放感や充足感は、きっと何物にも代えがたいものでしょう。
 
 以下に、ご感想の一部を紹介します。
●ユングの心理学と初めて出会ったのは大学に入ったときですが、その頃のことをたどり直しながら、マンダラまで来て感慨深いです(大学の頃はあまりマンダラに興味を持てなかったので)。対立する二つのものの統合ということが、実際の生活の中でどのように進むのかは分かりませんが、ずっと先になって振り返ったときに気づくのかもしれないなと思います。
●ユングの世界観が少しずつ観えてきて、それが人類共通のものであるという、私も宇宙のカケラの一部なんだという意識を持てるようになり、より生きやすくなってくる感覚に。身近な人たちに伝えたいと思った。
●ユングの学習と自分の心の変化が併行しているようで、「これでいいんだな」と少しずつ思えるようになってきました。しんどい時は知らない方がよかったかと思ったこともありましたが、最後まで学習して、やはり教えていただいてよかったと思いました。
●他の参加者のそれぞれの受け取り方も、理解を広げる、人を知るのに役立って、いい時間でした。
●集合的無意識や無意識と対話していくことができたらいいなと思いました。「うつになれない人は自分を見つめ直す機会を逃している。うつはマイナスではない。うつに入ることは、心の闇と対面することになり、変容へと向かえる」という言葉に救われたような気持ちになりました。


 セミナーの前数週間はいつも、どうしたら少しでも分かりやすくお伝えできるだろうと、まるで錬金術の窯の中で呻るような日々でした。でも、10名ほどの方が毎回楽しみに来てくださり、ともに学ぶうちに私の理解も深まったし、何より、みんなでユングの大船に乗ったような安心感を味わえたのがうれしかったです。
 本当にありがとうございました。

                         心理面接室TAO 藤坂圭子
                         HP:http://tao-okayama.com

 GW最後の日曜日、我が家の山茶花を植え替えていただきました。
 もう10年以上の鉢植えなのですが、日当たりのせいか、いつも咲き始めるのが1ヶ月ほど遅く、花付きもあまりよくありません。夏になると葉っぱが黒くなる病気にかかり、一枚一枚拭いてやらなければなりません。
 半年ほど前からいよいよ、水をやってもすぐ泥水を漏らすような状態になりました。新芽は出ているので枯れてはいないものの、どうにかしなければと思いつつ、どうしていいか分からなくて、そのままにしていたのでした。

 フルート仲間の花屋のおじさんにお願いしました。株ごと鉢から取り出して、下に新しい土を入れてやろうということになりました。
 30分ほどでできるのかなと思いきや、鉢中に根が回っているらしく、まず鉢の縁にスコップを入れ、土をほぐして株を取り出すだけで、優に30分以上。「株を壊しちゃいかん」と重い陶器の鉢を何度も抱えて回しながら、丁寧に取り出してくださいました。
 
 そして出てきたのは、土というより粘土の塊。その中にグルグル巻きになった根が詰まっていました。これでは、水を吸えないはずです。
 今度はまた丁寧にスコップを入れて粘土をほぐし、伸びすぎた根にハサミを入れていきます。だんだんと根が自由になっていくのを見ていているうちに、私は本当に胸がすくような気分になりました。あー、山茶花が喜んでるー!

 うかがうと、そもそも元の土がよくなかったということ。それに何と、売られる時に根を縛っていたビニール紐がそのままだったのです。最初の業者さんの手抜きです。10年もの間、本当に可哀そうなことをしました。よく生きててくれたこと。
 そのビニール紐も、もつれた糸を解くようにして引き抜き、新しいいい土を入れ、空気を抜いて水をたっぷり吸わせてくださいました。その間、何度も重い鉢を上げ下げしているので、どんなに腰に負担が掛かったろうと思いますが、花屋さんはずっと慈しむように作業をしてくださいました。

 あれからますます新芽が吹いて、古い葉っぱはほとんど落ちて、今年は全身瑞々しいです。置き場所も朝日が当たるところに変えました。根に負担を掛けているから次は花が少ないかもと言われましたが、この冬が楽しみです。

 花屋さんのお尻が当たって割れてしまったラベンダーの鉢も、余っていた大きめの鉢に、同じように丁寧に植え替えてくださいました。ほとんど花が終わっていたのに、また小さい花がポロポロ咲き始めました。
 他に枝ぶりの悪い木もあって、思い切って剪定した方がいいのかしらと尋ねたところ、植物は光合成によって養分を作るので、格好は悪くても葉っぱは多い方がいいんだ、とのこと。なるほど。

 粘土があちこちに飛び散って、あとのお掃除が大変でしたが、GWのいい締めくくりとなりました。
 私もいい仕事がしたいなあ、とつくづく思いました。

                          心理面接室TAO 藤坂圭子
                          HP:http://tao-okayama.com

 
 

「うつ」を生き抜くために

 「プラザ岡山」5月号に、「うつ」についてのメッセージを載せていただきました。
 
 「うつ」は以前は、「気分障害」の一つとされました。「気分」の調整はなかなか難しいものです。落ち込んでしまうと「気分」に乗っ取られて、ますます自分を見失いがちです。
 まず休養と服薬、それから周囲の理解と支援も必要です。苦労した自分を労いながら、その時期を大切に過ごしてほしいと思います。
 それから、「うつ」の自分にとっての意味を問い、そこから新しい生き方を探っていきましょう。「気分」に振り回されず、地に足付けて着実に歩める自分を作っていきましょう。

 「双極性障害」(躁うつ病)の「うつ」や、いわゆる「新型うつ」も苦しいものです。元気な人に見えるので、周囲からなかなか理解してもらえないのも辛いと思います。
 どんな症状にも、その背景には人それぞれの事情があります。不本意な傷つきを負っている場合も多々あります。これまでの軌跡を丁寧にたどりながら、傷つきを癒していきましょう。決して、人生を諦めないでくださいね。 
 
         
                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com

 HPの画面がうまく表示されない件について、調整をしていただきました。
 が、バージョンアップを行っていないスマホや特殊機種では、画面が崩れる可能性があるということです。
 私のiPhon6は、バージョンアップを行うときちんと表示されるようになりました。
 トップページが何だか変だなと思われたら、バージョンアップをしてみてください。
 それでも直らない場合は、ご連絡いただけるとありがたいです。
 お騒がせいたしました…。

                        心理面接室TAO 藤坂圭子
                        HP:http://tao-okayama.com

↑このページのトップヘ