2018年12月

 みなさんは、毎年年賀状は出されますか? もう投函されましたか?

 年賀状って、毎年本当に気が重い。11月ごろからチラチラ気にかかり始め、12月になると、大きな宿題を抱えたような気分で過ごさなくてはならず、「世の中にたえて年賀状のなかりせば…」と嘆きたくもなります。なのに一向に手を付ける余裕もなく、クリスマスも過ぎたころ、エイヤっ!とやっつけ仕事になります。今年も年賀状を買ったのが25日、投函したのが27日。それ以前からちょっと準備をしていたとは言え、なかなかの早業で、我ながらあっぱれ!

 ここ何年か、何十年も年賀状だけでつながっていた人たちとの、うれしい再会がありました。
 
 泊付き東京出張の飛行機で、偶然にも行きも帰りも隣り合わせた女性がいました。思わず「昨日もお隣でしたよね」と声を掛けると、何と「藤坂さんですよね」! 国文の学生時代の友人でした。相変わらずあまりにも美し過ぎて、私は気づかなかったのです。
 お互いが毎年の年賀状に書き添えてきた、たった1行ほどのコメントが、時をつないでいました。思い出話や近況報告に花が咲きました。故人となった友人たちのことも一緒に忍びました。

 カラーセラピストになっている友人とは、彼女の結婚式以来の再開でした。大学1年の時に、一緒に奈良の山辺の道や飛鳥を訪ねた思い出があります。でも、なぜかセラピーの世界に入り込んだ二人。背景にはやはり、家族や自身のことについていろいろ思うことがありました。思春期の甘酸っぱい日々から、一年取ってこんな風な落ち着き具合になるとは、あの頃は全く想像できなかったことです。

 学生時代に一番尊敬していた恩師からは、ここ10年以上もお返事がなかったのですが、今春、御退官の挨拶状をいただき、東京でまたお会いすることができました。お忙しくて年賀状をお止めになっていたということですが、私が毎年しつこくお送りしていたかいがありました。私の今の仕事にとても関心を持ってくださって、文学談義はもちろん、心の世界のことや音楽体験についてたくさんお話をしました。心が洗われるような時間でした。

 教え子たちからの年賀状もうれしいものです。学校の相談室でかかわった、当時不登校やいろんなしんどい思いを抱えていた子たちからが多いです。子と言っても、もう30歳40歳代で、結婚して仕事も持って、毎年迷いながらも歩みを進めている様子が伝わってきて、とても勇気づけられます。

 たかが年賀状、されど年賀状です。
 旧習にこだわる必要もないと、SNSで新年の挨拶を交わす人もいます。「来年から失礼します」といった「終活年賀状」も多く届くようになりました。でも、ひょんなことで再開できたとき、年賀状は空白の時間を埋めてくれます。年を重ねてくると、こんな風なつながりもいいものだと思うようになりました。
 凝ったものは作れませんが、今のところ、できるだけ年賀状は続けようと思っています。

 2018年、平成最後の年もあと2日となりました。
 5月のブログで書いた、植え替えていただいた山茶花は、今年は見事に大輪の花をたくさん咲かせています。
 6月に迎えた子ねこ、チーズとルルはすくすく育っています。人間の成長と同じく、日々何かしらやらかしてくれます。来年の年賀状には一言、「ねこと暮らすのがこんなに楽しいなんてビックリ! 人生思いがけないことが起こるものです」。
 11月、この子たちに弟妹が5匹生まれたそうです。飼い主さんが里親を募集中です。ご関心のある方は、こちらにアクセスを。 http://ameblo.jp/oka-koneko/
 人生が豊かになること、請け合いです!

 大寒波の中、今年も暮れようとしています。みなさま、お体に気を付けて良いお年をお迎えください。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。

                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com
 
 

 「ジェットコースターは好きですか?」と聞かれたら、迷わず「好き!」と答えます。教員時代、修学旅行や一日遠足で遊園地に行った際は、生徒と一緒に絶叫マシーンを楽しんだものです。
 とは言え、最近はすっかり大人になってしまい(?)、あまり乗ろうとも思わなくなりましたが。

 ジェットコースターに最初に乗ったのは、小学生のころだったと思いますが、やはり人並みに怖がりました。ところが、いつだったか、ふと気づいたのです。抗(あらが)わなければ怖くない!
 乗り込んで安全バーを下して、いざ出発。空を仰ぎながらゴトンゴトンと頂点まで上り、そっから一気に急降下!
 みなさん、そこで抗って仰け反るから怖いのです。でも前のめりに安全バーに体を預けてしまえば、何てことはない。心地いい重力を味わえます。急カーブの時は力を抜いて、遠心力に任せる。少々体が痛いですが、私はほとんど絶叫せず景色さえ楽しめます。
 もっとも、設備に故障がないことを無条件に信じていなければなりませんが…。

 「抗わない」というのは、楽に生きるコツなのかも、と思います。
 怖さや淋しさややりきれなさに、どっぷりつかってみる。そして、嘆き切る。
 暗闇の中でジタバタしても、どうにもならず消耗するだけですが、抗わずにじっとしていると、目が慣れてきて周りにあるものが見えてきたり、彼方の光が目に入るかもしれません。
 いつの夏だったか、遊泳中に荒波にさらわれた男性が、奇跡的に遠くの浜で救助されたというニュースがありましたが、その男性曰く、「抵抗せずに波に任せて漂いました」。
 
 私は以前、自己嫌悪や閉塞感で絶望的な気分に苛まれていた時、帰宅の車中でこんかぎり泣いてみました。1週間くらい。幸い今くらいの季節で真っ暗だったので、何憚ることなく、どんな映画でもなかなかお目にかかれないくらいの凄まじい泣きっぷりでしたよ。泣いてどうなるとも思っていませんでしたが、絶望感に身を預けてみました。
 それからどうやって抜けたのかよく思い出せないのですが、今はあんなに泣けて気持ちよかったなあ、としみじみいい思い出です。

 受け入れがたい感情に抗わずに、自分の中に抱えられるようになると、人間強いです。
 ユングの言う、「対立物の統合」を経ての「個性化」「自己実現」です。 
 今、TAOのセミナーでみなさんと勉強している「対象関係論」でも、不快感や違和感を自分の中から追い出そうとするのではなく、しっかり抱えられるようになることが、健全な心の発達に不可欠だと説いています。
 でも、人間は弱いので、一人では抱えきれない。だから、力を抜いて、誰かに何かに委ねてみるのがいいです。

                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com

 
 
 

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