2019年04月

 小学校6年生の時のことです。休み時間、男子二人の取っ組み合いの喧嘩で騒然としていました。チャイムが鳴って、教室を離れていた担任の先生が帰って来て、その場面を目撃! さて、どうなったでしょう?
 「お前ら、元気ええなあ。喧嘩したいか。よし。じゃあ、ここで堂々とやれ!」と、二人を教壇に上げ、自分はさっさと授業を始めたのです。

 さっきまでの勢いはどこへやら。一人がだるそうに腕を上げてはちょっと相手の肩をどつき、一呼吸おいて、もう一人が相手の腹をしぶしぶ払い、今度は一人が頭をコツンとやり、そして片方も同じくコツンと…。ゆ~らゆ~ら体を揺すりながら、いかにもかったる~い喧嘩(?)が、教壇の端で続きます。国語だったか算数だったか忘れましたが、その二人を尻目に普通に授業は進行し、みんな真面目にお勉強。
 10分ほど経ったでしょうか、先生が「よし、止め!」と言うので、あらお仕舞い?と思ったら、「水入りじゃ。二人とも廊下に出て水を飲んで来い。仕切り直しじゃ。喧嘩にも休みが要るんじゃ」。そして、二人は言われた通りに水を飲んで来て、また教壇に上げられ、「ほい、続けろ」。男子二人はまことに素直に、また喧嘩(?)を再開したのでした。
 その喧嘩(?)がどんなふうに終息したのか覚えていないのですが、ふと思い出しては笑えるエピソードです。昔の子どもって純朴でしたね。
 
 私の小学校1年生から4年生までの担任の先生はみな、母親に似てどこか神経質でピリピリしたところがある女性の先生で、嫌いではなかったのですが、その頃の私にとっては辛かったのだろうと思います。5年生の時は、肝っ玉母さんっぽいおばさん先生で、ああこんな女の人もいるんだ、とホッとしました。
 そして、6年生の時がこの中年の男性の先生で、豪放磊落で楽しくて大好きでした。引っ込み思案で緊張しいの私でも、たくさん話し掛けることができた先生でした。
 小学生にとって、担任の先生の存在感は大きいですね。私は小学校高学年になって、やっとちょっと晴れやかな気分を味わえるようになった気がします。

 この時に初めて「水入り」という言葉を知りました。
 子どもの喧嘩をむやみに止めるのではなく、こんなふうにOKを出すのは素敵です。だいたい「みんな仲良く」なんていうのは、きれいごとです。でも、喧嘩にもルールや節度がある。それを教えるのもなかなかのセンスでした。
 子どもが羽目を外したり、突拍子もないことを言ったりしたりするのも、面白がりながら受け止めてやりたいものです。子どもの伸びやかさを引き出すには、大人のおおらかなかかわりが不可欠ですね。

                            心理面接室TAO 藤坂圭子
                            HP:http://tao-okayama.com


 

 あなたは、モノを「捨てる」のは得意な方ですか?
 なかなか捨てられないという方、多いですよね。写真などの思い出の品はもちろん、もう着ない服、何かの資料、空き箱やレジ袋に至るまで、油断すると家の中は不要なもので溢れ返ってしまいます。アメリカの最新の精神医学診断基準DSM-Ⅴでは、「ため込み症」が立派に疾患として登場しています。

 「捨てられない・片付けられない症候群」は、よくAD/HD(注意欠陥多動性障害)と関連付けて論じられます。集中力がないため、モノの整理ができないというわけです。
 さらに私は、「切る力」の不足もあると思っています。いらないものはさっさと捨てて身軽になればいいのに、それができなくて溜め込んでしまう。「切る」ことができないのです。なぜでしょう?

 一つは、きちんと「つながる」ことができていないからだと思います。
 話は飛ぶようですが、小さい子どもが強烈な分離不安を呈して、お母さんから離れられないことがあります。無理に引き離そうとすると、子どもはますます泣き叫びます。そんな時私は、「しっかりハグしてあげてください」とアドバイスします。子どもが安心して、母親の存在を「内在化」できると自然と離れていけます。ママは今はここにはいないけど、ちゃんと私の中にいる、と思えると。
 思春期の保護者の方々への講演などでは、私はよく「子どもの自立のためには、今のうちにしっかりと心がつながることが大切です。つながらないと、いつまでも愛情を要求されて脛をかじられますよ」と話します。
 こんまりさんの片付け術では、モノに感謝して「ありがとう」と言いながら捨てると勧められていて、なるほどと思います。日ごろからモノと丁寧に付き合い、そのモノを十分に味わい、しっかり「内在化」できると、サヨナラの勇気も出やすいのでは。

 「切る」ことができないもう一つの要因は、「不安」です。手放しても大丈夫、なくてもやっていけると思えなくて、いつもモノを身の回りに確保しておかないと不安なのです。
 ゴチャゴチャしているほうが安心でしっくりくるのならば、割り切ってそう暮らすのも一策かと思います。どうせなら、モノたちを慈しみながらそばに置いておけるといいですね。
 またはやはり、「ない」ことに耐える「心の力」を付けることです。
 「星の王子様」のキツネは、「大切なものは目には見えない」と言いました。でも、内面が充実していないと、人はつい具体的なモノに頼ります。自分の心に向き合って、自分自身に安心できたら、きっとそんなにモノに頼らなくても済みます。しかし、「心」も厄介なもので、モノよりも手に負えない。だから、一人で抱え込まないようにしましょう。

 結局、どうすれば捨てられる人になるのか、手っ取り早い解決策の話にならなくてすみません。ただ言えるのは、モノとの付き合い方は、人との付き合い方、自分の心との付き合い方と通じているということです。
 TAOにいらっしゃる方の中にも、捨てられない、片付けられないと訴える方は多いです。でも、心が整ってきて、モノに限らず、考え方や人間関係も、自分にとって必要なものと不必要なものとの仕分けができてくると、不意に身辺整理が進んだりします。
 断捨離の本をたくさん溜め込んで、ますますがんじがらめになるより、自分の心に立ち返って、本当に大切なものは何かを問い直してみてはいかがでしょう? 


                            心理面接室TAO 藤坂圭子
                            HP:http://tao-okayama.com 

 4月~5月の開室・閉室についてお知らせします。 
   4/27(土)      9:00~13:00 〇 (最終は12:00~) 
   4/28(日)      ✕  
   4/29(月)~5/2(木) 9:00~16:00 〇 (最終は15:00~)
   5/3(金)~5/5(日) ✕
   5/6(月)       9:00~13:00 〇 (最終は12:00~)
   5/18(土)      12:00~ ✕  (最終は11:00~)
    
 緊張の新年度スタートから、気が抜けて五月病に陥りやすいGW。しかも今年は10連休!
 10連休も半分以上開室しますので、心の不調の方、じっくり自分を見つめてみたい方、どうぞご利用ください。
 平日の午後はスクールカウンセリング等で外に出ていて、午後がお取りしにくいですが、月・木・金の18時からは可能です。お問い合わせください。
 土曜日はご希望が多いので、お早めにお申し込みください。 

                             心理面接室TAO 藤坂圭子
                             HP:http://tao-okayama.com

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