11/17(日)、TAOで「カウンセリング演習(寄り添うということ)」を実施しました。カウンセリング演習はこれまで何度も行ってきましたが、サブタイトルに、「寄り添うということ」と付けて2回目です。これからもしばらく、この形で続けたいと思っています。
「寄り添うということ」が実践できると、人間関係を円滑に結べます。また、トラブル解決のため膝を突き合わせて話をしないといけないとき、意見や立場が違う人と交渉しなければならないとき、仕事上でのクレーム対応の際にも、とても役に立ちます。だから、カウンセリングの専門家でなくても、一人でも多くの方に「寄り添うということ」ということを体感していただきたいと思っているのです。
集まられるのは、対人援助職やボランティアでの相談に携わっている方もおられますが、多くは一般の会社員の方などです。今回は4人という少人数でしたが、和気藹々かつ濃密に、演習を行いました。参加者のご感想の一部をご紹介します。みなさま、積極的にご参加くださり、それぞれ大切な気付きがあったようです。
●今まで「寄りそう」という事を、何度も本で読みましたが、あまり実際の感覚として理解できませんでした。私は頭で考える事が多いので、相手の話を聞いても状況の確認を中心に返答をする会話になってしまいました。今日のカウンセリング演習で、「寄りそう」という事を実感できたことが良かったです。
●初めて参加させてもらいましたが、他の参加者の方も心理を勉強したいとのこころざしをお持ちの方で、リラックスして話ができました。同じ話題を通しても自分のフィルターで物事を感じているのが、他の人の意見を聞いてよくわかりました。又いろいろな人の意見とかを聞いてみたいです。
●相手の話の中から本当に伝えたいことや本心を引き出していくことで、その気持ちに寄り添い迫ることができたら、最後には相手も自分もスッキリするのですね。相手を理解するうえでは、偏りのあるクライエントであったとしても、その人を尊重すること。自分自身のこだわりは捨てて会話をすすめることで、信頼関係を構築し、より深くかかわれるようになっていく。もっと体感したいと思いました。
●寄り添うということが難しくて何回も何回も失敗を続けてきました。ついつい頭で考える、自分の経験をもとに言うという癖がついてしまっている。これが自分の悪いところだとわかっていてもできなかったことが、今回は少し改善できたような気がします。続けて学ぶことの大切さを感じました。
「私が私が」と自分の世界から一歩も出ずに、相手を自分の思い通りに動かそうとしても、たいていの場合空振りで、むしろ人間関係が壊れてしまいます。たとえ、思いやりや励ましの気持ちからであってもです。
自分と人は違う。その人の感情や行動には、その人なりの根拠がある。自分の考えや価値観は脇に置いて、相手の世界に入って、あー、この人はこんな風に生きているんだ、と腹の底で感じられたとき、こちらも何だかスーッとした気持ちになるものです。
これが「寄り添う」ということで、「他者性」とも言います。自分の中に「他者性」を持つことで、相手を尊重でき、真の「対話」が始まります。それはもちろん、幸せや平和につながります。
カウンセリングの創始者のC.ロジャーズは、北アイルランドの宗教紛争や南アフリカの人種間対立の緩和に貢献し、ノーベル平和賞の候補にもなりました。プロセスワークの創始者A.ミンデルも、「ワールドワーク」と言われる大規模なグループワークで、数々の対立を和解に導いています。
今の世界の指導者たちにも、是非「他者性」を発揮してほしいと思うのですが…。
「他者性」が育まれる過程は、TAOで開催中の連続セミナーで扱っている「対象関係論」でつぶさに説明されています。結構大変なことです。その上、私たちは現代人は、仕事や生活を成り立たせることで精いっぱいで、時間に追われ、ほとんど自分のことしか考えられません。誰しも「自己愛」にとらわれています。
「寄り添う」というのは、心の置き所が日常とは違うので、体得するのはなかなか難しいですが、繰り返し訓練することで身に付けることができます。
排他主義やポピュリズムが跋扈している昨今ですが、一人ひとりが心のベクトルを他者にも向け、お互いを理解し尊重するよう努めていかないと、いつか自分も孤独に陥ります。「寄り添うということ」を意識して過ごしたいものです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
「寄り添うということ」が実践できると、人間関係を円滑に結べます。また、トラブル解決のため膝を突き合わせて話をしないといけないとき、意見や立場が違う人と交渉しなければならないとき、仕事上でのクレーム対応の際にも、とても役に立ちます。だから、カウンセリングの専門家でなくても、一人でも多くの方に「寄り添うということ」ということを体感していただきたいと思っているのです。
集まられるのは、対人援助職やボランティアでの相談に携わっている方もおられますが、多くは一般の会社員の方などです。今回は4人という少人数でしたが、和気藹々かつ濃密に、演習を行いました。参加者のご感想の一部をご紹介します。みなさま、積極的にご参加くださり、それぞれ大切な気付きがあったようです。
●今まで「寄りそう」という事を、何度も本で読みましたが、あまり実際の感覚として理解できませんでした。私は頭で考える事が多いので、相手の話を聞いても状況の確認を中心に返答をする会話になってしまいました。今日のカウンセリング演習で、「寄りそう」という事を実感できたことが良かったです。
●初めて参加させてもらいましたが、他の参加者の方も心理を勉強したいとのこころざしをお持ちの方で、リラックスして話ができました。同じ話題を通しても自分のフィルターで物事を感じているのが、他の人の意見を聞いてよくわかりました。又いろいろな人の意見とかを聞いてみたいです。
●相手の話の中から本当に伝えたいことや本心を引き出していくことで、その気持ちに寄り添い迫ることができたら、最後には相手も自分もスッキリするのですね。相手を理解するうえでは、偏りのあるクライエントであったとしても、その人を尊重すること。自分自身のこだわりは捨てて会話をすすめることで、信頼関係を構築し、より深くかかわれるようになっていく。もっと体感したいと思いました。
●寄り添うということが難しくて何回も何回も失敗を続けてきました。ついつい頭で考える、自分の経験をもとに言うという癖がついてしまっている。これが自分の悪いところだとわかっていてもできなかったことが、今回は少し改善できたような気がします。続けて学ぶことの大切さを感じました。
「私が私が」と自分の世界から一歩も出ずに、相手を自分の思い通りに動かそうとしても、たいていの場合空振りで、むしろ人間関係が壊れてしまいます。たとえ、思いやりや励ましの気持ちからであってもです。
自分と人は違う。その人の感情や行動には、その人なりの根拠がある。自分の考えや価値観は脇に置いて、相手の世界に入って、あー、この人はこんな風に生きているんだ、と腹の底で感じられたとき、こちらも何だかスーッとした気持ちになるものです。
これが「寄り添う」ということで、「他者性」とも言います。自分の中に「他者性」を持つことで、相手を尊重でき、真の「対話」が始まります。それはもちろん、幸せや平和につながります。
カウンセリングの創始者のC.ロジャーズは、北アイルランドの宗教紛争や南アフリカの人種間対立の緩和に貢献し、ノーベル平和賞の候補にもなりました。プロセスワークの創始者A.ミンデルも、「ワールドワーク」と言われる大規模なグループワークで、数々の対立を和解に導いています。
今の世界の指導者たちにも、是非「他者性」を発揮してほしいと思うのですが…。
「他者性」が育まれる過程は、TAOで開催中の連続セミナーで扱っている「対象関係論」でつぶさに説明されています。結構大変なことです。その上、私たちは現代人は、仕事や生活を成り立たせることで精いっぱいで、時間に追われ、ほとんど自分のことしか考えられません。誰しも「自己愛」にとらわれています。
「寄り添う」というのは、心の置き所が日常とは違うので、体得するのはなかなか難しいですが、繰り返し訓練することで身に付けることができます。
排他主義やポピュリズムが跋扈している昨今ですが、一人ひとりが心のベクトルを他者にも向け、お互いを理解し尊重するよう努めていかないと、いつか自分も孤独に陥ります。「寄り添うということ」を意識して過ごしたいものです。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com