もう一月以上前だったと思いますが、ロックダウンに入ったベルリン在住の日本人ピアニストの方が、驚くべきスピードで給付金を受け取れたという報道がありました。スマホで簡単に申請でき、数日後には日本円にして60万円ほどが振り込まれ、ご本人もビックリということでした。舞台芸術にかかわる他の日本人の方も、同様に支払いを受けたと聞きました。
ドイツでは文化芸術の意義がよく理解され、いち早く手厚い保護措置が講じられました。しかも、国籍関係なくです。
私はクラシック音楽が好きで、以前はしばしばヨーロッパ音楽旅行に出掛けました。中でも、ベルリンフィルをその拠点ホールのベルリンフィルハーモニーで聴いたときの感動は忘れられません。あまりの凄さに、瞬間瞬間、ひっくり返りそうになります。(どう凄いのかは、簡単には言い表せないので、今は割愛)
音楽の凄さに加え、肌で感じるのは、ずっしりとした伝統の重みです。ホール自体の歴史はヨーロッパにしては新しいのですが(1963年~。斬新な設計で、当時は「カラヤンのサーカス小屋」と揶揄された)、すっかりベルリンの街に溶け込んでいて、楽団員、市民ともどもの誇らしい表情にも圧倒されます。一緒に芸術を作り上げて支えているという矜持があって、大げさかもしれませんが、ここにいれば人間の精神性を信頼できる、という気になれます。来日公演も素晴らしいですが、現地ならではの感慨でした。
TAOにはいろいろな悩みを抱えた方がいらっしゃり、その悩みの大きさもそれぞれですが、どんな方が早く楽になっていかれるかと言うと、いわゆる知能の高さや学歴は、全くと言っていいほど関係がありません。
音楽、詩歌、小説、映画、舞台、ドラマ、アニメ、絵画などのアートによく触れている方は、自分の心によく気づき、ますます人間性を深めていかれます。
別に高尚とされるものでなくても、落ち込んだ時に聴く音楽、自分を支える詩の一片などを持っている人は強いです。明るく励ましてくれるものばかりではなく、どうしようもなくドロドロな叫びもありますが、深いところからの慰めを得られ、知らず知らずのうちに心は豊かに強くなっているのだと思います。
人間社会はどの動物よりも複雑で、生きていくのは大変です。欲しいものが簡単に手に入れるわけでもなく、なりたい自分にもなかなかなれません。でも、その手に入らないものを、象徴的に心の中に形作ることはできます。それにはアートの力が必要なのです。
恋焦がれる人に手が届かなくても、詩に詠んだり歌ったりして、涙しながらやるせなさに耐えることができます。自分の気持ちにピッタリの表現に触れて、人間だれしも同じような思いをしてきたんだと思えると、それも人生の味だと受け取れます。躓いても失敗しても乗り越えてきた主人公の生き方には、勇気づけられ、我が事として置き換えることもできます。
自分一人はちっぽけでも、人間の奥深さや強さは、言葉や音や絵によって共有できます。思い通りにならない人生にも彩りを与え、虚しさから救ってくれるのです。
コロナ禍は、飲食業や旅行業なども含め、人間が人間らしく生きていくための大切な営みを直撃しています。医療や社会経済、教育機会の保障など、今検討すべき課題は山積ですが、文化芸術活動を軽視すると、人の心を荒廃させ、国力を損ないます。日本もその重要性をもっと認識し、保護に努めるべきだと思います。
先日、お気に入りのレストランのテイクアウトを利用しました。クライエントさんの中には、アーティストを支援するクラウドファンディングに寄付をされた方もいて、私も是非させていただきたいと思っています。
今日は、本来ならば、東京オリンピックの聖火ランナーが、岡山を駆け抜けるはずでした。その感動を今は手にすることができません。
でも、ないものをただないとして嘆くのではなく、心の中に描き、それを次の夢につなげていくことはできます。それは、アートに支えられてこその人間の強みではないでしょうか。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
ドイツでは文化芸術の意義がよく理解され、いち早く手厚い保護措置が講じられました。しかも、国籍関係なくです。
私はクラシック音楽が好きで、以前はしばしばヨーロッパ音楽旅行に出掛けました。中でも、ベルリンフィルをその拠点ホールのベルリンフィルハーモニーで聴いたときの感動は忘れられません。あまりの凄さに、瞬間瞬間、ひっくり返りそうになります。(どう凄いのかは、簡単には言い表せないので、今は割愛)
音楽の凄さに加え、肌で感じるのは、ずっしりとした伝統の重みです。ホール自体の歴史はヨーロッパにしては新しいのですが(1963年~。斬新な設計で、当時は「カラヤンのサーカス小屋」と揶揄された)、すっかりベルリンの街に溶け込んでいて、楽団員、市民ともどもの誇らしい表情にも圧倒されます。一緒に芸術を作り上げて支えているという矜持があって、大げさかもしれませんが、ここにいれば人間の精神性を信頼できる、という気になれます。来日公演も素晴らしいですが、現地ならではの感慨でした。
TAOにはいろいろな悩みを抱えた方がいらっしゃり、その悩みの大きさもそれぞれですが、どんな方が早く楽になっていかれるかと言うと、いわゆる知能の高さや学歴は、全くと言っていいほど関係がありません。
音楽、詩歌、小説、映画、舞台、ドラマ、アニメ、絵画などのアートによく触れている方は、自分の心によく気づき、ますます人間性を深めていかれます。
別に高尚とされるものでなくても、落ち込んだ時に聴く音楽、自分を支える詩の一片などを持っている人は強いです。明るく励ましてくれるものばかりではなく、どうしようもなくドロドロな叫びもありますが、深いところからの慰めを得られ、知らず知らずのうちに心は豊かに強くなっているのだと思います。
人間社会はどの動物よりも複雑で、生きていくのは大変です。欲しいものが簡単に手に入れるわけでもなく、なりたい自分にもなかなかなれません。でも、その手に入らないものを、象徴的に心の中に形作ることはできます。それにはアートの力が必要なのです。
恋焦がれる人に手が届かなくても、詩に詠んだり歌ったりして、涙しながらやるせなさに耐えることができます。自分の気持ちにピッタリの表現に触れて、人間だれしも同じような思いをしてきたんだと思えると、それも人生の味だと受け取れます。躓いても失敗しても乗り越えてきた主人公の生き方には、勇気づけられ、我が事として置き換えることもできます。
自分一人はちっぽけでも、人間の奥深さや強さは、言葉や音や絵によって共有できます。思い通りにならない人生にも彩りを与え、虚しさから救ってくれるのです。
コロナ禍は、飲食業や旅行業なども含め、人間が人間らしく生きていくための大切な営みを直撃しています。医療や社会経済、教育機会の保障など、今検討すべき課題は山積ですが、文化芸術活動を軽視すると、人の心を荒廃させ、国力を損ないます。日本もその重要性をもっと認識し、保護に努めるべきだと思います。
先日、お気に入りのレストランのテイクアウトを利用しました。クライエントさんの中には、アーティストを支援するクラウドファンディングに寄付をされた方もいて、私も是非させていただきたいと思っています。
今日は、本来ならば、東京オリンピックの聖火ランナーが、岡山を駆け抜けるはずでした。その感動を今は手にすることができません。
でも、ないものをただないとして嘆くのではなく、心の中に描き、それを次の夢につなげていくことはできます。それは、アートに支えられてこその人間の強みではないでしょうか。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com