2020年07月

 8月の開室・閉室についてお知らせします。
 普段の午後は、スクールカウンセリング等で外に出ていますが、学校が夏休みですので、午後もお取りしやすいです。祝日、お盆あたりの開室もご確認ください。
 なかなか外には出掛けられない今年の夏ですが、自分にも向き合って、いい巣ごもり期間をお過ごしになれますように。
  8/10(月・祝日) 9:00~13:00 〇 (最終は12:00~)
  8/13(木)     9:00~13:00 〇 (最終は12:00~)
  8/14(金)~8/16(日)  ✕
  8/29(土)    12:00~ ✕
  *日曜日は閉室です。


【新型コロナウイルス感染対策について】
 また、コロナが不穏な情勢になってきました。TAOでは以前と同様、以下の対策の上、クライエントさんをお迎えしています。
 ・お話しする距離をいつもより大きくとっています(2メートル弱)。
 ・マスク着用でお話しします。できればご持参ください。
 ・窓は常時開けています。
 ・空気清浄機は常時稼働しています。
 ・アルコール入りハンドジェルを用意しています。
 ・アルコール除菌シートで、ドアノブ等拭いています。
 ・塩素系除菌スプレーを散布しています。  
 
 来談をお控えになりたい方は、どうぞオンラインか電話をご利用ください。オンライン面接はパソコン・タブレット・スマホをお持ちであれば、簡単にできます。事前のインストールなどは不要です。ご希望の方は、事前にメールでお知らせください。使い方をお伝えします。

【初めての方へ】
 TAOでは2回目以降は電話でのカウンセリングも可能としていましたが、現在はコロナの事情に鑑み、初回からオンライン・電話でもお受けしています。
 お申込みはこれまで通り、HPの予約フォーム、またはお電話でお願いします。(電話は面接中などでつながらないことが多いので、できれば予約フォームをご利用ください)
 予約フォームにオンライン・電話希望の入力欄はありませんが、お申し込み後のこちらからの返信メールに対して、その旨をお伝えくだされば、対応いたします。

                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com

 さて、今日の晩ごはんはお決まりですか? と言うより、何が食べたいか、自分でお分かりですか?
 仕事や学校で忙しかったり、何かが突っ掛かっていたり、どうせ一人なのだからと気楽なとき、何でもいいからとにかくお腹の中に掻き込んでおけ、ということになりがちです。そんな生活をしているうちに、特別な日を除いて、食べたいものに無頓着になってしまいます。
 私たちの体は食べたもので出来上がっているのに、これでは自分を粗末にしているような気がしませんか?

 ずっと昔、フォーカシングを勉強していた時、今食べたいものを考えるのは、自分の体の実感を知るいい訓練になると聞きました。
 お昼ご飯は何にしよう? 定食か中華かイタリアンか。カレーか、ラーメンか、オムライスか、そばか、うどんか。うどんにするとして、今日の気分は? 熱いのがいいのか冷たいのがいいのか。おつゆは辛口か甘口か。てんぷらなのかきつねなのか山菜なのか。卵は? のりは? 付け合わせは何がいい? それはきっと、その日の気分や天候によって違うと思うのです。何でもいいやではなく、体の直観に従って食べる。すると、体が喜ぶし、心も喜ぶ。

 私は、忙しくてなかなかまともに料理ができませんが、しょっちゅう次に何食べたいかを考えてしまいます。もちろん、冷蔵庫の中の余り物や身体的・経済的な事情もあるので、思い通りにはいきません。でも、スーパーで2割引きのお総菜を買うにしても、今の私の体が欲しているのは何だろう、って考えながら選びます。
 よく、「最後の晩餐」は何がいいかというようなアンケートがありますが、私には何とも答えられません。そのときに食べたいものは、そのときにならないと分からないと思うのです。願わくば、欲しいものを一匙でも口から食べられたらいいなあ。
 食いしん坊なので、いつも頭の中が忙しいです。面倒くさいですが、生きている実感につながっているような気もします。

 クライエントさんの中には、食べ物に限らず、好みの色や服、趣味や休日の過ごし方などがなかなかつかめない方もいらっしゃいます。今まで自分を大切にする余裕がなかったのでしょう。そんな方に、まず食べたいものを食べるようにしましょう、などとお話しすることもあります。
 無難で目立たない装いだった方が、自分と向き合う過程の中で、髪の色を明るくされたり、赤いバッグを買われたり、思い切ってツートンカラーの新車にしました、というようなことが起こります。照れくさいけれども、今の自分にしっくりくる感じが分かってこられるようです。
 仕事や家事は、本当にこうでなければならないのか。趣味や勉強など、好きでやっていると思っていたけれど、本当にやりたいのだろうか、もしかしたら、やらねばならないと思い込んでいるだけではないだろうか、などと自問自答も始まります。
 
 そのときそのときの選択の連続が、人生です。効率や常識にとらわれて、次に何をすべきか、と頭で考えて行動しがちですが、そうすると、空っぽな自分が空回りするだけの人生になってしまいます。世渡りには様々な心得や社会的スキルが必要ですが、究極の幸せ感は、何を為したかではなく、今どんな心持ちでいるか、に掛かっていると思います。
 私たちは、この体とともに生き、他の無数の生命体と共鳴しあって存在しています。だから、体や気分の直観を尊重しながら、日々を営んでいくことも大切ではないでしょうか。

 こだわりや好みを強く持つということではありません。「今」の感覚をつかみ、心地よい自分でいることを目指します。今までフワフワしていた自分が、ちゃんと芯を持って歩んでいると実感でき、自分のことを頼もしく思えるようになるでしょう。
 自己理解というのは、抽象的な心の観念のことばかりではありません。自分にピッタリな生活感も、紛れもない自分自身です。

                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com
 

 「考えても仕方ない、と思っていた」と言われるクライエントさんが、結構いらっしゃいます。TAOでは、40歳代以上の年配のクライエントさんに多いです。

 物事が何かうまく回らない。仕事のやりがいが感じられない。いつも嫌な人に囲まれる。気が付いたらいつの間にか人が自分から離れている。どうしてだか分からないが、同じミスを繰り返してしまう。また上司に叱られる。子どもは思い通りには育たない。夫婦の関には深い溝。結婚なんかするんじゃなかった。親はいつまでたっても自分のことを子ども扱い。健康面も経済面も心配になってくる。気の進まない親の介護が襲ってくる。必死で生きてきたが孤立感が増すばかり。いったい老後はどうなるんだろう?…etc.
 自分の内側も外側も、ずーっとガチャガチャ。若いころは、いろいろ考えてあがいてみたけれど、いつもスッキリしないままだった。結局、「考えても仕方がない」と妥協して流され、今に至る。 

 側から見ると、いわゆる「レール」にはちゃんと乗って、普通に暮らしているように見えても、このような行き詰まり感や虚しさを抱えている方は、案外多いのではないでしょうか。
 それが、子どもの不登校や、夫婦間のもめごとや、ご自身の仕事や人間関係の問題でにっちもさっちもいかなくなって、初めてカウンセリングというものを受けてみようと決心され、TAOにいらっしゃるわけです。

 で、どうして「考えても仕方ない」になっていたかと言うと、お一人お一人事情は違いますが、次のような背景がよく見受けられます。
・小さいころから、このままでいいという安心感が持てなかったので、情緒が不安定で自分に自信が持てない。
・いろいろなことに煩わされて根気が続かなかった。
・親や祖父母や親族の、人や世間への不信感が刷り込まれて、世の中こんなもの、と諦めさせられている。
・何を言ってもどうせ分かってもらえないという経験が続いた。
・人と分かり合えたという経験がないので、人と交渉することが怖い。
・「世間様」の目が絶対的規範になっていて、自分の気持ちが分からない。
・人生の手本になる人に出会えず、困ったときの乗り越え方、自分の意志や要求の表明の仕方が分からない。
・自分が尊重されてこなかったので、人を尊重するということが分からない。
・人間関係の中での自分の立ち位置、自分の責任と人の責任の境界が分からない。
・非常に「癖のある人」(いわゆるパーソナリティ障害)によく振り回される。
・自分が属する世界が、自分の本来の理念や傾向とあまりにもかけ離れている。
・自分の世界を大事にすると、人から浮いてしまう。
・浅薄な人生観や世界観に影響されて、目の前のことしか見えない。  etc.                                                 

 自分には責任のないことばかりです。残念なことに、育ってきた過程の中で賢い身の処し方を教えられてこなかったので、うまく立ち回る術が分からないまま、「考えても仕方ない」になっているのでしょう。
 人間って本当に大変。生きるのは楽ではないです。でも、うまく生きていくには、やはりじっくり「考える」ことが必要です。 
 
 「ずっと考えないようにして、逃げていた。でも、一緒に考える人がいると、何がどうなっているのかがだんだん分かってきた」とよく言われます。それが分かってきたら、どう振る舞えばこの事態から抜け出せるかを、また一緒に考えます。
 でも、「考える」だけではなく「感じる」こと、自分のホンネを掘り当てることが、もっと大切です。粗末にされていた自分自身を取り戻すのです。自分自身との二人三脚が始まります。カウンセラーや他の人たちとも一緒です。
 「考えても仕方ない」と諦めず、地道に新しい自分を紡いでいきましょう。いつか、自分がここに生まれ落ちた「意味」を了解できる日が来ると信じて。
 
                        心理面接室TAO 藤坂圭子
                        HP:http://tao-okayama.com       
 



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