心理の国家資格、「公認心理師」の試験に合格しました。
やっと日本に心理の国家資格ができて、昨年が第3回目の試験でした。当初は6月に予定されていたのですが、コロナの影響で12月に延期となり、先日合格発表がありました。
最もよく知られる「臨床心理士」は高度な専門職であるのに、定職に就きにくく、待遇もよくありません。ですので、臨床心理士会では何十年も前から国家資格化を訴えてきました。そして、紆余曲折の末、「臨床心理士」をはじめ様々な心理の民間資格とは別の、国家資格「公認心理師」が新たに設けられたのです。だから、臨床心理士もお偉い先生方も皆、新たに受験しなければなりません。
「公認心理師」も「臨床心理士」同様、大学院修士課程の修了が必要となりますが、設立から5年間は移行期間として、心理専攻や心理職でなくても条件を満たせば受験資格が得られます。駆け込み受験も増えていますが、試験は第2回以降難しくなり、今回もハードでした。
*ちなみに諸外国の多くは、心理の国家資格は大学院博士課程修了が条件のようです。
私は「臨床心理士」の資格があるので、必ずしも「公認心理師」が必要とは思っていなかったし、忙しすぎて、試験の「し」の字にも無頓着でした。臨床心理士仲間のほとんどが、第1回の試験でちゃっかり合格を手にしていたのを尻目に。
けれども、心理を生業にしている以上、一応国家試験を受けておいた方がよかろうと、やっと去年の今頃、一念発起して受験スケジュールを調べたところ、もう出願時期が迫っていて冷や汗でした。
試験が延期になって、夏ごろちょっと気を抜きましたが、年末の受験まで怒涛の日々を過ごしました。
範囲は、心理師としての倫理、心理学一般、各種心理査定、各種心理療法、精神病理、生理学、統計学、医療・教育・福祉・司法・産業分野等の支援の仕組みや法規などなど、非常に多岐にわたり、膨大なものでした。「臨床心理士」と違って、心理支援そのものよりも他職種との連携のための知識を問うものが多いです。
勉強時間が取れないので、ちょっとした隙間時間に詰め込み、夜の10時から机につくこともしばしば。フルートや他の楽しみもお預けでしたが、コロナで様々なイベントや研修が中止になったのは、私にとっては幸いでした。
が、とにかく、覚えられない! 「臨床心理士」を受験した15年ほど前も、記憶力の低下に愕然としましたが、更に輪を掛けて覚えられない! トシのせいもありますが、やはり、アタマは使わないと鈍るものだと改めて思い知らされました。野球選手が毎日の素振りを、ピアニストが音階練習を欠かさないように、アタマも日頃から鍛錬していないと機能低下を阻めません。現に高齢でも明晰な頭脳を保ってご活躍の方はたくさんいらっしゃるのに、私は怠惰で自分の脳(左脳)を錆びつかせてしまった、と反省しきりでした。(カウンセリング中はあまりアタマは使わないので、それも災いしたか…)
加えて、老眼と近眼が進んで目も疲れ、持病の腰痛や坐骨神経痛も悪化する中、まさに老体に鞭打って頑張りました。
けれども、勉強は楽しかったのです!
試験問題は非常に表層的で、実践力が試されるものではありませんが(覚えてさえいれば取れる)、心の健康や幸せな人生の実現のため、社会がどう動いていてどんな支援ができるかをたくさん学べました。心理学の歴史を辿り、人間の心理や感覚を多角的に捉え直すのも面白かったし、TAOにいらっしゃっているクライエントさんの理解にもつながりました。だから、不合格で再チャレンジも悪くない、と思っていました。ただ、時間と体力が持たないので、やっぱり合格できてやれやれです。
これからはゆったり本を読んだり芸術に触れたりする時間を取り戻し、できるだけほんわかした心持でいたいです。春の風や光にも敏感でありたいです。そして、深層心理や精神病理の理解を深め、クライエントさんとの関係を大切にする臨床の訓練に、また時間を割こうと思います。
今回の試験勉強で覚えたことは、時間が経つとウソのように忘れていくに違いないのですが(もうすでに…)、折に触れては思い出し、支援に役立てたいと思います。せっかく増えた引き出しをふさがないように。
しんどかったですが、チャレンジしてよかったと思う、今日この頃です。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
やっと日本に心理の国家資格ができて、昨年が第3回目の試験でした。当初は6月に予定されていたのですが、コロナの影響で12月に延期となり、先日合格発表がありました。
最もよく知られる「臨床心理士」は高度な専門職であるのに、定職に就きにくく、待遇もよくありません。ですので、臨床心理士会では何十年も前から国家資格化を訴えてきました。そして、紆余曲折の末、「臨床心理士」をはじめ様々な心理の民間資格とは別の、国家資格「公認心理師」が新たに設けられたのです。だから、臨床心理士もお偉い先生方も皆、新たに受験しなければなりません。
「公認心理師」も「臨床心理士」同様、大学院修士課程の修了が必要となりますが、設立から5年間は移行期間として、心理専攻や心理職でなくても条件を満たせば受験資格が得られます。駆け込み受験も増えていますが、試験は第2回以降難しくなり、今回もハードでした。
*ちなみに諸外国の多くは、心理の国家資格は大学院博士課程修了が条件のようです。
私は「臨床心理士」の資格があるので、必ずしも「公認心理師」が必要とは思っていなかったし、忙しすぎて、試験の「し」の字にも無頓着でした。臨床心理士仲間のほとんどが、第1回の試験でちゃっかり合格を手にしていたのを尻目に。
けれども、心理を生業にしている以上、一応国家試験を受けておいた方がよかろうと、やっと去年の今頃、一念発起して受験スケジュールを調べたところ、もう出願時期が迫っていて冷や汗でした。
試験が延期になって、夏ごろちょっと気を抜きましたが、年末の受験まで怒涛の日々を過ごしました。
範囲は、心理師としての倫理、心理学一般、各種心理査定、各種心理療法、精神病理、生理学、統計学、医療・教育・福祉・司法・産業分野等の支援の仕組みや法規などなど、非常に多岐にわたり、膨大なものでした。「臨床心理士」と違って、心理支援そのものよりも他職種との連携のための知識を問うものが多いです。
勉強時間が取れないので、ちょっとした隙間時間に詰め込み、夜の10時から机につくこともしばしば。フルートや他の楽しみもお預けでしたが、コロナで様々なイベントや研修が中止になったのは、私にとっては幸いでした。
が、とにかく、覚えられない! 「臨床心理士」を受験した15年ほど前も、記憶力の低下に愕然としましたが、更に輪を掛けて覚えられない! トシのせいもありますが、やはり、アタマは使わないと鈍るものだと改めて思い知らされました。野球選手が毎日の素振りを、ピアニストが音階練習を欠かさないように、アタマも日頃から鍛錬していないと機能低下を阻めません。現に高齢でも明晰な頭脳を保ってご活躍の方はたくさんいらっしゃるのに、私は怠惰で自分の脳(左脳)を錆びつかせてしまった、と反省しきりでした。(カウンセリング中はあまりアタマは使わないので、それも災いしたか…)
加えて、老眼と近眼が進んで目も疲れ、持病の腰痛や坐骨神経痛も悪化する中、まさに老体に鞭打って頑張りました。
けれども、勉強は楽しかったのです!
試験問題は非常に表層的で、実践力が試されるものではありませんが(覚えてさえいれば取れる)、心の健康や幸せな人生の実現のため、社会がどう動いていてどんな支援ができるかをたくさん学べました。心理学の歴史を辿り、人間の心理や感覚を多角的に捉え直すのも面白かったし、TAOにいらっしゃっているクライエントさんの理解にもつながりました。だから、不合格で再チャレンジも悪くない、と思っていました。ただ、時間と体力が持たないので、やっぱり合格できてやれやれです。
これからはゆったり本を読んだり芸術に触れたりする時間を取り戻し、できるだけほんわかした心持でいたいです。春の風や光にも敏感でありたいです。そして、深層心理や精神病理の理解を深め、クライエントさんとの関係を大切にする臨床の訓練に、また時間を割こうと思います。
今回の試験勉強で覚えたことは、時間が経つとウソのように忘れていくに違いないのですが(もうすでに…)、折に触れては思い出し、支援に役立てたいと思います。せっかく増えた引き出しをふさがないように。
しんどかったですが、チャレンジしてよかったと思う、今日この頃です。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com