TAOでは、職場での人間関係の問題もよくうかがいます。陰口やいじめ、パワハラ・セクハラ・モラハラ。特に小さな会社や部署でメンバーが固定されていると、お先真っ暗な鬱屈感に襲われます。どう気遣っても相手は全く変わらず、それどころかますます事態が悪化することも。息が詰まる毎日。心身ともに疲弊して、適応障害や鬱などを引き起こしかねません。
ハラスメントの相談窓口や、メンタルヘルスケアの仕組みが整っている会社なら、組織へのテコ入れが行われ、しんどい人も心理的に支えてもらいながら乗り切ることができるでしょう。と言うより、それが本来あるべき企業の姿だと思います。
当人の力不足が原因のこともあるかもしれませんが、採用した者には採用した責任があります。そもそもお互いを尊重できる職場風土を作ることは、管理者の大きな仕事の一つです。そうでないと生産性だって上がりません。
部下は上司に従うもの、一を聞いて十を知れ、こまごましたことは女の仕事、理不尽なことにも耐えてこそ社会人、などという古臭い考えが幅を利かせている会社はまだまだたくさんあるようです。そういうところでは、何人かの「クセのある人」が職場を牛耳って、笑いも潤いもない職場になります。その人たちの多くは、パーソナリティ障害なのでしょう。パーソナリティが偏ったまま固着している人です。成育歴やコンプレックスに起因していて、変わるのはなかなか難しいです。自身も本当は寂しくて生きづらいのでしょうけれど。
さらに不景気やコロナ禍も、職場体質の泥沼化に拍車を掛けています。
こんな中で苦しい思いをしている人は、まずは淡々と自分の仕事をこなすことだけに専念しましょう。それから、何を言われても、それは自分の問題ではなく相手の問題だと流すこと。無理に関係を作ろうとしなくてもいいです。
渦の中で動じない人が一人いるだけで、集団の自浄作用が働くこともあります。何か外部からのきっかけで、風通しがよくなることもあります。
とは言え、日々ズタボロになってしまうので、簡単なことではありません。私はむしろ、「逃げるが勝ち」をお勧めしたいです。
3年ほど前、「物語にすると救われる」というブログで、朝ドラ「半分、青い」に触れましたが、あの後もいい場面がありました。
主人公鈴愛の娘が小学校でいじめられました。すぐさま転校させようとした母親に娘の方が、「でも、逃げることにならないかなあ」と言うのです。その娘に、「かんちゃんはね、逃げるんじゃないんだよ。正しい場所に行くんだよ」って。
不登校経験のある作家雨宮処凛も、「あなたを大切にしてくれない場所にいてはいけない」と言われています。
本当にそうです。誰しも、自分を尊重してくれて自分らしく生きることを許される「正しい場所」にいるべきです。そうでないところからは逃げていい。学校にしても職場にしても、場合によっては家庭もです。
人生は短いです。理不尽なところで耐えているだけで、貴重な時間とエネルギーと自分らしさを失ってしまいます。新しいところでやっていける自分づくりに励みつつ、脱出する勇気を持ちましょう。
私も30代のころから、「自分の居場所は自分で選ぶ」をモットーに生きることにしました。その頃お世話になっていた先生に教えられたのです。それまではそんな発想はありませんでした。
自分は自分で自由でいいとなると、不思議と人の自由も尊重できるようになるものです。一人が自由になると、その分だけ世の中もちょっと変わります。単なるわがままではありません。
最後に、私は映画「ショーシャンクの空に」が大好きです。自由な世界に逃れたい方、ぜひご覧になってください。勇気が出ます!
心理面接室TAO 藤坂圭子
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