幼稚園や小学校で、母親から離れられない子どもが見受けられます。下駄箱や教室の入り口で、地団太踏んで抵抗します。学校中に響き渡るような大声で泣き叫ぶ子もいます。先生や支援員に引き渡されてやっとのことで教室へ。それも難しくて、母親がずっと付き添わねばならないこともあります。
大人たちも手を焼いて、甘えさせたら図に乗ってしまう、もう〇年生だから、とあの手この手で親から引き離そうとしがちです。
けれど、決して無理やり力ずくで引き離してはいけません。大きな心の傷を残してしまいます。何とか我慢して教室で過ごせるようになったとしても、その傷や満たされなさは、後年必ず疼いてきて、人とうまく付き合えなくなったり自分に自信が持てなくなったりして、躓きがちになります。
人の一生は、「分離」の連続です。まず胎内から明るすぎる訳の分からないこの世に押し出され、至福のおっぱいの時間がなくなり、否応なく母親がいない世界で過ごす時期がやってきます。
身体だけでなく、心もです。泣けば無条件に癒される時期は短く、僕が王様!的な「幼児万能感」は手放さないといけません。そして、世の中は自分の思い通りにならない、「人は人、自分は自分」と諦めて、「個」を確立していかなければなりません。
その「分離」は、とても恐ろしいことです。今まで無条件に許されていた安住の世界を奪われて、自分一人で次の世界に対応していくのですから。
「分離不安」に泣き叫ぶ子どもを前に、まずこの心の痛みに思いを馳せましょう。そして、必要なのはもう一度ちゃんと母親と「つながる」ことです。つながって安心できると、子どもは離れるのが怖くなくなります。離れてもママは私の中にいるんだ、という感覚を持てるからです。それを「内在化」と言います。
「いないいないバアー」は「内在化」の遊びです。ママの顔がなくなった、いなくなっちゃった!と、子どもは一瞬固まりますが、「バアー」とママの顔が出てくるとキャッキャッ喜びますね。ママはちょっと消えてもちゃんといるんだ、と分かっていくのです。
「分離不安」への対応として、私はよく「別れの儀式」をお勧めします。ギュッとハグするのはとても効果的。それから、お決まりのパターンを作りましょう。握手や合言葉や、帰ってからのおやつの約束をするのもいいでしょう。
多くの場合、しばらく経つと、子どもの方からバイバーイと手を振って教室に入るようになります。
フィギュアスケートの選手も、リンクに出る前にいつもしていますね。グルグルポン!と背中を押し出してもらったり、おでことおでこを突き合わせたり。あれは、今まで支えてくれたコーチを「内在化」する儀式です。選手にとってどんなに心強いことでしょう。
子どもが眠る前の絵本の読み聞かせや、おやすみのキスも、親の存在がすーっと子どもの胸に染み入る魔法みたいです。
「分離不安」は何も小さい子どもに限ったことではありません。人は不安になると子ども返りをします。安心が欲しいのです。不登校の高校生が、母親の後追いをしたり布団に入ったりすることもよくあります。
大人も、ワイワイ飲んだ後離れがたくて、もう1軒!とグズグズやります。しばらく会えない恋人とは、当然別れるのは嫌です。何かヘマをやらかしてしまった時、モヤモヤしてかえってその場を立ち去りがたいこともあります。
人は機械ではないので、割り切って別れるのが難しい場面は、生きている限りしょっちゅうです。
そんな時、「大丈夫だよ」とか「愛しているよ」とか言ってもらえるとホッとしますね。受け入れられている、つながっている、大切な人が自分の中にいると実感できると、「分離」はそれほど辛くなくなり、一人でもいられるようになります。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
大人たちも手を焼いて、甘えさせたら図に乗ってしまう、もう〇年生だから、とあの手この手で親から引き離そうとしがちです。
けれど、決して無理やり力ずくで引き離してはいけません。大きな心の傷を残してしまいます。何とか我慢して教室で過ごせるようになったとしても、その傷や満たされなさは、後年必ず疼いてきて、人とうまく付き合えなくなったり自分に自信が持てなくなったりして、躓きがちになります。
人の一生は、「分離」の連続です。まず胎内から明るすぎる訳の分からないこの世に押し出され、至福のおっぱいの時間がなくなり、否応なく母親がいない世界で過ごす時期がやってきます。
身体だけでなく、心もです。泣けば無条件に癒される時期は短く、僕が王様!的な「幼児万能感」は手放さないといけません。そして、世の中は自分の思い通りにならない、「人は人、自分は自分」と諦めて、「個」を確立していかなければなりません。
その「分離」は、とても恐ろしいことです。今まで無条件に許されていた安住の世界を奪われて、自分一人で次の世界に対応していくのですから。
「分離不安」に泣き叫ぶ子どもを前に、まずこの心の痛みに思いを馳せましょう。そして、必要なのはもう一度ちゃんと母親と「つながる」ことです。つながって安心できると、子どもは離れるのが怖くなくなります。離れてもママは私の中にいるんだ、という感覚を持てるからです。それを「内在化」と言います。
「いないいないバアー」は「内在化」の遊びです。ママの顔がなくなった、いなくなっちゃった!と、子どもは一瞬固まりますが、「バアー」とママの顔が出てくるとキャッキャッ喜びますね。ママはちょっと消えてもちゃんといるんだ、と分かっていくのです。
「分離不安」への対応として、私はよく「別れの儀式」をお勧めします。ギュッとハグするのはとても効果的。それから、お決まりのパターンを作りましょう。握手や合言葉や、帰ってからのおやつの約束をするのもいいでしょう。
多くの場合、しばらく経つと、子どもの方からバイバーイと手を振って教室に入るようになります。
フィギュアスケートの選手も、リンクに出る前にいつもしていますね。グルグルポン!と背中を押し出してもらったり、おでことおでこを突き合わせたり。あれは、今まで支えてくれたコーチを「内在化」する儀式です。選手にとってどんなに心強いことでしょう。
子どもが眠る前の絵本の読み聞かせや、おやすみのキスも、親の存在がすーっと子どもの胸に染み入る魔法みたいです。
「分離不安」は何も小さい子どもに限ったことではありません。人は不安になると子ども返りをします。安心が欲しいのです。不登校の高校生が、母親の後追いをしたり布団に入ったりすることもよくあります。
大人も、ワイワイ飲んだ後離れがたくて、もう1軒!とグズグズやります。しばらく会えない恋人とは、当然別れるのは嫌です。何かヘマをやらかしてしまった時、モヤモヤしてかえってその場を立ち去りがたいこともあります。
人は機械ではないので、割り切って別れるのが難しい場面は、生きている限りしょっちゅうです。
そんな時、「大丈夫だよ」とか「愛しているよ」とか言ってもらえるとホッとしますね。受け入れられている、つながっている、大切な人が自分の中にいると実感できると、「分離」はそれほど辛くなくなり、一人でもいられるようになります。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com