駆け出しの高校教員だったころ、2年生で一番「荒れた」クラスの担任となりました。個性あふれる子たちがいっぱいのガチャガチャしたクラスでした。成績はいつも最下位。不登校や情緒不安定の子もいました。
そこに5、6人ほどのいわゆる「お姉ちゃん系」の女子グループがありました。教師に対してはふてぶてしく、欠席早退遅刻も多く、髪を染めたり、いろいろやらかしてくれました。
家庭環境が複雑だったり、学力不振やコンプレックスもあって、本当は淋しい子たちで、一人一人は素直でかわいかったですが、私は正直少々手を焼きました。新米教師なりに精いっぱい向き合ったつもりですが、舐められている感は否めませんでした。
私はその年度を最後に、転勤となりました。
そしたら、その子たちが、春休みに先生ンちに遊びに行く!と言うのです。私はもちろん嬉しくて、家の場所を教えて待っていましたが、約束の時間よりもずいぶん遅れて彼女たちはやって来ました。市外で馴染みもない土地なので迷ったとのこと。それで、「ふーじさかセンセーのおうちは、どーこでーすか~♪」と、みんなで大声で歌いながら来たとか。恥ずかしい…!
でも、和気あいあいといい時間を過ごせて、ネックレスまでいただきました。ブランドのものでした。高校生なのに奮発してくれて。今でも大切に使っています。
けれど、そのグループの中で一人だけ来なかった子がいました。用事があるからと聞きましたが、私には心当たりがありました。
年度終わりに生徒たちに書いてもらったアンケートに、彼女はこう書いていました。
「先生の言うことは確かに正しいけれど、私たちは教科書じゃない」
ハッと目が覚めました。
他の子たちの温かい心遣いも嬉しいけれど、この子のこの言葉と、来なかったという事実が、私にとっては何よりも本当にありがたかった。
私はカウンセラーとして、クライエントさんを「教科書」にしていないか。教科書通りの理論でクライエントさんをとらえ、教科書的な発達プロセスを強いていないか。
折に触れて、彼女の「私たちは教科書じゃない」を思い出します。人として人を尊重する原点に立ち戻らねば、と。
彼女たちとはあまり年も離れていないので、すっかりおばさんになっているはずです。もしかしたら、もうおばあちゃんになっているかも。きっとたくましく暮らしていることでしょう。
私に貴重な言葉をくれた彼女には、得意にしていることがありました。それを生かした人生になっていたらいいなあ、と思います。ありがとう。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
そこに5、6人ほどのいわゆる「お姉ちゃん系」の女子グループがありました。教師に対してはふてぶてしく、欠席早退遅刻も多く、髪を染めたり、いろいろやらかしてくれました。
家庭環境が複雑だったり、学力不振やコンプレックスもあって、本当は淋しい子たちで、一人一人は素直でかわいかったですが、私は正直少々手を焼きました。新米教師なりに精いっぱい向き合ったつもりですが、舐められている感は否めませんでした。
私はその年度を最後に、転勤となりました。
そしたら、その子たちが、春休みに先生ンちに遊びに行く!と言うのです。私はもちろん嬉しくて、家の場所を教えて待っていましたが、約束の時間よりもずいぶん遅れて彼女たちはやって来ました。市外で馴染みもない土地なので迷ったとのこと。それで、「ふーじさかセンセーのおうちは、どーこでーすか~♪」と、みんなで大声で歌いながら来たとか。恥ずかしい…!
でも、和気あいあいといい時間を過ごせて、ネックレスまでいただきました。ブランドのものでした。高校生なのに奮発してくれて。今でも大切に使っています。
けれど、そのグループの中で一人だけ来なかった子がいました。用事があるからと聞きましたが、私には心当たりがありました。
年度終わりに生徒たちに書いてもらったアンケートに、彼女はこう書いていました。
「先生の言うことは確かに正しいけれど、私たちは教科書じゃない」
ハッと目が覚めました。
他の子たちの温かい心遣いも嬉しいけれど、この子のこの言葉と、来なかったという事実が、私にとっては何よりも本当にありがたかった。
私はカウンセラーとして、クライエントさんを「教科書」にしていないか。教科書通りの理論でクライエントさんをとらえ、教科書的な発達プロセスを強いていないか。
折に触れて、彼女の「私たちは教科書じゃない」を思い出します。人として人を尊重する原点に立ち戻らねば、と。
彼女たちとはあまり年も離れていないので、すっかりおばさんになっているはずです。もしかしたら、もうおばあちゃんになっているかも。きっとたくましく暮らしていることでしょう。
私に貴重な言葉をくれた彼女には、得意にしていることがありました。それを生かした人生になっていたらいいなあ、と思います。ありがとう。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com