「HSPーHighly Sensitive Person(非常に敏感な人)*子どもの場合は、HSCーHighly Sensitive Child」。10年くらい前からでしょうか、にわかに話題になってきて、ネットでもたくさんチェックリストが紹介されています。私もHSPではないかしら、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
HSPは、1996年にアメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。チェックリストでよく上がっている項目としては、次のようなものがあります。
・人の気持ちや周りの雰囲気に敏感で左右される。
・いつも人に気を遣って、Noが言えない。
・集団が苦手。
・気持ちが動揺する場面を避ける。
・一度にたくさんのことをするのが苦手。
・光や匂い、音などにとても敏感。
・想像力が豊かで空想を好む。
・直観力がある。
HSPは病気や障害ではなく、生まれ持っての気質です。努力で変わるものではありません。なので、ポジティブ志向でコミュニケーション重視の世の中では非常に生きづらく、自己嫌悪感に苛まれたり、不登校や引きこもりに陥る場合もあります。けれど、HSPの人が人格的に劣るというのでは決してなく、むしろ多様性を受け入れない世の中の方に問題ありです。
私たちは小さいころから、明るく元気が一番とか、友だちは多い方がいいとか、自分の意見ははっきり言うべきだとか、くよくよしても仕方ないとか、たくさんのきれいごとを刷り込まれています。全く反対の価値もあると言うのに。
HSPの由来は、ユング心理学です。ユングは、人間は「外向型」と「内向型」に大別されるとしましたが、HSPの本質は「内向型」。つまり、関心が外のことや人のことよりも、自分の内側に向くのです。だから、小さいころから大勢でワチャワチャ遊ぶより、一人で静かに絵を描いたり本を読んだりするのが好きで、本来は一人が平気です。世間では「外向型」がもてはやされますが、「内向型」は思慮深く内面がとても豊かです。「孤独」は、よりよく生きるための知恵をもたらしてくれます。若いうちは、周囲から置いていかれるような辛さを感じるかもしれませんが、きっと中高年以降に落ち着いて、充実感が深まります。
また、よく「繊細さん」と称されるように、感覚がとても繊細です。その過敏さのあまり、幼少期は夜泣きが激しかったり、少しのことでビビったりして、育てにくいと思われていたでしょう。大人になっても、人の思惑や気配をビンビン感じ、自分の「壁」を突き抜けるように入ってくるので、クタクタに疲れてしまいます。
だから、無理して「みんなと同じように」などと頑張らない方がいいです。学校や職場は、こういう人たちのために、静かで落ち着ける環境を保証すべきだと思います。
繰り返しますが、HSPは決して人格が劣るわけではありません。感性の豊かさと内面の深さに自信を持っていいのです。
15~20%の人にHSPの傾向があると言われていますが、HSPではないのに、自分をHSPと思い込んでいる人も少なくありません。
人目が気になる、人の思惑に敏感、傷つきやすい、いつも神経過敏、一人になりたい…。HSPの人が抱えがちな苦しさです。が、小さいころは屈託がなく人と遊べて、本当は人の中で盛り上がるのが好きだとしたら、多分HSPとは違います。HSPは先天的に「内向的」な気質ですから。
いじめや虐待や何らかのトラウマ体験があって、自分を守るために過度に周囲に敏感にならざるを得ないのかもしれません。または、自分に自信がなく、自己イメージを周囲に投影しているのかもしれません。ー自分のことをつまらないと思い込んでいると、他人も自分のことをつまらないヤツだと思っている気がする。
もしそうだとしたら、HSPだから仕方ないと諦めるのではなく、本来の伸びやかさを取り戻してほしいと思います。
「生きづらさ」を説明する切り口にはブームがあって、常にいろんな理論が取り沙汰されます。遡ると、愛着障害、発達障害、アダルトチルドレン、ボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)…etc.。どれも自己理解に役立つ理論ですが、それぞれ違います。自分はこれに当てはあると思うとホッとするものですが、自分の歴史や内面をよく吟味して、本当の自分らしさを問い続けてほしいです。心に傷を負ったままだとしたら、安心安全なところでその傷と向き合い、癒していきましょう。
何も大それたことは実現できなくても、力むことなく、「これが自分。これでいい」と思える人生を送れますように。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com
HSPは、1996年にアメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。チェックリストでよく上がっている項目としては、次のようなものがあります。
・人の気持ちや周りの雰囲気に敏感で左右される。
・いつも人に気を遣って、Noが言えない。
・集団が苦手。
・気持ちが動揺する場面を避ける。
・一度にたくさんのことをするのが苦手。
・光や匂い、音などにとても敏感。
・想像力が豊かで空想を好む。
・直観力がある。
HSPは病気や障害ではなく、生まれ持っての気質です。努力で変わるものではありません。なので、ポジティブ志向でコミュニケーション重視の世の中では非常に生きづらく、自己嫌悪感に苛まれたり、不登校や引きこもりに陥る場合もあります。けれど、HSPの人が人格的に劣るというのでは決してなく、むしろ多様性を受け入れない世の中の方に問題ありです。
私たちは小さいころから、明るく元気が一番とか、友だちは多い方がいいとか、自分の意見ははっきり言うべきだとか、くよくよしても仕方ないとか、たくさんのきれいごとを刷り込まれています。全く反対の価値もあると言うのに。
HSPの由来は、ユング心理学です。ユングは、人間は「外向型」と「内向型」に大別されるとしましたが、HSPの本質は「内向型」。つまり、関心が外のことや人のことよりも、自分の内側に向くのです。だから、小さいころから大勢でワチャワチャ遊ぶより、一人で静かに絵を描いたり本を読んだりするのが好きで、本来は一人が平気です。世間では「外向型」がもてはやされますが、「内向型」は思慮深く内面がとても豊かです。「孤独」は、よりよく生きるための知恵をもたらしてくれます。若いうちは、周囲から置いていかれるような辛さを感じるかもしれませんが、きっと中高年以降に落ち着いて、充実感が深まります。
また、よく「繊細さん」と称されるように、感覚がとても繊細です。その過敏さのあまり、幼少期は夜泣きが激しかったり、少しのことでビビったりして、育てにくいと思われていたでしょう。大人になっても、人の思惑や気配をビンビン感じ、自分の「壁」を突き抜けるように入ってくるので、クタクタに疲れてしまいます。
だから、無理して「みんなと同じように」などと頑張らない方がいいです。学校や職場は、こういう人たちのために、静かで落ち着ける環境を保証すべきだと思います。
繰り返しますが、HSPは決して人格が劣るわけではありません。感性の豊かさと内面の深さに自信を持っていいのです。
15~20%の人にHSPの傾向があると言われていますが、HSPではないのに、自分をHSPと思い込んでいる人も少なくありません。
人目が気になる、人の思惑に敏感、傷つきやすい、いつも神経過敏、一人になりたい…。HSPの人が抱えがちな苦しさです。が、小さいころは屈託がなく人と遊べて、本当は人の中で盛り上がるのが好きだとしたら、多分HSPとは違います。HSPは先天的に「内向的」な気質ですから。
いじめや虐待や何らかのトラウマ体験があって、自分を守るために過度に周囲に敏感にならざるを得ないのかもしれません。または、自分に自信がなく、自己イメージを周囲に投影しているのかもしれません。ー自分のことをつまらないと思い込んでいると、他人も自分のことをつまらないヤツだと思っている気がする。
もしそうだとしたら、HSPだから仕方ないと諦めるのではなく、本来の伸びやかさを取り戻してほしいと思います。
「生きづらさ」を説明する切り口にはブームがあって、常にいろんな理論が取り沙汰されます。遡ると、愛着障害、発達障害、アダルトチルドレン、ボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)…etc.。どれも自己理解に役立つ理論ですが、それぞれ違います。自分はこれに当てはあると思うとホッとするものですが、自分の歴史や内面をよく吟味して、本当の自分らしさを問い続けてほしいです。心に傷を負ったままだとしたら、安心安全なところでその傷と向き合い、癒していきましょう。
何も大それたことは実現できなくても、力むことなく、「これが自分。これでいい」と思える人生を送れますように。
心理面接室TAO 藤坂圭子
HP:http://tao-okayama.com