「ジェットコースターは好きですか?」と聞かれたら、迷わず「好き!」と答えます。教員時代、修学旅行や一日遠足で遊園地に行った際は、生徒と一緒に絶叫マシーンを楽しんだものです。
 とは言え、最近はすっかり大人になってしまい(?)、あまり乗ろうとも思わなくなりましたが。

 ジェットコースターに最初に乗ったのは、小学生のころだったと思いますが、やはり人並みに怖がりました。ところが、いつだったか、ふと気づいたのです。抗(あらが)わなければ怖くない!
 乗り込んで安全バーを下して、いざ出発。空を仰ぎながらゴトンゴトンと頂点まで上り、そっから一気に急降下!
 みなさん、そこで抗って仰け反るから怖いのです。でも前のめりに安全バーに体を預けてしまえば、何てことはない。心地いい重力を味わえます。急カーブの時は力を抜いて、遠心力に任せる。少々体が痛いですが、私はほとんど絶叫せず景色さえ楽しめます。
 もっとも、設備に故障がないことを無条件に信じていなければなりませんが…。

 「抗わない」というのは、楽に生きるコツなのかも、と思います。
 怖さや淋しさややりきれなさに、どっぷりつかってみる。そして、嘆き切る。
 暗闇の中でジタバタしても、どうにもならず消耗するだけですが、抗わずにじっとしていると、目が慣れてきて周りにあるものが見えてきたり、彼方の光が目に入るかもしれません。
 いつの夏だったか、遊泳中に荒波にさらわれた男性が、奇跡的に遠くの浜で救助されたというニュースがありましたが、その男性曰く、「抵抗せずに波に任せて漂いました」。
 
 私は以前、自己嫌悪や閉塞感で絶望的な気分に苛まれていた時、帰宅の車中でこんかぎり泣いてみました。1週間くらい。幸い今くらいの季節で真っ暗だったので、何憚ることなく、どんな映画でもなかなかお目にかかれないくらいの凄まじい泣きっぷりでしたよ。泣いてどうなるとも思っていませんでしたが、絶望感に身を預けてみました。
 それからどうやって抜けたのかよく思い出せないのですが、今はあんなに泣けて気持ちよかったなあ、としみじみいい思い出です。

 受け入れがたい感情に抗わずに、自分の中に抱えられるようになると、人間強いです。
 ユングの言う、「対立物の統合」を経ての「個性化」「自己実現」です。 
 今、TAOのセミナーでみなさんと勉強している「対象関係論」でも、不快感や違和感を自分の中から追い出そうとするのではなく、しっかり抱えられるようになることが、健全な心の発達に不可欠だと説いています。
 でも、人間は弱いので、一人では抱えきれない。だから、力を抜いて、誰かに何かに委ねてみるのがいいです。

                           心理面接室TAO 藤坂圭子
                           HP:http://tao-okayama.com