あなたは、モノを「捨てる」のは得意な方ですか?
 なかなか捨てられないという方、多いですよね。写真などの思い出の品はもちろん、もう着ない服、何かの資料、空き箱やレジ袋に至るまで、油断すると家の中は不要なもので溢れ返ってしまいます。アメリカの最新の精神医学診断基準DSM-Ⅴでは、「ため込み症」が立派に疾患として登場しています。

 「捨てられない・片付けられない症候群」は、よくAD/HD(注意欠陥多動性障害)と関連付けて論じられます。集中力がないため、モノの整理ができないというわけです。
 さらに私は、「切る力」の不足もあると思っています。いらないものはさっさと捨てて身軽になればいいのに、それができなくて溜め込んでしまう。「切る」ことができないのです。なぜでしょう?

 一つは、きちんと「つながる」ことができていないからだと思います。
 話は飛ぶようですが、小さい子どもが強烈な分離不安を呈して、お母さんから離れられないことがあります。無理に引き離そうとすると、子どもはますます泣き叫びます。そんな時私は、「しっかりハグしてあげてください」とアドバイスします。子どもが安心して、母親の存在を「内在化」できると自然と離れていけます。ママは今はここにはいないけど、ちゃんと私の中にいる、と思えると。
 思春期の保護者の方々への講演などでは、私はよく「子どもの自立のためには、今のうちにしっかりと心がつながることが大切です。つながらないと、いつまでも愛情を要求されて脛をかじられますよ」と話します。
 こんまりさんの片付け術では、モノに感謝して「ありがとう」と言いながら捨てると勧められていて、なるほどと思います。日ごろからモノと丁寧に付き合い、そのモノを十分に味わい、しっかり「内在化」できると、サヨナラの勇気も出やすいのでは。

 「切る」ことができないもう一つの要因は、「不安」です。手放しても大丈夫、なくてもやっていけると思えなくて、いつもモノを身の回りに確保しておかないと不安なのです。
 ゴチャゴチャしているほうが安心でしっくりくるのならば、割り切ってそう暮らすのも一策かと思います。どうせなら、モノたちを慈しみながらそばに置いておけるといいですね。
 またはやはり、「ない」ことに耐える「心の力」を付けることです。
 「星の王子様」のキツネは、「大切なものは目には見えない」と言いました。でも、内面が充実していないと、人はつい具体的なモノに頼ります。自分の心に向き合って、自分自身に安心できたら、きっとそんなにモノに頼らなくても済みます。しかし、「心」も厄介なもので、モノよりも手に負えない。だから、一人で抱え込まないようにしましょう。

 結局、どうすれば捨てられる人になるのか、手っ取り早い解決策の話にならなくてすみません。ただ言えるのは、モノとの付き合い方は、人との付き合い方、自分の心との付き合い方と通じているということです。
 TAOにいらっしゃる方の中にも、捨てられない、片付けられないと訴える方は多いです。でも、心が整ってきて、モノに限らず、考え方や人間関係も、自分にとって必要なものと不必要なものとの仕分けができてくると、不意に身辺整理が進んだりします。
 断捨離の本をたくさん溜め込んで、ますますがんじがらめになるより、自分の心に立ち返って、本当に大切なものは何かを問い直してみてはいかがでしょう? 


                            心理面接室TAO 藤坂圭子
                            HP:http://tao-okayama.com