TAOにはさまざまな悩みを抱えた方々がいらっしゃっています。悩みは家族とは関係のないことも多いですが、必ずと言っていいほど親の話が出ます。自分がどちらの親に似ているかとか、親へのわだかまりが今に影響しているのでは、といった話です。きょうだいとの関係も話題になります。さらに、親のきょうだい、いとこ、遡って祖父母、曾祖父母なども出てきます。
 そして、自分の苦しみは今に始まったことではない、ということに改めて気づかされます。

 喧嘩や暴力、金銭のトラブル、離婚、失職、アルコールなどの依存症、精神疾患、自死、犯罪…。望みもしないのに、何世代にもわたって引き継がれてしまっています。「世代間連鎖」です。
 あんな風にはなりたくないと思って生きてきたのに、いつの間にか自分も同じ轍を踏んでいる。こんな「血」を引いてしまって、どうしたらいいんだと愕然とします。

 でも、引き継いだのは「血」ではありません。「血」がつながっていれば、「性格」も似たところがあるかもしれませんが、変えられないものではありません。 
 連鎖しているのは、代々の「空気感」「価値観」「コミュニケーションパターン」「文化風土」などです。
 子どものうちは、育つ環境が絶対的なものだと思い込むので、知らず知らずのうちに洗脳されるように性格化され、気づくとやはり同じような不自由な人生になっています。でも、「持って生まれたもの」ではありません。変えられます。 

 誰も悪くはないのです。パターンが連鎖しているだけです。悲しみ、怒り、不安、淋しさ、無念さなどとともに。
 何代もの鬱憤が自分に具現化されていると思うと、本当にやりきれません。何でこんなところに生まれたんだと恨みたくなります。親だって苦労したんだから許そうなんて、そんな寛容な気持ちにもなれません。
 
 そんなクライエントさんとは、恨んでもいい、けれど「世代間連鎖」を断ち切りましょう、子どもたちの世代には残さないようにしましょう、と一緒に頑張っています。
 今まであまり得られなかった安心感や愛情を、貪欲に求め続けていいです。「求めよ、さらば得られん」で、きっといつかどこかで掴むことができます。それから、「世の中こんなもん」という考え方を捨て、幸せにつながる新しい価値観を入れること。馴染んだネガティブな行動パターンや居場所を変えること。
 自分が変わることで、何代もの傷つきが癒えるかもしれません。そして、そして明るい清々しい連鎖が始まります。パターンを変えるのは物凄く気力のいることですが、諦めないでほしいです。

                            心理面接室TAO 藤坂圭子
                            HP:http://tao-okayama.com