「前世療法」なるものの存在は知っていましたが、ずっと胡散臭いと思っていました。しかし、もう10年ほど前でしょうか、ふとしたきっかけで、ブライアン・L・ワイス博士の「前世療法」(PHP文庫)を読み、衝撃を受けました。

 ワイス博士はアメリカの精神科医で、科学で証明されないものは決して信じないという、筋金入りの合理主義者でした。が、ある時、キャサリンという女性患者が、催眠療法の最中に突然、紀元前1863年の古代エジプトでの過去生に戻ってしまうという事件が起こったのです。もちろん、博士は全く意図していないのに、です。
 以来、キャサリンのみならず、たくさんの患者からたくさんの過去生が語られます。それらは、古文書や史実に照らしても矛盾がなく、博士も過去生や輪廻転生を信じざるを得なくなったという訳です。
 そして、現在の心身の症状は、過去生のトラウマや死に際しての痛みが起因していることがあり、そのことの気づきと癒しが症状の軽減をもたらす、と分かってきました。

 このいきさつは、「前世療法」に詳しく書かれていて、信じるか否かは別として、読み物としてもスリリングで面白いです。このシリーズは「前世療法」2、「魂の伴侶」、「未来世療法」などと続きます。どれも温かい本です。お勧めです。

 たくさんの患者の語りから明らかになったことは、私たちは、男であったり女であったり、いろんな国で、いろんな身分で、いろんな風に生きて死ぬ、を数えきれないほど繰り返しているということ。大切な人は、過去生でも関係こそ違ってもいつも身近にいたということ。そして、何と私たちは親を選んで生まれてきたということ! これはシャクですね…。
 過去生で身に付けた技芸は引き継がれるので、いきなりピアノが弾けたり、計算ができたりといった天才児が存在する。なぜか心惹かれる場所や度々旅する土地は、前世の因縁が深いことが多い、などなど。

 ワイス博士自身は、何度か「過去生」の存在を主張しながら受け入れられず、処刑されたりした過去生があり、今世はうまくやれる環境を選んで生まれてきたのだとか。
 私自身は、何となく前世は、東欧かどこかで、ホロコーストか何かで殺されたのでは、という気がしています。小さいころ、高熱を出すと決まって、大きな黒い鉄の塊のようなものに押しつぶされる感覚に襲われていました。怖いというより懐かしい感じで、前世はもしかしてそんな風に死んだのかしら、とも思います。

 で、今回、私がワイス博士の「前世療法」をご紹介している一番の理由は、ワイス博士の「人生は学校だ」という考え方に心打たれたからです。人生は、「愛」を学ぶための学校なのだそうです。
 私たちは輪廻転生を繰り返しますが、その都度の生に意味や課題があり、それに向き合うことで、少しずつ魂をステップアップさせていくのだそうです。だから、今手を抜いて投げやりになると、課題は来世に持ち越しになるという…。なんともシビアな話です。
 
 私は、殊更自分の過去生を明らかにしようとは思わないし、私のクライエントさんにもできません。ちまちまと、目の前の課題に一緒に取り組むのが、身の丈に合っています。でも、それでお互いに解放や幸せに近づけるのなら、やりがいはあるというものです。
 「輪廻転生」を終えて、仏教で言う「解脱」ー「無」になれるのは、いつのことだろう? そうなれたら楽だろうなあ。でも、この世も苦しいけれど、楽しみも味わいもあります。覚悟して、「今を生きる」しかありませんね。


                           心理面接室TAO 藤坂圭子
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