今回のフォーラムは、従来のシンポジウムのようにひな壇があり、話す側・聞く側というものではなく、フラットな状態でさまざまな人と気軽にお話ができる場をつくろうということで「カフェ」という場をつくりました。
会場は取手駅東口徒歩2分のところにあるカタクラショッピングプラザの地下1階を使わせていただきました。以前、地下1階は食品売り場として使われていたのですが、現在は使われていない場所となっています。そんな場所で行なわれたTAPフォーラム2005Vol.2について報告します。
まずは、エスカレーターで地下へ行くと丸テーブルがあり、カフェの雰囲気でお出迎え。入口はカフェとTAPアーカイブをご用意しました。
TAP2005『はらっぱ経由で、逢いましょう。』でみなさんのたまり場となった「Caféはらっぱの家」再来といった雰囲気になりました。カフェの飲み物は、入口のカウンターだけでなく会場を回りながらのサービスもあったので、飲み物を片手にトークも進みました。
プログラム
14:00〜 公開ミーティング「藤浩志と語るTAP2005」
15:00〜 テーブルトーク 「TAPチャンネルON AIR」
17:00〜 バータイム 「トーク終了後のお楽しみ」
ゲスト
藤浩志(美術家・TAP2005ゲストアーティスト、企画アドバイザー)
堤康彦(特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち 代表)
吉本光宏([株]ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室 室長)
14:00〜 公開ミーティング「藤浩志と語るTAP2005」
公開ミーティングは会場中央で行なわれ、TAP2005のプロジェクトについて
TAP2005ゲストアーティストの藤浩志さんと各チャンネルのファシリテーターが語りました。あつまるチャンネルからはTAPヒルズについて、つなぐチャンネルからはオープンスタジオについて、そだてるチャンネルからはアーティスト派遣、かえっこ、児童画展についてとTAP2005のプロジェクトについて駆け足で振り返りました。
公開ミーティングは各チャンネルからの発表時間が足りず、続きはこの後のテーブルトーク「TAPチャンネルON AIR」で…という流れになりました。
また、その場に集まっていただいたみなさまに3色の色紙をお渡ししました。この3色は各チャンネルを表していて、
緑→あつまるチャンネル
赤→つなぐチャンネル
黄→そだてるチャンネル
の色となっていました。各チャンネルからの発表中に気になったキーワードを色紙に書いていただき、その紙を各チャンネル近くの柱に貼り付けていきました。
15:00〜テーブルトーク 「TAPチャンネルON AIR」
藤さんとそこに集まる人々がトークをしていきました。ここでは「あつまるチャンネル」「つなぐチャンネル」「そだてるチャンネル」の3つのチャンネルの様子を見ることができるモニターがそれぞれ用意されています。
さて、各チャンネルではどのようなトークが展開されていったのでしょうか。各チャンネルを担当していたTAPのインターンから報告していただきましょう。

「チャンネルステーション」
藤浩志さん常駐のチャンネルステーションはまず、TAP塾講師・森司さんとの対談からスタートしました。
対談というよりむしろ、テレビを見ながらおしゃべりをしている雰囲気。
3つのモニターに映し出された色紙の「ただいまの話題」をもとに「あつまる」「つなぐ」「そだてる」すべてのテーマについて、普段の会話のトーンで、重要なキーワードがステーションでも紡がれていきました。テレビのある藤さんの家にお茶を持って、まぁちょっと話でも、と来場者も自然と会話の輪の中へ。
バータイムになるとお酒も入ってより雄弁になる藤さん。
吸い寄せられるかのようにどんどんと輪は大きくなり、チャンネルトークを終えた
ゲストや進行役はもちろんトーク参加者も、色紙と感想と言い足りなかったエトセトラを持ち寄って、いつしか思いは共有/深化していきました。 byおおうち

「あつまるチャンネル」
ゲストの
吉本光宏さん([株]ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室 室長)をお迎えしてトークを行ないました。
取手の駅前開発についてのお話をしていただきました。
また、チャンネルステーションにいる藤さんにも参加していただき
「つくるプロセスがおもしろい、プロセスを楽しめること。そこに温度、人の温かさを感じることが大事だ」とお話をしていただき、あるつまるチャンネルのトークは熱くなっていきました。取手のまちに何が必要なのか、音楽ホールや公園というキーワードもでてきました。視点をうつして、カタクラショッピングプラザの5階にあるサテライトギャラリーも気軽にアートを楽しんでいただける場所として機能するのではないかとインターンから話を聞きました。
みなさんのお話を聞いていて、今、取手のまちは変わることを一つのチャンスにしていく力があるのではないかと感じました。いろんな話が「ゆるゆる」な雰囲気で話がすすんでいきました。 byいわさき

「つなぐチャンネル」
ひととひと、そしてひととまちとの「つながり」がキーワードでした。このCHに参加してくださったのはTAP2005オープンスタジオの参加作家さんをはじめ、TAPトラベルツアー参加者の方、ずっとTAPを見ていてくださった方、当日色紙のキーワードに惹かれて来てくださった方々です。取手の地図を囲んで進んだトークでは、TAP2005の企画を巡って、有料化やツアー企画などへの賛否両論、アーティストと作品、そしてそれらとまちの関係などについての意見が交わされました。その中で、
「ひとのつながりは、点から線になり、そして面的に広がっていく」「つながりとは、すなわち『知る』こと」といったキーワードも参加者の方から挙がりました。 byはばら

「そだてるチャンネル」
小学校から机とイスをお借りして設営し、
特定非営利活動法人「芸術家と子どもたち」代表の堤康彦さんをお招きしてのトークとなりました。
今年度TAPで行った事業の一つ、アーティスト派遣についてが主な話題となり、事業に参加したアーティストや子どもたち、その親御さんなどが集まりました。
「芸術を教えるというよりも、例えば、ものの見方を学校で揃えさせられるのを直したり、芸術によって何かを促す」「教育の大きな問題に対してのアーティストによる解決も必要だが、重要なのはひとりひとりの子どもを見ること」など、今後のTAPの活動にも大きく示唆を与えてくれるような発言が続き、活発な議論が長時間にわたりました。 byながつ
17:00〜 バータイム 「トーク終了後のお楽しみ」
バータイムになっても各チャンネルのトークは続き、徐々に終わっていく各チャンネルのトーク。それから、各テーブルトークに参加していただいたゲストは、チャンネルステーションでお話をしている藤さんのところへ。TAP塾スター講師の森司さんも参加し、その輪の中に人びとが集まっていろんな人が気軽に話せるバータイムとなりました。
年に2回行なわれるTAPフォーラムはインターンが中心になって作るものとなっていますが、インターンだけではできない部分を、スタッフはこころよく協力してくれます。そんな協力体制がいいものを作り上げるのかもしれません。
フォーラム終了後、スタッフの方から聞いたのは「今回のフォーラムは新しい形で行なわれたので、蓋を開けてみるまでどうなるか分からなかった」とひやひやさせていたようですが最後は105人の方が来場してくださったと発表がありました。
参加してくださったみなさま、本当にありがとうございました。