2010年05月30日

さてさて、

僕を自分の正面に
座らせた占い師は

どうやら、
目が不自由らしく

じっと、
白濁した目で
僕の方を見ていた。

襟足のところで
ひとつにまとめた
髪には白髪がまじり

あまり外出は
しないのだろうか

南国にしては
やけに白い顔には
深い年輪が
刻まれていた。

僕が、
年の頃を
想像していると

突然、

「あなたは、
 緩やかに流れる河の
 川底にある
 丸い石のように
 なるだろう。」

と、
ゆっくりと
彼女は言った。


僕は
家の石垣の
むこうに見える

離島の青い空を
眺めながら

言われた
言葉の意味を
考えていたが

よく
理解することが
出来なかったので

聞き返そうと、
占い師のほうをむくと

どうやら彼女は、
俯いて
眠ってしまった
ようだった。

そのまま
暫く時間が流れ

心地よい
風が吹いたが、

占い師は
他に何か言う
様子も無いので

お礼を言って
その家を後にした。



あれから、
10年以上の歳月が流れ
いろんな場所へ行って
いろんな人と
会ってきた。



最近、
何故だか
あの占い師の言葉を
よく思い出す。


そして、
午前3時の
照明を落とした
薄暗い店内で

今日も僕は、
眩しく光る
水面を

川底から
見上げている。

水面。



(00:00)

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