nanorgan2

 さて、長いことブログを更新していなかった間に、こんなものを作ってました。これは何かというと、タクトスイッチが12個並んだ、よくあるタイプの電子ピアノみたいなやつです。

 ただそこらの電子ピアノとは違います。12個の鍵盤でドレミファソラシ……と弾いたあとに続けて下からドレミとやると、なんとなく1オクターブ上につながったように聴こえるというシロモノ。ソファミレドと降りてきても、また上から降りなおすとつながって聴こえます。
 これさえあれば「鍵盤が足りない」なんてことは起こるべくもなく、何オクターブある曲でも弾ける! というより、オクターブなんていう概念はもういらない!!



 ……で、どういう仕組みでこんなことになるのかが気になると思うのですが、タイトルに書いた「無限音階」というのがキーワードになっています。
 無限音階(シェパードトーン)というのは、低い音から高い音に少しずつ「ブーーーー」と上がっていく音、これが延々いつまでも上がっていくように聴こえるけれど、上がりきって聴こえないところまでいつまでたってもたどり着かない。そういう音です。

 これは耳の錯覚を利用したもので、たとえばドの高さの音を鳴らすときに、1オクターブ下のド、2オクターブ下のド、3オクターブ4オクターブ……と同じドの音を一緒に鳴らします。同じように、1オクターブ上、2オクターブ上……も鳴らします。
 レの時には全部のレが一緒に鳴って、ミもファも同じように全部鳴ります。すると、ソラシと上がって上のドが鳴ったときに、全部のドが1オクターブずれて鳴るので、下のドを鳴らしたのと同じ音になる、というわけです。
 そんなの重ねて大丈夫なの? と思うかもしれませんが、ちゃんとドレミに聴こえます。音を重ねる加算方式で、オルガンみたいな音がします。
 実際には一番低いところが出てきて一番高いところが消えるのが分かってしまうので、CRフィルタを使って聴こえないようにごまかしたら出来上がりです。

 実際に弾いてみると「なんだこりゃ」ととても不思議な感じがします。先日のMake: Ogaki Meeting 2012でこれの前身である「やる気のないMIDI音源」を展示したのですが、音楽好きで楽器を弾く方がみんな怪訝な顔をしながら「面白い面白いけど変なの」と弾いていたのが何よりうれしいものでした。
 ちなみに「やる気のないMIDI音源」は単音でしたが、"nanorgan"でMIDIの処理をなくしてマイコンの容量ぎちぎちに詰め込んだら無理やり4和音出るようになりました。

 電気的には、AVRマイコンATtiny2313が20MHzで動いていて、鍵盤状のスイッチを押すと、ウェーブテーブル方式でPWM出力から音の波形を出します。それをCRフィルタでなまらせて、後に控えるアンプIC NJM386で増幅してスピーカー出力する、といった感じ。

 この"nanorgan"、11/10に開催される「第12回アナログシンセビルダーズサミット」に展示します。
 また、12月のMaker Faire Tokyo 2012で"nanorgan"のキットを頒布しようと計画中です。いろいろ改造のしやすい形を目指しているので、もし興味があればお越しくださると嬉しいです。

ではでは