2007年01月31日

「いつかきっと、こんなふうに、胸が苦しくなるほど月が美しく輝く夜に― これは、そのときのためのお話。」 (名言・迷言集)

小説・今夜は眠れない・宮部みゆき

僕の大好きな宮部みゆき氏の作品の中でも、大好きなシリーズの1作目です。

簡単に言えば、主人公の少年とその家族に、たなぼた的に5億円が降ってくるお話。
もちろん、そんな簡単な説明だけで、このお話の内容は把握できないですがね。

主人公の「僕」こと「緒方 雅男」くん(中学一年生)に言わせれば、
「なんせ"長者番付"と銘打って、毎年一度赤の他人の懐具合を詮索することが恒例になっている国のことだもの。」
という事になるのですが、隣人の理不尽な幸せを許せるほど、この国の人たちは度量が広くないようです。
彼と彼の家族には、5億円と引き換えに様々な試練が襲い掛かります。

放浪の相場師と呼ばれた男の、最後の賭け。
果たして、本当に賭けられたものは何なのか?
最後の最後までノンストップで読み進まずにはいられない珠玉の名作は、タイトルの言葉を含めた以下の言葉で締めくくられます。


今でもときどき、月夜になると僕は思い出す。
月が明るく輝けば輝くほど、その光に誘われるようにして、あの夜のことを。

僕は思う。
もう二度と会えない人や、とうとう一度も会うことのできなかった人のことを。
そして、また会う約束をしている人のことを。

そうだ、いつかきっと、僕は黒真珠の指輪を受け取りに、あの女(ひと)に会いに行こう。
そしてやっぱりこんなに月の輝く下で、それを僕の女の子の指にはめてあげながら、この物語を語って聞かせよう。

僕に教えてくれた人の話を。
いちばん速く駆けるものが必ずしも勝つわけではなく、勝っているように見えるものが必ずしも勝者ではないということを。
賭ける価値があるかどうかを見定めるために、やっぱり賭けねばならないものがあることを。

いつかきっと、こんなふうに、胸が苦しくなるほど月が美しく輝く夜に―

これは、そのときのためのお話。



こんなにステキで、心に染み込むエンディングも、そうそうないですよ。
「これは、そのときのためのお話。」なんて、カッコ良すぎる…

そういえば、宮部作品のひとつである「ブレイブストーリー」が映画になったときのキャッチコピーが、
「これは、ボクの勇気のハナシ」
でしたが、なんだか似ていますね。

してみるとこのキャッチコピー、宮部さん自身が考えたのでしょうか?
もしくは、僕と同じような、宮部作品が大好きな人が考えたのかもしれませんね。

tappygoal at 23:21│Comments(0) 名言・迷言集 

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