アートの異常な愛情

または私は如何にして心配するのを止めて芸術を愛するようになったか

タラコフスキーが管理人を務めるアートブログです。アートブログと言いつつ、映画やアニメの感想がメイン(最近は小説関連も)。 ツイッター https://twitter.com/#!/tarakovsky63 新ブログ http://blog.livedoor.jp/tarakovsky-poetry/

2017年上半期公開映画マイベスト15(+α)

見ようと思ってるけどまだ見ていない作品もお嬢さんや娘よ等結構あるから書こうかどうか迷っていたけど、放っておいたら今年もすぐ終わってしまうということで、もし良くても全体のに持ち越すことにし、現時点で一旦上半期のマイベストを作ってみることにした。

1.人生タクシー
https://filmarks.com/movies/62671/reviews/32421058
2.ララランド
https://filmarks.com/movies/62215/reviews/33612544
(クーリンチェ少年殺人事件) 
https://filmarks.com/movies/70161/reviews/32422712
3.海は燃えている
https://filmarks.com/movies/67144/reviews/33613068
(台北ストーリー)
 https://filmarks.com/movies/70554/reviews/32434146
4.ありがとう、トニ・エルドマン
https://filmarks.com/movies/67903?mark_id=35210479
5.トレジャーハンタークミコ
https://filmarks.com/movies/61384/reviews/33322500
6.マンチェスターバイザシー
https://filmarks.com/movies/67444/reviews/33611842
7.皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
https://filmarks.com/movies/67269/reviews/33913948
8.未来よこんにちは
https://filmarks.com/movies/67159/reviews/32440092
9.ハクソーリッジ
https://filmarks.com/movies/68118/reviews/35091787
10.ネオンデーモン
https://filmarks.com/movies/60907/reviews/34340719
11.エリザのために
https://filmarks.com/movies/67917/reviews/33613827
12.オクジャ
https://filmarks.com/movies/67362/reviews/35458346
13.ラビング
 https://filmarks.com/movies/67918/reviews/32439978
14.カフェソサエティ
https://filmarks.com/movies/67900/reviews/33481129
15.サイレンス
https://filmarks.com/movies/59030/reviews/35177530

なお、filmarksでの感想を記載したが、プロフィールからホーリーモーターズ等他の高評価の作品のレビューも見られるため、興味のある方はどうぞご覧あれ。
あとエドワード・ヤンの二作はリバイバル的な上映だったため、番外的な扱いになったけど結構どっちも上位にくるあたりさすがエドワード・ヤンと言わざるを得ない。
さて、ここから下半期でどう順位が変わるのか楽しみでならないけど、おそらくベスト5は変わらずかな。 

第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞結果

案の定ほとんど不満しかないような前回と比べたら大分マシだった受賞結果になったけど、それでも悔しい部分もできてしまったのは個人的に残念だった。

パルムドール:the square
グランプリ:120 battement per minute
審査員賞:loveless 
男優賞:ホアキン・フェニックス
女優賞:ダイアン・クルーガー
監督賞:ソフィア・コッポラ
脚本賞:ヨルゴス・ランティモス&リン・ラムジー
名誉賞:ニコール・キッドマン

ここで残念に思ったのが、去年同様男優賞と脚本賞が被ってることと、にもかかわらず応援してたホン・サンスやサフディー兄弟の作品が無冠に終わってしまったこと。 どちらも過去の作品が自分の好みにあっただけでなく、今回出品された作品も実に良さ気で、ホン・サンスはある視点部門は受賞してるもののコンペティション部門では未だ、無冠だったから今回こそ受賞してほしかったし、サフディー兄弟の作品ではロバート・パティンソンが予告からもわかるくらい輝いてて受賞はほぼ間違いないと思っていたのに、どちらにも審査員は微笑まなかったのは口惜しい。ということ審査員の中に同じ韓国人のパク・チャヌクいたのに、そして父になると罪の手ざわりが受賞した2013年のときみたく優遇されたりしなかったのが不思議でならない。

加えて、netflix配信作品が結局どちらも受賞できなかったのにも溜め息が出た。出品作が上映される前からnetflix作品を冷遇する発言をして受賞が望み薄という印象を抱かせたのだから、逆にその反省と謝罪の意味も込めてどちらかにでも賞を与えるのではないかとも授賞式の前までは少し期待していた。その二作ともが悪くない評判だったから尚のことである。だが蓋を開けてみれな結局本当にどちらも受賞させず、やはり映画は劇場で見るものだというつまらない信念に囚われて配信作品を邪険に扱ったのかと邪推せずにはいられないし、挽回のチャンスを放棄したアルモドバルが情けなく感じた。

というか今回アジア勢からの受賞者が無く、受賞したのが 欧米ばかりなことにも異議を唱えたい。ロシアは微妙な立ち位置ではあるけど、人種や文化的にはヨーロッパ系に近いし、同じくヨーロッパに近いけど人種や文化的にはアジア寄りのトルコをアジアとして捉えたとき、欧米だけの受賞結果だった年は21世紀になってからは2001年のみだったのに、70回も続いた世界最大級の映画祭で人種的に閉じられてるように見える結果にしてしまったのは浅はかだったのではないか。しかも今回審査員として二人のアジア出身の映画人が就任されたにもかかわらずだ。ある視点部門ではイランやメキシコの監督作品が受賞している一方で映画祭のメイン部門であるコンペティション部門において白人だけの受賞になってしまったのは、意図的ではないにせよつまらないもので実に残念だ。そういう意味でもホン・サンスには審査員賞か監督賞あたりを受賞すべきだったのに、と考えたら余計彼の無冠は残念に思ってしまう。

しかしこの前はどんな結果になっても去年ほど不満は残らないだろうと発言したけど、それでも不服な点がいくつか出来てしまうのは欲張りだからだろうか。でも客観的に考えてもせめてアメリカ人の受賞者は減らして国籍だけでも多様なものにするなりして、もう少しバランスの良い結果に出来たはずだから今回の受賞結果にもやはり軽率なところがあったんじゃないかという気持ちは拭えない。

第70回カンヌ国際映画祭簡易中間発表&受賞再予想

思えば第69回のカンヌは出品作が発表された時点で不穏なものがあった。これは個人の好みの話ではあるのだけど、作品の質的に自分の肌に合わないものを作る監督が多く、予想外の傑作を送り出したバーホーベンは例外として、アンドレア・アーノルドにケン・ローチ、ブリランテ・メンドーサ、そして当たりがあまりないオリヴィエ・アサイヤスにと新作にも期待が湧かない名前が散見され、加えて蓋を開けてみたらパッとしない出来だったグザヴィエ・ドランにショーン・ペンらもいて、マーレン・アーデらが力作を披露した一方で受賞結果発表前から不祥な空気というものが思い返したらあったような気がする。そして実際にこれほどひどい受賞結果も無いんじゃないかと思うようなものとなり、非常に後味の悪いカンヌの記憶となって今でも残念に思っている。

しかし今回のカンヌはそんなに好きじゃない監督も精々ソフィア・コッポラと河瀬直美くらいしかおらず、それでも新作に全く期待できないというレベルではなく、かつ彼女ら以外はほとんどファンだったり今後に期待している監督ばかりだったので、新作が発表されるというだけでもワクワクするような出品作群となっていて、その時点でも前回より優っており不安感は全くない。

そんな楽しみな作品ばかりの今年のカンヌだが、半分以上の作品が上映され折り返し地点を過ぎたこの時期に改めて受賞結果の予想をしてみたい。

パルムドール:120 battement per minutes(ロバン・カンピヨ)
グランプリ:the beguiled(ソフィア・コッポラ)
審査員賞:the day after(ホン・サンス)
男優賞:ロバート・パティンソン(good  time)
女優賞:ダイアン・クルーガー(in the fade)
監督賞:フランソワ・オゾン(amant double)、ヨルゴス・ランティモス(the killing of a sacred deer)
脚本賞:ノア・バームバック(the meyerowitz stories)
70回記念賞:happy end(ミヒャエル・ハネケ)

さて、前回の予想と比べ変化したところばかりだが、まずこの前受賞を予想して今回外した作品に言及すると、ドワイヨンにロズニツァ、そしてムンドルッツォの新作はあまり受けが良くないらしく、そういう作品から受賞作が出ることも稀にあるものの今回は他に良さそうな作品が多いため、そういった評価の低い作品は残念ながら候補から外しておくのが無難と考えた(と言いつつ審査員の好みには合ってまさかの受賞という可能性もあるのがカンヌの恐ろしいところではあるが)

反面既に上映が終わった作品で絶賛されているのがHIVやAIDSの感染者らを描いていて審査員長も気に入りそうな120 battement per minutesとアジア作品で最も評価の高いthe day afterと脚本巧者バームバックの新作the meyerowitz storiesの三作品で、特にthe day afterは審査員に同じ韓国人監督であるパク・チャヌクがいるということもあり、さながらそして父になるが審査員賞を受賞したときのごとく賞が与えられる可能性が非常に高い。

そして好意的評価と共に否定的評価も目立つ作品もhappy endにloveless、そしてthe killing of a sacred deerの三作品あり、特にハネケとランティモスの作品はその衝撃さ故に賛否両論も審査員の好み次第で有利に働きそうだが、これまでカンヌに数多くの作品を出品してきたハネケに今回しか受賞できない賞を与え、ランティモスに賛否が分かれる作品の受賞確率が比較的高い(15年前のポール・トーマス・アンダーソンや去年のオリヴィエ・アサイヤスのように)監督賞が与えられるのではないかと考えた。

一方男優賞、女優賞、もう一つの監督賞に予想した作品はどれもまだ上映されておらず予告でしかほとんど判断できないが、どれも中々に強烈な作品になっていそうで、その予告で最も鮮烈な印象を受けたものが受賞しそうだと直感した(オゾンに関しては他の賞になる可能性も勿論あるが)。しかし噂によれば、ソフィア・コッポラ版白い肌の異常な夜は思った以上に才気煥発の作品になっているらしく、ドン・シーゲルのオリジナルとはまた違ったアプローチの優れた作品とのことで、正直に言うと彼女のことを最近の作品から見縊っていたため寝耳に水なのだが、もし本当なら審査員長のアルモドバルが女性に優しいこともあり受賞はほぼ確実だろう。

しかしそれ以外の作品もごく一部を除き、netflixオリジナル作品として色々と話題になったオクジャや追加出品となったリューベン・オストルンドのthe square等実に面白そうなものばかりで、今回はどれが受賞しても落胆することはないだろうから、予想が外れるような結果でも授賞式が待ち遠しい。

ところでソフィア・コッポラのthe beguiledがグランプリと予想したのはリメイク作品がパルムドールを受賞した例がこれまで皆無だからなのだけど、もし今作でパルムドールを受賞したなら彼女は親子二代のパルムドール受賞と共に一気に二つの快挙を成し遂げることとなるのだが、果たして今回そんな記録的な受賞と相成るのかも注目だ。

aimerの名曲マイベスト10+α

アニメ主題歌に起用されると、それだけでそのアニメに箔がつくミュージシャンというものが存在する。登場人物が死ぬシリアスアニメにしか起用されないkalafinaや(そんな彼女たちが刀剣乱舞の主題歌を担当することで誰が死ぬのかファンが怯えたのは面白かったがそれは置いておいて)最近よくアニメ主題歌を歌っているbump of chickenがその最たる例だが、aimerもそんな歌手の一人だ。ガンダムUCの終盤の主題歌にUBWの後期主題歌にと、彼女の歌う主題歌はどれも深みがあって聴いただけで身が引き締まるものが多く、僕の好きな歌手の一人であるのだけど、そんな彼女のベストは名曲揃いで実に素晴らしく、6000円でCDを買うには十分すぎる価値があったと心底思った。8月に行われる武道館ライブも楽しみでならないのだが、そんな彼女の曲で僕の好きな曲を10曲ここで発表したい。

10.re:pray……2ndシングルでこの曲はbleachのED曲に起用されたが、他のミュージシャンの曲で言うと千葉紗子さんのさよならソリティアを若干明るくしたような曲調で(それでも切ない別れの曲なのだけど)、同曲でもストリングスを担当している今野均さんらのストリングスも相まって実に魅力的な曲となっている
 https://m.youtube.com/watch?v=cPB-ijSzEMk

9.broken night……PS vita版Fate/hollow ataraxiaの主題歌の曲、最初はFateにaimerの組み合わせって本当に合うのかと訝ったけど、蓋を開けてみれば実に雰囲気がマッチしていて彼女の新たな側面を見た気がした

8.hollow world……そしてこちらも同ゲームの曲となっているけど、しっとりとした主題歌と違ってロック調の格好良い曲で痺れまくってしょうがなかった
https://m.youtube.com/watch?v=kScg9EX9HjE

7.RE:I AM……その後も度々共同して曲作りを行っていく澤野弘之さんとの記念すべき初コラボ曲で、劇伴担当者自身の作った曲ということもあってガンダムUCという作品を特に代表する歌になっていたように思う
https://m.youtube.com/watch?v=xib1eP4fOnc
 
6.brave shine……Fate/stay night:UBWの後期主題歌に決まったことで今度はどんな曲になっているのかと思ったら、hollow ataraxiaのときとはまた違った静かに燃える感じの曲になっていて、聴く度にどんどん好きになっていった
https://m.youtube.com/watch?v=ijzVtaorzZU
 
5.last stardust……そしてこちらもFate/stay night:UBWで使われた曲だが、主人公衛宮士郎の胸中を如実に表したものとなっていて、この曲だけでも再アニメ化の価値は十分にあった思えるくらい素晴らしかった(前期の主題歌であるideal whiteを意識したイントロになっているのも尚良い)
https://m.youtube.com/watch?v=qAbzg4JSwM4

4.starringchild……ガンダムUCシリーズのラストを飾る主題歌で、前述のRE:I AMに加えて劇中BGMのRX-0という曲の要素も含んだ、ラストに相応しい曲となっていた
https://m.youtube.com/watch?v=CS63qqZfvRQ

3.ninelie…そのガンダムUCで組んだ澤野弘之さんともう一度彼女(+EGOIST)が組んだ鋼鉄城のカバネリの主題歌で、この組み合わせで曲が聴けるというだけで胸が熱くなったが、メインテーマとなるBGMのアレンジになっている点もこの組み合わせらしい趣向となって、この曲だけでも(本編はラストあたりが微妙だったけど)あのアニメが作られた意味は十分すぎるくらいあったなと強く思う
https://m.youtube.com/watch?v=sjY9bLheJ_E

2.あなたに出会わなければ〜夏雪冬花……この曲が主題歌となった夏雪ランデブーはそこまで好きなアニメではないのだけど、この曲はこれまであった色々なことを思い出して涙腺が緩んでしまう名曲だ(ところでとあるライブでこの曲をkalafinaと一緒に披露したらしいのだけど、絶対感動的なものになってたはずだし聴きたかったと悔やまれる)
https://m.youtube.com/watch?v=RjNN66cSXYI
 
1.茜さす……夏目友人帳 伍のED曲になったこの曲だけど、他のシリーズの主題歌と比べてずば抜けて感動的な曲になっていて、この曲を最後に聴いてアニメを見終えたときの多幸感といったらなかったけど(特に主人公夏目と親戚夫婦の出会いを描いた回では本編自体の出来も素晴らしかったので堪らず感涙してしまった)、これを武道館で生で聴いてしまったら感動でやばいことにならないか不安にすらなってしまう
https://m.youtube.com/watch?v=vgFCRaymmI4

この他にもデビュー曲となった六等星の夜やRADWIMPS野田洋次郎さんとコラボした蝶々結び、TKfrom凛として時雨提供のus、残響のテロルのED曲となった誰か、海を等名曲が本当に多く、これらの曲が全部揃った二枚のベスト盤はまさに必聴。聴く度彼女の歌声の虜になること必至である。

しかしこんな名曲揃いのaimerであるが今年もう一曲名曲が誕生することが既に決定している。というのもFate/stay nightの劇場版であるheaven's feelの主題歌をUBWに続き担当することが決まったのだ。今までもそうだったように、彼女の歌が作品を見事に彩ることは手に取るようにわかるが、加えてここでもう一つ期待せずにはいられないことがある。aimerという歌手は前述の通りこれまで何度の他の作曲家やミュージシャンとコラボしてきたが、特に主題歌を担当するアニメの劇伴作曲者が歌も作る人物だった場合(ガンダムUC、残響のテロル、鋼鉄城のカバネリ)その人が作曲や編曲を担当するのが通例となっている。そして、heaven's feelの音楽を作るのはFate/ZEROやまどかマギカ、空の境界やソードアートオンライン等の音楽で知られ、aimer同様UBWの主題歌を歌ったkalafinaのプロデューサーでもある梶浦由記さんである。

そう、ここで期待しているのは、aimerと梶浦由記さんのコラボ楽曲である。これまで各々の持つ独特の世界観でFateシリーズを彩ってきた二人が、この機会に共同楽曲を作る可能性が非常に高いのだ。そしてもし本当にそんな曲が作られたらどんなものが出来上がるのか、想像しただけでワクワクして堪らない。ちなみに紹介しようと思って動画が見つからなかったけどred moonというkalafinaのダークな歌があり、そんなテイストの曲がheaven's feelの雰囲気に合うのではと常々思っていたが、このような楽曲をaimerが歌えば途轍もないものになることは請け合いだ。公開日は10月14日でまだまだ先ではあるものの、この夢のコラボが実現することを願いつつ10月を待ちたいと思う。

第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品一覧&受賞予想

今年も早いものでそろそろカンヌの季節がやって来る。前回はカンヌだけでなく他の場面でも高い評価を後に獲得した秀作の数々(ありがとうトニ・エルドマンやelle、ラビング等)が無視されてカンヌ受賞経験の既にあった監督の作品ばかりが受賞するという残念至極の結果となってしまったが、今回は半数以上が受賞経験のない監督の作品で、受賞経験のある監督も毎度素晴らしい作品を世に送り出す人物ばかりという、ほとんど不安要素のないラインナップとなっていて一安心だ。

・Wonderstruck-トッドヘインズ
・Le Redoutable-ミシェルアザナヴィシウス
・Geu-Hu (The Day After)-ホンサンス
・ 光-河瀬直美
・The Killing of a Sacred Deer-ヨルゴスランティモス
・A Gentle Creature-セルゲイロズニツァ
・Jupiter's Moon-コーネルムンドルッツォ
・L'amant Double-フランソワオゾン
・You Were Never Really Here-リンラムジー
・Good Time-ベン&ジョシュサフディ
・Loveless-アンドレイズビャギンツェフ
・The Meyerowitz Stories-ノアバームバック
・In the Fade-ファティアキン
・Okja-ポンジュノ
・120 Battements Par Minute-ロバンカンピヨ
・The Beguiled-ソフィアコッポラ
・Rodin-ジャックドワイヨン
・Happy End-ミヒャエルハネケ

この錚々たる顔触れの中で特に注目なのは、やはり毎度意欲作を発表することで知られるハネケにズビャギンツェフ、ヘインズ、そしてランティモスの四人。中でもハネケは五年ぶりの新作で前人未到の三度目のパルムドール受賞にもっとも近い人物の一人で、未だに惜しくも達成できてないダルデンヌ兄弟に先んじての快挙が期待される。
加えてこれまで審査員が決める賞では受賞できてないもの国際批評家連盟賞受賞の経験はあるロズニツァにムンドルッツォも、今度こそ審査員らにもその才能が認められてほしいと思うし、数少ないアジア勢の一人であるホンサンスにもファンとして受賞してほしいし、久々の出品となるドワイヨンも一昨年のホウシャオシェンよろしく何らかの賞が与えられたらと思う。だがここで挙げた人物は全て良質な作品を手がけてきたにもかかわらず審査員に恵まれず受賞を逃してきた監督ばかりなので、全員受賞は欲張りではあるがこの内最低一人にでも賞が渡ればと願う。重ねて言うが、前回受賞したのがほとんど過去にカンヌ受賞経験のある人物ないし彼らの監督作品ばかりだったので、そういう事態は本当に避けてほしいものだ。
そして同じ理由で、初出品となる監督や彼らの作品にも受賞してほしいと思うのだけど、特に新進気鋭の監督であるカンピヨ(パリ20区、僕たちのクラスの脚本と編集やイースタンボーイズ)にサフディ兄弟(神様なんかくそくらえ)あたりは、一昨年のネメシュラスロの如くカンヌという場で一花咲かせ、今以上に世界的にその才能が知られたらと期待して止まない。
そんなこんなで期待が高まり例年以上に楽しみなカンヌではあるが、まだ断片的な映像はおろかあらすじすら一部の作品のものしか見られない状況ながらも受賞結果の予想(という名の願望)をしてみた。

・パルムドール:Happy End(ミヒャエルハネケ)……前作やその前同様圧倒的なクオリティで三度目の受賞を果たし記録を樹立!
・グランプリ:120 Battements Par Minute(ロバンカンピヨ)……スピルバーグが後に自分と仕事をするコーエン兄弟を受賞させたように、審査員の趣向が最も出やすいここで前作でLGBT映画を撮った彼がアルモドバルに気に入られそう
・審査員賞:A Gentle Creature(セルゲイロズニツァ)……もしくはコーネルムンドルッツォが来そうだけど、個人的により好きな作風の彼を応援したい
・男優賞:コリンファレル……コンペ部門二作品に参加していて(ランティモスとコッポラの作品)、その存在感が評価されそう
・女優賞:ミシェルウィリアムズ(wonderstruck)……コリンファレルと同様の理由でニコールキッドマンも可能性が高そうだけど、そろそろミシェルウィリアムズに大きな賞を受賞してほしいし、これを足がかりにアカデミー賞も受賞すればと願う
・監督賞:サフディ兄弟(good time)&アンドレイズビャギンツェフ(Loveless)……前回もこの部門で二人受賞していたけど、この部門でないにせよどちらかが常連でもう一方が新人というバランスの良い行き渡り方が望ましい
・脚本賞:ホンサンス(the day after)……撮影に凝らないけどその巧みな話術で魅力的な映画を作り続けてきた彼にこそこの部門は相応しいと思う

ここまで書いてふと気づいたが、ゲイを公言しているという共通点がありアルモドバルが最もシンパシーを感じるであろうフランソワオゾンがいたことを思い出した。彼もカンヌで受賞経験の無い監督だからこの機会に受賞する可能性は非常に高い。もし危険なプロット並みに緊張感のある作品がきたら、グランプリあたりを受賞するかもしれない。

第89回アカデミー賞受賞予想

皆さん、お久しぶりです。

 ぶっちゃけてしまうとずっとやる気が全く出ず良い映画とか見ても感想とかも書かず放置してたのだけど、さすがにアカデミー賞についてはそろそろ発表だし書かなきゃいかんだろうという気分になったので、簡単に受賞予想だけしてみたいと思います。

・作品賞
ララランド-途中までは去年の反動もあってムーンライトの可能性もあるかなと思ったけど、スラムドッグミリオネアやそれでも夜は明けるのようなトロント受賞作同様のパワーを見せつけ邁進してるから、このままララランドが受賞してトロントがアカデミー賞の行方を決めるという風潮が強まることだろう。

・監督賞
デイミアン・チャゼル(ララランド)-最近監督賞と作品賞が別になるケースが多くなってきたようにも思えたが今回は一致するケースになって、彼が最年少受賞記録を数ヵ月更新する目出度い受賞となるはず。(できればこのまま失墜せず良作を作り続ける監督となってほしいが)

・主演男優賞
ケイシー・アフレック(マンチェスターバイザシー)-最近デンゼル・ワシントンの勢いが増してきてるように思えるが、彼は過去に2回受賞してるし、ここはケイシーにあげたいという人情が働くと信じている。

・主演女優賞
エマ・ストーン(ララランド)-ここは勢い的にゴールデングローブ賞を受賞した女優のどちらかが受賞すると思われるが、作品パワーも働いて彼女が受賞すると予想。

・助演男優賞
デーヴ・パテール(ライオン)-ここは普通に考えるとムーンライトのマナーシャラ・アリになると思われるが、マリオン・コティヤールやエディ・レッドメインのとき同様実在の人物を演じた俳優が受賞するというジンクスが働いて、ベン・キングズレー以来のインド系の受賞俳優となるかもしれない。

・助演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス(fences)-ここは他の俳優部門と違い彼女の一強だからほぼ決定と言えるのだが、それはさておきこの作品が配信オンリーのみという噂を聞いたのだけど、彼女やデンゼル・ワシントンの熱演がスクリーンで見られないなんてあまりに勿体無くて残念すぎる。

・脚本賞
ララランド-マンチェスターバイザシーも有力だけど作品パワーを考えるとこちらが妥当か。

・脚色賞
ムーンライト-これまた作品パワーを考えるとこれだが、搦め手を使って脚色賞候補になったのに受賞を逃したらあまりにダサすぎて居た堪れない。(それはそれで面白いが)

・撮影賞
ララランド-安定の作品パワー。

・編集賞
ララランド-ここでも作品パワー。

・美術賞
ララランド-何度も言うが作品パワー。

・衣装デザイン賞
ララランド-ここはちょっと微妙そうだが記録更新のためにもあげてほしい。(といいつつトニー賞のハミルトンみたく逃して記録更新ならずってこともあり得るが)

・メイキャップ&ヘアスタイリング賞
スーサイド・スクワッド-作品の出来的にはおそらく幸せなひとりぼっちが一番なのだろうけど、ヴィランのメイクが一番目立っていたからおそらくこれだろうと思う。

・視覚効果賞
ローグワン-映像的にはジャングルブックの方に度肝を抜いたけど、前回EP7に与えなかった詫び的な意味で今度こそ賞を与えそう。

・録音賞
ララランド-音楽映画だけあってここも普通に受賞でしょう。

・音響効果賞
ララランド-ララランドが最多受賞記録を更新するための最大の鬼門がここで、この部門は戦争映画やSF映画が強い傾向にあるためハクソー・リッジやメッセージが受賞する可能性の方がやや高めだが、ここをララランドが受賞したら最低最多受賞記録タイはほぼ間違いないため逃したくはないところ。

・作曲賞
ララランド-ここは何も考える必要無いかと。

・主題歌賞
city of stars-ここも作曲賞同様だが、どうせなら授賞式でもライアン・ゴズリングとエマ・ストーンに歌を披露してほしかった。

・外国語映画賞
セールスマン-これかありがとう、トニ・エルドマンのどちらかと考えるのが妥当だけど、トランプの政策のおかげでこちらが受賞という皮肉な結果になることを期待(気持ち的にはトニ・エルドマン応援だが)

・長編アニメ賞
ズートピア-個人的にはレッドタートルが受賞してほしいが順当な結果となるだろう。

・長編ドキュメンタリー賞
O.J.:made in america-エミー賞やゴールデングローブ賞でドラマが注目されたことも働いてこの映画が頭一つ抜けてる感。

・短編映画賞
彼女とTGV-作品テーマが現代の社会情勢に通じる点もあるenemies withinも可能性は高そうだが、ジェーン・バーキン主演という強みが大きく働きそうな予感がする。

・短編アニメ賞
ひな鳥の冒険-長編の方で候補にならなかった分こっちでピクサーが受賞しそう。(実際受賞に値する緻密な描写に感動したし)

・短編ドキュメンタリー賞
ホワイト・ヘルメット-シリアに関するこのドキュメンタリーが社会性という点で注目されそう。


そんな感じで今回はララランドが賞の主役になることはほとんど確定しているけど、問題はどれだけ受賞できるか。可能性は高くないものの、果たして歴史に残る記録のなるのかは実に見もの。(しかしそんなときに限って生で見られないってのは我ながら本当に運がない……)

第70回トニー賞受賞予想

これまではあまり気にしていなかったトニー賞だが、今回は諸々の理由で非常に気になるものとなっている。その理由は後で詳しく述べるが、一つはある作品が記録を塗り替えたことにも由来することで、それがどの作品かはこの候補一覧と受賞予想(○をつけたものが該当する)を見ればわかると思うが、トニー賞70年目にしてとんでもない記録が生まれたと改めて驚かされる。


・演劇作品賞
eclipsed
the father
the humans
king charles Ⅲ○

・ミュージカル作品賞
bright star
hamilton○
school of rock
shuffle along
waitress

・演劇リバイバル作品賞
a view from the bridge○
blackbird
crucible
long day's journey into night
noises off

・ミュージカルリバイバル作品賞
the color purple○
fiddler on the roof
she loves me
spring awakening

・演劇主演男優賞
フランク・ランジェラ-the father
ガブリエル・バーン-long day's journey into night
ジェフ・ダニエルズ-blackbird
マーク・ストロング-a view from the bridge○
ティム・ピゴット・スミス-king charles Ⅲ

・ミュージカル主演男優賞
アレックス・ブライトマン-school of rock
ダニー・バースタイン-fiddler on the roof
レスリー・オドム ・ジュニア-hamilton
リン・マニュエル・ミランダ-hamilton○
ザッカリー・レヴィ-she loves me

・演劇主演女優賞
ジェシカ・ラング-long day's journey into night○
ミシェル・ウィリアムズ-blackbird
ローリー・メッカルフ-misery
ルピタ・ニョンゴ-eclipsed
ソフィー・オコネドー-crucible

・ミュージカル主演女優賞
カルメン・キューザック-bright star
シンシア・イライボ-the color purple
ジェシー・ミューラー-waitress
ローラ・ベナンティ-she loves me
フィリッパ・スー-hamilton○

・演劇助演男優賞
ビル・カンプ-crucible
デヴィッド・ファー-noises off
マイケル・シャノン-long day's journey into night○
リード・バーニー-the humans
リチャード・グールディング-king charles Ⅲ

・ミュージカル助演男優賞
ブランドン・ヴィクター・ディクソン-shuffle along
クリストファー・フィッツジェラルド-waitress
クリストファー・ジャクソン-hamilton
ダビード・ディッグス-hamilton○
ジョナサン・グロフ-hamilton

・演劇助演女優賞
アンドレア・マーティン-noises off
ジェイン・フーディーシェル-the humans
ミーガン・ヒルティ-noises off○
パスケイル・アーマンド-eclipsed
セイコン・センブロー-eclipsed

・ミュージカル助演女優賞
アドリエンヌ・ウォーレン-shuffle along
ダニエレ・ブルックス-the color purple
ジェーン・クラコウスキー-she loves me
ジェニファー・シマード-disaster!
レネー・エリーゼ・ゴールズベリー-hamilton○

・演劇演出賞
アイヴォ・ヴァン・ホーヴェ-a view from the bridge○
ジョー・マンテロ-the humans
ジョナサン・ケント-long day's journey into night
リーズル・トミー-eclipsed
ルパート・グールド-king charles Ⅲ

・ミュージカル演出賞
ジョージ・C・ウォルフ-shuffle along
ジョン・ドイル-the color purple
マイケル・アーデン-spring awakening
スコット・エリス・she loves me
トマス・カイル-hamilton○

・演劇装置賞
a view from the bridge○
hughie
the humans
therese raquin

・ミュージカル装置賞
american psycho
hamilton○
she loves me
shuffle along

・演劇衣装デザイン賞
eclipsed
king charles Ⅲ○
long day's journey into night
noises off

・ミュージカル衣装デザイン賞
hamilton○
school of rock
shuffle along
tuck everlasting

・演劇照明賞
a view from the bridge○
the crucible
the humans
long day's journey into night

・ミュージカル照明賞
american psycho
hamilton○
shuffle along
spring awakening

・ミュージカル脚本賞
bright star
hamilton○
school of rock
shuffle along

・ミュージカル歌曲賞
bright star
hamilton○
school of rock
waitress

・ミュージカル編曲賞
bright star
hamilton○
she loves me
shuffle along

・ミュージカル振付賞
dames at sea
fiddler on the roof
hamilton○
on your feet
shuffle along


といった具合に、アレクサンダー・ハミルトンというアメリカ建国の父を描いたミュージカルhamiltonが13部門16ノミネートという驚異の快挙を達成したのだ!これまでに最高ノミネート記録はプロデューサーズとビリー・エリオットの15ノミネートだったのだが、ここに来て新記録を打ち立ててしまったhamiltonにはそれだけで天晴れなのだが、その紹介映像を見てみるとほとんどのキャストを黒人で固めて楽曲をラップで歌い上げるという斬新な作品となっており、その点で絶大な評価をされた結果なのだと理解できる。しかしそうなるとどうしても受賞記録の更新にも期待してしまうのは当然のことで、その受賞記録も上記のプロデューサーズの持つ12部門なのだが、13部門で候補になったhamiltonには超える可能性が十分期待できてしまうのだ。それに賞を与える側としても新たな記録を作って話題を提供したいと考えているはずで、そういう意味でも歴史的な場面を目の当たりにできる可能性は非常に高い。なので今回のトニー賞は、それだけでも見逃す手はないのだ。
他にも今回のトニー賞に注目する理由はいくつかある。僕が今最も好きな俳優の一人にマイケル・シャノンがいるのだが、今回は彼が受賞を果たす可能性が高いのだ。彼の演技にはブレイクするきっかけとなったレヴォリューショナリーロード(この映画でアカデミー賞ノミネート)から魅了されっぱなしなのだが、そんな彼がトニー賞でも候補になり、しかもアカデミー賞より先に受賞する可能性があるとなったら、ファンとしてその栄誉を手にする瞬間を拝みたい、そんな期待も今回のトニー賞にはあるのだ。
そして、今回候補になった作品の中に、実は僕が既に見ているものもあるのだ。それはa view from the bridge(橋からの眺め)で、今回の候補が発表になる前に映像化されたものが映画館で特別上映されていたのだ。しかもこの作品の演出家アイヴォ・ヴァン・ホーヴェ(おそらくアイヴァンホーを捩った芸名だろう)がデヴィッド・ボウイの楽曲を使ったミュージカルをオフブロードウェイで演出した人物ということもあり、その実力を確かめる意味でも作品に触れておこうと思ったのだが、これがとても凄まじいものだった。小道具が一切無い簡素な舞台で斬新な手法を駆使し(ナレーションを兼任するキャストの一人が途中でト書きも読み始める等)、アーサー・ミラーの戯曲を自分のものとして料理したその手腕にはただただ圧倒され、凄いものを見たと驚嘆した。そんな衝撃的作品が今回見事候補となったことで、デヴィッド・ボウイの遺した作品に携わった人物が演出家ということも合わさって、是非とも受賞してほしいという気持ちが一気に湧いてきた。なので今回の主役がhamiltonになることは明白として、第二の主役がこのa view from the bridgeになるよう応援し、候補になった5部門全てで受賞することを願っている。
ということで個人的に気になることが結構ある今回のトニー賞、どのような結果になるのかアカデミー賞以上に楽しみでしょうがない。是非とも決定的な瞬間に出会えることを期待したい。

2016年6月公開の注目映画

・4日公開
鏡は嘘をつかない…5年前にインドネシアや東京国際映画祭で上映されて今頃ようやくロードショーってどういうことよと思うけど、それはさておきインドネシアの新鋭監督のデビュー作ということで気になる作品。
https://m.youtube.com/watch?v=cxqwqvjUIvM

・11日公開
エクスマキナ…この作品で長編デビューとなった監督アレックス・ガーランドやアリシア・ヴィキャンデーが注目され、アカデミー賞も受賞した近未来SF映画。
https://m.youtube.com/watch?v=D9UOrMgCfSs

シチズンフォー スノーデンの暴露…こちらも前々回のアカデミー賞を受賞したドキュメンタリーが今更公開かと悪い意味で驚くが、2014年の代表的ドキュメンタリー映画がどのようなものになっているのかはやはり気になる。
https://m.youtube.com/watch?v=pj2hIbf9OHM

裸足の季節…去年サウルの息子に次いで注目されたヨーロッパ映画で、アカデミー賞候補にもなった、傑作の匂いが予告からもして仕方がない青春映画。
https://m.youtube.com/watch?v=0PjG1h3iVu8

・17日公開
10 クローバーフィールドレーン…タイトルからしてあのパニック映画の外伝的話なのだなと察せられるのだけど、ジョン・グッドマンの演技が素晴らしいらしく、彼の演技目当てでも見たい気分。
https://m.youtube.com/watch?v=jEFIFRLQg5Y

・18日公開
クリーピー 偽りの隣人…現代日本の誇る映画監督の一人黒沢清監督が久々にホラーテイスト溢れるサスペンスを撮ったということで、彼のそういう映画が特に好きな自分としては見たくてしょうがない作品。
https://m.youtube.com/watch?v=l-3Nz6R6e_0

シリアモナムール…作品の概要はよくわからないのだが、予告からジョナス・メカス的雰囲気がプンプンして実に見応えがありそう。
https://m.youtube.com/watch?v=kPdb3ljW1C8

ホースマネー…正直ペドロ・コスタという監督の作品は初期のもの以外途中でだれてくるから苦手な部類なのだが、作風自体は嫌いではないため毎度毎度見たい気持ちになるのが困り物。
https://m.youtube.com/watch?v=Vbta9V8znx0

しかし今月は見たい映画が地味に多く(ここで紹介した以外でも下高井戸シネマでリバイバル上映される火の中のマリアは非常に見たい)、6月が誕生月の身としては嬉しくもある反面、そんな劇場で見ている暇もないためいくつかの作品はスルーすることになりそうで残念だ。

第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞結果

今年のコンペティション部門は例年以上に力作揃いだと言われていた。久々のカンヌ出品となるバーホーベンのelle、カンヌ初出品で絶賛されたマーレン・アーデのtoni erdmannとクレベル・メンドンサ・フィーリョのaquarius、久々に受賞が期待されたジャームッシュのpaterson、どちらも好評だったルーマニアの作品(sieranevadaとgraduation)ショーン・ペンやダルデンヌ兄弟、グザヴィエ・ドランの作品が微妙だった反面上記の作品が受賞するのではと結果を非常に楽しみにしていた。しかしその期待も虚しく結果は以下の通りとなった。

パルムドール:I daniel blake(ケン・ローチ) !?
グランプリ:it's only the ene of the world(グザヴィエ・ドラン) !?!?
審査員賞:american honey(アンドレア・アーノルド) !?!?
男優賞:シャハブ・ホセイニ(the salesman)
女優賞:ジャクリン・ジョセ(ma'rosa) !?
監督賞:クリスチャン・ムンジウ(graduation)、オリヴィエ・アサイヤス(personal shopper) !?
脚本賞:アスガー・ファルハディー(the salesman)

あえて言おう、 あ ほ く さ

ケン・ローチにグザヴィエ・ドラン、アンドレア・アーノルド、アスガー・ファルハディー、ブリランテ・メンドーサ、クリスチャン・ムンジウ、オリヴィエ・アサイヤス、皆カンヌ受賞作のある監督だ!(アサイヤスとファルハディーはどちらも過去に女優賞を齎した作品を監督した程度だが)全然新鮮味が無い!そればかりかgraduation以外他の力作に存在感が薄れた作品ばかり!なんでこれらの作品を選んだと言わざるを得ない!

批評家に愛された作品を天邪鬼的思考であえて外した、愚かなのは変わりないがそれだけならまだ理解できる。しかしそれならクリスティ・ピゥやアラン・ギロディー、ニコール・ガルシアといったコンペで受賞経験の無い監督の作品を選んだ方がまだ生産性もあって良かった。何度も言うが、過去に受賞経験の監督ばかり選んで何の価値がある!?21世紀に入ってからだとアキ・カウリスマキやヌリ・ビルゲ・ジェイラン、パク・チャヌク、アピチャートポン・ウィーラセタクン、クリスチャン・ムンジウといった(彼らの初出品当初)新しい才能に賞を与え、その名を世界に発信したのがカンヌという場であり当時の審査員だった。しかし今回の受賞結果からそのような意思はまるで感じられず、あまりに保守的でつまらないこの結果を齎したジョージ・ミラーら審査員陣には失望を禁じ得ない。ここまでの失望はナンニ・モレッティがそのエゴイズムを存分に発揮させた2012年以来だが、あのときはパルムドールに愛、アムールが選ばれただけまだマシだった……。

しかし今回は本当に、アンドレア・アーノルドの3度目の審査員賞受賞、アスガー・ファルハディー作品の2部門受賞、今までで一番味気なかったらしい作品でのグザヴィエ・ドランのグランプリと謎の多い選出となったが、一番謎なのはやはりケン・ローチのパルムドール受賞。彼は何度もカンヌを受賞していて、4年前に審査員賞を受賞したときもまたかと思ったが、今回再びのパルムドール受賞となり(10年前の受賞もそれに値するか甚だ疑問だったが)、ここまで受賞回数が多いと本当に辟易してしまう。聞くところによると彼は今回の作品で引退も考えているとのことだが、それで賞を与えたいなら受賞経験のあるパルムドールではなく、2009年のアラン・レネみたく特別賞を設けてそれを受賞させたら良かったのだ。功労賞的に受賞させるなら、これまでそれほど大きな賞を貰っていないバーホーベンが受賞した方が価値のあるものだったのだ。せっかくの貴重なパルムドールが去り行く老人のために無駄になったのは残念でならない。(まるで先日三島由紀夫賞を受賞した蓮實重彦のようなことを言ってしまうが)

本当に今回の受賞結果は残念でならない。先にも述べたように、本来映画祭というものは既知の才能よりも新しい才能こそ重視されるべきなのだ(それこそある視点部門で深田晃司監督が賞賛されたみたいに)。しかし今回他ならぬ世界最大、最も注目されるカンヌのコンペティション部門部門でそれが成されなかったことは不幸と言わざるを得ない。マーレン・アーデが事前に国際批評家連盟賞を受賞していたのは不幸中の幸いだが、クレベル・メンドンサ・フィーリョという新たな才能が無冠に終わったことは悲劇と言わざるを得ない。今回の審査員は2度と映画祭で同じ立場にならないで欲しいものだ。というか審査員の1人であったネメシュ・ラースローはカンヌでその才能を見出されたばかりの監督なのだから、同じように新人を発掘しようと何故しなかったのかと問い詰めたい。しかしおそらく今後の映画賞で存在感を見せるのはここで受賞を逃したものばかりになるはずだから、この結果はこれっきり自分の中で無かったものとしよう。……そう思いたくなるほど、本当に酷い受賞結果だった。

第69回カンヌ国際映画祭受賞結果(コンペティション部門除く)

まずある視点部門で日本人として嬉しい受賞結果となったので、その結果について述べていきたいと思う。

・ある視点賞:the happiest day in the life of olli maki
・審査員賞:淵に立つ !
・特別賞:レッドタートル !
・監督賞:マット・ロス(captain fantastic)
・脚本賞:the stopover

今回ある視点部門で上映された日本関連の映画はどれも好評だったと聞いていたが、その内2作品が受賞を果たすのはやはり嬉しいことで、このニュースを見たときは思わずガッツポーズを取ってしまった。特に深田晃司監督の今回の受賞は彼のキャリアと瀕死の状態の日本映画界にとって大きな一歩になったはずであり、彼の今後の活躍に期待せざるを得ない。(おそらく近い将来コンペティション部門で出品もされるはずだろう)

そして、そのある視点部門の発表と同じくらいに発表された国際批評家連盟賞は、以下の通りになった。

・toni erdmann
・dogs
・raw

国際批評家連盟賞はコンペ部門でも受賞される可能性が高いものが受賞となる(それは勿論高い評価の裏返しでもある)が、今回最も評価の高かった映画の1つであるtoni erdmannが受賞したのは当然の結果と言って良い。他の作品も、dogsはある視点部門の賞は受賞できなかったもののフィンランド映画らしい牧歌的なものになっていて、rawもカニバリズムを描いた衝撃的な映画となっているらしく、どちらも面白そうで是非日本公開されてほしいものだ。

さて、そんな重要賞を経てコンペ部門の受賞結果がようやく発表となったが、その結果は……と続けて所感を述べていこうと思ったけど、あまりに腸の煮えくりかえりそうな受賞結果となって怒りで長文になりそうなためここで一旦区切ることに。ある視点部門の嬉しい受賞結果から一転してあんなクソみたいな結果になるとは思わなんだ……。

第69回カンヌ国際映画祭途中経過

そろそろ映画祭も終盤戦に突入し、作品の良し悪しや受賞の行方もなんとなく見通せるようになってきたが、今回のカンヌはコンペ部門で結構波乱が起こって、賞の行方よりそっちの衝撃の方が強くて若干狼狽えている現状だ。さて、その波乱について述べる前に、あと数日で決まってしまうが、ここで改めて(信憑性の低いと我ながら改めて思った)受賞の予想を最後に再びしてみたいと思う。

パルムドール:the last face(ショーン・ペン)
グランプリ:toni erdmann(マーレン・アーデ)
審査員賞:aquarius(クレベル・メンドーサ・フィーリョ)、the neon demon(ニコラス・ウィンディング・レフン)
男優賞:アダム・ドライヴァー(paterson)
女優賞:エマ・スアレス&アドリアナ・ウガルテ(julietta)
監督賞:ブリュノ・デュモン(slack bay)
脚本賞:the salesman(アスガー・ファルハディー)

そして、現地カンヌでの各作品の評価で僕が驚いたことを、受賞予想の変わった部分を見たら大体わかるとは思うが、いくつか述べていきたい。
まず良い意味で驚いたのがマーレン・アーデ監督のtoni erdmannとジム・ジャームッシュ監督のpatersonが予想以上に評価が高かったこと。前者は予告等を見て確かに面白そうだなと感じたし、後者も安定のジャームッシュ作品として日本公開を待ち遠しく思ったのだが、どちらも今回のカンヌで一、二を争うほどの好評を得るとは予想だにしていなかった。特にジャームッシュの方は安定して面白いものの逆に特段絶賛の嵐とはいかないだろうと思っていただけに本当にビックリした。どちらの作品も日本公開されたら勿論見るつもりだったが、これでより一層拝見したくなった。そして、toni erdmannは前回のサウルの息子同様ここでグランプリ(とおそらく国際批評家連盟賞も)受賞して、アカデミー賞まで各地の映画賞を席捲することになるだろうが、patersonは作品自体もさることながらアダム・ドライヴァーの演技が称賛されているところもあるらしいので、ここではアダム・ドライヴァーが男優賞を受賞すると推測する。しかしながら、ジャームッシュ作品はこれまでどれだけ評価されてもアカデミー賞同様にはほとんど関わらなかったし(あの名作ストレンジャーザンパラダイスやカンヌでグランプリを受賞したブロークンフラワーズでさえも)、それに加えアダム・ドライヴァーはスコセッシ監督の沈黙にも出演するため、そちらの方が賞レースのメインになる可能性が高く、なのでアダム・ドライヴァーが受賞を果たしてもここだけに止まりそうな予感がプンプンする。しかし一昨年のジュリアン・ムーアがそうであったように、ここでの受賞を皮切りにその年の顔の一人として台頭する可能性は決して低くないので、彼が今後邁進していくよう応援したい。
余談だが、そんなpatersonとは逆に、カンヌで受賞は逃しそうだが他の映画賞で存在感を発揮しそうなのがジェフ・ニコルズ監督のlovingだ。今回佳作ドラマとして評価されたらしいこの作品だが、主演の二人(特にジョエル・エドガートンではなく相手役のルース・ネッガ!)の演技は抜群に優れていたらしく、アカデミー賞受賞も夢ではないと現時点で既に言われているほどなので、9年前のノーカントリーがそうであったようにカンヌで受賞しなくても今後の動向にはこれまで以上に注目の作品だ。
そして、ここからが悪い意味で衝撃的だった評の作品について話したいが、今回はなんとダルデンヌ兄弟とグザヴィエ・ドランという、とても駄作を作りそうになかった監督の作品で否定的な意見が目立っている。どちらの作品も、事前に発表された映像からはとても駄作の臭いが感じられず、今回の安定の出来になっているだろうと思っていただけに現地の評価を見て唖然とした。確かに完璧な人間はいないし人間には失敗が付き物であるけど、両者とも今までの作品が全て見応えのあるものだっただけに、とてもじゃないが彼らがイマイチな作品を作るなんて信じられない。勿論現地の評価が絶対ではないし、一般的にイマイチと思われても個人的には非常に良い作品だったなんて例もあるのだけれど、やはり指針となる現地の声であまり良いものが聞けないのならば、受賞は望み薄と考えておいた方が下手に僅かな希望に賭けるより良いのかもしれない。……しかしそれにしても残念だ。エミール・クストリッツァみたく悪い評判に拗ねて映画作りの意欲を無くすなんてことにならなければいいのだが……。
しかしながら、カンヌはフランスの映画祭であることもあってか、ほぼ毎年フランス映画から何らかの受賞作が出ているのが現状だ。今回上述した監督含め、全体的にフランス映画が不調な年となっているが、その中で一番評価の高いのがブリュノ・デュモン監督のslack bay。この作品は否定的意見も多少見られるものの、その破天荒な作風を肯定する評がより多くあり、審査員長であるジョージ・ミラーの作品に通じる面も見受けられるという点で、受賞の可能性が高いように思われる。
ジョージ・ミラーといえば、アカデミー賞授賞式でもそうだったように、自分の作品に携わった仕事仲間を可愛がる傾向にあるようで、レッドカーペットでもマッドマックスの主演だったシャーリーズ・セロンの姿を探す場面が映されていた。そしてここから、そのシャーリーズ・セロンが主演のthe last faceに肩入れしそうな予感が尚のことプンプンしてしまい、良い作品になっていたら無条件でパルムドールを渡してしまいそうだと強く感じた(その結果身内贔屓と叩かれることも気にしないだろう)。身内贔屓となったら、今回審査員の一人であるマッツ・ミケルセンをいち早く見出したニコラス・ウィンディング・レフン監督も出品しているが、果たしてそこを考慮して審査員陣が彼の作品に賞を与えるのか、その点も実に気になるところだ。

最後に、日本人として嬉しかったのはある視点部門に出品された日本関連の映画がどれも評判の良いところ。是枝監督の作品はこれまでで一番良いドラマになっているという声も聞こえるほどで深田晃司監督の作品も上々のカンヌデビューとなり、将来コンペ部門での出品も叶いそう。そして何よりジブリの新作レッドタートルが小品ながらも傑作との呼び声が高く、こちらは案の定後々の映画賞でも存在感を発揮しそうだ。最近は日本映画の不作が嘆かれて久しいが、こういう評判を聞くとまだ僅かな望みを抱かずにはいられない。

第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞予想

今年も毎度楽しみにしてるカンヌ映画祭が開催される。今年は例年以上に欧米からの出品作で固められてて偏りが激しくなっている感は否めないけど、好きな監督も多数出品しているため彼らの新作の出来に期待は高まる。そして、毎年1つくらいしか的中しないからあてにならないとは自覚しつつ、そんな期待を募らせ贔屓の監督の作品に受賞してほしいという思いから予想してしまうのが常で、願かけの意味も込めて今回も受賞予想をしていきたいと思う。

パルムドール:the last face(ショーン・ペン)
グランプリ:it's only the end of the world(グザヴィエ・ドラン)
審査員賞:aquarius(クレベル・メンドーサ・フィーリョ)
男優賞:ジョエル・エドガートン(loving)
女優賞:サンドラ・ヒュラー(toni erdmann)
監督賞:ダルデンヌ兄弟(the unknown girl)
脚本賞:the handmaiden(パク・チャヌク、シド・リム)

今回の予想で自信があるのは、パルムドールとグランプリと男優賞。
まずこれはアカデミー賞の予想でも書いたことだけど、ショーン・ペンは監督する度にそのクオリティを上げてきた人物で、しかも今回は9年ぶりの監督作ということもあり、かなりの力作になっていることが期待される。加えて今回は審査員長が、the last faceと同じシャーリーズ・セロン主役で傑作を手がけたジョージ・ミラー監督で、その他の審査員も俳優を中心とした顔ぶれ。ショーン・ペンが期待通りかそれ以上の力作を本当に作ったなら、彼有利に事が運びそうな面子なのだ。(むしろショーン・ペンにパルムドールをあげるためお膳立てされたのではないかと勘繰りたくもなる)
そして、上記と同じ理由で、今回は基本的に俳優のアンサンブルが優れた映画が好意的に受け取られそうということで、そうした趣があるであろうグザヴィエ・ドランとジェフ・ニコルズ、ダルデンヌ兄弟の作品は何らかの賞を受賞する可能性が特に高いと思われる。しかしジェフ・ニコルズのlovingに関しては、男優賞を他にあげられる人物がいない(いたとしても作品の力がそこまでじゃなさそうなものばかり)ということで、主演のジョエル・エドガートンがここで受賞しアカデミー賞候補にも一歩近づけることとなりそうだ。
一方で女優賞は女性が主役の映画が多い分候補も多くて誰が受賞するか本当にわからない。マリオン・コティヤールやクリステン・スチュワートは2つの作品に出演しているところが強みのようにも思えるけど、前回イザベル・ユペールが受賞しなかったことを思うと最終的に作品の評価が顫わないと意味を為さないか。ということで公式HP等で見られる映像やスクリーンショットで誰が強く印象に残り、かつ映画自体も良さ気かと調べたら、toni erdmannに出演しているサンドラ・ヒュラーが中々印象深かった。彼女はレクイエムという映画で注目された女優だが、過去に女優賞を受賞しているハンナ・シグラやバルバラ・スコヴァにも負けない不思議な魅力が感じられ、そういう意味でも受賞の資格が十分あるように思えた。それに上述した2人のドイツ人女優が受賞を果たしてから30年以上経過しているため、ここで久々にドイツ人女優が受賞しても良いのではないかとも思う。
他に受賞に相応しいほど良い作品になっていそうだと思うのはクリスティ・ピゥやアラン・ギロディ、ブリュノ・デュモンらあたりの作品だが、彼らの作品はどちらかというと芸術性の強いものになっていそうで、前述したようにそういう作品は今回冷遇されそうだし(映画祭の序盤で上映されるのも不利に働きそう)、毎度評価は良いけど一歩及ばず受賞を逃す作品もあるので(前々回のサンドラの週末や禁じられた歌声のように)、彼らの作品が涙を飲む可能性は考えておいた方が良いだろう。(勿論受賞を予想した作品がそうなる可能性も十分考えられる)
いずれにせよ、前回のサウルの息子やキャロルがそうだったように、毎回カンヌではその年を代表する作品出てくるので、果たしてどの映画がそんな力作になっているのかというのを楽しみにしつつ受賞結果を待ちたいと思う。
余談だが、今回コンペティション部門に日本の作品が出品されていないが(パク・チャヌク作品では舞台の一つとなっているっぽいけど)、一方である視点部門では2作品が出品されている。そしてその中でも深田晃司監督は、直接の面識は無いものの、同じ学校に通っていた先輩ということで、そんな人がカンヌという場で注目されることを誇りに思うし、そこで高い評価を得て世界で一層名前が知られるようになることを強く願う。

第89回アカデミー賞ノミネート予想その1

今年のアカデミー賞が終わってまだ2ヶ月程度しか経っていないが、それでも次回の予想を発表したくてしょうがないので、ここに第89回のアカデミー賞主要部門の最初の予想をしたい。しかしこの時期に候補入りを予想する作品も、前回のレヴェナントやキャロルといった作品がそうであったように、監督やキャスト陣の実力が問題なく発揮されたら予想の通りに事が進むこともあるから、現時点での予想も馬鹿にできないものがあると我ながら思う。(逆にスポットライトやマネーショートのように全く予想してなかったところから不意打ちで有力作が出てくることも多いからそれが楽しみでもある)

・作品賞
沈黙○
ハドソン川の奇跡
the last face△
manchester by the sea
una
nocturnal animals
the birth of a nation
war machine
la la land
loving

・監督賞
マーティン・スコセッシ(沈黙)○
ジェフ・ニコルズ(loving)
ショーン・ペン(the last face)△
ネイト・パーカー(the birth of a nation)
ケネス・ロナーガン(manchester by the sea)

・主演男優賞
アンドリュー・ガーフィールド(沈黙)
ベン・メンデルソーン(una)○
ケイシー・アフレック(manchester by the sea)
マシュー・マコノヒー(gold)
ジョエル・エドガートン(loving)△

・主演女優賞
ルーニー・マーラ(una)○
ルース・ネッガ(loving)△
シャーリーズ・セロン(the last face)
エイミー・アダムス(nocturnal animals)
ブライス・ダラス・ハワード(gold)

・助演男優賞
リーアム・ニーソン(沈黙)△
マイケル・シャノン(loving)○
ハビエル・バルデム(the last face)
ベン・キングスレー(war machine)
ロバート・デ・ニーロ(hands of stone)

・助演女優賞
アデル・エグザルショプロス(the last face)○
ミシェル・ウィリアムズ(manchester by the sea)△
エイジャ・ナオミ・キング(the birth of a nation)
アイラ・フィッシャー(nocturnal animals)
ニコール・キッドマン(lion)

・脚本賞
the last face△
manchester by the sea ○
la la land
the birth of a nation
loving

・脚色賞
沈黙 ○
ハドソン川の奇跡
nocturnal animals
una△
war machine

・撮影賞
沈黙(ロドリゴ・プリエト)○
billy lynn's long halftime walk(ジョン・トール)
ハドソン川の奇跡(トム・スターン)
the last face(バリー・アクロイド)△
weightless(エマニュエル・ルベツキ)

・編集賞
沈黙 ○
billy lynn's〜
the last face△
la la land
war machine


この予想からわかるように全体的に次回のトップコンテンダーとなりそうだと現時点で考えるのは、マーティン・スコセッシ監督の沈黙とショーン・ペン監督のthe last face、そしてジェフ・ニコルズ監督のlovingの3作。沈黙は遠藤周作の原作小説を読んでスコセッシの力量を知っている者なら受賞間違いなしと考えるだろうし、実際IMDbという映画情報サイトでも予想1位の作品となっている。製作が発表されてから長い年月を経て、気がつけばスコセッシの悲願のアカデミー賞受賞から10年が経過してしまったが、10年ぶり2度目の受賞も既に射程圏内だ。そして対抗となるのは、カンヌ映画祭への出品が決まっている2作品で、ショーン・ペンの方はエイズを題材にした9年ぶりの監督作、ジェフ・ニコルズの方は白人男性と黒人女性の恋愛ドラマという野心作。どちらも監督としての手腕は申し分なく、これまで良質な作品ばかり手掛けているため、今回腕に思わぬ狂いが発生しない限りはカンヌでまず受賞を果たし、その勢いでアカデミー賞候補にもなることだろう。(特にlovingは前回の反動もあって黒人層の支持を集めることになるはず)

しかし主演の2部門に関しては、unaという作品の2人に渡る可能性が高い気がする。この作品は、blackbirdという戯曲を原作としたものなのだが、内容は性的関係を持っていた男女が蟠りを爆発させるというもので、つまり主演2人の演技合戦がメインとなる作品なのだ。となると前回のカンヌで女優賞を受賞したルーニー・マーラは勿論、スターウォーズの外伝であるローグワンに出演して一気に今年注目されそうなベン・メンデルソーンもその実力は折り紙つきで(ジャッキー・ウィーバーがアカデミー賞候補になったアニマルキングダムでは彼女の次に賞賛を集めた)、その2人が演技力を遺憾なく発揮したとなったら賞賛の的になることは必至。加えて監督のベネディクト・アンドリュースは映画初監督ながらシェイクスピアやチェーホフの戯曲を手掛けてきて、欲望という名の電車のリバイバルではローレンス・オリヴィエ賞候補にもなった実力派。前年エクスマキナで注目を集めたアレックス・ガーランド同様、彼も期待の新人として賞賛されるだろう。

その他の作品についてだと、既にサンダンス映画祭で特別上映されて高い評価を得ているケネス・ロナーガン久々の新作manchester by the sea(マット・デイモンが製作に関わっていることも強みか)と俳優のネイト・パーカーが監督と主演を務めたthe birth of a nation(サンダンス映画祭グランプリ)、ファッションデザイナーとして著名なトム・フォードの2作目nocturnal animals、前述のアニマルキングダムの監督であるデヴィッド・ミショットの新作war machine(製作総指揮は主演も務めるブラッド・ピット)、セッションのデミアン・チャゼルの新作音楽映画la la land、クリント・イーストウッドがトム・ハンクスを主演に迎えて手掛けるsully(ハドソン川の奇跡)あたりが主要部門で候補になると予想。(逆にアン・リーの無駄にタイトルの長い新作は完璧な娯楽映画になりそうだから技術部門でいくつか候補になって終わりそうな予感)

他には候補を一覧にするほど現時点では把握できてないが、長編アニメ部門と外国語映画部門では、それぞれジブリの新作無声アニメであるレッドタートル(なんとオランダ人監督の作品)とグザヴィエ・ドラン監督の新作it's only the end of the worldは確実に候補になるだろうと考える。ちなみにこの2作はどちらもカンヌ映画祭の出品作品だが、毎年なんだかんだでカンヌ出品作は候補乃至受賞を果たしているため、カンヌで評価されたら候補になる確率は更に高まるだろう。

最後に、スコセッシの沈黙がどのくらい候補になり、どのくらい受賞するのかも予想したので、その一覧を載せて終わりとしたいが、もし本当に以下のとおりになったら、ロードオブザリング以来久々の2桁受賞の作品として記録に残る映画となるだろう。(◎をつけたのが受賞予想部門)

作品賞◎
監督賞◎
主演男優賞
助演男優賞
脚色賞◎
撮影賞◎
編集賞◎
美術賞◎
衣装デザイン賞◎
録音賞◎
音響効果賞◎
作曲賞◎

2016年5月公開の注目映画

注目映画

・7日公開
ヴィクトリア…ベルリン映画祭で注目された新鋭セバスチャン・ジッパーの作品。ほぼ即興ワンカットで繰り広げられるという全盛期のヌーヴェルヴァーグも顔負けの野心的手法、見逃す手はない。
https://m.youtube.com/watch?v=kqx_TrXZQ94

カルテル・ランド…前回のアカデミー賞でドキュメンタリー賞候補になった作品。メキシコは闇の深い国として知られるけど、その暗部を垣間見るのは若干怖くもある。
https://m.youtube.com/watch?v=QoecrviRKdk

・13日公開
マクベス…前回のカンヌに出品された、現代では珍しいシェイクスピアの傑作戯曲の映画化。マイケル・ファスベンダーが演じるマクベスがどんな感じになっているのか、見るのが楽しみでならない。
https://m.youtube.com/watch?v=kBDXip93yGk

・21日公開
海よりもまだ深く…カンヌ映画祭ある視点部門にも出品される、現代日本映画界の良心的存在である是枝裕和監督の新作。海街diaryは微妙だったが、この映画ではいつもの是枝節が炸裂していそうだから楽しみ。(カンヌ上映作品を開催期間中に見られるのもお得感があって良い)
https://m.youtube.com/watch?v=nN4bzbwqtGg

明日の世界…短編アニメの奇才ドン・ハーツフェルト監督のアカデミー賞候補作。彼の独特の世界観のファンだけにこの新作も実に気になる。
https://m.youtube.com/watch?v=pFyN9EdotTU

・27日公開
神様メール…トト・ザ・ヒーローや八日目といった一風変わった作品を手掛けるジャコ・ヴァン・ドルマル監督の新作。神様家族の人類に送ったメールによる騒動を描いた映画というのをわかりやすく表した邦題ではあるが、原題のthe brandnew testamentからあまりにかけ離れすぎているのはどうかと思う。
https://m.youtube.com/watch?v=HME_MFYoy68

・28日公開
或る終焉…カンヌで脚本賞を受賞したミシェル・フランコ監督の作品。最後の最後で会場でブーイングが起こったという曰く付きの映画らしいので、その点も逆に興味をそそられる。
https://m.youtube.com/watch?v=xg2_ZTHGrq0

あと、6月のストーン・ローゼス来日公演を金の都合で諦めるから代わりに過去のライブを劇場で見るつもり。
https://m.youtube.com/watch?v=hbkz7GZhoSA

アニメ「僕だけがいない街」の今後の展開について

最近原作がフィナーレを迎えたにもかかわらず、アニメも好評続きで、実写映画版も公開間近と(どんな出来になるかはさておき)、ますます勢いが出始めているような僕だけがいない街(以下「僕街」)。僕自身色々カットしてなんとか纏めている印象は感じつつ、それでも面白さを損なわない出色の出来となっていて、毎週の楽しみとして欠かさず視聴しているし、BD-BOXも(主にサントラのために)購入しようとも考えている。そんなTVアニメも間もなく終了してしまうが、原作を知っている人は勿論、アニメを見続けてきた人もまだまだ続きがあるだろうことは容易に想像できるはずだ。そして、おそらく本当にTVシリーズが終了してもアニメ自体が終わることは無いだろう。

さて、ではどんな媒体で続きをやるのかというと、ずばり劇場アニメとしてである。しかもおそらく今年中の公開だ。何故こう断言できるかといって、まず根拠になるのがノイタミナのラインナップ発表会。これは毎年恒例となっている夏以降のTVシリーズ等の公式発表の場であるが、ここで今回は今年公開の劇場アニメの情報も公開することになっている。そう、これはつまり僕街の劇場アニメ版の情報が解禁される、ということである。と、これだけだと根拠としてまだ弱いと思うかもしれないが、この他にもまだ劇場アニメの可能性が大いに考えられる根拠がいくつもある。

そして、これが劇場アニメ化の可能性を最も強めた根拠なのだが、このアニメでは後々俳優の柄本佑さんがキャストに加わることが公式で先日発表となったのだ。柄本佑さんといえば、個性派俳優である柄本明さんの血を受け継いで実力を発揮している若手俳優の代表格だが、そんな彼がTVシリーズの終盤のためだけに果たして起用されるだろうか?ガンダムビルドファイターズで1話だけゲスト参戦した本郷奏多さんという例もあるにはあるが、今回は事情が違うように思える。つまり、柄本佑さんが演じる役(どのキャラを演じるかも大体予想はついているが)の本格的な出番は、おそらくTVシリーズの後なのだと考えられる。加えて、そんな若手の有望株をわざわざ起用するほど力を入れる必要のある媒体というのは、劇場アニメ以外あり得ないだろう。

更に、3月23日には新宿バルト9にて最終回の特別先行上映イベントも催される。考えてもみてほしいが、ただ最終回を上映するためだけに、わざわざ劇場でイベントを開催するだろうか?しかも1800円という通常の映画と同じ価格で。これはどう考えても、最終回の上映のあとに劇場アニメ版の予告を初披露する流れになる以外あり得ない。(先述したノイタミナの発表会では、ネタバレになるため情報を発表するだけにとどめるのだろう)

ところで、先ほど述べた柄本佑さんもそうだが、そもそもの話普通の深夜アニメで若手有名俳優である満島真之介さんと土屋太鳳さんを起用する時点で、そもそも力の入れ様が異常だったのだ。おそらく、TVシリーズの放送が決まった時点で、劇場アニメでの完結を企画していたのだろう。そうでなくてはTVシリーズ放送と同じ年に劇場版を公開するなんてことはスケジュール的に到底無理な話なのだが、まどかマギカやラブライブ、ガールズ&パンツァーのように、人気が出てから劇場アニメとして続編を公開する例は数あれど、元から劇場アニメありきでTVシリーズが始まるアニメなんてのは前代未聞ではないだろうか。可能性としてはTVシリーズだけでは尺が足りなくなるし、その足りない部分がちょうど劇場アニメとして作る分量になり、映画プロジェクトも平行して進めたいノイタミナとしても好都合だったということだろうが、それも原作人気がなければできないことで、こんな前例のない試みができるほどに魅力ある作品だったのだなと改めて驚かされる。(そしてそんな作品に我らが梶浦由記さんが関わってると思うと、ファンとして誇らしい)

そんなわけで、まだ公式発表されてないまでも、これまで情報とアニメの状況を考えるとほぼ確実視できる僕街の劇場アニメ化だが、問題は公開日。妥当な時期としてはアニメ内と同じ時期になるだろうとは思うが、主題歌にまた梶浦さんが関わるのか否かというのも含め、これまた非常に楽しみである。

:3月17日追記
そうか……虐殺器官公開延期になってたことすっかり忘れてたよ……2016年の劇場アニメってこのことだったのか……でも最終回はおろかまだ2話残ってることのネタバレ配慮という可能性を考え、まだ劇場アニメがあるという望みは捨てずに待っていたい。(きっと最終回披露後の23日には発表になるはず)
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