アートの異常な愛情

または私は如何にして心配するのを止めて芸術を愛するようになったか

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第89回アカデミー賞受賞予想

皆さん、お久しぶりです。

 ぶっちゃけてしまうとずっとやる気が全く出ず良い映画とか見ても感想とかも書かず放置してたのだけど、さすがにアカデミー賞についてはそろそろ発表だし書かなきゃいかんだろうという気分になったので、簡単に受賞予想だけしてみたいと思います。

・作品賞
ララランド-途中までは去年の反動もあってムーンライトの可能性もあるかなと思ったけど、スラムドッグミリオネアやそれでも夜は明けるのようなトロント受賞作同様のパワーを見せつけ邁進してるから、このままララランドが受賞してトロントがアカデミー賞の行方を決めるという風潮が強まることだろう。

・監督賞
デイミアン・チャゼル(ララランド)-最近監督賞と作品賞が別になるケースが多くなってきたようにも思えたが今回は一致するケースになって、彼が最年少受賞記録を数ヵ月更新する目出度い受賞となるはず。(できればこのまま失墜せず良作を作り続ける監督となってほしいが)

・主演男優賞
ケイシー・アフレック(マンチェスターバイザシー)-最近デンゼル・ワシントンの勢いが増してきてるように思えるが、彼は過去に2回受賞してるし、ここはケイシーにあげたいという人情が働くと信じている。

・主演女優賞
エマ・ストーン(ララランド)-ここは勢い的にゴールデングローブ賞を受賞した女優のどちらかが受賞すると思われるが、作品パワーも働いて彼女が受賞すると予想。

・助演男優賞
デーヴ・パテール(ライオン)-ここは普通に考えるとムーンライトのマナーシャラ・アリになると思われるが、マリオン・コティヤールやエディ・レッドメインのとき同様実在の人物を演じた俳優が受賞するというジンクスが働いて、ベン・キングズレー以来のインド系の受賞俳優となるかもしれない。

・助演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス(fences)-ここは他の俳優部門と違い彼女の一強だからほぼ決定と言えるのだが、それはさておきこの作品が配信オンリーのみという噂を聞いたのだけど、彼女やデンゼル・ワシントンの熱演がスクリーンで見られないなんてあまりに勿体無くて残念すぎる。

・脚本賞
ララランド-マンチェスターバイザシーも有力だけど作品パワーを考えるとこちらが妥当か。

・脚色賞
ムーンライト-これまた作品パワーを考えるとこれだが、搦め手を使って脚色賞候補になったのに受賞を逃したらあまりにダサすぎて居た堪れない。(それはそれで面白いが)

・撮影賞
ララランド-安定の作品パワー。

・編集賞
ララランド-ここでも作品パワー。

・美術賞
ララランド-何度も言うが作品パワー。

・衣装デザイン賞
ララランド-ここはちょっと微妙そうだが記録更新のためにもあげてほしい。(といいつつトニー賞のハミルトンみたく逃して記録更新ならずってこともあり得るが)

・メイキャップ&ヘアスタイリング賞
スーサイド・スクワッド-作品の出来的にはおそらく幸せなひとりぼっちが一番なのだろうけど、ヴィランのメイクが一番目立っていたからおそらくこれだろうと思う。

・視覚効果賞
ローグワン-映像的にはジャングルブックの方に度肝を抜いたけど、前回EP7に与えなかった詫び的な意味で今度こそ賞を与えそう。

・録音賞
ララランド-音楽映画だけあってここも普通に受賞でしょう。

・音響効果賞
ララランド-ララランドが最多受賞記録を更新するための最大の鬼門がここで、この部門は戦争映画やSF映画が強い傾向にあるためハクソー・リッジやメッセージが受賞する可能性の方がやや高めだが、ここをララランドが受賞したら最低最多受賞記録タイはほぼ間違いないため逃したくはないところ。

・作曲賞
ララランド-ここは何も考える必要無いかと。

・主題歌賞
city of stars-ここも作曲賞同様だが、どうせなら授賞式でもライアン・ゴズリングとエマ・ストーンに歌を披露してほしかった。

・外国語映画賞
セールスマン-これかありがとう、トニ・エルドマンのどちらかと考えるのが妥当だけど、トランプの政策のおかげでこちらが受賞という皮肉な結果になることを期待(気持ち的にはトニ・エルドマン応援だが)

・長編アニメ賞
ズートピア-個人的にはレッドタートルが受賞してほしいが順当な結果となるだろう。

・長編ドキュメンタリー賞
O.J.:made in america-エミー賞やゴールデングローブ賞でドラマが注目されたことも働いてこの映画が頭一つ抜けてる感。

・短編映画賞
彼女とTGV-作品テーマが現代の社会情勢に通じる点もあるenemies withinも可能性は高そうだが、ジェーン・バーキン主演という強みが大きく働きそうな予感がする。

・短編アニメ賞
ひな鳥の冒険-長編の方で候補にならなかった分こっちでピクサーが受賞しそう。(実際受賞に値する緻密な描写に感動したし)

・短編ドキュメンタリー賞
ホワイト・ヘルメット-シリアに関するこのドキュメンタリーが社会性という点で注目されそう。


そんな感じで今回はララランドが賞の主役になることはほとんど確定しているけど、問題はどれだけ受賞できるか。可能性は高くないものの、果たして歴史に残る記録のなるのかは実に見もの。(しかしそんなときに限って生で見られないってのは我ながら本当に運がない……)

第70回トニー賞受賞予想

これまではあまり気にしていなかったトニー賞だが、今回は諸々の理由で非常に気になるものとなっている。その理由は後で詳しく述べるが、一つはある作品が記録を塗り替えたことにも由来することで、それがどの作品かはこの候補一覧と受賞予想(○をつけたものが該当する)を見ればわかると思うが、トニー賞70年目にしてとんでもない記録が生まれたと改めて驚かされる。


・演劇作品賞
eclipsed
the father
the humans
king charles Ⅲ○

・ミュージカル作品賞
bright star
hamilton○
school of rock
shuffle along
waitress

・演劇リバイバル作品賞
a view from the bridge○
blackbird
crucible
long day's journey into night
noises off

・ミュージカルリバイバル作品賞
the color purple○
fiddler on the roof
she loves me
spring awakening

・演劇主演男優賞
フランク・ランジェラ-the father
ガブリエル・バーン-long day's journey into night
ジェフ・ダニエルズ-blackbird
マーク・ストロング-a view from the bridge○
ティム・ピゴット・スミス-king charles Ⅲ

・ミュージカル主演男優賞
アレックス・ブライトマン-school of rock
ダニー・バースタイン-fiddler on the roof
レスリー・オドム ・ジュニア-hamilton
リン・マニュエル・ミランダ-hamilton○
ザッカリー・レヴィ-she loves me

・演劇主演女優賞
ジェシカ・ラング-long day's journey into night○
ミシェル・ウィリアムズ-blackbird
ローリー・メッカルフ-misery
ルピタ・ニョンゴ-eclipsed
ソフィー・オコネドー-crucible

・ミュージカル主演女優賞
カルメン・キューザック-bright star
シンシア・イライボ-the color purple
ジェシー・ミューラー-waitress
ローラ・ベナンティ-she loves me
フィリッパ・スー-hamilton○

・演劇助演男優賞
ビル・カンプ-crucible
デヴィッド・ファー-noises off
マイケル・シャノン-long day's journey into night○
リード・バーニー-the humans
リチャード・グールディング-king charles Ⅲ

・ミュージカル助演男優賞
ブランドン・ヴィクター・ディクソン-shuffle along
クリストファー・フィッツジェラルド-waitress
クリストファー・ジャクソン-hamilton
ダビード・ディッグス-hamilton○
ジョナサン・グロフ-hamilton

・演劇助演女優賞
アンドレア・マーティン-noises off
ジェイン・フーディーシェル-the humans
ミーガン・ヒルティ-noises off○
パスケイル・アーマンド-eclipsed
セイコン・センブロー-eclipsed

・ミュージカル助演女優賞
アドリエンヌ・ウォーレン-shuffle along
ダニエレ・ブルックス-the color purple
ジェーン・クラコウスキー-she loves me
ジェニファー・シマード-disaster!
レネー・エリーゼ・ゴールズベリー-hamilton○

・演劇演出賞
アイヴォ・ヴァン・ホーヴェ-a view from the bridge○
ジョー・マンテロ-the humans
ジョナサン・ケント-long day's journey into night
リーズル・トミー-eclipsed
ルパート・グールド-king charles Ⅲ

・ミュージカル演出賞
ジョージ・C・ウォルフ-shuffle along
ジョン・ドイル-the color purple
マイケル・アーデン-spring awakening
スコット・エリス・she loves me
トマス・カイル-hamilton○

・演劇装置賞
a view from the bridge○
hughie
the humans
therese raquin

・ミュージカル装置賞
american psycho
hamilton○
she loves me
shuffle along

・演劇衣装デザイン賞
eclipsed
king charles Ⅲ○
long day's journey into night
noises off

・ミュージカル衣装デザイン賞
hamilton○
school of rock
shuffle along
tuck everlasting

・演劇照明賞
a view from the bridge○
the crucible
the humans
long day's journey into night

・ミュージカル照明賞
american psycho
hamilton○
shuffle along
spring awakening

・ミュージカル脚本賞
bright star
hamilton○
school of rock
shuffle along

・ミュージカル歌曲賞
bright star
hamilton○
school of rock
waitress

・ミュージカル編曲賞
bright star
hamilton○
she loves me
shuffle along

・ミュージカル振付賞
dames at sea
fiddler on the roof
hamilton○
on your feet
shuffle along


といった具合に、アレクサンダー・ハミルトンというアメリカ建国の父を描いたミュージカルhamiltonが13部門16ノミネートという驚異の快挙を達成したのだ!これまでに最高ノミネート記録はプロデューサーズとビリー・エリオットの15ノミネートだったのだが、ここに来て新記録を打ち立ててしまったhamiltonにはそれだけで天晴れなのだが、その紹介映像を見てみるとほとんどのキャストを黒人で固めて楽曲をラップで歌い上げるという斬新な作品となっており、その点で絶大な評価をされた結果なのだと理解できる。しかしそうなるとどうしても受賞記録の更新にも期待してしまうのは当然のことで、その受賞記録も上記のプロデューサーズの持つ12部門なのだが、13部門で候補になったhamiltonには超える可能性が十分期待できてしまうのだ。それに賞を与える側としても新たな記録を作って話題を提供したいと考えているはずで、そういう意味でも歴史的な場面を目の当たりにできる可能性は非常に高い。なので今回のトニー賞は、それだけでも見逃す手はないのだ。
他にも今回のトニー賞に注目する理由はいくつかある。僕が今最も好きな俳優の一人にマイケル・シャノンがいるのだが、今回は彼が受賞を果たす可能性が高いのだ。彼の演技にはブレイクするきっかけとなったレヴォリューショナリーロード(この映画でアカデミー賞ノミネート)から魅了されっぱなしなのだが、そんな彼がトニー賞でも候補になり、しかもアカデミー賞より先に受賞する可能性があるとなったら、ファンとしてその栄誉を手にする瞬間を拝みたい、そんな期待も今回のトニー賞にはあるのだ。
そして、今回候補になった作品の中に、実は僕が既に見ているものもあるのだ。それはa view from the bridge(橋からの眺め)で、今回の候補が発表になる前に映像化されたものが映画館で特別上映されていたのだ。しかもこの作品の演出家アイヴォ・ヴァン・ホーヴェ(おそらくアイヴァンホーを捩った芸名だろう)がデヴィッド・ボウイの楽曲を使ったミュージカルをオフブロードウェイで演出した人物ということもあり、その実力を確かめる意味でも作品に触れておこうと思ったのだが、これがとても凄まじいものだった。小道具が一切無い簡素な舞台で斬新な手法を駆使し(ナレーションを兼任するキャストの一人が途中でト書きも読み始める等)、アーサー・ミラーの戯曲を自分のものとして料理したその手腕にはただただ圧倒され、凄いものを見たと驚嘆した。そんな衝撃的作品が今回見事候補となったことで、デヴィッド・ボウイの遺した作品に携わった人物が演出家ということも合わさって、是非とも受賞してほしいという気持ちが一気に湧いてきた。なので今回の主役がhamiltonになることは明白として、第二の主役がこのa view from the bridgeになるよう応援し、候補になった5部門全てで受賞することを願っている。
ということで個人的に気になることが結構ある今回のトニー賞、どのような結果になるのかアカデミー賞以上に楽しみでしょうがない。是非とも決定的な瞬間に出会えることを期待したい。

2016年6月公開の注目映画

・4日公開
鏡は嘘をつかない…5年前にインドネシアや東京国際映画祭で上映されて今頃ようやくロードショーってどういうことよと思うけど、それはさておきインドネシアの新鋭監督のデビュー作ということで気になる作品。
https://m.youtube.com/watch?v=cxqwqvjUIvM

・11日公開
エクスマキナ…この作品で長編デビューとなった監督アレックス・ガーランドやアリシア・ヴィキャンデーが注目され、アカデミー賞も受賞した近未来SF映画。
https://m.youtube.com/watch?v=D9UOrMgCfSs

シチズンフォー スノーデンの暴露…こちらも前々回のアカデミー賞を受賞したドキュメンタリーが今更公開かと悪い意味で驚くが、2014年の代表的ドキュメンタリー映画がどのようなものになっているのかはやはり気になる。
https://m.youtube.com/watch?v=pj2hIbf9OHM

裸足の季節…去年サウルの息子に次いで注目されたヨーロッパ映画で、アカデミー賞候補にもなった、傑作の匂いが予告からもして仕方がない青春映画。
https://m.youtube.com/watch?v=0PjG1h3iVu8

・17日公開
10 クローバーフィールドレーン…タイトルからしてあのパニック映画の外伝的話なのだなと察せられるのだけど、ジョン・グッドマンの演技が素晴らしいらしく、彼の演技目当てでも見たい気分。
https://m.youtube.com/watch?v=jEFIFRLQg5Y

・18日公開
クリーピー 偽りの隣人…現代日本の誇る映画監督の一人黒沢清監督が久々にホラーテイスト溢れるサスペンスを撮ったということで、彼のそういう映画が特に好きな自分としては見たくてしょうがない作品。
https://m.youtube.com/watch?v=l-3Nz6R6e_0

シリアモナムール…作品の概要はよくわからないのだが、予告からジョナス・メカス的雰囲気がプンプンして実に見応えがありそう。
https://m.youtube.com/watch?v=kPdb3ljW1C8

ホースマネー…正直ペドロ・コスタという監督の作品は初期のもの以外途中でだれてくるから苦手な部類なのだが、作風自体は嫌いではないため毎度毎度見たい気持ちになるのが困り物。
https://m.youtube.com/watch?v=Vbta9V8znx0

しかし今月は見たい映画が地味に多く(ここで紹介した以外でも下高井戸シネマでリバイバル上映される火の中のマリアは非常に見たい)、6月が誕生月の身としては嬉しくもある反面、そんな劇場で見ている暇もないためいくつかの作品はスルーすることになりそうで残念だ。

第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞結果

今年のコンペティション部門は例年以上に力作揃いだと言われていた。久々のカンヌ出品となるバーホーベンのelle、カンヌ初出品で絶賛されたマーレン・アーデのtoni erdmannとクレベル・メンドンサ・フィーリョのaquarius、久々に受賞が期待されたジャームッシュのpaterson、どちらも好評だったルーマニアの作品(sieranevadaとgraduation)ショーン・ペンやダルデンヌ兄弟、グザヴィエ・ドランの作品が微妙だった反面上記の作品が受賞するのではと結果を非常に楽しみにしていた。しかしその期待も虚しく結果は以下の通りとなった。

パルムドール:I daniel blake(ケン・ローチ) !?
グランプリ:it's only the ene of the world(グザヴィエ・ドラン) !?!?
審査員賞:american honey(アンドレア・アーノルド) !?!?
男優賞:シャハブ・ホセイニ(the salesman)
女優賞:ジャクリン・ジョセ(ma'rosa) !?
監督賞:クリスチャン・ムンジウ(graduation)、オリヴィエ・アサイヤス(personal shopper) !?
脚本賞:アスガー・ファルハディー(the salesman)

あえて言おう、 あ ほ く さ

ケン・ローチにグザヴィエ・ドラン、アンドレア・アーノルド、アスガー・ファルハディー、ブリランテ・メンドーサ、クリスチャン・ムンジウ、オリヴィエ・アサイヤス、皆カンヌ受賞作のある監督だ!(アサイヤスとファルハディーはどちらも過去に女優賞を齎した作品を監督した程度だが)全然新鮮味が無い!そればかりかgraduation以外他の力作に存在感が薄れた作品ばかり!なんでこれらの作品を選んだと言わざるを得ない!

批評家に愛された作品を天邪鬼的思考であえて外した、愚かなのは変わりないがそれだけならまだ理解できる。しかしそれならクリスティ・ピゥやアラン・ギロディー、ニコール・ガルシアといったコンペで受賞経験の無い監督の作品を選んだ方がまだ生産性もあって良かった。何度も言うが、過去に受賞経験の監督ばかり選んで何の価値がある!?21世紀に入ってからだとアキ・カウリスマキやヌリ・ビルゲ・ジェイラン、パク・チャヌク、アピチャートポン・ウィーラセタクン、クリスチャン・ムンジウといった(彼らの初出品当初)新しい才能に賞を与え、その名を世界に発信したのがカンヌという場であり当時の審査員だった。しかし今回の受賞結果からそのような意思はまるで感じられず、あまりに保守的でつまらないこの結果を齎したジョージ・ミラーら審査員陣には失望を禁じ得ない。ここまでの失望はナンニ・モレッティがそのエゴイズムを存分に発揮させた2012年以来だが、あのときはパルムドールに愛、アムールが選ばれただけまだマシだった……。

しかし今回は本当に、アンドレア・アーノルドの3度目の審査員賞受賞、アスガー・ファルハディー作品の2部門受賞、今までで一番味気なかったらしい作品でのグザヴィエ・ドランのグランプリと謎の多い選出となったが、一番謎なのはやはりケン・ローチのパルムドール受賞。彼は何度もカンヌを受賞していて、4年前に審査員賞を受賞したときもまたかと思ったが、今回再びのパルムドール受賞となり(10年前の受賞もそれに値するか甚だ疑問だったが)、ここまで受賞回数が多いと本当に辟易してしまう。聞くところによると彼は今回の作品で引退も考えているとのことだが、それで賞を与えたいなら受賞経験のあるパルムドールではなく、2009年のアラン・レネみたく特別賞を設けてそれを受賞させたら良かったのだ。功労賞的に受賞させるなら、これまでそれほど大きな賞を貰っていないバーホーベンが受賞した方が価値のあるものだったのだ。せっかくの貴重なパルムドールが去り行く老人のために無駄になったのは残念でならない。(まるで先日三島由紀夫賞を受賞した蓮實重彦のようなことを言ってしまうが)

本当に今回の受賞結果は残念でならない。先にも述べたように、本来映画祭というものは既知の才能よりも新しい才能こそ重視されるべきなのだ(それこそある視点部門で深田晃司監督が賞賛されたみたいに)。しかし今回他ならぬ世界最大、最も注目されるカンヌのコンペティション部門部門でそれが成されなかったことは不幸と言わざるを得ない。マーレン・アーデが事前に国際批評家連盟賞を受賞していたのは不幸中の幸いだが、クレベル・メンドンサ・フィーリョという新たな才能が無冠に終わったことは悲劇と言わざるを得ない。今回の審査員は2度と映画祭で同じ立場にならないで欲しいものだ。というか審査員の1人であったネメシュ・ラースローはカンヌでその才能を見出されたばかりの監督なのだから、同じように新人を発掘しようと何故しなかったのかと問い詰めたい。しかしおそらく今後の映画賞で存在感を見せるのはここで受賞を逃したものばかりになるはずだから、この結果はこれっきり自分の中で無かったものとしよう。……そう思いたくなるほど、本当に酷い受賞結果だった。

第69回カンヌ国際映画祭受賞結果(コンペティション部門除く)

まずある視点部門で日本人として嬉しい受賞結果となったので、その結果について述べていきたいと思う。

・ある視点賞:the happiest day in the life of olli maki
・審査員賞:淵に立つ !
・特別賞:レッドタートル !
・監督賞:マット・ロス(captain fantastic)
・脚本賞:the stopover

今回ある視点部門で上映された日本関連の映画はどれも好評だったと聞いていたが、その内2作品が受賞を果たすのはやはり嬉しいことで、このニュースを見たときは思わずガッツポーズを取ってしまった。特に深田晃司監督の今回の受賞は彼のキャリアと瀕死の状態の日本映画界にとって大きな一歩になったはずであり、彼の今後の活躍に期待せざるを得ない。(おそらく近い将来コンペティション部門で出品もされるはずだろう)

そして、そのある視点部門の発表と同じくらいに発表された国際批評家連盟賞は、以下の通りになった。

・toni erdmann
・dogs
・raw

国際批評家連盟賞はコンペ部門でも受賞される可能性が高いものが受賞となる(それは勿論高い評価の裏返しでもある)が、今回最も評価の高かった映画の1つであるtoni erdmannが受賞したのは当然の結果と言って良い。他の作品も、dogsはある視点部門の賞は受賞できなかったもののフィンランド映画らしい牧歌的なものになっていて、rawもカニバリズムを描いた衝撃的な映画となっているらしく、どちらも面白そうで是非日本公開されてほしいものだ。

さて、そんな重要賞を経てコンペ部門の受賞結果がようやく発表となったが、その結果は……と続けて所感を述べていこうと思ったけど、あまりに腸の煮えくりかえりそうな受賞結果となって怒りで長文になりそうなためここで一旦区切ることに。ある視点部門の嬉しい受賞結果から一転してあんなクソみたいな結果になるとは思わなんだ……。

第69回カンヌ国際映画祭途中経過

そろそろ映画祭も終盤戦に突入し、作品の良し悪しや受賞の行方もなんとなく見通せるようになってきたが、今回のカンヌはコンペ部門で結構波乱が起こって、賞の行方よりそっちの衝撃の方が強くて若干狼狽えている現状だ。さて、その波乱について述べる前に、あと数日で決まってしまうが、ここで改めて(信憑性の低いと我ながら改めて思った)受賞の予想を最後に再びしてみたいと思う。

パルムドール:the last face(ショーン・ペン)
グランプリ:toni erdmann(マーレン・アーデ)
審査員賞:aquarius(クレベル・メンドーサ・フィーリョ)、the neon demon(ニコラス・ウィンディング・レフン)
男優賞:アダム・ドライヴァー(paterson)
女優賞:エマ・スアレス&アドリアナ・ウガルテ(julietta)
監督賞:ブリュノ・デュモン(slack bay)
脚本賞:the salesman(アスガー・ファルハディー)

そして、現地カンヌでの各作品の評価で僕が驚いたことを、受賞予想の変わった部分を見たら大体わかるとは思うが、いくつか述べていきたい。
まず良い意味で驚いたのがマーレン・アーデ監督のtoni erdmannとジム・ジャームッシュ監督のpatersonが予想以上に評価が高かったこと。前者は予告等を見て確かに面白そうだなと感じたし、後者も安定のジャームッシュ作品として日本公開を待ち遠しく思ったのだが、どちらも今回のカンヌで一、二を争うほどの好評を得るとは予想だにしていなかった。特にジャームッシュの方は安定して面白いものの逆に特段絶賛の嵐とはいかないだろうと思っていただけに本当にビックリした。どちらの作品も日本公開されたら勿論見るつもりだったが、これでより一層拝見したくなった。そして、toni erdmannは前回のサウルの息子同様ここでグランプリ(とおそらく国際批評家連盟賞も)受賞して、アカデミー賞まで各地の映画賞を席捲することになるだろうが、patersonは作品自体もさることながらアダム・ドライヴァーの演技が称賛されているところもあるらしいので、ここではアダム・ドライヴァーが男優賞を受賞すると推測する。しかしながら、ジャームッシュ作品はこれまでどれだけ評価されてもアカデミー賞同様にはほとんど関わらなかったし(あの名作ストレンジャーザンパラダイスやカンヌでグランプリを受賞したブロークンフラワーズでさえも)、それに加えアダム・ドライヴァーはスコセッシ監督の沈黙にも出演するため、そちらの方が賞レースのメインになる可能性が高く、なのでアダム・ドライヴァーが受賞を果たしてもここだけに止まりそうな予感がプンプンする。しかし一昨年のジュリアン・ムーアがそうであったように、ここでの受賞を皮切りにその年の顔の一人として台頭する可能性は決して低くないので、彼が今後邁進していくよう応援したい。
余談だが、そんなpatersonとは逆に、カンヌで受賞は逃しそうだが他の映画賞で存在感を発揮しそうなのがジェフ・ニコルズ監督のlovingだ。今回佳作ドラマとして評価されたらしいこの作品だが、主演の二人(特にジョエル・エドガートンではなく相手役のルース・ネッガ!)の演技は抜群に優れていたらしく、アカデミー賞受賞も夢ではないと現時点で既に言われているほどなので、9年前のノーカントリーがそうであったようにカンヌで受賞しなくても今後の動向にはこれまで以上に注目の作品だ。
そして、ここからが悪い意味で衝撃的だった評の作品について話したいが、今回はなんとダルデンヌ兄弟とグザヴィエ・ドランという、とても駄作を作りそうになかった監督の作品で否定的な意見が目立っている。どちらの作品も、事前に発表された映像からはとても駄作の臭いが感じられず、今回の安定の出来になっているだろうと思っていただけに現地の評価を見て唖然とした。確かに完璧な人間はいないし人間には失敗が付き物であるけど、両者とも今までの作品が全て見応えのあるものだっただけに、とてもじゃないが彼らがイマイチな作品を作るなんて信じられない。勿論現地の評価が絶対ではないし、一般的にイマイチと思われても個人的には非常に良い作品だったなんて例もあるのだけれど、やはり指針となる現地の声であまり良いものが聞けないのならば、受賞は望み薄と考えておいた方が下手に僅かな希望に賭けるより良いのかもしれない。……しかしそれにしても残念だ。エミール・クストリッツァみたく悪い評判に拗ねて映画作りの意欲を無くすなんてことにならなければいいのだが……。
しかしながら、カンヌはフランスの映画祭であることもあってか、ほぼ毎年フランス映画から何らかの受賞作が出ているのが現状だ。今回上述した監督含め、全体的にフランス映画が不調な年となっているが、その中で一番評価の高いのがブリュノ・デュモン監督のslack bay。この作品は否定的意見も多少見られるものの、その破天荒な作風を肯定する評がより多くあり、審査員長であるジョージ・ミラーの作品に通じる面も見受けられるという点で、受賞の可能性が高いように思われる。
ジョージ・ミラーといえば、アカデミー賞授賞式でもそうだったように、自分の作品に携わった仕事仲間を可愛がる傾向にあるようで、レッドカーペットでもマッドマックスの主演だったシャーリーズ・セロンの姿を探す場面が映されていた。そしてここから、そのシャーリーズ・セロンが主演のthe last faceに肩入れしそうな予感が尚のことプンプンしてしまい、良い作品になっていたら無条件でパルムドールを渡してしまいそうだと強く感じた(その結果身内贔屓と叩かれることも気にしないだろう)。身内贔屓となったら、今回審査員の一人であるマッツ・ミケルセンをいち早く見出したニコラス・ウィンディング・レフン監督も出品しているが、果たしてそこを考慮して審査員陣が彼の作品に賞を与えるのか、その点も実に気になるところだ。

最後に、日本人として嬉しかったのはある視点部門に出品された日本関連の映画がどれも評判の良いところ。是枝監督の作品はこれまでで一番良いドラマになっているという声も聞こえるほどで深田晃司監督の作品も上々のカンヌデビューとなり、将来コンペ部門での出品も叶いそう。そして何よりジブリの新作レッドタートルが小品ながらも傑作との呼び声が高く、こちらは案の定後々の映画賞でも存在感を発揮しそうだ。最近は日本映画の不作が嘆かれて久しいが、こういう評判を聞くとまだ僅かな望みを抱かずにはいられない。

第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞予想

今年も毎度楽しみにしてるカンヌ映画祭が開催される。今年は例年以上に欧米からの出品作で固められてて偏りが激しくなっている感は否めないけど、好きな監督も多数出品しているため彼らの新作の出来に期待は高まる。そして、毎年1つくらいしか的中しないからあてにならないとは自覚しつつ、そんな期待を募らせ贔屓の監督の作品に受賞してほしいという思いから予想してしまうのが常で、願かけの意味も込めて今回も受賞予想をしていきたいと思う。

パルムドール:the last face(ショーン・ペン)
グランプリ:it's only the end of the world(グザヴィエ・ドラン)
審査員賞:aquarius(クレベル・メンドーサ・フィーリョ)
男優賞:ジョエル・エドガートン(loving)
女優賞:サンドラ・ヒュラー(toni erdmann)
監督賞:ダルデンヌ兄弟(the unknown girl)
脚本賞:the handmaiden(パク・チャヌク、シド・リム)

今回の予想で自信があるのは、パルムドールとグランプリと男優賞。
まずこれはアカデミー賞の予想でも書いたことだけど、ショーン・ペンは監督する度にそのクオリティを上げてきた人物で、しかも今回は9年ぶりの監督作ということもあり、かなりの力作になっていることが期待される。加えて今回は審査員長が、the last faceと同じシャーリーズ・セロン主役で傑作を手がけたジョージ・ミラー監督で、その他の審査員も俳優を中心とした顔ぶれ。ショーン・ペンが期待通りかそれ以上の力作を本当に作ったなら、彼有利に事が運びそうな面子なのだ。(むしろショーン・ペンにパルムドールをあげるためお膳立てされたのではないかと勘繰りたくもなる)
そして、上記と同じ理由で、今回は基本的に俳優のアンサンブルが優れた映画が好意的に受け取られそうということで、そうした趣があるであろうグザヴィエ・ドランとジェフ・ニコルズ、ダルデンヌ兄弟の作品は何らかの賞を受賞する可能性が特に高いと思われる。しかしジェフ・ニコルズのlovingに関しては、男優賞を他にあげられる人物がいない(いたとしても作品の力がそこまでじゃなさそうなものばかり)ということで、主演のジョエル・エドガートンがここで受賞しアカデミー賞候補にも一歩近づけることとなりそうだ。
一方で女優賞は女性が主役の映画が多い分候補も多くて誰が受賞するか本当にわからない。マリオン・コティヤールやクリステン・スチュワートは2つの作品に出演しているところが強みのようにも思えるけど、前回イザベル・ユペールが受賞しなかったことを思うと最終的に作品の評価が顫わないと意味を為さないか。ということで公式HP等で見られる映像やスクリーンショットで誰が強く印象に残り、かつ映画自体も良さ気かと調べたら、toni erdmannに出演しているサンドラ・ヒュラーが中々印象深かった。彼女はレクイエムという映画で注目された女優だが、過去に女優賞を受賞しているハンナ・シグラやバルバラ・スコヴァにも負けない不思議な魅力が感じられ、そういう意味でも受賞の資格が十分あるように思えた。それに上述した2人のドイツ人女優が受賞を果たしてから30年以上経過しているため、ここで久々にドイツ人女優が受賞しても良いのではないかとも思う。
他に受賞に相応しいほど良い作品になっていそうだと思うのはクリスティ・ピゥやアラン・ギロディ、ブリュノ・デュモンらあたりの作品だが、彼らの作品はどちらかというと芸術性の強いものになっていそうで、前述したようにそういう作品は今回冷遇されそうだし(映画祭の序盤で上映されるのも不利に働きそう)、毎度評価は良いけど一歩及ばず受賞を逃す作品もあるので(前々回のサンドラの週末や禁じられた歌声のように)、彼らの作品が涙を飲む可能性は考えておいた方が良いだろう。(勿論受賞を予想した作品がそうなる可能性も十分考えられる)
いずれにせよ、前回のサウルの息子やキャロルがそうだったように、毎回カンヌではその年を代表する作品出てくるので、果たしてどの映画がそんな力作になっているのかというのを楽しみにしつつ受賞結果を待ちたいと思う。
余談だが、今回コンペティション部門に日本の作品が出品されていないが(パク・チャヌク作品では舞台の一つとなっているっぽいけど)、一方である視点部門では2作品が出品されている。そしてその中でも深田晃司監督は、直接の面識は無いものの、同じ学校に通っていた先輩ということで、そんな人がカンヌという場で注目されることを誇りに思うし、そこで高い評価を得て世界で一層名前が知られるようになることを強く願う。

第89回アカデミー賞ノミネート予想その1

今年のアカデミー賞が終わってまだ2ヶ月程度しか経っていないが、それでも次回の予想を発表したくてしょうがないので、ここに第89回のアカデミー賞主要部門の最初の予想をしたい。しかしこの時期に候補入りを予想する作品も、前回のレヴェナントやキャロルといった作品がそうであったように、監督やキャスト陣の実力が問題なく発揮されたら予想の通りに事が進むこともあるから、現時点での予想も馬鹿にできないものがあると我ながら思う。(逆にスポットライトやマネーショートのように全く予想してなかったところから不意打ちで有力作が出てくることも多いからそれが楽しみでもある)

・作品賞
沈黙○
ハドソン川の奇跡
the last face△
manchester by the sea
una
nocturnal animals
the birth of a nation
war machine
la la land
loving

・監督賞
マーティン・スコセッシ(沈黙)○
ジェフ・ニコルズ(loving)
ショーン・ペン(the last face)△
ネイト・パーカー(the birth of a nation)
ケネス・ロナーガン(manchester by the sea)

・主演男優賞
アンドリュー・ガーフィールド(沈黙)
ベン・メンデルソーン(una)○
ケイシー・アフレック(manchester by the sea)
マシュー・マコノヒー(gold)
ジョエル・エドガートン(loving)△

・主演女優賞
ルーニー・マーラ(una)○
ルース・ネッガ(loving)△
シャーリーズ・セロン(the last face)
エイミー・アダムス(nocturnal animals)
ブライス・ダラス・ハワード(gold)

・助演男優賞
リーアム・ニーソン(沈黙)△
マイケル・シャノン(loving)○
ハビエル・バルデム(the last face)
ベン・キングスレー(war machine)
ロバート・デ・ニーロ(hands of stone)

・助演女優賞
アデル・エグザルショプロス(the last face)○
ミシェル・ウィリアムズ(manchester by the sea)△
エイジャ・ナオミ・キング(the birth of a nation)
アイラ・フィッシャー(nocturnal animals)
ニコール・キッドマン(lion)

・脚本賞
the last face△
manchester by the sea ○
la la land
the birth of a nation
loving

・脚色賞
沈黙 ○
ハドソン川の奇跡
nocturnal animals
una△
war machine

・撮影賞
沈黙(ロドリゴ・プリエト)○
billy lynn's long halftime walk(ジョン・トール)
ハドソン川の奇跡(トム・スターン)
the last face(バリー・アクロイド)△
weightless(エマニュエル・ルベツキ)

・編集賞
沈黙 ○
billy lynn's〜
the last face△
la la land
war machine


この予想からわかるように全体的に次回のトップコンテンダーとなりそうだと現時点で考えるのは、マーティン・スコセッシ監督の沈黙とショーン・ペン監督のthe last face、そしてジェフ・ニコルズ監督のlovingの3作。沈黙は遠藤周作の原作小説を読んでスコセッシの力量を知っている者なら受賞間違いなしと考えるだろうし、実際IMDbという映画情報サイトでも予想1位の作品となっている。製作が発表されてから長い年月を経て、気がつけばスコセッシの悲願のアカデミー賞受賞から10年が経過してしまったが、10年ぶり2度目の受賞も既に射程圏内だ。そして対抗となるのは、カンヌ映画祭への出品が決まっている2作品で、ショーン・ペンの方はエイズを題材にした9年ぶりの監督作、ジェフ・ニコルズの方は白人男性と黒人女性の恋愛ドラマという野心作。どちらも監督としての手腕は申し分なく、これまで良質な作品ばかり手掛けているため、今回腕に思わぬ狂いが発生しない限りはカンヌでまず受賞を果たし、その勢いでアカデミー賞候補にもなることだろう。(特にlovingは前回の反動もあって黒人層の支持を集めることになるはず)

しかし主演の2部門に関しては、unaという作品の2人に渡る可能性が高い気がする。この作品は、blackbirdという戯曲を原作としたものなのだが、内容は性的関係を持っていた男女が蟠りを爆発させるというもので、つまり主演2人の演技合戦がメインとなる作品なのだ。となると前回のカンヌで女優賞を受賞したルーニー・マーラは勿論、スターウォーズの外伝であるローグワンに出演して一気に今年注目されそうなベン・メンデルソーンもその実力は折り紙つきで(ジャッキー・ウィーバーがアカデミー賞候補になったアニマルキングダムでは彼女の次に賞賛を集めた)、その2人が演技力を遺憾なく発揮したとなったら賞賛の的になることは必至。加えて監督のベネディクト・アンドリュースは映画初監督ながらシェイクスピアやチェーホフの戯曲を手掛けてきて、欲望という名の電車のリバイバルではローレンス・オリヴィエ賞候補にもなった実力派。前年エクスマキナで注目を集めたアレックス・ガーランド同様、彼も期待の新人として賞賛されるだろう。

その他の作品についてだと、既にサンダンス映画祭で特別上映されて高い評価を得ているケネス・ロナーガン久々の新作manchester by the sea(マット・デイモンが製作に関わっていることも強みか)と俳優のネイト・パーカーが監督と主演を務めたthe birth of a nation(サンダンス映画祭グランプリ)、ファッションデザイナーとして著名なトム・フォードの2作目nocturnal animals、前述のアニマルキングダムの監督であるデヴィッド・ミショットの新作war machine(製作総指揮は主演も務めるブラッド・ピット)、セッションのデミアン・チャゼルの新作音楽映画la la land、クリント・イーストウッドがトム・ハンクスを主演に迎えて手掛けるsully(ハドソン川の奇跡)あたりが主要部門で候補になると予想。(逆にアン・リーの無駄にタイトルの長い新作は完璧な娯楽映画になりそうだから技術部門でいくつか候補になって終わりそうな予感)

他には候補を一覧にするほど現時点では把握できてないが、長編アニメ部門と外国語映画部門では、それぞれジブリの新作無声アニメであるレッドタートル(なんとオランダ人監督の作品)とグザヴィエ・ドラン監督の新作it's only the end of the worldは確実に候補になるだろうと考える。ちなみにこの2作はどちらもカンヌ映画祭の出品作品だが、毎年なんだかんだでカンヌ出品作は候補乃至受賞を果たしているため、カンヌで評価されたら候補になる確率は更に高まるだろう。

最後に、スコセッシの沈黙がどのくらい候補になり、どのくらい受賞するのかも予想したので、その一覧を載せて終わりとしたいが、もし本当に以下のとおりになったら、ロードオブザリング以来久々の2桁受賞の作品として記録に残る映画となるだろう。(◎をつけたのが受賞予想部門)

作品賞◎
監督賞◎
主演男優賞
助演男優賞
脚色賞◎
撮影賞◎
編集賞◎
美術賞◎
衣装デザイン賞◎
録音賞◎
音響効果賞◎
作曲賞◎

2016年5月公開の注目映画

注目映画

・7日公開
ヴィクトリア…ベルリン映画祭で注目された新鋭セバスチャン・ジッパーの作品。ほぼ即興ワンカットで繰り広げられるという全盛期のヌーヴェルヴァーグも顔負けの野心的手法、見逃す手はない。
https://m.youtube.com/watch?v=kqx_TrXZQ94

カルテル・ランド…前回のアカデミー賞でドキュメンタリー賞候補になった作品。メキシコは闇の深い国として知られるけど、その暗部を垣間見るのは若干怖くもある。
https://m.youtube.com/watch?v=QoecrviRKdk

・13日公開
マクベス…前回のカンヌに出品された、現代では珍しいシェイクスピアの傑作戯曲の映画化。マイケル・ファスベンダーが演じるマクベスがどんな感じになっているのか、見るのが楽しみでならない。
https://m.youtube.com/watch?v=kBDXip93yGk

・21日公開
海よりもまだ深く…カンヌ映画祭ある視点部門にも出品される、現代日本映画界の良心的存在である是枝裕和監督の新作。海街diaryは微妙だったが、この映画ではいつもの是枝節が炸裂していそうだから楽しみ。(カンヌ上映作品を開催期間中に見られるのもお得感があって良い)
https://m.youtube.com/watch?v=nN4bzbwqtGg

明日の世界…短編アニメの奇才ドン・ハーツフェルト監督のアカデミー賞候補作。彼の独特の世界観のファンだけにこの新作も実に気になる。
https://m.youtube.com/watch?v=pFyN9EdotTU

・27日公開
神様メール…トト・ザ・ヒーローや八日目といった一風変わった作品を手掛けるジャコ・ヴァン・ドルマル監督の新作。神様家族の人類に送ったメールによる騒動を描いた映画というのをわかりやすく表した邦題ではあるが、原題のthe brandnew testamentからあまりにかけ離れすぎているのはどうかと思う。
https://m.youtube.com/watch?v=HME_MFYoy68

・28日公開
或る終焉…カンヌで脚本賞を受賞したミシェル・フランコ監督の作品。最後の最後で会場でブーイングが起こったという曰く付きの映画らしいので、その点も逆に興味をそそられる。
https://m.youtube.com/watch?v=xg2_ZTHGrq0

あと、6月のストーン・ローゼス来日公演を金の都合で諦めるから代わりに過去のライブを劇場で見るつもり。
https://m.youtube.com/watch?v=hbkz7GZhoSA

アニメ「僕だけがいない街」の今後の展開について

最近原作がフィナーレを迎えたにもかかわらず、アニメも好評続きで、実写映画版も公開間近と(どんな出来になるかはさておき)、ますます勢いが出始めているような僕だけがいない街(以下「僕街」)。僕自身色々カットしてなんとか纏めている印象は感じつつ、それでも面白さを損なわない出色の出来となっていて、毎週の楽しみとして欠かさず視聴しているし、BD-BOXも(主にサントラのために)購入しようとも考えている。そんなTVアニメも間もなく終了してしまうが、原作を知っている人は勿論、アニメを見続けてきた人もまだまだ続きがあるだろうことは容易に想像できるはずだ。そして、おそらく本当にTVシリーズが終了してもアニメ自体が終わることは無いだろう。

さて、ではどんな媒体で続きをやるのかというと、ずばり劇場アニメとしてである。しかもおそらく今年中の公開だ。何故こう断言できるかといって、まず根拠になるのがノイタミナのラインナップ発表会。これは毎年恒例となっている夏以降のTVシリーズ等の公式発表の場であるが、ここで今回は今年公開の劇場アニメの情報も公開することになっている。そう、これはつまり僕街の劇場アニメ版の情報が解禁される、ということである。と、これだけだと根拠としてまだ弱いと思うかもしれないが、この他にもまだ劇場アニメの可能性が大いに考えられる根拠がいくつもある。

そして、これが劇場アニメ化の可能性を最も強めた根拠なのだが、このアニメでは後々俳優の柄本佑さんがキャストに加わることが公式で先日発表となったのだ。柄本佑さんといえば、個性派俳優である柄本明さんの血を受け継いで実力を発揮している若手俳優の代表格だが、そんな彼がTVシリーズの終盤のためだけに果たして起用されるだろうか?ガンダムビルドファイターズで1話だけゲスト参戦した本郷奏多さんという例もあるにはあるが、今回は事情が違うように思える。つまり、柄本佑さんが演じる役(どのキャラを演じるかも大体予想はついているが)の本格的な出番は、おそらくTVシリーズの後なのだと考えられる。加えて、そんな若手の有望株をわざわざ起用するほど力を入れる必要のある媒体というのは、劇場アニメ以外あり得ないだろう。

更に、3月23日には新宿バルト9にて最終回の特別先行上映イベントも催される。考えてもみてほしいが、ただ最終回を上映するためだけに、わざわざ劇場でイベントを開催するだろうか?しかも1800円という通常の映画と同じ価格で。これはどう考えても、最終回の上映のあとに劇場アニメ版の予告を初披露する流れになる以外あり得ない。(先述したノイタミナの発表会では、ネタバレになるため情報を発表するだけにとどめるのだろう)

ところで、先ほど述べた柄本佑さんもそうだが、そもそもの話普通の深夜アニメで若手有名俳優である満島真之介さんと土屋太鳳さんを起用する時点で、そもそも力の入れ様が異常だったのだ。おそらく、TVシリーズの放送が決まった時点で、劇場アニメでの完結を企画していたのだろう。そうでなくてはTVシリーズ放送と同じ年に劇場版を公開するなんてことはスケジュール的に到底無理な話なのだが、まどかマギカやラブライブ、ガールズ&パンツァーのように、人気が出てから劇場アニメとして続編を公開する例は数あれど、元から劇場アニメありきでTVシリーズが始まるアニメなんてのは前代未聞ではないだろうか。可能性としてはTVシリーズだけでは尺が足りなくなるし、その足りない部分がちょうど劇場アニメとして作る分量になり、映画プロジェクトも平行して進めたいノイタミナとしても好都合だったということだろうが、それも原作人気がなければできないことで、こんな前例のない試みができるほどに魅力ある作品だったのだなと改めて驚かされる。(そしてそんな作品に我らが梶浦由記さんが関わってると思うと、ファンとして誇らしい)

そんなわけで、まだ公式発表されてないまでも、これまで情報とアニメの状況を考えるとほぼ確実視できる僕街の劇場アニメ化だが、問題は公開日。妥当な時期としてはアニメ内と同じ時期になるだろうとは思うが、主題歌にまた梶浦さんが関わるのか否かというのも含め、これまた非常に楽しみである。

:3月17日追記
そうか……虐殺器官公開延期になってたことすっかり忘れてたよ……2016年の劇場アニメってこのことだったのか……でも最終回はおろかまだ2話残ってることのネタバレ配慮という可能性を考え、まだ劇場アニメがあるという望みは捨てずに待っていたい。(きっと最終回披露後の23日には発表になるはず)

第88回アカデミー賞最終受賞予想

最近全然書いてなかったこともあるが、今回はいつも以上に予想し難いものとなっていたため、発表直前まで最終予想を先延ばしにすることとなってしまった。しかし決着のときのときはどうあっても訪れるということで、腹を括って最後の予想をすることにした。


・作品賞
○レヴェナント 甦りし者
スポットライト 世紀のスクープ
マッドマックス 怒りのデス・ロード
オデッセイ
ブリッジ・オブ・スパイ
ルーム
ブルックリン
△マネーショート 華麗なる大逆転

…この部門の本命としてまず台頭したのがスポットライト。教会のスキャンダルと戦う記者というオスカー好みの題材の映画だが、授賞式間近になり勢いが衰えてきた。逆に勢いをつけてきた作品が2作品あり、1つがリーマンショックの裏側をコミカルに描いたマネーショートで、アメリカ映画製作組合賞を受賞してから配給会社が猛プッシュをかけているらしいのだが、この部門以外で受賞可能性のある部門が1つだけ、つまり2部門しか受賞していない作品賞受賞作は地上最大のショウ以来出ていないから、この映画が作品賞に輝くビジョンが見えづらい。かといって娯楽色のあまりに強いマッドマックスが受賞するとも思えない(スターウォーズやアバターが作品賞を逃したように)。そこで一番可能性が出てくるのがレヴェナントの作品賞受賞だ。息子の復讐のため仇と戦う男を描いたこの映画は、作品の出来とディカプリオのスターパワーのおかげで興行収入的にも成功を収め、かつ今回のアカデミー賞でマッドマックスに次ぐ候補数を記録している。これほどの格を備え、複数の受賞も見込める作品なら作品賞に相応しいと考え投票する人間が多数出ることは容易に想像できる。しかもゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞でも頂点に輝き、現在絶賛波に乗っている最中。レヴェナントが受賞する流れが、ほとんど出来てしまったと言って良いだろう。加えて今回この作品が受賞すると、同じ監督の作品が2年連続で作品賞を受賞した初の例となり、前人未踏の記録が生まれる瞬間を目の当たりにできるのである。メキシコ人が監督した映画といえど、話題を作るための見えざる力が働く可能性も考えられるし、はっきり言ってその瞬間はせっかくなら見たいというのが個人的な気持ちでもある。

・監督賞
○ジョージ・ミラー(マッドマックス)
△A・G・イニャリトゥ(レヴェナント)
トマス・マッカーシー(スポットライト)
アダム・マッケイ(マネーショート)
レニー・アブラハムソン(ルーム)

…作品賞でもそうだが、トッド・ヘインズ監督(とキャロル)が候補にならなかったのがファンとしてまず不満ではあるのだけれど、それはさておき受賞に関してはマッドマックスを見事に現代に甦らせたジョージ・ミラー監督で決まりだろう。レヴェナントのイニャリトゥ監督の線もあるが、彼は前年既に受賞を果たして、しかも最有力と言われていたリンクレイター監督から賞を奪取する形になり顰蹙を買ってしまった。ここでまた受賞してしまうと、今度はマッドマックスとジョージ・ミラー監督のファンからも嫌われてしまうので、さすがに投票する側も自重すると思われる。ここ最近非英国圏の監督が受賞し続けていることも合わさって、素直にジョージ・ミラー監督に票が集まるものと考える。

・主演男優賞
○レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)
△マイケル・ファスベンダー(スティーヴ・ジョブズ)
ブライアン・クランストン(トランボ)
マット・デイモン(オデッセイ)
エディ・レッドメイン(リリーのすべて)

…ここは長年受賞を逃してきたディカプリオがようやく受賞を果たす、おそらく最大のチャンス。故に前哨戦でも受賞しっ放しの彼をアカデミー賞でも受賞させようと、盛大なスタンディングオベーションのお膳立てのため票が集まることは必至だろう。

・主演女優賞
○ブリー・ラーソン(ルーム)
△シアーシャ・ローナン(ブルックリン)
ケイト・ブランシェット(キャロル)
シャーロット・ランプリング(さざなみ)
ジェニファー・ローレンス(joy)

…断片的な映像を見ただけでも、ルームのブリー・ラーソンの演技は涙腺を刺激するものがあった。そんな迫真の演技もあり、同作はトロント映画祭で観客賞も受賞し、見事アカデミー賞でも多数候補となるに至った。作品の魅力を最大限に引き出したであろう演技を披露した彼女に、主演女優賞を与えることを躊躇う人間はおそらくいないはずだ。

・助演男優賞
○シルヴェスター・スタローン(クリード)
△マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)
マーク・ラファロ(スポットライト)
クリスチャン・ベール(マネーショート)
トム・ハーディ(レヴェナント)

…演技力だけでいえば上映時間の1/5にも満たない出演時間でその存在感を記憶に刻み込んだマーク・ライランスの圧勝だ。しかしここは、おそらく長年演じてきた本人も再びのチャンスが到来するとは思わなかったであろうロッキー(を演じたスタローン)に賞を与えたいと思うのが人情だろう。しかし純粋な演技力が評価されて最終的にエディ・マーフィーを打ち負かすこととなったアラン・アーキンという前例もあるため、ロッキーも最後まで油断は出来ない。(去年マイケル・キートンも最終的に涙を飲むこととなったし)

・助演女優賞
○アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)
△ケイト・ウィンスレット(スティーヴ・ジョブズ)
ルーニー・マーラ(キャロル)
レイチェル・マクアダムス(スポットライト)
ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)

…ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞を受賞し、ここに来て波に乗っているのがケイト・ウィンスレット。しかし最終的には、惜しくも候補にならなかったエクスマキナでの演技も絶賛された、2015年最も台頭した女優の一人であるアリシア・ヴィキャンデルに賞が齎されることとなるだろう。余談だが今回の候補の一人であるルーニー・マーラは、ここで受賞を逃したのが次回のアカデミー賞で逆に有利に働き、主演女優賞を勝ち取る可能性が大いにある。(今年彼女はunaという注目映画で主役を務める)

・脚本賞
○スポットライト
エクスマキナ
ブリッジ・オブ・スパイ
インサイド・ヘッド
△ストレイト・アウタ・コンプトン

…ここは脚本賞を総ナメにしているスポットライトが順当に受賞するものと思われるが、黒人が一人も演技賞で候補にならなかったことに怒り心頭の映画人が当てつけ的にストレイト・アウタ・コンプトンに票を集中させる可能性も想定される。

・脚色賞
○マネーショート
△キャロル
ブルックリン
オデッセイ
ルーム

…スポットライト同様脚本賞を勝ち取ってきたマネーショートだが、他の候補も有力作ばかりなので安心は出来ない。

・撮影賞
○エマニュエル・ルベツキ(レヴェナント)
△ジョン・シール(マッドマックス)
ロバート・リチャードソン(ヘイトフル・エイト)
エドワード・ラックマン(キャロル)
ロジャー・ディーキンス(ボーダーライン)

…ここはつい最近までジョン・シールが久々に受賞を果たすものと決めつけていたが、現在最も勢いがあるのは稀有な例である連続受賞を果たしているエマニュエル・ルベツキ。今日の映画界を代表する撮影監督となった彼が今回も見事受賞し、前代未聞の3年連続受賞を成し遂げる展開が、現実味を帯びたものとなってきた。

・編集賞
○マッドマックス
△レヴェナント
スポットライト
マネーショート
スターウォーズ

…この部門において、目まぐるしい戦闘シーンを見事に魅せたマッドマックスに勝るものはいないはず。しかしそうなると、もし予想通りレヴェナントが作品賞を受賞したら、編集賞も脚本(脚色)賞も監督賞も受賞せず作品賞を受賞した珍しい例が生じることとなるが、グラディエーターやレベッカのような前例もあるため、決してあり得ない話ではない。

・美術賞
○マッドマックス
△ブリッジ・オブ・スパイ
リリーのすべて
オデッセイ
レヴェナント

…マッドマックス2の世界観を基に北斗の拳が作られたことは有名だが、マッドマックスは最新の技術を用いてそのフォロワーを凌駕する途轍もない狂気を構築することに成功した。そんな圧倒的にイカれた世界を具現化するのに貢献した部門の1つである美術部門を、マッドマックス以外が受賞するなんてとても考えられない。

・衣装デザイン賞
○マッドマックス
レヴェナント
リリーのすべて
シンデレラ
△キャロル

…これまた20世紀の前シリーズ以上に世紀末的パンク衣装の数々を作り上げたマッドマックスのスタッフ以外に受賞はあり得ないだろうとは思うが、保守的な票が多かったらキャロルとかが受賞する可能性も……。

・メイキャップ&ヘアスタイリング賞
○マッドマックス
△レヴェナント
100歳の華麗なる冒険

…イモータン・ジョーやその手下たちの白塗りメイクは、メタルロックバンドkissを髣髴とさせるもので、初めて見たときのインパクトは相当なものだった。その強烈さと印象深さ故、他の候補に票が流れる余地は全くと言って良いほど無いだろう。

・視覚効果賞
○スターウォーズ
△マッドマックス
レヴェナント
オデッセイ
エクスマキナ

…さて、ここでは他の部門で強さを見せた分、マッドマックスは他の作品に賞を譲ることになるだろうと思われる。それにマッドマックス同様華麗な復活を遂げたスターウォーズが受賞できる最大のチャンスなので(実際CGで再びミレニアム・ファルコンを見て感動した人間は多いはず)、スターウォーズに票が集中することが予想される。

・録音賞
○レヴェナント
△マッドマックス
スターウォーズ
オデッセイ
ブリッジ・オブ・スパイ

…録音賞と音響効果賞は、今回のアカデミー賞を象徴するかの如くレヴェナントとマッドマックスで分け合う展開が見込まれるが、マッドマックスは音響効果賞での受賞の可能性が高いため、ここではレヴェナントが受賞するだろう。

・音響効果賞
○マッドマックス
△レヴェナント
スターウォーズ
オデッセイ
ボーダーライン

…さて、この部門でマッドマックスが受賞する理由は、劇中でエキセントリックに使われていたギターサウンドが印象的だったから。イモータン・ジョーの部下のギタリストが戦場で弾くギターは、カメラが近づいたときだけそのサウンドが響き、狂ったカーチェイスをより臨場感溢れるものにしている。こういったロックな音響効果を用いたおそらく唯一のこの映画にこそ、この部門の受賞は相応しい。

・作曲賞
○エンニオ・モリコーネ(ヘイトフル・エイト)
△カーター・バーウェル(キャロル)
ジョン・ウィリアムズ(スターウォーズ)
トーマス・ニューマン(ブリッジ・オブ・スパイ)
ヨハン・ヨハンソン(ボーダーライン)

…もう80代後半にもかかわらず衰え知らずの活動を続ける、あまりに偉大なエンニオ・モリコーネ。名誉賞を受賞したものの作曲賞は結局受賞できていなかった彼だが、ファンの一人であるタランティーノとの仕事により、遂に作曲賞を手にするときが来た!

・主題歌賞
○writing on the wall(007/スペクター)
earned it(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)
simple song #3(グランドフィナーレ)
manta ray(racing extinction)
△til it happens to you(the hunting ground)

…ほとんどデジャヴュ的感覚だが、スカイフォールのとき同様グラミー賞受賞ミュージシャンであるサム・スミスがアデルに続いてアカデミー賞も受賞する流れになるのだろう。(デヴィッド・ボウイを敬愛する仲間としてはレディー・ガガを応援したい気持ちだが)

・長編アニメ賞
○インサイド・ヘッド
父を探して
ひつじのショーン
思い出のマーニー
△anomalisa

…チャーリー・カウフマン監督がアニメに挑戦したということで注目しているanomalisaが受賞してくれないかと淡い期待を抱いているが、ここは順当にピクサーが実力を発揮したインサイド・ヘッドが受賞に至るのだろう。(マーニーはあの出来で候補になっただけでも御の字というか奇跡)

・長編ドキュメンタリー賞
○AMY エイミー
△ルック・オブ・サイレンス
カルテル・ランド
ウィンター・オン・ファイア
ニーナ・シモン 魂の歌

…この部門は前哨戦でも、夭折のミュージシャンであるエイミー・ワインハウスについてのドキュメンタリーが一人勝ち状態となっていて、アカデミー賞でも素直にこの映画が受賞を果たすだろう。(個人的には前作で惜しくも賞を逃したジョシュア・オッペンハイマー監督に今度こそ受賞してほしいのだが)

・外国語映画賞
○サウルの息子
△裸足の季節
ディーブ
embrace of the serpent
a war

…かつてライフイズビューティフルや愛、アムールがそうであったように、この部門はカンヌの時点で既に決まったも同然だった。ネメーシュ・ラスロー監督があまりに衝撃的な長編デビュー作で一躍カンヌの主役となり、そのまま各映画賞でも受賞を重ねてきたからだ。このままアカデミー賞も受賞して、彼が21世紀のハンガリーを代表する監督として今後も力を発揮する様が容易に想像できる。

・短編実写映画賞
○shok
△ave maria
day one
everything will be OK
stutterer

…ここは正直予想が最も難しいので、予告編等を見た感触で予想するのだが、アルバニアのshokという映画が、予告を見ただけで衝撃を覚えるものとなっていて、受賞しそうな臭いがプンプンする。しかもここで受賞を果たすと、どうやらアルバニア初のアカデミー賞受賞作となるらしいので、その栄誉が見事齎されてほしいと強く願う。(そしてこれをきっかけにジャミール・ドノヒュー監督が今後も活躍することに期待したい)

・短編アニメ賞
○prologue
bear story
sanjay's super team
we can't live without cosmos
△明日の世界

…独特で哲学的なアニメを作るドン・ハーツフェルド監督の新作が候補になったのは嬉しいし、できれば受賞してほしいとも思うが、今回最有力なのはリチャード・ウィリアムス監督のprologueだろう。彼はロジャー・ラビットのアニメパートを手がけた一人として知られ、同作で特別賞を受賞しているが、それも30年近く前のこと。ここらで功労賞的な意味も込めて賞が与えられるはずだ。

・短編ドキュメンタリー賞
○claude lanzmann:spectres of the shoah
△last day of freedom
body team 12
chau, beyond the lines
a girl in the river:the price of forgiveness

…クロード・ランズマンといえば伝説のドキュメンタリー映画ショアーを撮った監督として知られているが、そんな彼と傑作に関わるドキュメンタリーということで、彼を讃える意味で賞が齎されてほしいというのが一番の希望だが、前哨戦的に最も輝いたのはアニメドキュメンタリーという珍しい手法で撮られたlast day of freedom。差別と精神病というテーマも票が集まりやすそうなもので、この映画が受賞する可能性も非常に高い。


こんな感じの全部門予想だが、おそらく半分くらい外すかもしれない、そんな不安と楽しみが入り混じった感情を湛えて授賞式を迎えるのは久方ぶり。色んな意味で、今回発表されるのが待ち遠しい。

漫画「僕だけがいない街」アニメ化について

https://m.youtube.com/watch?v=irnIC4LojFU

2016年1月7日の25時から放送が開始される、三部けい氏原作の漫画「僕だけがいない街」のTVアニメ。26日深夜、ノイタミナ枠で放送されたそのアニメのCMで、我らが梶浦由記さんが音楽を担当することが発表となった。この報を知ったのは早朝だったが、起きて早々嬉しさでテンションがMAXになり、身体中が震えるほどだった。それだけ嬉しいニュースではあったが、実は彼女が起用されるであろうことは予め予測はできていた。というのも、監督がソードアートオンラインの伊藤智彦氏で、彼の出世作である同作の音楽を務めた梶浦さんが再び起用されることは非常に可能性が高かった。宮崎駿に対する久石譲、押井守に対する川井憲次、最近だと荒木哲郎に対する澤野弘之といった具合に、アニメの監督には同じ作曲家を連続して起用するケースが多々見られるからだ。加えて梶浦さんは、7月に原作漫画のファンである旨のツイートを、漫画の最新巻が出た当日にしていた。

https://twitter.com/fion0806/status/616413086543515652

上記のURLで件のツイートは確認できるが、このツイートを見た瞬間僕は梶浦さんがアニメ化したときに音楽を作ることを察し、彼女がスタッフとして発表されない内にツイッターでステルスマーケティングを行なっているのではと考えた(正式にスタッフが発表になった今思うと、やはりその憶測は正しかったのだなと我ながらその鋭さに鼻が高くなるが、そのおかげで良質な漫画に出会えたので梶浦さんには感謝したい)。そしてそのステルスマーケティングに乗っかって、試しに2巻まで購読してみたら、話もさることながらその北海道の気候の如く寒々しく儚げでいてかつ良い意味で叙情的な雰囲気に心打たれ、一気に最新巻まで読破してしまった。しかも梶浦サウンドを聴きながら読み進めると、その独特な雰囲気と音楽が絶妙にマッチして一層味わい深く感動的な読後感となり、梶浦さんの音楽がついたアニメになったら作品の空気だけで確実に名作となり得ると確信した。

というわけで、アニメが始まる2016年の1月が楽しみで仕方ないのだが、漫画を読んでいて更に気づいたこととして、この作品にはかつて梶浦さんが音楽を担当した二つの作品、魔法少女まどかマギカとFate/ZEROに共通する点があるという感想を抱いた。まず前者に関する点だが、これは単純に時間遡行がテーマであることに加え、その時間遡行の結果視力が回復していることも共通している。「僕だけ〜」の方は視力が悪くなっていなかった時期に戻った、「魔法少女〜」の方は魔法で視力を回復させた、という違いはあれど両作品の時間遡行者がどちらも初期状態で眼鏡をかけているのは面白い共通点だ(一方時間遡行の結果視力を失ったキャラクターも別作品にいたがそれは脇に置いておこう)。そして後者との共通点だが、これは細かいものも含めて多く見てとれた。まずどちらも主人公が正義の味方に憧れていること、その両主人公の少年時代における少女の死が人生のターニングポイントになっていること、宿敵が両者人道に外れた価値観の持ち主、主人公を支えるヒロインの名前が両方アイリ、等々である。更にFate/ZEROにはコミカライズ版もあるのだが、そのコミカライズ版の掲載雑誌であるヤングエースで「僕だけ〜」もまた連載されている。これらの共通点が偶然だとしたらとんでもない可能性である。つまり「魔法少女〜」とFate/ZERO、この二つの作品と共通項が散見されるこの漫画のアニメ化に、梶浦由記という人選は必然だったともいえるのだが、両作品はどちらも原作に虚淵玄氏が関わっている。もしかしたら原作者の三部けい氏は虚淵玄氏のファンなのではないかとも考えられるが、上記のニ作品にインスピレーションを受けた結果原作者自身が梶浦さんの起用を願い出た可能性も大いにあり得る。

このように、作品外のことに関しても色々考察が捗って面白い限りなのだが、肝心のアニメの方に話を戻すと、最初に載せたCMで主要キャラ四人の声が確認できるが、正直なところ母親役の高山みなみさん以外は特定が難しい(それにしても彼女がキャスティングされたのは見た目は子供で頭脳は大人なキャラをやっているからだろうか)。青年期の主人公はなんとなく遊戯王の黒咲隼っぽく聞こえるからキョウリュウブルーこと金城大和さんかなとも思うし、少年時代の方は現わかめの声の津村まことさん(舞台となった北海道出身)かなと思ったけど、ヒロインの愛梨は見当もつかない。おそらく12月の頭にはキャストが判明するだろうからその発表を待ちたい。

キャストといえば、この作品は上記のように舞台の一つが北海道であることからキャストには北海道出身の声優が何人か起用されるのではと考えるが、調べる過程で起用の可能性が高い声優を二人いることがわかった。一人は松岡禎丞さんで、彼は伊藤智彦監督同様ソードアートオンラインが契機で一気に名前が知られるようになった声優だが、そんな彼の出身が北海道となれば起用しない手はない。そして彼がキャスティングされるとしたら、おそらく主人公の年上の友人であるユウキさんが相応しいように思われる。また、この作品には主人公の同級生の一人にヒロミという男の子が出てくる。そんな彼と同じ名前で、かつ北海道出身の声優として五十嵐裕美さんがいる。彼女はアイドルマスターシンデレラガールズの双葉杏として知られる声優だが、格闘ゲームのギルティギアにおいて二面性のある新キャラを演じており、役の幅は中々広い。名前と出身地が同じという理由で起用されても、彼女なら十分演じられる力量は備えているだろう。他には梶浦サウンド繋がりでマミさんを演じたことで知られる水橋かおりさんも可能性は高いが、彼女が演じるとしたらヒロインの一人を虐待する母親役だろうと思われ、もしそうなったら水橋かおりさんの珍しい母親役が聞けるので中々楽しみである。ちなみに北海道出身の声優は右記のサイトで確認できるが、果たしてどの声優が配役されることとなるのか(松井菜桜子さんや大谷育江さんが来たら凄いことだが、過去に山寺宏一さんや林原めぐみさんを使ったことのある監督だし、現時点で高山みなみさんも決定してるからどんな豪華なキャスティングになっても不思議ではない)http://lain.gr.jp/voicedb/individual/hometown/town/1

:12月3日追記
主要キャストが発表されたが、色々予想外なキャスティングで結構驚いてる。まず青年と少年の主人公は、それぞれ満島真之介さん(姉が満島ひかり)と土屋太鳳さんが担当となったが、まさか両方朝ドラで注目された若手俳優になるとは思いもよらなかった。しかも満島さんの方は沖縄出身、北国出身の主人公とは真逆のキャスティングで、本当にまさかの配役だ。そしてヒロインの一人である雛月加代の声を担当するのは悠木碧さん。彼女はソードアートオンラインで熱演を披露していたからそれがきっかけで再び起用されたと容易に想像できるが、僕は原作漫画を読んでいるときに愛梨の声として脳内再生していたので、若干惜しいマイ配役だったなと我ながら思う(それにしても悠木碧さんはまどかマギカといいソードアートオンラインといい、梶浦サウンドと相性の良い声優になりそうだ)。愛梨といえば、彼女の役に抜擢されたのは赤崎千夏さん。僕としてはキルミーベイベーの印象が強い彼女だけど、その印象と全く違う感じの声になりそうで、どう演じ切るかが楽しみである。その他のキャストは以下のサイトで確認できるが、全体的に北海道出身のキャストが少ないのも意外だった(今回発表された中では菊池幸利さんくらいか)。同時にキャスティングを予想していた松岡禎丞さんや五十嵐裕美さんが外れてしまったのは個人的に残念だったが、同じ監督で同じ北海道が舞台の銀の匙がそうだったように、脇を固めるキャストに北海道出身の人たちがいる可能性も高いし、そもそも重要人物の中には雛月母のようにキャストがまだ発表になっていないキャラもいるから、そっちの方で北海道出身の声優を起用している可能性が高い。しかし上で述べたように雛月の母親が水橋さんになったら、まどかを虐待するマミさんという衝撃の構図が出来上がるから、そういう意味でも是非水橋かおりさんがキャスティングされることを強く願う。

そんなこんなで期待が膨らむ、僕だけがいない街のアニメ化だが、今から原作を読むなら少々注意が必然である。何故なら、最新巻である6巻では中盤であまりに予想のつかない衝撃の展開が待ち受けており、しかも上手い具合に先の気になるラストで終了しており(見返してみると毎巻で次が気になる展開で締めており、そこもこの漫画が人気になった点かと思われる)、すぐにも続きを読みたい衝動に駆られること必至だ。なのでここは12月末まで読むのを待って、すぐに続きが確認できるようしておくのも手かと考える。しかしそれでもまた続きの気になるラストになっていることは容易に想像できるから、雑誌で読まない限りどっちにしろ長いお預けを食らうことになるだろうが、とにかく読み始めたら最終回まで付き合いたくなること請け合いだろう。そして言うまでもないことだろうが、漫画を読むときは必ず梶浦サウンドをBGMにすることを強くオススメする。

11月29日生誕&逝去の人物

5ヶ月以上休んでたけど、一時執筆再開します。(ネタが尽きたらor面倒になったらまた休みます)


生:ドニゼッティ(作曲家)(1797年)、ドップラー(物理学者)(1803年)、ルイーザ・メイ・オルコット(小説家)(1832年)、フレミング(物理学者)(1849年)、C・S・ルイス(小説家)(1898年)、田中絹代(女優)(1909年)、勝新太郎(俳優)(1931年)、車寅次郎(映画「男はつらいよシリーズ」の主人公)(1940年)、高橋長英(俳優)(1942年)、沢木耕太郎(作家)(1947年)、尾崎豊(ミュージシャン)(1965年)、田中慎弥(小説家)(1972年)

命:フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニ(建築家)(1501年)、ハンス・ホルバイン(画家)(1543年)、モンテヴェルディ(作曲家)(1643年)、安藤昌益(経世家)(1762年)、プッチーニ(作曲家)(1924年)、一之瀬泰造(写真家)(1973年)、ナタリー・ウッド(女優)(1981年)、ケーリー・グラント(俳優)(1986年)、エミリオ・プッチ(ファッションデザイナー)(1992年)、ジョン・ベリー(映画監督)(1999年)、ジョージ・ハリスン(ミュージシャン)(2001年)、実相寺昭雄(映画監督)(2006年)

6月19日生誕&逝去の人物

最近モチベーションの低下が著しいので、一旦更新を止めます。(デヴィッド・ボウイみたいに意欲が湧き次第再開します)


生:パスカル(哲学者)(1623年)、青木昆陽(蘭学者)(1698年)、ルー・ゲーリック(野球選手)(1903年)、太宰治(小説家)(1909年)、ジーナ・ローランズ(女優)(1934年)、青野武(声優)(1936年)、アウンサン・スーチー(政治家)(1946年)、サルマン・ラシュディ(小説家)(1947年)、リック・ドレイク(ミュージシャン)(1948年)、ポーラ・アブドゥル(歌手)(1962年)、木多康昭(漫画家)(1969年)

命:アレッサンドロ・マルチェッロ(作曲家)(1747年)、ジェームズ・マシュー・バリー(作家)(1937年)、モーリス・ジョベール(作曲家)(1940年)、フランク・ボーゼイジ(映画監督)(1961年)、ゴールディング(小説家)(1993年)

6月18日生誕&逝去の人物

また無駄に歳を取ってしまった


生:イワン・ゴンチャロフ(小説家)(1812年)、アナスタシア(皇女)(1901年)、ボリス・バルネット(映画監督)(1902年)、ラディゲ(小説家)(1903年)、ドナルド・キーン(文学者)(1922年)、ハーバーマス(哲学者)(1929年)、横山光輝(漫画家)(1934年)、ポール・マッカートニー(ミュージシャン)(1942年)、イザベラ・ロッセリーニ(女優)(1952年)、曽田正人(漫画家)(1968年)、ジュリー・ドパルデュー(女優)(1973年)

命:サミュエル・バトラー(小説家)(1902年)、ゴーリキー(作家)(1936年)、エセル・バリモア(女優)(1959年)、ジョルジオ・モランディ(画家)(1964年)、テレンス・フィッシャー(映画監督)(1980年)、クルト・ユルゲンス(俳優)(1982年)、ジューナ・バーンズ(作家)(1982年)、山本直純(作曲家)(2002年)、松村達雄(俳優)(2005年)、ターシャ・テューダー(絵本作家)(2008年)
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