tasogarekodokuのblog

僕には純文学なんて書けません。 好き勝手な設定のなかで愛すべき者たちを動かす。 ただそれだけ。

萌え要素はございません・30(完結)

「お兄ちゃん、これから彩人さんのお家に行ってもいい?
あ、彩人さんがかわってだって」

「もしもし、炊飯器使いたくなっちゃったから
雅春ちゃん借りるね。夜には送っていくから。うん。
もちろんだよ。あはは。まさか。じゃあお兄さんまたね」

何を話していたんだろう。

「おじゃましまーす。わっすごい」
なんか広そう。たぶん部屋が3つあるよ。

「あはは。広くないよ。寝室は汚いし、お客様を
通せるのは1つだけ。あとの3畳は本置き場」

だ、だいどころはどうなってるのかな?

「どんどんあがって、中みていいよ。綺麗なのは
台所とお手洗いと、お風呂周りだけだね。これでも
リビング少し掃除したんだよ」

キレイ!やだ。毎日こんなレベル求められたら
困るくらいに、清潔だった。でも使っている感じはした。

「僕、これからお米炊いてみたい。
雅春ちゃんにはお味噌汁作って欲しいのですが」

「はい。具はどうしましょう?」

「わかめとネギでお願いします」

説明書読んでご飯炊くほうがむつかしそうだ。
味噌汁係りでラッキー。

「うわあ、早炊きだと30分かからないんだ。でも
せっかくだから、普通にやってみるね。あ、大丈夫?
おなかすいてない?ちょっとおやつ食べる?」

「何か、飲みたいです」

「冷蔵庫の中のもの、何でもどうぞ。ビールは
なしだけど」

リンゴジュースと炭酸水があったので割って飲んだ。
甘すぎるの苦手だから。

「不思議だね。僕も同じことするよ。甘みが強いの
苦手なんだけど、飲みたくって」

なんだかまたドキドキしてきたよ。
顔は赤くないかな?

結局、ご飯食べて、味噌汁飲んで
炊飯器のすごさと、お米の美味しさ
(だって、魚沼産コシヒカリだよ)を称えて
買い物は終わった形に。

(彩人さんがスーパーで、たまごやきと鮭を
買っていたのは、この炊飯器の試食会用で
米といで、炊飯器にしかけながら、鮭焼いて
味噌汁を作り終えた頃に、たまごやきを切っていた)。

「雅春ちゃん、炊飯器もだけどこういう家電製品て
10年持てばいい方なんだ」

そうなんだ。ああ確か、部品は7年までしかストック
しないってきいたことある。

「壊れたら、この炊飯器が壊れる頃、僕とまた
炊飯器を買いに行ってもらえますか?」

「10年後と言うと、私は27歳で、たぶん働いていますね
もしかしたら、不細工で、デブになっているかもしれない」

「それでも中味が変わっていなかったらかまわない」

「見た目って気にするでしょ?」

「だって僕も37歳です、そのとき。はげてるかもしれない」

「それは本人が頑張っても無理なことはいっぱいあります」

「うん。ありがとう」

えええ?どういうこと?
頑張れ!ちゃんときかなくちゃ!

「あのですね、炊飯器、10年じゃなくて8年で壊れませんか?」

「貯金は始めているから大丈夫。雅春ちゃんがきたいときに
こられるように、必要なら炊飯器を壊す!」

「あああ、あのですね、わたし自分でお金稼げるようになったとき
彩人さんの炊飯器が壊れたら、わたしが買って持ってきます。
それで、わたしごともらってください」

「ありがとう。でもこれから長いよ。
僕はもうかわらないけれど。かえられない気持ちだけど。
雅春ちゃんはもっと色々な人に会ってから決めないと」

「大丈夫です。道を踏み外さない励みになりますから。あと
わたし、年上の人じゃないとやだもん」

頭をなでなでされた。

「もしもし。今から来て!和朗!夕ご飯?ここで
食べればいいよ。食材はあるよ。お願いだから
2人にしないで」

(完結)

萌え要素はございません・29

IH炊飯器に決定。

本当は6万円のがなぜか4万3千円になった。
それでも高いなあ。
彩人さんて、お金持ち?

お兄ちゃんが言うにはシンガーソングライターって
言っている人の、ゴースト作詞・作曲家とか
するときもあるんだって。

誰かは極秘らしくて教えてくれなかったけど。

そのほかにアイドルの歌とかも、ペンネームで
彩人さんが作っているらしい。

あとは音楽の専門学校でギターとベースのクラスで
教えていて、他の学校ではコンピュータ音楽の作曲の
やり方の先生みたいだ。

今のバンドはすごく儲かってはいないけれど
借金もないし、赤字でもないし、貧乏なバンドではないみたい。
LIVEをしないと腕がなまると思っているから、続けているらしい
お兄ちゃんはそう言っていた。

サラリーマンのお兄ちゃんと同じかそれ以上に
ちゃんと稼いでいて多少の贅沢は大丈夫なんだって。

なんかさ、わたしは音楽で食べていくなんて
「危険」て感じがするんだけれど、案外堅実な人なんだ。

彩人さんは才能があるってお兄ちゃんが言ってた。

たぶん30年後も普通に音楽の世界で
ご飯食べているんじゃないかなって。

朝起きたら仕事にむかう会社員のように
朝ごはんを食べる、創作をきちんとする、昼ごはんを食べる
仕事に出かける、ベースやギターの練習をする、夕飯。

彩人さんが普通の人に見えるのは
(普通の人よりずっとかっこいいけど)
ちゃんとした大人で、きちんとした毎日を送っているからなんだね。
日曜日は休みにするなんて、きちんとしていないと出来ないよね。

「雅春ちゃん、お願いがあります」

「なあに?」

「これから一緒にスーパーに行って食料の買出し
手伝ってもらえないかな?米はもうあるんだ」

「ハイ!」

「それで、それで、良かったらうちにきて
この新しい炊飯器で、一緒に米を炊いてくれませんか?」

やーん。たぶんわたしの顔真っ赤になってる。

萌え要素はございません・28

来ました日曜日。

彩人さんは今日、車でお迎えに来てくれるんだって。
お兄ちゃんは、昨日の夜そう教えてくれた。
だから、今日はお兄ちゃんは朝寝坊している。

ピンポーン
つまんない音のどこにでもあるチャイム。

今は朝の9時半だけれど、彩人さんならいいんだもん。
他の人間なら10時過ぎまで玄関に出たくないな。
だって、今日は日曜日。

「おはよう。雅春ちゃん、本当にはやくてごめん」

「ううん。どうせぶらぶらしているよりは外出したほうが
きっと体にいいだろうし」

「車だから、寝ていってもいいんだよ」

いやん。寝顔でよだれとか、いびきなんて
いやああああ。

「大丈夫です。そんなに遠くないし。電車じゃなくて
良かったんですか?」

「買ったらすぐに持って帰りたいから。あと電車だと
色々なところに行けないでしょう?」

色々なところってどこだろう。

「朝ごはん、食べていかない?もしもう
食べているなら、ジュースでも飲んでみて。すごく
美味しいところ発見したんだ」

「わあ。飲み物だけでも飲みたくなる。だって
彩人さんの美味しいところは本当に美味しいから」

「じゃあ、いこうか。炊飯器、僕も楽しみでね、実は
魚沼産こしひかりを5キロ、一昨日届けてもらったんだよ」

「うわあすごい!塩むすびで食べたいですね」

もしかして、彩人さんは
普通の暮らしをしている堅実な金持ちなのかな?

「おにぎり、さんかくに握れないよ」

「ああ、ラップを使えば清潔だし、さんかくも丸も
簡単にできますよ」

「ありがと。いこう。車すぐ出すからね!」

萌え要素はございません・27

すいは~んき~

そうい~え~ば~

一緒に買いに行くんだった

帰宅して、着替えて買い物しているときも

「そうだ、彩人さんには週末会えるんだ!炊飯器!」

ずっと考えながら歩いてたな。
お店の人に話しかけられなくて良かった。

夕食のとき
(今日はぼんやりしていたので夕食は
「煮込みらあめんの素」というのに野菜をたくさん入れたのと
冷凍餃子焼いてごまかしちゃった)。

「雅春、日曜日に彩人と朝からデートしておいで」
と、言われた。もちろんお兄ちゃんに。

「デートって、炊飯器買いに行くのにつきあうんだよね?
なんで詳しそうなにいちゃんが一緒に行かないの?」

そう、わざと言ってみた。
恥ずかしいんだもん。会いたいんだけど会いたくないっていうのかな。


「バカだね。むこうからの指名だよ」

「はーい」

なんかすごく嬉しい。
でもせつないよ。
いやあ、まいったなあ。
待ち遠しいよ。

「お兄ちゃん、今日のバンドの練習には行かないの?」

「だって本業じゃないもん」

やっぱり。

「ああ、彩に会いたいなら行こうか?」

「いいよ。日曜に会うんだし」

会いたいから連れて行って、とか
ちょっと話したいことがあるとか
どうしていえないんだろうねえ。うんうん。

萌え要素はございません・26

「うんうん。恋は、してるっていうことだね」
理香ちゃんは言う。

「だから、それがよくわからないんだってば」
わかっていたらば相談なんてしないよ。

「まさはるは、ご飯作る能力があるんだから
洗濯とかも出来るよね?」

「まあ、一応ね。ゴミ出しとかは裕貴か兄ちゃんに
やってもらってるし、掃除は自分の部屋と台所と
リビングで」

「わかったわかった。
あのさ、今度その好きな人のおうちに、遊びに
行っちゃいなよ」
えええええええええええ?何を言う?

「だ、だってさ、り、理由は?」

「ないなら作れ!あ、そうだ。ご飯つくりに行くんだよ」
そんな、むこうがいいって言わないよね。

「どうやって相手の許可取るのよ。あと、うちのお兄ちゃん」

「あーそういうことか」
理香ちゃんは、うんうんと自分でうなづきながら
「デートした帰りに、よらせてもらうの。のどかわいたでも
おうちの中がみたいな、でも、なんでもいいの」

「デート、1回しかしたことないよ」

「したんだね?じゃあ昼間ならお兄ちゃんがダメとか
言うわけないじゃん。行ってきなよ、今週末」
そういうポジティヴさがたくさんわたしにあればな。

あ、炊飯器!
ギャラリー
アーカイブ
カテゴリー
  • ライブドアブログ