2007年05月14日

「江戸八百八町に骨が舞う」

江戸八百八町に骨が舞う―人骨から解く病気と社会


7(新書1)谷畑美帆 著/吉川弘文館 刊

著者は古病理学というジャンルで遺跡から発掘した人骨を調査している専門家。土中から出てきたばかりの遺骨はそれは美しい真珠色だという記述が印象的だったなあ。その後みるみる空気に触れたために茶色がかってくるそうですが。内容としては、さわりだけで終わったような物足りなさもややあるけど、江戸とロンドンの同時代を比べていた工夫はわりとフックとして機能していたかも。独身男性の割合が非常に多かった江戸では、梅毒がかなり蔓延していたらしいですよ。実際の遺骨の個体例の調査結果もいくつか紹介されていたけど、苦界に生きた女性たちへの痛ましさがやはり感じられましたわ。あと、それなりに裕福な町人の一家の病歴が遺っているという章が興味深かったですね。今ではあまり見られないし、死因にもなりにくい病気で命を落としていたり。

tataki_noon at 01:49│Comments(0)TrackBack(0)2007年度読了本 

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