2008年03月31日

雪の松本に着いた


30日の朝、岡山をたって、高速にのる。山陽自動車道から岡山自動車道、中国自動車道の落合ジャンクションから、米子自動車に乗り換えて、湯原インターで降りる。雨を切り裂いて、S2000は疾走するが、助手席のベネッセのCくんは、夜明かし飲んでいたから、朝からうつらうつらしている。

それから数キロ走らせて、湯原ダムの前に立った。ダムのすぐ下の旭川の河原に砂湯と呼ばれる露天風呂がある。先年、春休みに愚息と訪れて、雪の舞い散る中で、湯に浸かりながら数時間過ごしたが、それ以来の訪れである。

そこは中国山脈に位置するから、春雨はけっこう冷たいが、暖かい温泉に浸かりながら、Cくんと世間話をする。今日はCくんを案内して、関西まで戻るつもりであった。途中、津山城の桜を見て、姫路の書写山円教寺を訪ねて、小野の浄土寺の阿弥陀如来を拝んで、神戸の中華街で冷凍餃子を食べようかと思っていたのだ。それが、生憎の雨である。いろいろ考えて、鳥取の三朝にある三徳山三佛寺の投入堂を見せることにした。

湯原から鳥取へ峠を越えて行く。S字カーブが続く坂道を、雨をついてS2000は快走する。隣でCくんも快眠する。気を遣って、小生に質問するが、質問したままで寝てしまう。若いということはそういうものである。時の重さが分からないのだ。苦笑しながら、春の遅い峠を軽快に越えて行く。

間もなく三徳山三佛寺に着いた。近くの食堂で蕎麦を食べた。こうした食事は当たりはずれがあるものだが、美味しいそばであった。奥の院の投入堂は、三徳山の崖の窪みに投げ入れたように建てられた美しい堂で、この名がある。国宝である。数年前にここを訪れて、大変な思いをして、急勾配を上り詰めたことがある。

食堂の主人は、投入堂には上れないという。4月1日が山開きなのだ。内心ほっとした。小生は、桐蔭野球部に籍をおいたCくんの敵ではない。下から雨にけぶる投入堂を仰いで、そのまま城之崎温泉へ向かうことにした。

国道9号線を左に折れて、S字の多い山道に入る。例によって、Cくんは居眠りをしている。静かな日本海を左に見ながら、道を下ってくると、大きな鉄橋が視界に広がった。それは、山陰本線の余部(あまるべ)鉄橋であった。

長さ310メートルの余部鉄橋は、明治45年開通した。国道178号線を下ってきた小生の視界を、41メートルの高さで、それが飛び込んできたのだ。近代化の遺産のひとつとして、いつか見たいと思ってきたから、思いがけない邂逅を喜んだ。早速、キャノンを取り出して、ファインダーをのぞきこんだ。数年のうちに掛け替え工事で消えていく日本最大のトレッスル式鉄橋の雄志を、こうして画像で留めることができたのだ。

城之崎に着いた。駐車場のおじさんのお勧めで、御所の湯に浸かる。塩化物の多い、かなり高温の泉質でがあるが、小生好みである。じっくり浸かって出ると、すぐ前の店のソフトクリームの看板が飛び込んでくる。食事の前だからと思ったが、Cくんがうっとうなったから、誘惑に負けた。いままでに、こんな美味しいソフトクリームはなかった。

食事を取る店がない。外湯めぐりが売りのこの温泉地は、若い女の子が浴衣姿で闊歩できるのがいいのだろう。街は観光客であふれている。旅館がはやれば、料理屋ははやらない。諦めて、京都に出て、食事することにした。Cくんは京都に行ったことがないというからだ。

但馬から京都へ入ったことはないから、少し迷いながら、洛北まで来た。走行距離が400キロを超えた。Cくんはやはり居眠りをしていた。洛北のイタメシ屋で、ようやく夕飯にありついた。そこでゆっくり食事をして、Cくんを名古屋までおくることにした。帰りしなに、春雨のもとで静かに流れる紙屋川を見た。このしっとりした優しい流れは昔のままであった。

京都東から高速にのって、ひた走り、1時間あまりで名古屋インターについた。そこで、Cくんを起こした。若さとはそういうものである。人生を知らない者には、桜の美しさはわからない。かりに、晴れて津山や円教寺の桜を見せても、桜の本当の美しさは分からないだろう。温泉で良かったのだろう。Cくんは、食事と風呂のときは、確かに起きていた。

日が変わって、東名に乗ると、岡崎で20キロ渋滞と掲示板に出ている。進路を中央自動車道にとって、穂高を見に松本へいくことにした。途中仮眠して、早朝ふたたび走り出した。恵那山トンネルを抜けると雨がみぞれに変わった。塩尻から松本へ向かうと雪が本格的に降り出した。インターを降りると、雪の松本が小生を迎えてくれた。穂高が起き出すまで、しばらく車の中で読書である。

tatsuoh2006 at 00:00コメント(4)トラックバック(0) 

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コメント一覧

1. Posted by ポトラッチ   2008年04月01日 11:35
素敵な『旅』ですね。次回はS2000で東北にも来てください。東北の桜はあと2週間で満開になるとか・・・
2. Posted by tatsuoh   2008年04月01日 12:32
コメント、ありがとう。そうですね、たくみくんにも逢いたいから、都合がつけば、夏休みにも伺います。
3. Posted by benesseのC   2008年04月03日 07:55
今までにない旅の経験でした。ありがとうございました。本当に居眠りばかりで申し訳ありません。
いつかは私もS2000を持ち、先生を助手席に乗せて投入堂に行きましょう。また、京都は日中行ってみたいものです。
今年度も宜しくお願い致します。
4. Posted by tatsuoh   2008年04月03日 20:34
男の旅はひとり旅。明日よろしく。

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