2005年06月
2005年06月15日
ピ〜ヒョロヒョロヒョロ〜
こっち(中国・江蘇省)のホテルがダイヤルアップだった(マジ鬱)。
上海はブロードバンドが常識(つってもADSL)だけど、ちょっと田舎に来るとまだまだこんなもん。
◇◇◇
ちょっと郊外に来ると、ここはまだまだ発展途上国だといつも実感する。
国土のほとんどが未だに発展途上なのに、中国人も日本人もそこには目が行き届かず、北京や上海ばっかり見てて、なんていうか認識不足。そしてデモが起きて大騒ぎ。
ダテに13億人でこの国土ではない。しかも民主主義国ではない。今後中国人とビジネスをしようという人は十分に研究する必要あり(今さらいないか)。
◇◇◇
●アドバイス(1)製造業
ケースにもよるが、特に製造業ではあまりメリットがないので十分に検討されたし。特に最近は元の切り上げが現実的になっている。
●アドバイス(2)コンサルタント
中国進出コンサルタントとかいるが、高いカネ払う割にメリットがない。この国はコネクション主義であるから、ヨソ者がおいそれと参入できる社会ではない。有力者に積んでもよいが、その人格によりけり。
…いっぱいあるが書ききれない；；
◇◇◇
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上海はブロードバンドが常識(つってもADSL)だけど、ちょっと田舎に来るとまだまだこんなもん。
◇◇◇
ちょっと郊外に来ると、ここはまだまだ発展途上国だといつも実感する。
国土のほとんどが未だに発展途上なのに、中国人も日本人もそこには目が行き届かず、北京や上海ばっかり見てて、なんていうか認識不足。そしてデモが起きて大騒ぎ。
ダテに13億人でこの国土ではない。しかも民主主義国ではない。今後中国人とビジネスをしようという人は十分に研究する必要あり(今さらいないか)。
◇◇◇
●アドバイス(1)製造業
ケースにもよるが、特に製造業ではあまりメリットがないので十分に検討されたし。特に最近は元の切り上げが現実的になっている。
●アドバイス(2)コンサルタント
中国進出コンサルタントとかいるが、高いカネ払う割にメリットがない。この国はコネクション主義であるから、ヨソ者がおいそれと参入できる社会ではない。有力者に積んでもよいが、その人格によりけり。
…いっぱいあるが書ききれない；；
◇◇◇
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2005年06月13日
2005年06月08日
視聴率とオリジナルコンフィデンス
夏ボーナスが近いこともあって、HDDビデオの関連記事が増えた。
HDDビデオに関しては、まだ発展途上だからか、他の家電製品に比べてボーナス前云々にかかわらず割と頻繁に新製品がリリースされている気がする。とはいえ、伝統の家電各社だ。社内の関係者は全てサラリーマンなので、ボーナス前に目玉をリリースしたいベクトルは必ず持ち合わせている。
比較サイトはこの辺がよいだろう。
■Amazon
■楽天
ざーっと見たところ、取り立てて新機能は無い。HDD容量の増加、DVD対応形式の増加が主なところだ。残念ながら私が最も重要視するインターネット・携帯録画予約が可能なのは東芝RDとDIGAで以前と変わっていない。東芝はメールで予約なのでなんとなくだるい。結局私にはDIGAしかなさそうだ。
◇◇◇
かなり重要だと思うのだが、各社がネット予約に乗り出さないのは、よほど旨みが無いのだろうか。そんなことはないと私は思う。
確かにユーザーからの料金収入は少ない。サーバー置いて、HPを立ち上げて、番組情報を確保して、ざっと想像するだけでもなかなか金のかかりそうなサービスを(外注だろうけど)、\210/月で提供(Dimora)するのは誠にユーザーフレンドリーだ。この額で提供するのでは販売促進の域を出ない。
しかしDimoraやTVnanoに関して言えば、ユーザーは録画予約をすると同時にどの番組を予約したかの情報を提供していることになる。個人情報保護法に基づいて氏名、住所など個人を特定できる情報は破棄しなければならないが、録画対象となった番組を性別や年齢層ごとに集計することは可能だ。調べられる方からすれば多少不快感はあるものの、コンビニの売り上げ調査と何ら変わらないと思えば、大して気にしなくてよい。個人的にはガンガンやって欲しい。
◇◇◇
この集計データはインチキ計算している視聴率に比べれば遙かにリアルで説得力がある。私は特に調査対象が録画であることが重要だと思う。
以前ダウンタウンの松ちゃんが「遺書」か「松本」に書いていたとおり、自分がとても楽しみにしている番組を録画視聴するかオンタイム視聴するか、多くの人は前者だろう。なんと言っても時間的制約がないからだ。(スポーツ中継は例外だが、結果を知らなければ私は録画視聴の方がよい。) 現行の視聴率調査では録画視聴は調査対象外となっているが、本来調査すべきは期待して番組を試聴している人の数だ。
広告主から見た広告費は投資の意味もあって、その対価ではCM放映による宣伝だけでなく、投資先の番組によるイメージアップも見込んでいるはずだ。視聴者からすれば番組がおもしろければその広告主の印象は上がるので番組の質は広告主のイメージと連動している。したがって、その番組がどれくらいの人数から期待されているのかというのは、広告主にとって費用対効果を検討する上で非常に重要なデータである。
しかし以前指摘したとおり、現在、番組の価値は視聴率だけで評価されている。例えば興味を引くか、感動するか、笑えるか、教育上よいかなど質の評価軸も視聴者には内在するものの、調査されることは希であって、これらは全て視聴率に反映されるというとても大ざっぱな仮定の元に視聴率が一元軸として存在している。質の評価軸は、「子供に見せたい番組」などというくだらないアンケートという形で登場するだけだ。
松ちゃんのような作り手の立場から見ても、これまで知る術がなかった「録画してまで見たい番組」のデータは非常に興味があるだろうし、疑わしい0.1%の動向に一喜一憂するよりは、彼らのモチベーションを上げることのできる重要なデータである。
◇◇◇
録画予約の集計データは「質」の判断材料として、視聴率よりも相応しい評価軸を提供することになると思う。東芝やソニーは録画予約ランキングを導入しているが、これらが視聴率に替わって番組の第一評価軸になるべきだと思うし、近いうちにそうなると思う。
視聴率のオリジナルコンフィデンス化は加速するばかりである。
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HDDビデオに関しては、まだ発展途上だからか、他の家電製品に比べてボーナス前云々にかかわらず割と頻繁に新製品がリリースされている気がする。とはいえ、伝統の家電各社だ。社内の関係者は全てサラリーマンなので、ボーナス前に目玉をリリースしたいベクトルは必ず持ち合わせている。
比較サイトはこの辺がよいだろう。
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ざーっと見たところ、取り立てて新機能は無い。HDD容量の増加、DVD対応形式の増加が主なところだ。残念ながら私が最も重要視するインターネット・携帯録画予約が可能なのは東芝RDとDIGAで以前と変わっていない。東芝はメールで予約なのでなんとなくだるい。結局私にはDIGAしかなさそうだ。
◇◇◇
かなり重要だと思うのだが、各社がネット予約に乗り出さないのは、よほど旨みが無いのだろうか。そんなことはないと私は思う。
確かにユーザーからの料金収入は少ない。サーバー置いて、HPを立ち上げて、番組情報を確保して、ざっと想像するだけでもなかなか金のかかりそうなサービスを(外注だろうけど)、\210/月で提供(Dimora)するのは誠にユーザーフレンドリーだ。この額で提供するのでは販売促進の域を出ない。
しかしDimoraやTVnanoに関して言えば、ユーザーは録画予約をすると同時にどの番組を予約したかの情報を提供していることになる。個人情報保護法に基づいて氏名、住所など個人を特定できる情報は破棄しなければならないが、録画対象となった番組を性別や年齢層ごとに集計することは可能だ。調べられる方からすれば多少不快感はあるものの、コンビニの売り上げ調査と何ら変わらないと思えば、大して気にしなくてよい。個人的にはガンガンやって欲しい。
◇◇◇
この集計データはインチキ計算している視聴率に比べれば遙かにリアルで説得力がある。私は特に調査対象が録画であることが重要だと思う。
以前ダウンタウンの松ちゃんが「遺書」か「松本」に書いていたとおり、自分がとても楽しみにしている番組を録画視聴するかオンタイム視聴するか、多くの人は前者だろう。なんと言っても時間的制約がないからだ。(スポーツ中継は例外だが、結果を知らなければ私は録画視聴の方がよい。) 現行の視聴率調査では録画視聴は調査対象外となっているが、本来調査すべきは期待して番組を試聴している人の数だ。
広告主から見た広告費は投資の意味もあって、その対価ではCM放映による宣伝だけでなく、投資先の番組によるイメージアップも見込んでいるはずだ。視聴者からすれば番組がおもしろければその広告主の印象は上がるので番組の質は広告主のイメージと連動している。したがって、その番組がどれくらいの人数から期待されているのかというのは、広告主にとって費用対効果を検討する上で非常に重要なデータである。
しかし以前指摘したとおり、現在、番組の価値は視聴率だけで評価されている。例えば興味を引くか、感動するか、笑えるか、教育上よいかなど質の評価軸も視聴者には内在するものの、調査されることは希であって、これらは全て視聴率に反映されるというとても大ざっぱな仮定の元に視聴率が一元軸として存在している。質の評価軸は、「子供に見せたい番組」などというくだらないアンケートという形で登場するだけだ。
松ちゃんのような作り手の立場から見ても、これまで知る術がなかった「録画してまで見たい番組」のデータは非常に興味があるだろうし、疑わしい0.1%の動向に一喜一憂するよりは、彼らのモチベーションを上げることのできる重要なデータである。
◇◇◇
録画予約の集計データは「質」の判断材料として、視聴率よりも相応しい評価軸を提供することになると思う。東芝やソニーは録画予約ランキングを導入しているが、これらが視聴率に替わって番組の第一評価軸になるべきだと思うし、近いうちにそうなると思う。
視聴率のオリジナルコンフィデンス化は加速するばかりである。
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2005年06月07日
2005年06月06日
きょうはくじょう
「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍悪くなります。」
健康促進という大義名分のもと、喫煙者の社会的立場を低下させて増税しやすくするというあからさまな下心は理解できる。PL法があるとはいえ、それにしてもやりすぎだ。死亡をちらつかせるとは何事か。
◇◇◇
タバコにここまで書く以上、他にもこれくらい脅迫文を書いてもらわないと不自然だ。
【タクシーのドア】
あなたが交通事故に遭い、人生の最後が訪れる可能性を高めます。また、急ブレーキにより首を痛める可能性があります。
【コーラの缶】
あなたは糖尿病にかかるかもしれません。糖尿病は身体に甚大な障害をもたらす病気です。全身不随になる危険があります。
【自衛隊員募集のポスター】
これに応募することにより、そうでない場合と比べて、あなたが海外で死亡する可能性が格段に高まります。その場合、あなたの親類はあなたの死を見届けることはできません。
【JR西日本の電車のドア】
この電車では女性は痴漢の被害に遭う可能性があります。また、この運転士は過度のストレスを抱え大変疲弊しています。判断を誤り脱線・横転事故を起こすかもしれません。ついこの間やらかしたばかりです。
◇◇◇
それにしても、脅迫文掲載を言い出した人は世の中をどうしたいのだろう。どんな理想を持っているのだろう。世の中の人全てを非喫煙者にしたいのだろうか。だとしたら幼稚すぎる。増税のためには手段を選ばないのか。もっと他に別の力が働いているような気がしてきた。
◇◇◇
未成年が安易に喫煙しないようにする配慮なのか。その割には文章が難しすぎる。若年層の日本語能力が低下していることはすでに指摘されているのだから、もっと平易な文章を掲載すべきだ。
喫煙の最もよくない点は、本人ではなく非喫煙者が副流煙の影響を受けることと火傷を負う危険性があることだ。喫煙者が死亡するかしないかは二の次で、最も喚起すべきはこの点だ。
喫煙で眠気が解消したり、ストレスが軽減されたり、食欲を抑制しダイエットの補助になったりなど、健康上の利点があることも予想されるが、その調査はしたのか。結果は提示しないのか。賛否両論のうち一方しか知らしめないのでは人民日報・朝鮮日報と大差がない。
◇◇◇
と、熱くなってつらつら書いてみたものの、よく考えてみたら、黒幕はむしろ愛煙家なのかもしれない疑惑が出てきた。これだけ書いておけばさすがによそから文句も出にくいだろうという判断があったのかもしれない。
まぁ、脅迫文が載せられているからといって、特に何か損があるわけでもないから気にしないようにしよう。世の中ヒマ人大杉！
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2005年06月02日
2005年06月01日
学歴と競馬新聞
ちょっと前にホリエモンのお仕事相談ブログにコメントをつけたので、その補足。
ここ数年、ソニーの低迷がしばしば指摘されている。シェアとか売り上げとかブランドとか、昔なんとなくすごかったのが、なんとなくすごくなくなってしまったという現象である。その原因について様々な分析が行われているようであるが、私はこのように推理してみた。
◇◇◇
企業の価値は利益でも株価でもなく人にあると思う。利益や株価はその指標に過ぎない。
バブル後期にソニーが学歴不問採用を始めた。
バブルに熱狂し経済的にも余裕があったからか、学歴社会、受験戦争や詰め込み教育批判などがあちこちで展開された上、ついにはあのソニーが学歴不問になったということで話題になった。その後のゆとり教育の導入にもいくらか影響を及ぼしただろう。
私はとても驚いた。自分もまさに詰め込み教育の真っ最中だったので、世の中にはそんな勉強などせず、大学など行かなくても能力の高い人がいるものなのだ、だからソニーはそんな採用を始めたのだと勝手に思っていた。
当時採用された新入社員は、十数年を経て現在では中堅どころとなっているはずである。この世代というのは20代でIT革命を経験しているので、特に電器メーカーにおいては非常に貴重な世代だろう。DIGAがITと非常にうまく融合しているように。それに、十年もたてば採用時に内定を呼び込んだ能力などは色あせてしまう。むしろ入社後いかに伸びたかが重要だ。(ちなみにDIGA・DIMORA開発チームはリーダーが40代、メンバーは30代が中心だと思う。）
結局ソニーが低迷してしまったところを見ると、ソニーが学歴不問で採用した社員は他社の同世代社員より能力がなかったのではないだろうか。結局、学歴不問が裏目に出て、「所詮そのレベル」の社員しか採用できなかったのだろう。十年後に企業価値を下げる結果となったと同時に、私のあこがれじみた思いこみは裏切られてしまった。
この間Network Walkanを褒めたのに、もしこの推理が当たってしまったら、ソニーはますます低迷することになる。どうせ社内は年功序列である。この世代が出世してゆくことになれば、先はどんどん暗くなる。
◇◇◇
学歴不問の採用現場はどのような基準で人物を評価しているのか、非常に興味深い。極端に言えば金儲けのパートナー探しであるから、金になるかならないか、すなわち能力があるかないかを見分ける作業である。友達や恋人選びとは違う。
一般に採用選考は書類選考と筆記試験と数回の面接だから、人物を直接評価できる時間は多くても4〜5時間といったところだろうか。例えば面接の姿勢や発言内容にチェックリストが設けられているなど社内基準があるのだろう。しかし、短時間である上に、基準があるとはいっても評価自体は採用担当者の主観に依存するところが大きいので、相応しくない人を採用してしまうことも十分考えられる。
採用が会社組織の営利活動である以上、必ず説明責任がある。担当者は自分の判断について、会社に対しどのように説明責任を果たすのだろうか。それとも人物評価が的確で、説明の必要がないほどに権限が委譲されているのだろうか。だとしたら、それほど有能な人材が人事採用にあてがわれているのはいささか非効率だ。
例えば東大卒と○×大卒の応募者2名から1名を選ぶとき、私は迷わず前者を採用するべきだと思う。他に選択はない。もしそうでない場合、前者を落とし後者を採るに十分な理由が必要だ。
東大入試は難関であり合格するには多かれ少なかれ青春時間を割いて準備しなければならないという事実、東大で学び卒業したという事実、そして在学中に築いた教授や友人とのコネクション、これらは十分な理由だ。これらを上回る理由があれば、それは相当なものだろう。
学歴不問採用とはパドックだけを見て馬券を買うようなものだ。貴重な情報が載った競馬新聞を見ない。だからGI馬よりも条件馬が採用されてしまうこともある。身銭を切って穴馬を指名するのはいいが、組織に属するのであれば本命を買うべきだ。
◇◇◇
それでは学歴がある人と能力のある人が同義であるか考えなければならない。ソニーが学歴不問採用を始めたきっかけも同義でないと判断したからである。
私は前者は後者であるための必要条件だと考えている。「それくらいはパスしないとね」という発想であるが、「学歴あるけどバカ」がいることも認める。
最近は日本の大学に進学せずに若いうちから留学したり何かに取り組んだり、いわゆる「自分探し」する人も多いらしい。中には優秀な人もいるかと思うが、玉石混合だろう。早くから自分の才能に気づいて行動に出たというのは希で、多くは奇をてらったかただのドロップアウトだと思う。もし私が採用担当者なら時間を無駄にしそうだからそんな応募者とは会わない。
ここ数年、ソニーの低迷がしばしば指摘されている。シェアとか売り上げとかブランドとか、昔なんとなくすごかったのが、なんとなくすごくなくなってしまったという現象である。その原因について様々な分析が行われているようであるが、私はこのように推理してみた。
◇◇◇
企業の価値は利益でも株価でもなく人にあると思う。利益や株価はその指標に過ぎない。
バブル後期にソニーが学歴不問採用を始めた。
バブルに熱狂し経済的にも余裕があったからか、学歴社会、受験戦争や詰め込み教育批判などがあちこちで展開された上、ついにはあのソニーが学歴不問になったということで話題になった。その後のゆとり教育の導入にもいくらか影響を及ぼしただろう。
私はとても驚いた。自分もまさに詰め込み教育の真っ最中だったので、世の中にはそんな勉強などせず、大学など行かなくても能力の高い人がいるものなのだ、だからソニーはそんな採用を始めたのだと勝手に思っていた。
当時採用された新入社員は、十数年を経て現在では中堅どころとなっているはずである。この世代というのは20代でIT革命を経験しているので、特に電器メーカーにおいては非常に貴重な世代だろう。DIGAがITと非常にうまく融合しているように。それに、十年もたてば採用時に内定を呼び込んだ能力などは色あせてしまう。むしろ入社後いかに伸びたかが重要だ。(ちなみにDIGA・DIMORA開発チームはリーダーが40代、メンバーは30代が中心だと思う。）
結局ソニーが低迷してしまったところを見ると、ソニーが学歴不問で採用した社員は他社の同世代社員より能力がなかったのではないだろうか。結局、学歴不問が裏目に出て、「所詮そのレベル」の社員しか採用できなかったのだろう。十年後に企業価値を下げる結果となったと同時に、私のあこがれじみた思いこみは裏切られてしまった。
この間Network Walkanを褒めたのに、もしこの推理が当たってしまったら、ソニーはますます低迷することになる。どうせ社内は年功序列である。この世代が出世してゆくことになれば、先はどんどん暗くなる。
◇◇◇
学歴不問の採用現場はどのような基準で人物を評価しているのか、非常に興味深い。極端に言えば金儲けのパートナー探しであるから、金になるかならないか、すなわち能力があるかないかを見分ける作業である。友達や恋人選びとは違う。
一般に採用選考は書類選考と筆記試験と数回の面接だから、人物を直接評価できる時間は多くても4〜5時間といったところだろうか。例えば面接の姿勢や発言内容にチェックリストが設けられているなど社内基準があるのだろう。しかし、短時間である上に、基準があるとはいっても評価自体は採用担当者の主観に依存するところが大きいので、相応しくない人を採用してしまうことも十分考えられる。
採用が会社組織の営利活動である以上、必ず説明責任がある。担当者は自分の判断について、会社に対しどのように説明責任を果たすのだろうか。それとも人物評価が的確で、説明の必要がないほどに権限が委譲されているのだろうか。だとしたら、それほど有能な人材が人事採用にあてがわれているのはいささか非効率だ。
例えば東大卒と○×大卒の応募者2名から1名を選ぶとき、私は迷わず前者を採用するべきだと思う。他に選択はない。もしそうでない場合、前者を落とし後者を採るに十分な理由が必要だ。
東大入試は難関であり合格するには多かれ少なかれ青春時間を割いて準備しなければならないという事実、東大で学び卒業したという事実、そして在学中に築いた教授や友人とのコネクション、これらは十分な理由だ。これらを上回る理由があれば、それは相当なものだろう。
学歴不問採用とはパドックだけを見て馬券を買うようなものだ。貴重な情報が載った競馬新聞を見ない。だからGI馬よりも条件馬が採用されてしまうこともある。身銭を切って穴馬を指名するのはいいが、組織に属するのであれば本命を買うべきだ。
◇◇◇
それでは学歴がある人と能力のある人が同義であるか考えなければならない。ソニーが学歴不問採用を始めたきっかけも同義でないと判断したからである。
私は前者は後者であるための必要条件だと考えている。「それくらいはパスしないとね」という発想であるが、「学歴あるけどバカ」がいることも認める。
最近は日本の大学に進学せずに若いうちから留学したり何かに取り組んだり、いわゆる「自分探し」する人も多いらしい。中には優秀な人もいるかと思うが、玉石混合だろう。早くから自分の才能に気づいて行動に出たというのは希で、多くは奇をてらったかただのドロップアウトだと思う。もし私が採用担当者なら時間を無駄にしそうだからそんな応募者とは会わない。
