パン屋経営 儲けのルール

パンが大好き! だから、おいしいパンを作ってくれる ベーカリーショップのオーナーを応援したい。
そんな思いで、 日々「儲けのルール」を探し求めている パン屋税理士からのメッセージです。

数字の読み方

〜数字の読み方イ梁海「値引の注意点」です。
(ながらくお待たせしました💦)

まず図1のように1つのパンを作った時は、売価と原価と粗利しか存在しませんが、
パン屋を経営し、パンを数個販売するようになると家賃などの固定費が必要となり、
粗利益から固定費を引いた額が純利益となります。
そして値引をした場合に何が変わって何が変わらないかを示したのが図2になります。
このように低率の値引なら少数の増販でも利益は出てきます。

値引値引



     図         /洵
では「本日食パン20%オフ!」のようなキャンペーンを行った場合はどうでしょう。
図3のようにパン1個当たりでは、原価30円のパンを80円で販売してもまだ50円の利益がありますから、チラシや店内告知によってお客さまの来店数が増えたり、もしくはいつもの個数より多く買ってもらえることを見越して値引率を決めると思います。
お客さまにインパクトを与えるほどの特典にしたい気持ちも分かります。
でもいったいいつもより何個多く販売すれば効果がでるのでしょうか?
そのことが分かっていないと戦略的な製造計画を立てることができないのです。
図3では20%値引で、値引しない時よりも30個増販できました。
製造スタッフの努力、そして販売員たちも30個増販したことで意気揚々と店長に報告してくるかもしれませんね。でもお店としての利益は値引しないで販売していた時の方が多かったことになるのです。
なぜなんでしょう?その要因は固定費の存在にあるのです。
このことに気づいた店長は皆に「キャンペーンなんだからもっと売ってください!」とハッパをかけます。すると図4のような結果になりました。みんな頑張ったんです。40個増販になりました。でも・・・これでは値引きせずに100個だけ売っていた時と利益は同じなのです。40個も多く製造したスタッフの努力は・・・(涙)
値引値引


 

     図        図
今回のケースの場合、図5のように結果として150個以上増販しないと20%値引の効果はないことになります。このことを承知の店長なら「今回のキャンペーンは20%値引きなので、販売目標は150個です!」と明確に伝え、そして150個売るための具体的な販促計画も立てることができたはずです。
値引



    図

ちなみに値引率と増販計画の目安は下記の通り。
値引率5%→1.1倍増販
値引率10%→1.2倍増販
値引率20%→1.5倍増販
値引率30%→1.8倍増販
値引率40%→2.4倍増販
値引率50%→3.5倍増販
値引販売を効率よく行うには「変動費」と「固定費」の関係を理解して数値計画を立て、その目標値をスタッフに伝えた上で、一緒に販促計画を練るのがいいと思います。

原則にそって税務署に提出したり銀行に提出したりする決算書を作成する会計を制度会計といいます。
もちろん大切な制度ですが、経営を分かりやすくするためにはその他の会計も学んでおく必要があります。
その一つが「MQ会計」です。
経営の5要素・・P.V.Q.F.G
P・・・プライス:価格
V・・・バリアブル・コスト:原価
Q・・・クォンティティー:数量
F・・・フィクスト・コスト:固定費
G・・・ゲイン:利益
今回ご紹介した図1〜5もこの5つの要素からできています。
次回は、この応用で損益分岐点分析についてお伝えしたいと思います。
※弊所無相談窓口 https://www.bakery-no1.com/contact.html

数字の読み方

先日、あるパン屋さんから相談がありました。「雨対策で『値引キャンペーン』を実施したのですが、あまり成果がありませんでした・・・。というかどのように成果を測ればいいのでしょうか?」
値引販売の効果を測定するって難しそうですね。そこで今回から数回に分けて『変動費』と『固定費』の考え方とその活用方法についてお伝えしたいと思います。
まず『変動費』とは売上の増減に対して連動する経費のこと。例えば材料原価や包材などは売上が増えれば増えますし、売上が減れば減りますね。あと工場の水道光熱費や工場で働く人件費なども連動しますし、厳密には機械類の減価償却費も連動します。一方『固定費』とは売上の増減に関係なく毎月一定額かかる経費のこと。例えば家賃やリース料、役員報酬や販売員の給与、保険料や会費なども毎月固定費用ですよね。このように売上が増減した時に、連動する経費と連動せず固定額がかかってしまう経費があること、そして値引という売上の減少では材料原価も変動しないということを理解しておかないと、例えば今回の値引きキャンペーンのような取組をした時の数値計画と結果評価は難しいと思います。次回からこれらのことについて図を使いながら解説したいと思います。
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数字の読み方

前回に引き続き、原価率のメカニズムについてです。

3.ロスの種類とそのメカニズム解説
ロスは大きく分けて3種類あります(図参照)。
売上原価3売上原価




それぞれ発生する原因や対策が異なります。

まず一つ目は「販売ロス」。売れ残りです。チャンスロスとも言うように、店頭に出すタイミングやお客さまへのアプローチ不足などから閉店時に残ってしまう場合もありますね。逆に言うと、焼き立てを出すタイミングや声掛け、新商品を常連のお客さまへ提案するなど、販売スタッフへのモチベーションとして「販売ロス〇%に抑える!」のような目標設定もいいと思います。ちなみに閉店時の最後までパンがある状態を保つための「必要ロス」という考え方もありますので、ガイドライン(例えば販売ロスは1%のように)を持っておくのも重要ですね。

二つ目は「製造ロス」焼き焦しなどの失敗や新商品開発のための材料使用などです。これは製造スタッフの成長過程における目標設定が重要です。そのプログラムがしっかりしていれば、このロス率は下がってくると思います。もちろん新商品開発用の予算として製造ロス率も例えば1%設定しておくと開発への動機づけにもなります。

三つ目は「品質管理ロス」です。在庫棚卸のところでも書きましたが、在庫が多いと冷蔵庫の奥で消費期限切れを起こしたり、積みすぎた棚から落ちて材料をダメにしてしまうことがあります。これには必要ロスのようなガイドラインはありません。目標は「0%」です。過剰在庫は悪だと考えてください。

4.仕入値交渉、値上実施の計画
本来、商品原価はレシピを考える際に決定すると思います。例えば塩パンなら〇%、サンドイッチなら〇%など。しかし経営を進めていくと状況は変わってきます。もともとの設定より分量を変えてみたり、原材料の仕入値が上がったり、消費税が改正されたり(食材の仕入れは8%のままですが包材は10%になります)。つまり何もアクションをとらなければ原価率は上昇する可能性が高いのです。仕入業者さんへの価格交渉(相見積など)や商品価格の値上げなど勇気をもって取り組んでいきましょう。

5.品ぞろえを科学する
お店全体の原価率は、いろんな原価率のパンの品ぞろえから形成されています。総菜パンやサンドイッチ、バターたっぷりのリッチなパンが多い店は原価率が高く、リーンなパンが多い店は原価率は低くなると思います。お客さまのニーズに合った選ばれるお店であるためには、このバランスが大切なんです。率だけにこだわらず、粗利額がきっちりとれるバランスを探してみましょう。

売上原価が1%変わるだけで年間の利益が大きく変わる可能性もあります。自店の現状数値を確認し、傾向に伴う対策を試みてください。
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数字の読み方

「うちのお店の原価率は適正なのでしょうか?」よく耳にします。
先日も弊所の「無料相談窓口」コーナーで「試算表を見ると月によって原価率が大きく変わるのはなぜでしょうか?」「他店の人と情報交換するのがいいと聞くのですが、それぞれの原価率が違い迷ってしまいます。」等々、原価率に関する質問が増えています。弊所でクライアントと共有しているKPI(キーパフォーマンスインジケーター)「儲けのコックピット」で原価は、収益性分析にも生産性分析にも大きな影響を及ぼします。それくらい原価は経営判断のための重要な要素なのです。そこで今回は原価率のメカニズムを解説してみたいと思います。
【原価を構成する内容は図の通り。】

図3-1





専門的に言うと、商業簿記と工業簿記で考え方が違います。ベーカリーが製造(販売)業であることから、考え方としては工業簿記を用いるべきかもしれませんが、それはセントラルキッチンを持つ、大きなベーカリーに任せて、リテイルベーカリーは商業簿記で十分だと思います。ただし商業簿記とはいえ、1.売上に応じて変動するものしないものを把握する。2.毎月の在庫棚卸を実施する。3.ロスのメカニズムを理解する。4.仕入値交渉、値上実施などの心づもり。5.原価率を考慮した品ぞろえの工夫。の5つのポイントが重要だと思っています。では一つずつ見ていきましょう。

1.売上に応じて変動するものを原価とする。
何個のパンを売ろうが家賃も変わりませんし、機械を購入した時の借入金返済額は変わりません(厳密にいえば使用頻度によって機械類の摩耗度合いは変わりますが)。私は、原材料と包装材料のみを原価とするのが基本と思っています。売上高を100とした場合の原価率が30%なら粗利率は70%。包材も含め原価ととらえ、パンを1つ売ると儲け(粗利益)がいくらなのかを把握するためにも原価は大切なんですね。

2.在庫棚卸が影響する意味
月によって原価率が違う原因は、在庫の棚卸を行わないからです。つまり棚卸を行っていないということは、試算表の表している数値は原価率ではなく仕入率なのです。仕入率となると、材料をまとめ買いした月は率が悪くなり、翌月はその反動で良くなる・・・経営判断に困りますよね。もう一つ言うと、棚卸を行わないとロス額を算出することも難しくなります(このロスに関しては次の項目でお伝えします)。しかし毎月末に棚卸を行うことは簡単ではありませんね。5Sルールに基づき(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、保管場所の決めることと発注基準となるメモリをつけておくなど工夫しておくといいと思います。また棚卸在庫を少なくすることで、品質管理ロスが防げ原価率が下がり、また資金繰りも良くなるなど良いこと尽くしです。面倒くさがらず頑張ってみましょう。

今回はここまで。次回は、3.4.5について解説したいと思います。

数字の読み方

今回は、売上高について「動機付け」との関係を数値化していきたいと思います。
よく売上高は、「客単価×来客数」と言われますね。
A.客単価800円×1日来客数125人で100,000円
B.客単価1,250円×1日来客数80人でも100,000円
どちらも結果は同じですが内容は違いますね。
つまり売上はどちらかを伸ばすのではなく面積を広げるものなのです。

さらに分解していきます。
先ほどの式「客単価×来客数」の客単価とは「商品単価×購入動機」と言われます。
A.商品単価(平均)200円×購入動機4個で800円
B.商品単価(平均)160円×購入動機5個で800円
やはりどちらも結果は同じですが内容は違います。
そしてやはり客単価も広げるものなのです
購入動機は、品揃え数・ディスプレイ・POP・試食・接客、など店内に、
もっと買いたいと思わせる店内動機付けがどれくらいあるかで変わってきます。

次に式のもう一つ来客数は「認知係数×来店動機」と言われます。
A.認知係数3,000人×来店動機2point÷30日で200人
B.認知係数1,500人×来店動機4point÷30日で200人
やはりどちらも結果は同じですが内容は違います。
そしてやはり来客数も広げるものなのです。
来店動機は、美味しい・大きい・安い・近い、など一般的な動機があれば1point
駅近・駐車場が広い・観光地・看板が分かりやすい、など物的な動機があれば1point
有名シェフがいる・接客のプロがいる、など人的な動機があれば1point
集客エンジン商品がある・店舗空間の演出効果、などワクワクな動機があれば1point
このように、まずどれだけの人に知られているか(認知係数)?
そして朝食の食パンならここ!会社帰りに寄るならここ!週末に家族と行くならここ!のように、行きたい!と思わせる来店動機付けがどれくらいあるかで変わってきます。

売上高=「客単価×来客数」
      ↓
「‐ι蔽渦繊澂購入動機」×「G知係数×ね菘稿圧 
つまり売上とは「お客さまに知られ、また来たいぁ△發辰版磴い燭き◆廚隼廚錣譴訖字なのです。この↓い呂客さまが決めること。選ぶ権利は100%お客さまが持っているのです。しかし、,両ι蔽渦舛世韻麓分で決めることができる。選ばれるお店は商品単価も高く設定することができれば売上高はさらに大きくなりますね。試算表(PL)を見ると売上高として数字が記載されていると思います。経営を判断するためには、この数字を今回の´↓い吠解してみましょう。そして売上高を広げるためには、どの数値を上げればいいのか、前回掲げた一つの指標「家賃効率8%以下の売上高」を目指すためには、どの数値を上げればいいのか、一度計算してみましょう。そしてその後に具体的にそのための行動計画を書き出してみることをお勧めします。
今まで経営において、売上が上がった、下がったと言っていたと思います。これからは、売上が上がった場合、お客さまから更に選ばれた!売上が落ちた場合、お客さまから選ばれなくなった!と表現してください。そうすることで、もっと数字をシビアに見るようになると思います。

数字の読み方

パン屋店舗
数字の読み方についてご紹介していきます。
成績表には貸借対照表(BSと言います)と損益計算書(PLと言います)があります。まずは損益計算書から見ていきましょう。一番上に表示されている数字は「売上高」です。そう!これが一番上にあるんです。これが無いと始まらないんです。では適正な売上高はいくらなのでしょうか?「もちろん多いほうがいいに決まっている!」という声が聞こえてきそうですが、何か判断基準があれば嬉しいですよね。そこで見る数字が家賃効率です。「家賃÷売上高×100=8%」これが目安です。つまり公式を逆にすると、家賃÷8%が現在の売上高になっているか?を確認してみて下さい。実はこれを家賃効率8%でまわると言います。これを実現すると売上高2日分で家賃を支払えることになります。具体的に数字を入れてみましょう。
家賃が200,000円とすると8%でまわる売上高は200,000円÷8%=2,500,000円になります。実働25日であれば1日の売上は100,000円となり、2日分あれば家賃が支払えますよね。ちなみに10%ならば2日半分必要になり、12%ならば3日分必要です。この「売上高の何日分」という考え方は他の経費にも使えますので便利ですよ。
こんな感じで、数字の読み方をご紹介していきます。「ワクワクするようなパン屋さんに行きたい。」これがお客さまの来店動機です。数字に強くなり経営が楽しくなれば、ワクワクするお店になるはず!これからの勉強で、そんなお店を目指しましょう。

パン屋経営のサポートブログ再スタートです!

こんにちは。パン屋税理士の河原治です。
久しぶりの投稿になり申し訳ございません💦しばらく期間をおいていたのは、内容を検討しもう一度見直してみようと思ったからです。パン屋さんの経営のお役に立ちたい!そんな思いで、リスタートしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ブログまずは改めて、私がパン屋さんを応援したいと思ったきっかけからお話しさせて頂きます。そもそも、私が税理士を目指し勉強を始めたのは、今から30年以上前のことでした。それから10年、何度もくじけそうになりながら、たくさんの人にささえられ、1998年ようやく税理士の資格を得ることができ、その2年後、事務所を開設することができました。税理士がパン屋さんを応援する・・・そんな私の仕事の原点は、今から50年以上も前にあったんです。
ブログ2「おさむ〜!パン焼けたでぇ〜!早よ、起きやぁ〜!」そんな母の声で、いつも目を覚ますと、テーブルには、バターをたっぷりぬった厚切りトーストと牛乳がありました。身体がまだ起ききっていない、寝ぼけた意識ながらも、 『おいしいなぁ〜』と幸せを感じていました。
私が幼い時から、母がパン屋に勤めていたので、家には、毎日美味しそうなパンがいっぱいありました。お昼ご飯は、サンドイッチ。おやつには、菓子パン。冷たく冷えた、チョココルネを、弟の分まで食べて怒られたこともありました。
そんなある日、母が明太子フランスを持って帰ってきて、口にした時の、あの衝撃は忘れられず、今でも一番の好物です。明日は、何が食べられるのかなぁ〜。ワクワクしながら、パンのことばかり考えている子供時代でした。
それから大人になるにつれ、当たり前の日々を当たり前のように過ごす毎日。パンを食べることも、当たり前の日々の一コマになっていました。
しかし、この仕事を始めてから、美味しいパンに囲まれる日々、当時の純粋な気持ちを、また思い出すことができ、さらに、間近でパン作りに関われる喜びも感じることができました。
ブログ3ところが、同時に感じたのは、経営の難しさだったんです。子供のころ、あんなにワクワクしながら食べていたパン。 「こんなに美味しいパンは、きっと夢のような場所で作られているに違いない。」そう思っていたんですが、私の目に映ったのは、パン作りに誇りをもちながらも、経営に苦しんでいるパン職人の姿でした。
「どうしたらお客さまに選ばれるのか?」
「どうしたらスタッフが成長し定着するのか?」
「どうしたら効率よく仕事ができるのか?」
「どうしたら経理が簡単にできるのか?」
「どうしたら儲かり、お金が残るのか?」
「どうしたら・・・・?」
お店を経営していくためには、やらなければならないことがたくさんあるのに、流されていく日々の中で、悩みや苦しみを、胸の内にため込んでいる。
私にできることはないだろうか?解決してあげたい・・・、解決できないまでも、苦しみをシェア(分担)できるんじゃないか?いつも隣にいて、応援することならできる!
子供時代の私を、あんなにワクワクさせてくれたパン屋さんへの恩返し。私の使命は、「パン屋さんを元気にする」こと。
そこで私が最初に取り組んだことは「経理事務の簡素化」でした。早朝から夜遅くまでパンを焼き続けたパン職人のオーナーに、閉店後「帳面をつけてくれ、コンピューターに入力してくれ。」は無理なこと。パソコンを開いて3分で寝てしまうと言っておられます(笑)。そこで考えた仕組みは日報(儲かる現金管理ノートと呼んでいます)を使った、一日たった3分間の経理システムです。
レジを締めると同時に日報に記録する。あとは預金通帳の入出金にルールをつければ通帳が帳面になる!始まったばかりの小さなパン屋さんであっても、やることはたくさんあります。そんな限られた時間の中でも、本来やってほしいことは「数字を読む」ことです。数字を作ることは専門家に任せて、数字を読み経営の良し悪しを判断する力をつけて欲しいと思います。
これからの連載の中で、経営成績表(試算表と呼ばれる売上や経費・利益などが記載された表)の読み方をお伝えしていきたいと思います。是非お手許に自店の成績表を置いて現状を確かめてみて下さい。そして理想となる数字も設定してみて下さい。そこで初めて達成までのプロセスが見えてくると思います。

THE TEAM 5つの法則(補足)

補足:「あの人よりやっているから」という落とし穴(参照点バイアス)
動経済学では「参照点バイアス」というバイアスも提唱されています。
最初に提示された数字や印象が参照点(アンカー:船のいかり)となって強く残り、
その後の印象や駆動に影響を及ぼすことを指しています。
本来は100のパフォーマンスを出せる人が、
隣のチームメンバーが60しかパフォーマンスを出していないので、
自分も60くらいでいいか、と意識的・無意識的に考えてしまうものです。
特にリーダーはメンバーの参照点になりやすいです。
「リーダーが遅刻しているから自分も遅刻していい」などと都合の良い参照点として
メンバーがリーダーを使うことも多々あります。
この落とし穴にはまらないためには、チームの中で「基準」を明確に示すことが重要です。
Aimの法則で示した「意識目標」「成果目標」「行動目標」、
Communicationの法則で示した「責任範囲(Where)」「評価対象(How)」について、
それぞれのメンバーにどれくらいの「基準」を求めるのかを曖昧にせずに明確に提示することです。
画像1





※事例 〜阪神タイガース〜

私は、甲子園出身で小さな頃から阪神タイガースの大ファンです。
その阪神タイガースは弱くても関西では非常に人気のある球団なので、
一時期ファンや支援者に甘えていると言われていました。
しかし、そんな状況から金本知憲選手の加入で変わりました。
金本選手は連続試合フルイニング出場の世界記録(1492試合)を持っている「鉄人」と呼ばれた選手です。
金本選手が他の選手に大きく影響を与えたのは、
そんな状況であっても、練習や試合を休まずストイックに野球に取り組む姿勢でした。
金本選手の加入によって、チーム全体の「基準」が変わり、
選手たちの野球に取り組む姿勢が変わり、チーム全体の成績も変わっていきました。
「基準」が変わることにより、チームが変わった事例だと言えると思います。

金本3

THE TEAM 5つの法則(補足)

補足:「みんなが言っているから」という落とし穴(同調バイアス)

従来の経済学では、人は合理的かつ功利的な判断のもとに動くとされていました。功利的とは、選択肢の中で最も得をするものを選ぶことを言います。このような自己の経済利益を最大化させることを唯一の行動基準とする人間のことをホモ・エコノミクスと呼びます。ただ現実的にはこのホモ・エコノミクスは存在しません。何故ならば、人間は感情で動く生き物であり、時に非合理的な行動を選択してしまうからです。このような心理学的な見地も含んだ行動経済学では、その選択肢から得られる経済的合理性だけではなく、周囲の人々と同じ選択をして安心したいという同調性(同調バイアス)が人間の判断に影響を与えているというのです。例えば、自習室に勉強しに行ったら、みんなが雑談ばかりしているので自分も雑談してしまい、勉強がはかどらなかった、というようなことは至る所で見かけます。この落とし穴にはまらないためには、チームの「雰囲気」を意識的にマネジメントすることが重要です。
落とし穴






「雰囲気」をマネジメントするためには、「スポットライト」と「インフルエンサー」の観点が重要です。「スポットライト」はチーム内である態度のメンバーに光をあてることで、実態よりも全体的にポジティブな人が多い、ネガティブな人が多いと感じさせてチームの雰囲気をコントロールするアプローチです。「インフルエンサー」はチーム内で特に他のメンバーに影響力の強いメンバーに個別に働きかけ、転換させることでチームの雰囲気をコントロールするアプローチです。

※事例 〜リクルート〜
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社内コミュニケーションを重要視し、表彰式や社内報を通じて、仕事に前向きに取り組む人にスポットライトを当てることに力を注いできました。また経営に媚びることなく、政権を批判するジャーナリストのような「社内ジャーナリズム」を求め、経営や周囲に流されすぎずひとりひとりが自分で考える雰囲気を社内に醸成しようとしていました。「雰囲気」をマネジメントする事例です。

THE TEAM 5つの法則(補足)

補足:チームの落とし穴(社会的権威)

社会心理学者ロバート・B・チャルディーニの世界的ベストセラー『影響力の武器』で紹介されている、人間の意思決定に誤った影響を与えてしまう要因の1つに「権威」があります。チームにおいては、この「権威」が思わぬ形で悪影響を及ぼしてしまう時があります。それが「“あの人が言っているから”という落とし穴」です。
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以前書きました、Decisionの法則では、独裁という意思決定の効果をスピードという観点から述べましたが、この意思決定方法を間違った形で運用したり、多用しすぎると、この「“あの人が言っているから”という落とし穴」に陥りやすくなります。

また、Communicationの法則で紹介した「心理的安全」がきちんと醸成されていなければ、「どうせ言っても無駄だ」「言ってもまた否定される」などのメンバーの主体性をそぐ感情がメンバーの中で強くなってしまいます。結果として「あの人が言っているから」という受動的な態度が助長されてしまいます。この落とし穴にはまらないためには、チームの中に「議論」というプロセスを埋め込むことが重要です。

 

※事例 〜サイバーエージェント〜
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短期間で急成長を遂げたIT企業のサイバーエージェントでは、この「議論」のプロセスを経営チームにうまく組み込んでいます。「あした会議」という役員合宿では、それぞれの役員が社員たちとチームをつくって、社長に対して新規提案をします。その提案にGOサインを出すのは藤田社長ですが、実際に沢山の提案がこの合宿で可決されます。サイバーエージェントが藤田社長のトップダウンの意思決定スタイルと役員の積極的なコミットメントを両立している事例です。

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