補足:チームの落とし穴

チームは2人以上の人間が共通の目的を実現するためにつくられます。
それは当然、1人ではその共通の目的が実現できない、
もしくは誰かと一緒に取り組んだ方が実現しやすくなるから、
人はチームをつくるはずです。
1人で出せるパフォーマンスが100だとした時に、
2人でやれば200のパフォーマンスが出る。
このようなチームづくりの効果は「足し算のパフォーマンス」です。
一方で、チームづくりの効果を「掛け算のパフォーマンス」にすることもできます。
そのためには、「適材適所」であることで初めてパフォーマンスは最大化されます。
しかし、時にチームをつくったことによって、
1人だったら100のパフォーマンスを出せるメンバーが、
80や60のパフォーマンスしか出せなくなることがあります。
これをチームの「割り算のパフォーマンス」と呼びます。
このようなことが起こってしまう原因は、
「チームの落とし穴」にはまってしまうからなのです。
ここでは、いくつかの「チームの落とし穴」と対応策を考えてみたいと思います。

1.「自分1人くらい」という落とし穴(社会的手抜き)

社会的手抜き、という心理学用語があります。
20世紀初頭のフランス農学者マクシミリアン・リンゲルマンの名前から
リンゲルマン効果ともいいます。
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集団が大きくなればなるほど、
1人あたりのパフォーマンスが低下するという現象です。
例えば、チームで草むしりをするとします。
3人のチームでやれば10時間かかる作業だとすると、
10人でやれば3時間で終わるはずです。
しかし、実際には10人でやると3時間以上かかってしまうのです。
これはチーム全体が「自分1人くらい」という落とし穴に
はまってしまっているからです。
3人の時は「自分がやらねば」と思っていたメンバーが、
10人なったとたんに「自分1人くらいやらなくても大丈夫だろう」
と思ってしまうということです。

この落とし穴にはまらないためには、
メンバーの「当事者意識」を高めることが重要です。
こんな時、「当事者意識を持て!」と言うだけでは解決しません。
チーム内に「当事者意識」を高められる仕組みを埋め込むことが大切なのです。
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そのポイントは3つあります。
/与
大人数になると、この落とし穴にはまります。一定以上に達したらチームを分化させ、
大きなチームの中に小さなチームが複数あるという状態にしたほうが良いです。
∪嫻
ひとりひとりの責任の所在が曖昧であれば、当事者意識も低くなります。
「責任範囲」と「評価対象」を明確にする必要があります。
「参画感」
様々な意思決定が自分とは関係のないところで進んでいると、
チーム全体のことが段々と他人事のようになっていきます。
例えば「多数決」や「合議」という意思決定手法を適宜取り入れることで
参画感を持たせることが可能です。

このような仕組みを通して、
チームが「自分1人くらい」という落とし穴にはまらないように、
チームの「当事者意識」を高め続ける必要があります。

※事例 〜リクルート〜
PC(プロフィットセンター)制という施策では、
会社の中の1つ1つの職場を会社と見立てて、
PL(損益計算書)をつくらせました。
人事部のようなスタッフ部門でも、
人事部が会社のために採用した人数が増えれば人事部の売上が増える、
逆に人事担当の人数が増えるごとに人件費や家賃が増える、
というような管理会計ルールをつくり、
毎期の決算で部署ごとにPLを算出させたのです。
社内に少人数のチームをつくり、
責任や参画感を高めることで「当事者意識」を高めた例です。
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例えば、パン屋さんにおいても、少人数のチーム制を考えるなら、
製造チームと販売チームに分ける。
そして責任という意味では、
製造チームなら「製造ロス数」、販売チームなら「クレーム数」など
参画感という意味では、
製造チームなら「新商品提案数」、販売チームなら「客単価アップ」など
このような数字を、月次ミーティングで報告することで、
「当事者意識」は高まるのではないでしょうか。